巷には、睡眠に良いぞ…!って方法がありますが、それが本当に効果があるのか意外とあやしかったりします。
何故かと言うと睡眠ってのはかな~りプラセボの影響を受けやすいみたいなんですよ。そのため、本当に効果のある方法を見極めるのがかなり難しかったり致します。
そこで、本当に効果のある方法をピックアップしよう…!となったのが今回の研究です。



本当に効果のある不眠対策5つ

2006年のラヴァル大学の研究によると、不眠症の効果的な対策について系統的レビューをしてみたそうです。
まず研究者たちは1998~2004年の間に発表された不眠対策の研究をPsycINFOとMEDLINEで検索してみたんだとか。結果37件の研究がヒットしたそうでこちらの結果をまとめてみたとのこと。因みに総サンプル数は2,246人だったらしい。
んで、まとめてみた結果、本当に不眠症に効く治療法は以下の5つだったそうです。


1. 刺激制御療法(刺激制限療法)

刺激制御療法(刺激制限療法)は、ベッド・寝室=寝る場所と脳に学習させる治療法のことを言います。睡眠と覚醒のスケジュールを脳に覚え直すことによって、不眠を解消する…!って感じですね。
主なルールは以下の5つとなっております。

  1. 眠くなったら寝る。
  2. 眠れないときはベッドから起きて離れる、別の部屋に行く。
  3. ベットや寝室は寝るときのみ使う。寝ながら読書やテレビ、スマホは厳禁…!
  4. どんなに寝られなかったとしても、毎朝同じ時間に起きる。
  5. 昼寝はしない。



2. 睡眠制限療法

睡眠制限療法は、名前の通りあえて睡眠時間を短くする治療法のことを言います。わざと睡眠時間を短くすることによって、軽い睡眠不足を引き起こし、そこで安定した睡眠リズムを作っていく…!って感じですね。
まずは推奨睡眠時間からマイナス30分減らしてみると良いかと思います。もうちょいしっかりやりたい場合は睡眠日記を1週間つけて実質睡眠時間を計算した後やるのがオススメ。


3. リラクゼーショントレーニング

リラクゼーショントレーニングを行うことによって睡眠を妨げる不安・緊張侵入思考自動思考反芻思考を軽減できます。
具体的には、


なんかがオススメとのこと。


4. 認知療法

認知療法は、睡眠や不眠症に対する誤った信念や態度を変えることを目的とした治療法のことを言います。就寝時の侵入思考を抑え、日中の不眠症の気にし過ぎを防ぐのに使うって感じ。
具体的な方法としては、逆説的意図が有効とのこと。


5. 睡眠教育

睡眠教育はそのまんま睡眠についてしっかり学ぼう…!という感じです。
睡眠を促す又は妨げる習慣、例えば食事や運動、飲酒などや環境要因(ブルーライト、騒音、温度など)などに関する一般知識を深めてもらうんだとか。
実際、こうすると眠れるんだ…!という知識を持っただけで睡眠の不安がなくなり眠れるようになるってのはありますからね。


オマケ:認知行動療法

認知行動療法は行動的アプローチ(上記の刺激制御療法・睡眠制限療法・リラクゼーショントレーニング)と、認知的アプローチ(上記の認知療法・睡眠教育)を合わせた治療法のことを言います。
以前から何度か書いておりますが、対策やテクニックはコンビネーションで使うとより効果アップが期待できますからね~。



慢性的な不眠症に認知行動療法が有効なのか系統的レビュー・メタ分析で調べてみた…!

2015年のバーネット研究所の研究によると、慢性的な不眠症に認知行動療法が有効なのか系統的レビュー・メタ分析で調べてみたそうです。
まず研究者たちは、2015年3月31日までに発表された該当研究をMEDLINEやEMBASE、PsycINFO、CINAHL、コクランライブラリ、PubMedで検索したそうな。その結果、292件の引用論文と91件の論文が見つかったらしい。続いてこの中から質の高い研究をピックアップしていったそうで最終的に基準を満たしたのは20件の研究だったとのこと。
この20件の研究の総サンプル数は1,162人でして、そのうち女性の割合は64%だったみたい。因みに平均年齢は56歳だったそうな。
んで、結果を見る前に、ここで不眠症対策に使われた認知行動療法がどんなものか見ておきましょう。


上記のうち少なくとも3種類以上のテクニックをコンビネーションで使ったそうです。
それでは気になる結果を見てみますかー。
慢性的な不眠症の方に認知行動療法を実践すると、

  • 入眠潜時→19.03分改善…!
  • 入眠後の覚醒→26.00分改善…!
  • 総睡眠時間→7.61分改善…!
  • 睡眠効率→9.91%改善…!
  • 効果の持続力もありそう…!
  • 副作用は特になし…!

とのこと。いや~素晴らしい結果ですな。
この結果に研究者曰く、

  • 慢性的な不眠症の成人にとって認知行動療法は効果的な治療法であり、臨床的にも意味のある効果量を持っていた

としています。
睡眠薬と同等かそれ以上の効果が期待できる感じなんで、大変よろしいですな。
ということで、不眠にお困りの方は認知行動療法がおすすめです…!



個人的考察

以上、本当に効果のある不眠症対策は何なのか…?でした。
当ブログでご紹介したものが多数出ておりますので、睡眠にお困りの方は試してみてもよろしいのではないでしょうか…?
因みに1999年のラヴァル大学の研究によれば、48件の臨床試験をレビューした結果、不眠症には行動療法も良いみたいで、少なくとも6ヶ月間、効果が続いた人が70~80%ぐらいいたんだとか。
やっぱり認知行動療法はおすすめですね。



参考文献

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17162986/