アンブレラレビューを見てみよう!」シリーズその102です。
今回は、インスリン抵抗性をチェックする方法の一つである、トリグリセリドグルコースインデックスを調べたアンブレラレビューのお話です。



トリグリセリドグルコースインデックス(TyG index)と健康リスクの関係についてアンブレラレビューを行ってみた…!

2024年の中国医科大学の研究によると、トリグリセリドグルコースインデックス(TyG index)と健康リスクの関係についてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
トリグリセリドグルコースインデックス(TyG index)ってのは、インスリン抵抗性の計算方法の一種でして、2008年のメキシコ社会保障研究所の研究を参考にすると、

  • 空腹時トリグリセリド×血漿グルコースレベル=トリグリセリドグルコースインデックス(TyG index)

っていう、簡単な計算で出すことが出来るんだとか。
そして1985年の研究2007年のアメリカ国立衛生研究所の研究によると、インスリン抵抗性のより実用的で信頼性の高い予測指標と考えられ、臨床現場で広く利用されているとのこと。また、2010年のメキシコ社会保障研究所の研究によれば、高い精度・費用対効果が高い・検査が簡単とコスパが良いらしい。
今回はそんなトリグリセリドグルコースインデックスと健康リスクの関係についてガッツリ深掘りしてみたんだとか。
まず研究者たちは、2023年7月までに発表された該当するメタ分析・系統的レビューをPubMed、EMBASE、Web of Scienceで検索したそうな。更に2024年4月8日にも追加で検索してみたらしい。すると合計1,362件の研究がヒットしたそうな。
次にこの中で被っている研究、質の低い研究を除いていったとのこと。
最終的に選ばれたメタ分析は29件でして、サンプル数の中央値は11,615人、サンプル範囲は437人から11,644,261人ということでした。また、関連性は95個あったそうです。
んでこの中に、高いエビデンスレベルの関連性はなかったそうなんですが、中程度のエビデンスレベルの関連性が6個あったとのこと。
それではその6個を見てみましょう…!

  1. 経皮的冠動脈インターベンション(PCI:経皮的冠動脈形成術=カテーテルの手術)後の非ST上昇型心筋梗塞がある糖尿病患者における造影剤腎症(CIN)リスクの増加(RR2.25)
  2. 糖尿病患者における脳卒中リスクの増加(RR1.26)
  3. 急性冠症候群(ACS)患者における脳卒中リスクの増加(RR1.56)
  4. PCI後の冠動脈疾患(CAD)における心筋梗塞の予後の増加(RR2.02)
  5. 冠動脈疾患(CAD)における冠動脈狭窄の重症度の増加(RR3.49)
  6. 冠動脈疾患(CAD)における様々な症状の重症度の増加(RR2.33)

上記はトリグリセリドグルコースインデックスが高い程リスクも高かったみたい。
また、他の関連性は低いエビデンスレベル又は非常に低いエビデンスレベルだったとのこと。