【加筆内容】睡眠とがんの関係について観察研究の系統的レビューとメタ分析のアンブレラレビューを行ってみた!
睡眠とがんの関係について観察研究の系統的レビューとメタ分析のアンブレラレビューを行ってみた…!
2022年の中国医科大学の研究によると、睡眠とがんの関係について観察研究の系統的レビューとメタ分析のアンブレラレビューを行ってみたそうです。
実は睡眠とがんの関係って正直なところよく分かっていなかったりするんですよね。一応こうじゃないかな~っていう仮説はいくつかありまして、
って感じです。
じゃあ実際のところどうなのか…?ってことで、今回ガッツリ深掘りしてみることにしたんだとか。具体的には、睡眠特性(睡眠時間、睡眠の質、昼寝、就寝時間、起床時間)とがんの関係について見てみたとのこと。
ということで、まず研究者たちは、2022年7月29日までに発表された該当する研究をPubMed、Web of Science、Embaseで検索してみたそうな。すると全部で2,698件の研究がヒットしたとのこと。次に重複している研究や質の低い研究を除いていったらしい。最終的に残った研究は6件でして、関連性は全部で30個あったんだとか。
んで、まずメタ分析の特徴を見ていきたいんですが、残念なことに、
- 就寝時間と起床時間とがんの関係を調べたものはなかった…。
とのこと。
そのため今回は、睡眠時間、睡眠の質、昼寝とがんの関係をチェックしたそうです。
次に主要な研究による、短い睡眠時間と長い睡眠時間ってのがどんぐらいの時間を指すのかですが、結構定義は様々だったらしい。
どんな感じだったかと言いますと、
【短い睡眠時間】
- 3〜5時間
- 3〜6時間
- 5時間未満
- 5時間以下
- 5.9時間未満
- 6時間未満
- 6時間以下
- 6.5時間以下
- 7時間未満
- 7時間以下
【長い睡眠時間】
- 7時間より多い
- 8時間より多い
- 8時間以上
- 9時間より多い
- 9時間以上
- 10時間より多い
- 10時間以上
- 10.2時間より多い
- 10〜12時間
って感じでした。
因みに中程度の睡眠時間、つまり適切な睡眠時間の範囲については以下な感じとのこと。
- 5~8時間
- 6~7時間
- 6~8時間
- 6.1~8.9時間
- 6.6~7.4時間
- 7時間
- 7~7.5時間
- 7~7.9時間
- 7~8時間
- 7~9時間
- 8時間
- 8~9時間
ざっくりいうと7時間の前後1時間の範囲が適切な睡眠時間と定義しているみたいです。「結局、おすすめ睡眠時間は何時間なのか?」の記事と通じるところがありますね。
続いてチェックしたがんの種類に関してなんですがこちらも多岐にわたっております。
バーッと挙げていくと、
- 乳がんリスク
- 大腸がんリスク
- 皮膚がんリスク
- 肺がんリスク
- 前立腺がんリスク
- 卵巣がんリスク
- 子宮内膜がんリスク
- 甲状腺がんリスク
- 全てのがんリスク
- 乳がん死亡率
- 大腸がん死亡率
- 肺がん死亡率
- 前立腺がん死亡率
- 全てのがん死亡率
とのこと。
最後に各メタ分析の特徴も載せておきます。
- 各メタ分析のデータ数:6件(範囲3件~65件)
- サンプル数の中央値:428,243人(範囲92,059人~6,609,205人)
では結果を見てみますかー。
【説得力のあるエビデンス】
【非常に可能性のあるエビデンス】
【可能性のあるエビデンス】
- なし。
【非常に可能性のあるエビデンス】
- なし。
【可能性のあるエビデンス】
- 長い睡眠時間は、中程度の睡眠時間に比べて、大腸がんリスクが21%高かった…!
- 長い睡眠時間は、中程度の睡眠時間に比べて、全てのがん死亡率が9%高かった…!
- 長い睡眠時間は、中程度の睡眠時間に比べて、肺がん死亡率が65%高かった…!
- 短い睡眠時間は、中程度の睡眠時間に比べて、肺がん死亡率が21%高かった…!
【低いエビデンス】
- 短い睡眠時間は、中程度の睡眠時間に比べて、皮膚がんリスクが低かった…!
- 睡眠の質が良い場合は、悪い場合に比べて、全てのがんリスクが高かった…!
上記以外はエビデンスなしだったみたい。
因みにサブグループ解析によれば、
- 短時間睡眠と肺がん死亡率の関係は可能性のあるエビデンスから説得力のあるエビデンスへ格上げ…!
- 長時間睡眠と肺がん死亡率の関係は可能性のあるエビデンスから非常に可能性のあるエビデンスへ格上げ…!
ってことなんで、どうやら睡眠が極端に短いor長いと肺がんによる死亡リスクが一気に上がるっぽいですね。