最近、HIITSITの親戚(亜種)の運動法として、HIFTHIPTなるものをご紹介しました。
今回はその続きでして、HIETってのをご紹介いたします。



HIETってなに…?

HIET(ハイ・インテンシティ・エンデュランス・トレーニング)は、高強度の持久力トレーニングのことを言いまして、強度は85~100%HRmax(運動強度)で行います。
HIETの運動時間は基本的に強度に比例し、参加者の年齢や体力にも変わりますが、数分から数時間、継続して行います。またその際はVO2maxの約85%(~90%HRmax)で行います。
継続的な持久力トレーニングには一般的な有酸素運動とHIETに分けることができまして、

  1. 一般的な有酸素運動(長距離・低スピード):低強度から中程度で一定のペースを守りつつ長距離又は長時間行う。心拍数は最大で60~80%HRmax(140~160bpm)を維持する。目標は、カロリー消費量の最大化・体脂肪ダウンによる体重減少
  2. HIET(長距離・高スピード):高強度で一定のペースを守りつつ小~中距離又は短~中時間行う。心拍数は最大で85~95%HRmaxを維持する。目標は、VO2max(最大酸素摂取量)を効果的にアップして心肺機能を強化すること

といった感じでそれぞれの違いがございます。
またHIITとの違いは、

  • HIIT:短時間100~120%で運動→短時間休憩を繰り返す
  • HIET:中時間85~95%で運動を継続的に行う

って感じですね。
HIITよりもちょっと強度を下げる分、トレーニング時間(休憩に入るまでの時間)が長くなるのがHIETって感じでしょうか。つまり一般的な有酸素運動→HIET→HIITの順で強度が高く、運動時間が短くなっていくイメージです。



HIETはHIITと同程度の効果がありそう…!

2015年のユヴァスキュラ大学の研究によると、HIETの効果について調べてみたそうです。
この研究は37名の方に参加をお願いしたもので、以下の2グループのうちのどちらかの運動を行ってもらったそうな。

  1. HIETグループ
  2. HIITグループ

実験期間は8週間で、期間中、徐々に両グループとも負荷を上げていったそうです。
合わせて、トレーニング期間の前後に持久力のパフォーマンスや心拍変動、ホルモンなんかも測定したとのことでした。
んで気になる結果がこんな感じ。

  • HIITの場合、トレッドミルの最高速度が3.1±2.8%アップした…!
  • HIETの場合、トレッドミルの最高速度が0.5±1.9%アップした…!
  • つまりHIITもHIETも同じぐらいスピードアップしていた…!
  • HIITの場合、トレッドミルの最高速度アップの個人差は0~10.2%だった。
  • HIETの場合、トレッドミルの最高速度アップの個人差は-2.8~4.1%だった。
  • つまりHIITもHIETも個人差が激しかった…!

個人差が激しいものの、どうやらHIETはHIITと同程度の効果が見込めそうな感じですね。人によってはHIETの方が良い…!って方はいるかも…。



HIETの方が普通の有酸素運動よりもVO2maxがアップした…!

2015年のユヴァスキュラ大学の研究によると、座りがちな参加者を対象にHIETを行ってもらい、夜間の心拍数と心拍変動をチェックしてみたそうです。
というのも以前の研究で、夜の睡眠中に心拍数と心拍変動をチェックすると、前日やここ数日間のトレーニングに対する心臓の機能を評価できるそうなんですよね。
今回、実験に参加したのは健康で肥満体型ではない男女20人でして、普段は運動せず座りがちな生活を送っている方々だったそうな。
んで実験の流れは、

  1. 4週間のトレーニング期間
  2. 回復期間
  3. 4週間のトレーニング期間

の流れで行ったらしい。
最初の4週間のトレーニング期間は参加者全員に週3日、有酸素運動を行ってもらったそうです。因みに1日40分走るように指示され、強度は75%ぐらいだったとのこと。
次の4週間では以下の2グループにランダムに振り分けてトレーニングを行ってもらったそうな。

  1. HIETグループ:7人が割り振られ、週3回でHIETを行った。
  2. コントロールグループ:8人が割り振られ、最初の4週間のトレーニング期間と同じ内容を行った。

5名足りないのは脱落したりデータが使えなかったりしたためです。
ではここでHIETのメニューを詳しく見てみましょう。
HIETグループは月・水・金曜日の週3日間トレーニングをしたそうで、以下の3種類のメニューをこなしたそうです。

  1. 全力の95%ぐらいのパワーで950m~1150mを3回ダッシュした。間の休憩時間は2分間。
  2. 全力の85%ぐらいのパワーで20分間走った。
  3. 全力の95%ぐらいのパワーでノルディックウォーキングを行った。上り坂を5~7回早歩きした。間の休憩時間は3~4分間。

最後にトレッドミルでテストを行い、データを統計処理した結果はこうなりました。

  • 最初の4週間のトレーニング期間で参加者全員のVO2max(心肺機能)がアップした。
  • 次の4週間のトレーニング期間では以下のような違いが出た…!
  • HIETグループはコントロールグループよりもVO2maxがアップしていた(効果量-0.91)…!
  • HIETグループの夜間の心拍数が55.1±7.7bpmから53.1±5.8bpmに減少していた(効果量0.31)…!
  • コントロールグループの夜間の心拍数は53.9±7.4bpmから54.5±5.6bpmと変化がなかった。
  • 夜間の心拍数の結果は心拍変動でも観察された…!

つまり、HIETの方が普通の有酸素運動よりもVO2maxがアップし、その変化は心拍数や心拍変動にも表れた…!ってことですね。
やっぱり有酸素運動は強度のメリハリがポイントになりそうですね~。



個人的考察

ということでHIETでした。
個人的に有酸素運動は、自分が一番楽に感じる方法を模索していくのが大事だと思っておりますので、こちらも試してみてはいかがでしょうか…?