【まとめ】平日の睡眠不足を休日でカバーする!は科学的に可能なのか?
平日の睡眠不足を休日でカバーする…!ってのを皆さん一度はしたことがありましょう。
休日に長い時間寝ることで日ごろの睡眠不足をリカバリーする感じですね。逆に寝だめをして睡眠不足に備える…!って方もいるのではないでしょうか…?
子どもを対象に平日の睡眠不足を休日でカバーしているのか調べてみた…!
まずはこの方法を実際使っているのか調べた研究からご紹介します。
1993年のコペルニクス大学の研究によると、平日の睡眠不足を休日でカバーしているのか子どもを対象に調べてみたそうです。
この研究は3つの学校の生徒さん565名からランダムに選ばれた64名(10歳40名、14歳24名・男子31名、女子33名)を対象にしたもので、選ばれた子どもたちの睡眠と覚醒パターンをチェックしてみたそうな。
具体的なチェックの仕方は、5週間ごとに2週間の睡眠日記を書いてもらったとのことで、期間は1年間だったらしい。因みに起床時間と睡眠時間は、学校がある日と休日、長期休暇などに分けて細かくチェックしたみたい。
結果、
- 休日の睡眠時間は学校がある日に比べて、明らかに長かった…!
- 睡眠時間の明らかな減少は、14歳の春にのみ見られた…!
- 睡眠パターンの毎週の変化は、休日にリセットされていた…!
って感じだったそうです。
つまり、子どもの睡眠時間は学校のスケジュールと密接に関係しており、平日の睡眠不足を休日の睡眠でリカバリーしているっぽいです。子どものうちからこの方法を使っているみたいですね~。
平日の睡眠不足をリカバリーするには土日の2日間を費やす必要がある…?
1997年のペンシルベニア大学の研究によると、平日の睡眠不足を休日でカバーできるのか調べてみたそうです。この研究は健康な若者16人を対象に行ったもので、1日の睡眠時間を平均4.98時間(つまり5時間ですな)に制限してみたそうな。期間は1週間でして、つまり7晩連続で1日5時間睡眠をしてもらいデータを取ったってことですね。因みに実験期間中はラボに来て寝てもらったそうで、睡眠と覚醒は全て監視していたとのこと。
併せて、毎日1日3回(10時、16時、22時)の頻度で主観的な眠気や気分(ポジティブネガティブ)、精神運動覚醒検査(PVT:反応速度や注意力の持続力をチェックする検査。画面にマークが出たらすぐボタンを押して調べる)、記憶力をチェックしたみたい。
んでどんな感じになったかと申しますと、
- 主観的な眠気、気分低下、疲労感や緊張などがアップした…!
- 反応速度や注意力の持続力も大幅に低下した…!
- 特に1日5時間睡眠の初日と2日目、6日目と7日目がグダグダだった…!
- 高い眠気とパフォーマンス低下は睡眠制限をやめた7日目以降も続いた…!
- 回復するには2日間のしっかりした睡眠時間が必要だった…!
とのこと。
ポイントなのはリカバリーに2日間のしっかりした睡眠時間の確保が必要というところかと思います。つまり、この研究によれば平日の睡眠不足をリカバリーするには土日の2日間を費やす必要があるみたいですね。まぁ、サンプル数がわずか16人なんでそこは注意しておきたいところですが…。
16時間睡眠を3日間(合計48時間)続けても足りない人もいる…!
2005年のブリガム・アンド・ウィメンズ病院の研究によると、若者の睡眠時間と睡眠負債の関係について調べてみたそうです。
この研究は、睡眠障害のない健康なボランティア17人(男性7人、女性10人)が参加したそうで、年齢は18〜32歳(平均年齢21.8±3.7歳)の人たちだったそうな。
まず研究者たちは、参加者全員の普段の睡眠時間を2週間にわたってチェックしたそうです。次にラボへの泊まり込み1週間前からと泊まり込み後の最初の夜に決められたスケジュールに沿って寝てもらったらしい。
ラボでの泊まり込みでは、入眠潜時チェックや、連続3日間による16時間睡眠(夜の0時~16時まで寝てもらう)の経過なんかを記録し続けたみたい。
結果、
- 平均睡眠時間は6.1~10.3時間の範囲で、平均睡眠時間は8.5±1.1時間だった。
- 入眠時間は22:54~4:24の範囲で、平均入眠時間は0:18±1:00だった。
- 起床時間は7:12~12:36の範囲で、平均起床時間は8:48±1:24だった。
- 16時間睡眠にした初日、参加者全員の総睡眠時間は普段の睡眠時間よりも長くなった(平均で4.9時間増えた)
- 16時間睡眠にした3日目では、総睡眠時間は普段の睡眠時間と負の相関関係にあった。つまり、普段睡眠時間が短い人(睡眠不足の人・睡眠負債がある人)は、普段睡眠時間が長い人よりも長く眠り続けていた…!
- 普段睡眠時間が短い人のうちの一部では、16時間睡眠を3日間(合計48時間)続けても、睡眠時間が安定しなかった…!
とのこと。
つまり、普段から睡眠時間が短い人は睡眠時間が長い人よりも確実に睡眠負債が溜まっているみたいで、しかも16時間睡眠を3日間続けても取り戻せなかった人もいたみたいです。土日の2日間をほとんど寝て過ごしたとしても、睡眠不足が多ければリカバリーは厳しいそうですねー。
4日間8時間睡眠→6日間6時間睡眠→3日間10時間睡眠で調べてみた…!
2013年のペンシルベニア州立大学の研究によると、1週間の軽い睡眠不足後に10時間睡眠をしてみると回復できるのか調べてみたそうです。
そもそも2010年の米国国立睡眠財団の世論調査によると、アメリカ国民の約25%は仕事の要求により平日の睡眠が十分に取れておらず、また、約40%は平日の睡眠時間が短いため、週末に長く寝て取り戻す(寝だめをする)行為をしていたんだとか。アメリカでこんなんなんで、日本はもっとでしょうな。
んで、平日の溜まった睡眠不足を週末で取り戻せるってのは、一般的によく使われているけど、実際、睡眠不足の悪影響を完全に消せるのか、上回れるのかは謎だったらしい。一応、脳パフォーマンスに関しては3日間ガッツリ寝だめをしてもダメだったって先行研究が出ておりますが、眠気や覚醒度合い、炎症やストレスホルモン(コルチゾール)の分泌に関しては良く分からなかったんですな。そこで今回チェックしてみることにしたみたい。
この研究は、睡眠問題を抱えていない健康な男女30名が参加したもので、サンプル情報は以下な感じだったそうな。
- 男女比:男性16名、女性14名
- 年齢範囲:18~34歳
- 平均年齢:男性24.4±3.6歳、女性25.1±3.3歳
- 平均BMI:男性23.7±2.5kg/m2、女性23.5±2.0kg/m2
続いて実験の流れなんですが、以下のようになっておりました。
- ベースライン期間:最初の4夜連続は、参加者に8時間睡眠(22:30~06:30)をしてもらった。
- 睡眠制限期間:次の6夜連続は、参加者に6時間睡眠(22:30~04:30)をしてもらった。
- 回復期間:最後の3夜連続は、参加者に10時間睡眠(22:30~08:30)をしてもらった。
つまり、4日間8時間睡眠→6日間6時間睡眠→3日間10時間睡眠って感じの全13日間でチェックしたってことですね。
併せて、4日目(ベースライン期間の最終日)、10日目(睡眠制限期間の最終日)、13日目(回復期間の最終日)の3回、24時間、1時間ごとに採血してとのこと。更に客観的・主観的な日中の眠気や脳パフォーマンスも見てみたんだとか。
最後にデータを統計処理した結果、以下のことが分かったそうです。
- 客観的・主観的な日中の眠気は睡眠制限期間で有意に増加、回復期間でベースライン期間の状態に戻った。つまり客観的・主観的な日中の眠気は寝だめで取り戻せる…!
- 脳パフォーマンスは睡眠制限期間で有意に低下、回復期間でも改善しなかった。つまり脳パフォーマンスは寝だめで取り戻せない…!
- ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌は睡眠制限期間でも変わらず、一方で回復期間で有意に低下した。つまりコルチゾールの分泌は寝だめ(長い睡眠時間)が単純に良くなさそう…!
- IL-6(炎症物質)の分泌は睡眠制限期間で有意に増加、回復期間でベースライン期間の状態に戻った。つまり体内炎症は寝だめで取り戻せる…!
ということで、寝だめで取り戻せるものとそうでないものがあったみたいですね。
特に、先行研究の通り、脳パフォーマンスの完全回復には2日間だけじゃ足りなさそう…。
もちろんこれは短期の研究なんで長期の場合は良く分かりません。また、6時間より睡眠時間が短いってことも普通に考えられるんで、その場合はどうなのかも謎。
ということでざっくりまとめると、
- 睡眠不足になったら多く寝た方が良さそう、但し、完全回復には時間がかかりそうなんで、やっぱり毎日ちゃんと寝た方が良さそう…!
ってことになりましょう。
普通の結論なんですが、やっぱ基礎基本が大事だと言うことで。
週末に2晩ガッツリ寝れば、日ごろの睡眠不足はカバーできるのか…?
2016年のコロラド大学ボルダー校の研究によると、週末に2晩ガッツリ寝れば、日ごろの睡眠不足はカバーできるのか調べてみたそうです。
今回の研究では、睡眠不足はインスリン抵抗性と2型糖尿病リスクの増加と関連していることを踏まえて、そのダメージを回復できるのか見てみたとのこと。
この研究は健康でスリムな男性19人を対象に行ったもので、普通に寝る→睡眠制限で寝る→ガッツリ寝るの順序で寝てもらったそうな。もうちょい具体的に言うと以下な流れだったみたい。
- 1夜目:8.5時間寝た(23:00~7:00)※何故か8時間じゃないけどそこは謎。間違い…?
- 2夜目:8.5時間寝た(23:00~7:00)
- 3夜目:8.5時間寝た(23:00~7:00)
- 4夜目:8.5時間寝た(23:00~7:00)
- 5夜目:4.5時間寝た(1:00~5:30)
- 6夜目:4.5時間寝た(1:00~5:30)
- 7夜目:4.5時間寝た(1:00~5:30)
- 8夜目:4.5時間寝た(1:00~5:30)
- 9夜目:12時間寝た(22:00~10:00)
- 10夜目:10時間寝た(22:00~8:00)
つまり、通常睡眠4日間、睡眠制限4日間、回復睡眠4日間ですね。4日寝不足で週末にガッツリ寝て疲れを取り戻すような形なんで、実生活と近いと言えるんじゃないでしょうか。
それと併せて、インスリン抵抗性や2型糖尿病リスクに関係あるデータを取ってみたらしい。最後にデータを統計処理した結果、以下の傾向が見られたそうです。
んでまず参加者の平均睡眠時間なんですが、
- 通常睡眠時:7.8±0.1時間
- 睡眠制限時:4.3±0.02時間
- 回復睡眠時:9.7±0.2時間
だったんだとか。
多く寝る方が苦戦している印象ですね~。
続いて本題の結果なんですが、
- インスリン感受性:通常睡眠と比較して睡眠制限は23%低下していた。但し、回復睡眠で改善した…!
- 糖尿病リスク:通常睡眠と比較して睡眠制限時に悪化した。但し、回復睡眠で正常レベルにまで戻った…!
とのこと。
つまり週末に2日間寝だめをすることでそれまでの睡眠不足をカバーできたみたいなんですな。
但し、これは短期的な場合の睡眠不足であり、慢性的な睡眠不足の場合は違う話となります。また、健康でスリムな(BMIに問題のない)方が参加しておりますんで、その辺も踏まえると、安易に楽観しない方がいいのは間違いなさげ。
ということで、普段はしっかり睡眠を確保した方がいいのは間違いなく、健康な人がたまに夜更かししたら、その後ガッツリ寝れば回復できるよ~ぐらいの話として受け取るとよろしいかと。
個人的考察
ということで、やっぱり、週末に睡眠を取り戻すことは難しそうな感じ。
睡眠負債が溜まらないよう毎日ちゃんと寝た方が良さそうですね~。
