アンブレラレビューを見てみよう!」シリーズその41です。
今回は、女性特有のリスク要因と心血管疾患(CVD)リスクは関係あるのかを調べたアンブレラレビューをご紹介します。



女性特有のリスク要因と心血管疾患(CVD)リスクは関係あるのか…?

2020年のバーミンガム大学の研究によると、女性特有のリスク要因と心血管疾患(CVD)リスクについてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
そもそもWHOによれば、世界の年間総死亡者数のおよそ3分の1にあたる1,790万人が心血管疾患が原因で亡くなっているそうな。んで、この心血管疾患は多くの共通点があるものの、男女間でいくつか違いも見受けられるらしい。そこで今回、女性特有のリスク要因(妊娠の悪影響や生殖能力に関連する問題)と心血管疾患の関連性についてチェックしてみることにしたんだとか。
まず研究者たちは、2019年8月31日までに発表された該当研究をMedline、Embase、コクランで検索してみたそうです。すると最初の検索で11,345件の研究がヒットしたそうな。次にこの中で重複している物を除きつつ、更に基準に従って精査したとのこと。
結果39件の研究まで絞り込んだんですが、その中の7件は品質が低いと評価されたため、最終的には32件の研究が選ばれたみたい。
ではこの32件から分かったことを見てみましょう。

【心血管疾患リスク】
  • 子癇前症、死産、早産は心血管疾患リスクが2倍だった。
  • 妊娠高血圧症候群、常位胎盤早期剥離、妊娠糖尿病、早発卵巣不全は心血管疾患リスクが1.5~1.9倍だった。
  • 思春期早発症、多嚢胞性卵巣症候群、初回の出産、早発閉経は心血管疾患リスクが1.5倍未満だった。
  • 授乳期間が長いほど、心血管疾患リスクが低かった。

【虚血性心疾患リスク】
  • 子癇前症、妊娠糖尿病、早産は虚血性心疾患リスクが2倍以上だった。
  • 現在避妊薬を使っている、流産、早発卵巣不全、早発閉経は虚血性心疾患リスクが1.5~1.9倍だった。
  • 流産、多嚢胞性卵巣症候群、更年期障害は虚血性心疾患リスクが1.5倍未満だった。

【脳卒中リスク】
  • 現在避妊薬を使っている、子癇前症は脳卒中リスクが2倍以上だった。
  • 妊娠糖尿病、早産は脳卒中リスクが1.5~1.9倍だった。
  • 多嚢胞性卵巣症候群は脳卒中リスクが1.5倍未満だった。

【心不全リスク】
  • 子癇前症は心不全リスクが4倍だった。

女性特有のリスク要因は様々な心血管疾患リスクと関係しているみたいですね。



個人的考察

残念ながら女性は男性とはまた違った部分で心血管疾患を気を付けなければいけないようです。



参考文献