先週の続きです。
今回は、2024年にリンカーン大学が発表した、完璧主義的懸念・完璧主義的努力と自尊心・自己決定理論の3つの心理的ニーズの関係についての研究を見てみます。



完璧主義的懸念・完璧主義的努力と自尊心・自己決定理論の3つの心理的ニーズの関係について調べてみた…!

2024年のリンカーン大学の研究によると、完璧主義的懸念・完璧主義的努力と自尊心・自己決定理論の3つの心理的ニーズの関係について調べてみたそうです。
そもそも1965年のローゼンバーグの書籍によれば、自尊心とは、自分の価値や尊厳についての自己評価や自己表現を指すそうな。そして意志力研究で有名なロイ・バウマイスター博士の2003年の研究によると、

  • 自尊心が高い人は、ポジティブな自己表現と、自分には価値があり好かれると思っている
  • 自尊心が低い人は、ネガティブな自己表現と、自分に対する好ましくない見方をする

っていう特徴があるみたい。
そんなところもあって、

  • 自尊心が高い人→幸福感、人間関係の満足度、仕事の満足度、身体的健康が高い…!
  • 自尊心の低い人→摂食障害、うつ病、不安症などのリスクが高い…!

っていうことも分かっているそうです。
これらもあり、20世紀半ばから後半にかけては、自己価値の欠如、自己批判、理想の自分と現実の自分のギャップ、社会的承認の必要性と拒絶への恐怖など、低い自尊心の要素は、完璧主義の結果であると同時に根本的な原因でもあるとも考えられていたらしい。
ただ今まで見てきたとおり、その後、完璧主義にもいくつかの種類があるぞ…!となりまして、そこから完璧主義でも関係ある物とない物があるのではないか…?となった訳ですな。
代表的な物としては完璧主義的懸念と完璧主義的努力の2種類に分ける形でして、

  • 完璧主義的懸念:他者からの過度に高い期待に応えようとするプレッシャー、個人的な失敗へのこだわり、ネガティブな社会的評価への恐怖、不完全さに対するネガティブな反応など
  • 完璧主義的努力:完璧さに対する内在的欲求、高い個人的基準とパフォーマンスへの期待

って感じですね。
また先行研究によれば、完璧主義的懸念は自尊心の低下と関連しており、自己価値の低さや自己批判と密接に関わっているとされております。対して、完璧主義的努力は自尊心の向上と関連していると言われるんですな。
そうなると、今まで通り完璧主義は自尊心に悪影響を与える場合もあるが、完璧主義により自尊心が向上するという今までの考え方と真逆の考え方も出てきた形となります。
ではこれら完璧主義の2つの側面と自尊心との間の異なる関係を説明する、つまりなぜこういった違いが起きるのか…?その要因は何なのか…?ですが、研究者曰く、ここの研究は驚くほど少ないらしい。
そして更にややこしくしているのが、完璧主義的懸念と完璧主義的努力のどちらか一方だけ持っている、はっきり分けられる場合だけではなく、両方共存することも多いんですよ。つまり、失敗への恐怖や不完全さに対するネガティブな反応があると同時に完璧を目指そうとパフォーマンスを発揮する…みたいな感じですね。
実際、先行研究では、完璧主義的努力の結果は、完璧主義的懸念との重複を統計的に調整した場合にのみ現れることが多いみたいですし…。こんな感じで重なり合いつつもそれぞれの完璧主義は自尊心に真逆の効果を与えるようです。
そして今回はそれらを媒介している物は何なのか…?2つの実験を行い調べてみることにしたんだとか。因みに研究者は、自己決定理論の3つの心理的ニーズが関係あるんじゃないか…?と思っていたみたい。


実験1

最初の実験は、17歳から39歳までの255名(男性41名、女性214名、平均年齢19.6歳)が参加したもので、完璧主義的懸念・完璧主義的努力と自己決定理論の3つの心理的ニーズ(有能感、自律性、関係性)の満足度と不満度との関係を調べてみたそうな。
具体的には以下のアンケートに答えてもらったらしい。

  • 有能感の満足度:4項目、例:私は物事をうまくこなせる自信がある。
  • 有能感の不満度:4項目、例:私は自分のパフォーマンスの多くに失望している。
  • 自律性の満足度:4項目、例:私は自分の決定が自分が本当に望んでいることだと感じる。
  • 自律性の不満度:4項目、例:私はあまりにも多くのことをすることにプレッシャーを感じている。
  • 関係性の満足度:4項目、例:私は一緒に時間を過ごす人々と温かい気持ちを共有できている。
  • 関係性の不満度:4項目、例:私は自分の人間関係が表面的なものに過ぎないと感じる。

全項目は、1(全く当てはまらない)から7(完全に当てはまる)までで選んでもらったそうです。
さて結果がどうだったかと言いますと、

  • 完璧主義的懸念は満足度の低さと不満度の高さと関係があった…!
  • 完璧主義的努力は満足度の高さと不満度の低さと関係があった…!

とのこと。
やはり完璧主義的懸念はネガティブな結果で、完璧主義的努力はポジティブな結果だったみたいですね~。


実験2

2つ目の実験は、18歳から71歳までの260名(男性132名、女性128名、平均年齢32.5歳)が参加したもので、完璧主義と自尊心との関係を調べてみたそうです。
併せて、自己決定理論の3つの心理的ニーズ(有能感、自律性、関係性)の満足度と不満度が、完璧主義的懸念・完璧主義的努力と自尊心の関係をどの程度媒介するかも見てみたらしい。
結果、

  • 完璧主義的懸念は自尊心の低さと関係があった…!
  • 完璧主義的努力は自尊心の高さと関係があった…!

とのこと。
やっぱ完璧主義的懸念が高いと自尊心が低く、完璧主義的努力が高いと自尊心も高いみたいですね~。
更に、心理的ニーズの満足度と不満度が、完璧主義的懸念・完璧主義的努力と自尊心の関係をどの程度媒介するかは、

  • 心理的ニーズの不満度の高さは、完璧主義的懸念と自尊心の低さを媒介していた…!
  • 心理的ニーズの満足度の高さは、完璧主義的努力と自尊心の高さを媒介していた…!

みたい。
2つの完璧主義と自尊心も関係があり、心理的ニーズの状況がそれらを媒介していると…。


完璧主義的懸念・完璧主義的努力と自尊心・自己決定理論の3つの心理的ニーズの関係のまとめ

2つの実験結果を踏まえると、以下のような結果となるんじゃないでしょうか…?

  • 自己決定理論の3つの心理的ニーズ(有能感、自律性、関係性)の不満度が高いと、完璧主義的懸念が高くなるし、自尊心は低くなる…!
  • 自己決定理論の3つの心理的ニーズ(有能感、自律性、関係性)の満足度が高いと、完璧主義的努力が高くなるし、自尊心も高くなる…!

また、この研究結果を踏まえると、

  • 有能感、自律性、関係性を満たすことが良い完璧主義(完璧主義的努力)と自尊心アップにつながる…!

ってことになりますね。
一つ対策が見つかった感じですな。



個人的考察

気になる方は、まずは自分の今の有能感、自律性、関係性をチェックしてみるとよいかと思います。



参考文献