位置情報ゲームのメリット・デメリットの話の続きです
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…ってことで早速研究を見ていきますかー。



現役ポケモンGOプレイヤー・元ポケモンGOプレイヤー・非ポケモンGOプレイヤーで運動効果を調べてみた…!

2017年の香港理工大学横断研究によると、ポケモンGOを行っている大学生を対象に運動量が増えたか調べてみたそうです。
そもそも他の国同様、香港でも運動不足が問題になっているそうで、なんでも2014年4月に収集された統計では、香港人の20.3%が運動不足だったらしい。以前にご紹介した通り、WHOのガイドラインでは少なくとも週150分は中強度の有酸素運動をしてね…!ってことですが、これをちゃんと守れている香港人は、2014年では37.4%に留まったとのこと。
そこでポケモンGOの登場です。香港のポケモンGOリリースは2016年7月25日だったそうで日本よりも3日遅かったそうなんですが(日本は2016年7月22日リリース)、リリースされると、街中で若者がポケGOを良くしているのを見かけるようになったんだとか。そこで研究者は運動不足にポケモンGOが使えるんじゃないか…?と考えたみたいです。
まず具体的な研究のチェックポイントですが、

  1. ポケモンGOをプレイする前と後で屋外にいる時間が変わったか、運動量が変わったか…?
  2. ポケモンGOの現役プレイヤー、元プレイヤーで激しい運動や適度な運動、ウォーキングなどの軽い運動など、身体活動レベルがどのように変わったか…?
  3. ポケモンGOを今も続けている人・やめてしまった人で違いはあるか…?

の3点にしたとのこと。
ポケモンGOの現役プレイヤーと元プレイヤーで運動量を比べてみるってのは面白い視点ですよね。
続いて実験の流れについても確認しておきましょう。

  1. 香港の地元大学の学生全員にオンラインアンケート調査依頼メールを送信する。
  2. 受信拒否の人は除外され、結果、大学生21,935人がメールを受け取る。
  3. 香港でポケモンGOがリリースされてからの28日後である、2016年8月22日に同意を得ている大学生にオンラインアンケートを依頼する。
  4. 2016年9月5日にオンラインアンケートを終了する。

アンケートを集計した結果、784人の大学生がオンラインアンケートに回答してくれていたそうです。そのうちデータとして使えるアンケートは644人だったそうで、最後にこれらを統計分析したんだそうな。
ではまずポケモンGOプレイヤーの情報から見ていきますか。

  • 現役ポケモンGOプレイヤー(調査時点でポケモンGOをプレイしていた人)は37.7%だった。
  • 元ポケモンGOプレイヤー(今はポケモンGOをプレイしていないが以前はしており、少なくとも連続7日間はプレイ経験を持つ人)は27.6%だった。
  • 非ポケモンGOプレイヤー(ポケモンGOをプレイしたことがない人)は34.6%だった。
  • 男性の割合は48.2%だった(つまり男女の比率は大体同じぐらい)
  • 72.5%の人が18~25歳だった。
  • 大学生(短大生や大学院生ではない)の割合は70.1%だった。
  • 働いていない人の割合は49.1%だった。

ポケモンGOを今もやっている人とやっていない人が同じぐらいだったんですね~。それと意外だったのが男女比が同じぐらいってところでしょうか。
次に現役ポケモンGOプレイヤーと元ポケモンGOプレイヤーを比べた結果を見てみます。
なんでも現役ポケモンGOプレイヤーには過去7日間の行動をメインに質問したそうで、元ポケモンGOプレイヤーにはポケモンGOをやっていたころをメインに質問したそうなんですが、

  • 現役ポケモンGOプレイヤーは1週間のうち平均で4.79日プレイしていた…!
  • 元ポケモンGOプレイヤーは1週間のうち平均で3.57日プレイしていた…!
  • ゲームのプレイ時間には有意差はなかった…!
  • 現役ポケモンGOプレイヤーの約60%の人は1日1時間未満しかプレイしていなかった…!
  • 元ポケモンGOプレイヤーの約62%の人は1日1時間未満しかプレイしていなかった…!

って感じとのこと。
続くかどうかのポイントは週4日以上やっていたかって感じですね。そしてプレイ時間はあんま変わらないと。また1日1時間未満しかしない人もほぼ同じぐらいでした。ポケモンGOを続けている人とやめてしまった人の違いは週4日以上かどうかってのは過去の習慣化の研究結果とも合致していて面白いですな。
次はメインの話である運動量の違いについての結果です。ここは違いが割と出ておりまして、現役ポケモンGOプレイヤーは元ポケモンGOプレイヤーに比べて、

  • ポケモンGOをするとき外に出て、ポケモンがたくさんいる場所(巣とか)やポケストップ、ジムまで歩いたり走ったりしていることが大幅に多かったし、タマゴを孵化させるためにも歩いたり走ったりしていることが大幅に多かった…!

とのこと。
長くポケモンGOを続けている人ってのは、車や自転車など使わず、本来の方法である歩いたり走ったりしている人が多かったんですねー。
ではこの辺を更に細かく見てみましょう。

  • 現役ポケモンGOプレイヤーがポケモンGOをプレイする時に外にいる時間が51.1%だった…!
  • 元ポケモンGOプレイヤーがポケモンGOをプレイする時に外にいる時間が29.2%だった。
  • 現役ポケモンGOプレイヤーがポケモンGOをプレイするために外に出たことがないという人は20.6%だった…!
  • 元ポケモンGOプレイヤーがポケモンGOをプレイするために外に出たことがないという人は28.7%だった。
  • 現役ポケモンGOプレイヤーがポケモンGOをするために外に出て1日少なくとも60分過ごしたという人は53.9%だった…!
  • 元ポケモンGOプレイヤーがポケモンGOをするために外に出て1日少なくとも60分過ごしたという人は43.8%だった。
  • 現役ポケモンGOプレイヤーでポケモンを捕まえるために特定の場所(巣)やポケストップ、ジムまで歩いたり走ったりしている人は42.8%だった…!
  • 元ポケモンGOプレイヤーでポケモンを捕まえるために特定の場所(巣)やポケストップ、ジムまで歩いたり走ったりしている人は26.9%だった。
  • 現役ポケモンGOプレイヤーでポケモンを捕まえたり、ポケストップやジムに行くために、1日20分以上歩いたり走ったりしていた人は31.3%だった…!
  • 元ポケモンGOプレイヤーでポケモンを捕まえたり、ポケストップやジムに行くために、1日20分以上歩いたり走ったりしていた人は21.3%だった。
  • 現役ポケモンGOプレイヤーで卵を孵化させるために時々又はほぼ歩いたり走ったりしている人は30.9%だった…!
  • 元ポケモンGOプレイヤーで卵を孵化させるためにほぼ又は全く歩いたり走ったりしていない人は87.1%だった。

ポケモンGOが続いた人は外に出てアクティブに動き回っているみたいですねー。それに対し続かなかった人は当初ゲームをしていた時もあんま動いていなかったみたいですね。
また研究者は現役ポケモンGOプレイヤーと元ポケモンGOプレイヤーがポケモンGOの為にあえて歩いたり走ったりしていた時間も推定してみたそうで、結果は、

  • 現役ポケモンGOプレイヤー:ポケモンGOの為に1週間で平均98.43±151.21分余計に動いていた…!
  • 元ポケモンGOプレイヤー:ポケモンGOの為に1週間で平均68.23±141.82分余計に動いていた…!

って感じで有意差もあったそうな。
また現役ポケモンGOプレイヤーの中で、以前からウォーキングやジョギングをしていた人とそうでない人のポケモンGO中のウォーキングやジョギング時間を比較してみると、

  • 以前からウォーキングやジョギングをしていた人:1週間のうち平均で89.88±145.43分
  • 以前はウォーキングやジョギングをしていなかった人:1週間のうち平均で108.19±158.21分

だったそうです。
先行研究でもありましたがやはり、元々運動していなかった人の方が運動時間が多くなっているみたいですねー。
そして身体活動レベルがアップしたのかについては、現役ポケモンGOプレイヤー166人と元ポケモンGOプレイヤー107人、非ポケモンGOプレイヤー147人の合計420人を対象に、過去7日間の身体活動レベルを評価して調べてみたんだとか。
結果は、

  • 3グループとも身体活動レベルに有意差はなかった。

そうです。
残念ながら運動レベルがアップするところまではいかなかったみたいですねー。
それと補足的な情報の結果としては、

  • 脚の痛みや疲労感は現役ポケモンGOプレイヤーが12.3%、元ポケモンGOプレイヤーが3.9%だった
  • ポケモンGOによる健康上の不快感がないと回答した割合は、現役ポケモンGOプレイヤーが67.5%、元ポケモンGOプレイヤーが76.4%だった
  • 現役ポケモンGOプレイヤーにいつまでこのゲームを続けるか聞いたら、12.0%が1年以上続ける、47%がいつまで続けるか分からないと回答した
  • 非ポケモンGOプレイヤーにポケモンGOをしなかった理由を聞くと、大半は興味がない、時間がなかったと回答した

そうです。まぁ、そうですよねーって結果ばかりですね。
では冒頭にあった研究のチェックポイントと回答をまとめておきましょう。

  • ポケモンGOをプレイする前と後で屋外にいる時間が変わったか…?:変わった。外に出る時間が多くなっていた…!
  • ポケモンGOをプレイする前と後で運動量が変わったか…?:変わった。特に元々運動していなかった人の方が効果は大きい…!
  • ポケモンGOの現役プレイヤー、元プレイヤーで激しい運動や適度な運動、ウォーキングなどの軽い運動など、身体活動レベルがどのように変わったか…?:現役ポケモンGOプレイヤーは元ポケモンGOプレイヤーよりも平均で1週間のうち30分程歩いたり走ったりすることが多くなっていた。但し身体活動レベルに有意差はなかった…!
  • ポケモンGOを今も続けている人・やめてしまった人で違いはあるか…?:週に少なくとも4日ポケモンGOをしていた。また、外に出てポケモンの巣やポケストップ、ジムまで行く、タマゴを孵化させることを積極的に行っていた…!

なお、研究者は2000年のサウスカロライナ大学の研究を参考にしてどれぐらいカロリーを消費していたかも計算しておりました。
この研究によると時速4.8kmのペースで歩くと1時間に1kg当たり3.3kcal消費するってことなんで、体重60kgの人だと仮定すると、

  • 週98.43分歩くので週325kcalも消費している…!

ってことになります。もちろん体重が60kgより多ければもっとカロリー消費量は増えますね。
また上記に書いた通り、普段運動していない人、つまり座りがちな人程より動くようになっており、その場合は、

  • 週108.19分歩くので週357kcalを消費している…!

ってことになりますな。
こう考えるとすごいですね~。



個人的考察

ということでポケモンGOは特に普段運動しない座りっぱなしの人が運動を始めるきっかけとして使えそうな感じ。但し、難しいのはゲームを続けるモチベーションが続くかってところでしてここは研究者も指摘しておられました。
そう考えるとやはりポケモンGOなんかの位置情報ゲームは、運動するきっかけとして使い、その後は習慣化のテクニックを使っていくのが望ましいように感じます。



参考文献