当ブログの記事の中で、たまにパレオダイエットってのが出てきます。
例えば、


の記事ですね。他の食事法と比較する研究で多く出てきている印象ですな。
ただ、今までしっかりと一つの記事にしていなかったんですよね。そこで今回は「パレオダイエット」について、ご紹介したいと思います。



パレオダイエットってなに…?

1985年のエモリー大学の研究によると、健康維持にベストな栄養と食事は、250万年前から1万年前に生きていた旧石器時代の祖先が摂取していた物なんじゃないか…?となりました。
その後、同研究者は、上記の研究や1997年のエモリー大学の研究1992年のエモリー大学の研究1998年のエモリー大学の研究により、旧石器時代の食生活を初めて再現したんですよね。
そして三大栄養素の割合は、

  • タンパク質37%
  • 炭水化物41%
  • 脂質22%

となりました。
その後パレオダイエットと名前がつきました。
つまりパレオダイエットとは、旧石器時代の食事スタイルをマネるダイエットのことを言います。旧石器時代におそらく普段から食べられていただろうな~と思われる食品をメインに食べていくって感じですね。但し、実際に食べていたかどうか調べるのは結構難しいので、太古の暮らしを今も続けている狩猟採集民の食生活から推測する事も多かったりします。つまり、パレオダイエット=旧石器時代の食事≒狩猟採集民の食事って感じです。
んで具体的にどのような食事をするのかと言いますと、

【積極的に食べる物】

【食べない物】

のようになっております。
なるべく加工度の低い食品(未加工食品)を積極的に食べつつ、加工食品や超加工食品を最小限しか食べないって感じですな。言い換えれば、カロリーの質の高い食事をするとも言えます。



世界中の狩猟採集民の食生活をチェックし、主要栄養素などをまとめてみた…!

2000年のコロラド州立大学の研究によると、世界中の狩猟採集民の食生活をチェックし、主要栄養素などをまとめてみたそうです。
上記にも書いたように、旧石器時代の食生活(農耕以前の伝統的な食生活)は、狩猟採集民の生活様式から推測すると言う、間接的な方法を取ることが一般的です。そのためこの研究では、多様な狩猟採集民の食事データを集めて、主要栄養素の摂取量を推定してみたんだとか。更に、狩猟した動物の体脂肪率の違いによって狩猟採集民のタンパク質摂取量が変わるのか、タンパク質の摂取量の上限が他の主要栄養素にどのような影響を与えるのかも見てみたらしい。
んで分析した結果、

  • 狩猟採集民はいつでもどこでも、動物性食品を大量に摂取(摂取カロリーの45~65%)していた…!
  • 世界中の狩猟採集民のほとんど(73%)は、生活の50%以上(摂取カロリーの56~65%以上)を動物性食品から摂取していた…!
  • 一方で狩猟採集民のわずか(14%)だけ、生活の50%以上(摂取カロリーの56~65%以上)を植物性食品から摂取していた…!
  • 動物性食品をガンガン食べる・野生の植物性食品は炭水化物が相対的に少ないことが相まって、タンパク質が19~35%、炭水化物が22~40%と、高タンパク質食な食事スタイルになっていた…!

とのこと。



狩猟採集民の食生活の矛盾について先行研究を見直ししてみた…!

2002年のコロラド州立大学レビュー論文によると、狩猟採集民の食生活の矛盾について先行研究を見直ししてみたそうです。
そもそも20世紀の狩猟採集民研究によって、狩猟採集民は心血管疾患(CVD)とは無縁な生活を送っていることが示されているそうな。そのため狩猟採集民の食生活を知ることは、西洋化社会における心血管疾患リスクを下げる食事法を知るのに役立つとのこと。
そこで今回、先行研究13件を見直ししてみたんだとか。
まず動物性食品と植物性食品の割合なんですが、

  • 動物性食品:65%
  • 植物性食品:35%

って感じで、およそ3分の2が動物性食品、3分の1が植物性食品だったらしい。
この傾向は229人の狩猟採集民をチェックした他の研究とも一致しているらしく、そちらでは、動物性食品が68%、植物性食品が32%だったとのこと。また、旧石器時代の研究を見ても、人類において肉メインの食事は長い歴史を持っていると予想されているそうな。
一方で、西洋化社会での食事に於いて、肉の消費量の増加は心血管疾患の死亡リスクの上昇としばしば関連があると出ております。ちょっと矛盾している感じですよね。
つまり、動物性食品を食べることイコール心血管疾患リスクのアップではないということが言えるんですな。
じゃあ、何が原因なのかってことで先行研究を見てみると、狩猟採集民は、


とのこと。
つまり、これらが心血管疾患リスクを下げているポイントってことですね。



狩猟採集民の食事と西洋食について、その起源・進化・健康・違いをガッツリ深掘りしてレビュー論文にしたぞ…!って話

2005年のコロラド州立大学レビュー論文によると、狩猟採集民の食事と西洋食について、その起源・進化・健康・違いをガッツリ深掘りしてみたそうです。
そもそも全ての生物と同様に、現代人は祖先の環境に遺伝的に適応しています。当たり前ですが我々の祖先が生き残り、その結果として遺伝子の構成が決まっていったんですよね。
そして祖先の長~~い時間の生活スタイルは狩猟採集だったんですよ。つまり、祖先は狩猟採集生活を送っていたんで、その環境に適応する遺伝子の構成がされてきたんですな。
因みにその時代は旧石器時代(約250万年前から1万年前)となっております。
そして約1万年前に食生活とライフスタイルが大きく変化します。そう、農耕の始まりです。つまり約1万年前に農業と畜産が始まって新石器時代革命が起こったんですな。この環境変化は急速に進みます。例えば、食事やその他の生活スタイルの変化ですね。これは人類史・人類の進化の時間スケールから考えると、遺伝子が適応するには早すぎるんです。だって250万年かけての進化が、わずか1万年で足りる訳ないじゃないですか(笑)
ということで、この古代の環境に適応した遺伝子が、現代の西洋スタイルの食事や文化、活動パターンとすれ違い(不一致)を起こし、結果、現代に蔓延る、いわゆる文明病が多く出現しました。
文明病ってのは、このような古来には見られない・稀だった慢性疾患や健康問題なんかでして、現代で深刻な脅威となっている物を言います。例えば、

  • 肥満
  • 肥満が原因の病気や死亡
  • 心血管疾患(CVD)
  • 高血圧
  • 2型糖尿病
  • コレステロールの増加
  • 高齢における骨粗鬆症・骨密度の減少
  • 骨粗鬆症や骨密度減少による骨折とそれが原因の死亡率の上昇
  • がん(がんによる死亡の3分の1は肥満を含む栄養素問題だと推定されている)

などですね。
これらを防ぐためにも古来の人類の食生活を学ぶことは非常に有用だと言えます。


人類の食生活の特徴・農耕前後の違い

まずヒト科が出現してから500万~700万年の間に20種以上のヒト科が存在していた可能性があるそうです。そしてこの間に、絶滅したヒト科の全ての種が摂取していた単一の普遍的な食事はなかったと推測されます。だって、食事ってのは、地理的な場所、気候、生態系によってかわりますからね。
しかし、農耕以前のヒト科の食事(=狩猟採集民の食事)には普遍的な特徴があるのも事実です。またその食事を知ることは、現在の西洋スタイルの食事がもたらす慢性疾患の原因を理解する上で有効な可能性があるんですな。実際にそういった研究も増えてきていますし…。

…ってことで、農耕以前の食事と以後の食事の栄養について見てみましょう。
まず農耕が始まる以前、つまり、人類が農業と畜産をする前の食生活は、必然的に加工が最小限に抑えられた野生の植物や動物の食品に限定されておりました。一方で、農耕の発達によって栄養価が変わりました。
最初は微妙な変化だったでしょう。んがしかし、産業革命後の技術の進歩はめっちゃスピーディーでして、これまで人類が経験していない・進化が追い付かない、新しい食品が主食として出てきます。更に重要なのは、特に産業革命以降に登場した、加工食品超加工食品です。
そのため、農耕以前と以後の食生活を比較する際には、上記を踏まえて考えにゃ~いかんわけですな。
それでは、西洋スタイルの食事で見られる・農耕以前の人類が一般的に入手できなかった食品の種類とカロリーの割合ってのを見てみましょう…!

乳製品
  • 食品名:カロリーの割合
  • 成分無調整牛乳:1.6%
  • 低脂肪牛乳:2.1%
  • チーズ:3.2%
  • バター:1.1%
  • その他の乳製品:2.6%
  • 乳製品の合計:10.6%

【穀物】

【精製糖】

【精製植物油】

【その他と合計】
  • 食品名:カロリーの割合
  • アルコール:1.4%
  • 総カロリー:72.1%
  • 塩分を加える(加工食品、食卓塩の使用、調理からの塩分(g/日)):9.6%

農耕前の食事(狩猟採集民の食事)と今の食事(西洋スタイルの食事)では、こんなに違うんですね。特に1日に消費する総カロリーの割合なんて72.1%も違うなんて…。
しかもこれらの食品は、典型的な農耕以前の人類の食生活(=狩猟採集民の食事)では、ほとんど又は全くカロリーとしてなかったもの達とのこと。
因みに上記で挙げた食品たちは、巷にあふれる加工食品や超加工食品たちにたんま~り入っております。
例としては、クッキー、ケーキ、パン、シリアル、ベーグル、マフィン、クラッカー、チップス、スナック菓子、ピザ、ソフトドリンク、キャンディー、アイスクリーム、調味料、サラダドレッシングなどですね。お~恐ろしい…。
次はそれぞれの食品について深掘りしていきます。


乳製品

人類は、他の哺乳類と同様、乳児期に母乳を摂取しております。しかし離乳後、野生の哺乳類は酪農・搾乳するっていうのが難しい為、牛乳や乳製品を摂取することはほぼ不可能であったと言えましょう。
研究によれば、羊は約11000年前までに家畜化、ヤギと牛は約10000年前までに家畜化されたそうで、但し、酪農・搾乳の証拠は、イギリスの陶器から発見された乳製品の脂肪残留物からで6100~5500年前まで遡るんだとか。
これらのデータから、乳製品は進化の時間的スケールで見てみると、割と最近と言えるとのこと。


穀物

そもそも野生の穀物は通常小さく、収穫が難しく、加工や調理をしないとほとんど消化できないっていう弱点がございます。そのため、石の加工道具の登場は、いつ、どこで穀物の農耕を開始し食べられるようになったかを知る良い指標になるんだとか。
んで初めて磨いた石のすり鉢やボウル、カップが登場した、つまり穀物を食べるための道具が登場したのは、40000年前から12000年前の旧石器時代らしい。一方で世界中の狩猟採集民による穀物の定期的な利用は、約13000年前、レバント(トルコ、シリア、レバノン、イスラエル、エジプトらへん)のナトゥーフ文化が出現して以来みたい。なんでもナトゥーフ文化による、エンマーコムギとヒトツブコムギ(古代小麦)の栽培化が初期農業の始まりを告げるものだったらしく、11000~10000年前までに起こったんだとか。
その後(1万年前から現在までに)、世界中のほとんどの狩猟採集民は穀物を通年の主食として食べていませんでした(但し乾燥地帯などに住む人など例外有)。
つまり、乳製品と同様、旧石器時代(1万~1万1千年前)及び新石器時代(1万~5500年前)以前は、穀物の消費はほとんど、全く経験していなかったことになります。
一方で、現在のアメリカでは消費穀物のうち85.3%が高度に加工された精製穀物であるとのこと。産業革命以前は、全て穀物は石の製粉道具で加工され、小麦粉がふるいにかけられない限り、全粒穀物だったんですな。ただ19世紀後半に機械が登場し、自動でふるいにかけられる装置が発明されたことで、舌触りの良い精製穀物が誕生したとのこと。そしてこれにより栄養特性も大きく変化したんだとか。
ということで、現在良く食べられている精製穀物は過去150~200年に登場したものであり、進化の時間的スケールで見てみると昨日のことみたいな感じと言えましょう。


精製糖

2000年のアメリカにおける一人当たりの精製糖の消費量は69.1kgであり、1970年の55.5kgに比べて、明らかに急速に多くなっているそうです。このように過去30年間のアメリカにおける精製糖の消費量の増加は、約200年前に始まった産業革命以来の西洋諸国を中心とした世界的傾向と言えましょう。
例えばイギリスにおける一人当たりの精製砂糖の消費量は1815年は6.8kgだったのに対し、1970年には54.5kgへと増えているとのこと。そして産業革命期には、オランダ、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、アメリカでも同様の報告がなされているんだとか。
そんな精製糖の起源を遡ると、紀元前500年頃の北インドで見つかっているそうです。それ以前に摂取できた物と言えば、蜂蜜でして、人類が摂取できた数少ない濃縮糖の1つとのこと。
なんでも蜂蜜は全ての人類種に好まれた食べ物だったと考えられているそうで、一方で、季節によって入手が難しくなるため、定期的な摂取は難しかったと思われるそうな。例えば、同時代の狩猟採集民に関する研究によれば、蜂蜜が1年間に占める割合は、一部の狩猟採集民グループで短期間の入手性が高いにもかかわらず、比較的少ないことが示されているとのこと。またオーストラリアの先住民アボリジニは、様々な季節を代表する4つの1か月間の期間における蜂蜜の平均消費量が1人当たり年間2kgだったそうな。更にパラグアイのアチェ族の蜂蜜摂取を1580日間に亘ってチェックしたそうなんですが、1日の総カロリー摂取量のうち平均3.0%を占めていたらしい。
そして過去30年間で、精製糖の消費量は質的にも量的にも急激な変化をしております。というのも1970年代後半にコーンシロップが大量に製造できるようになって以来、アメリカでは爆発的に精製糖の消費量が増えたんですな。
コーンシロップはブドウ糖+果糖でして、一人当たりの果糖の総摂取量は、1970年が23.1kgだったのに対し、2000年には28.9kgも増えていたそう。
砂糖同様、果糖も工業化や食品加工技術の導入以前は大量に摂取していなかったんで、進化の時間的スケールで考えると、この消費量の増加はあり得ないレベルと言えましょう。


精製植物油

アメリカでは、1909年から1999年の90年間で植物油の使用が著しく増えているそうです。具体的には、一人当たりの消費量がサラダ油と調理油は130%、ショートニングは136%、マーガリンは410%も増えているんだとか。そしてこの傾向は世界中で見られており、油糧種子を作る上での工業化と機械化によって可能となったとのこと。
そもそもクルミ、アーモンド、オリーブ、ゴマ、亜麻仁の種子から作られる油は、5000~6000年前に初めて生産されたと考えられるそうです。但し、オリーブオイルを除いて、油の初期の使用のほとんどは、照明、潤滑油、薬などの非食用目的であったらしい。それが工業化と機械化によって世界中で植物油の生産性が向上し、従来消費されていなかった油の利用も可能になったそうな。そして1897年に初めて開発された水素化処理によって植物油を固体化・半固体化させることで製造されるマーガリンやショートニングが登場します。水素化処理によって、従来の人間の食品にはほとんど含まれていない新しいトランス脂肪酸異性体が生成されたということです。
その結果、産業革命後に精製植物油​​が大量に世界の食糧供給に加わり、脂肪摂取の量・質の両面が大きく変化したそうです。


アルコール(お酒)

栽培ブドウから造られたワインについて、最古の証拠はイラン北部のザグロス山脈で発見された7400~7100年前の陶器の壺とのこと。またビールについての最古の証拠はイラン南部クルディスタンのゴディン遺跡で発見された紀元前4千年紀後半のものなんだとか。そして蒸留酒が登場するのはずっと後らしく、西暦800年頃から1300年頃にかけて、ヨーロッパ、西アジア、中国の様々な地域で開発されたみたい。
因みにブドウが発酵してワインになる過程は、人類が知るずーっと前から繰り返されてきたのは間違いないとのこと。秋にブドウが熟しきると、果実が大きく膨らんで破裂、果汁の糖分が皮の上の酵母と接触し増殖して二酸化炭素とエタノールを生成という流れですね。但し、果物は季節によって供給変動が起きますし、狩猟採集民は限られた液体貯蔵容量しかなかったと思われるため、ワインなどの発酵果実飲料は、新石器時代以前の人類の食生活にはほとんど、あるいは全く登場しなかったと考えられているそうです。


塩(塩分)

アメリカにおける1日の食塩の摂取量は9.6gとのこと。また西洋諸国の人における1日の食塩の摂取量の75%は加工食品超加工食品)からなんだそうな。そして15%は調理や食べる際の塩の使用などから、10%は基本的な食品に自然に含まれているみたい。つまり、アメリカにおける食塩摂取量の90%は製造された塩からってことになりますね。
そもそも塩を組織に、採掘・製造・輸送していたのは新石器時代にまで遡るそうな。最古の塩の使用は紀元前6000年頃、中国山西省の運城塩湖で行われていたらしい。またヨーロッパでの塩の採掘の最も古い証拠は、スペイン、カルドナの6200~5600年前の岩塩鉱山から発見されているそうな。
そして旧石器時代(260万年前に始まり、1万~1万2000年前に終わった)又は1万年前から現在までに沿岸地域に住んでいた狩猟採集民は、食物を海水に浸したり、乾燥した海水塩を使用したりしていた可能性が高いとのこと。
但し、ニュージーランドの内陸部に住むマオリ族は塩を摂取する習慣を失っており、また内陸部の狩猟採集民は日常的な食事に塩を使うことが全く、あるいはほとんどないとのこと。更に旧石器時代の人々が塩を取りに行ったり、岩塩に興味を持っていたという証拠はないそうな。
以上から、西洋社会における大量の塩分摂取(1日約10gの摂取)は、新石器時代以前の人類にはほとんどないか、全くないことを示唆しているそうです。


脂肪の多い肉

新石器時代以前に人類が食べていた動物性食品は全て野生動物由来のものでした。そして野生の哺乳類の脂肪の絶対量はその種の体重に依存しており、大型哺乳類は小型哺乳類よりも体重当たりの体脂肪率が高かったとのこと。また、野生の哺乳類の体脂肪率は、年齢や性別によって変化し、季節によっても増減していたらしい。なんで、野生の哺乳類の最高or最低体脂肪率は、熱帯や南の緯度の生息だとしても1年のうち数か月しか維持されなかったんだとか。
人間もそうですが哺乳類は、余分なエネルギーがあると脂肪として皮下脂肪や腹部に貯蔵されます。そして野生の哺乳類の主要な脂肪酸(脂肪エネルギーの50%以上)は、飽和脂肪酸でありまして、一方で筋肉や他の臓器の主要な脂肪酸は多価不飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸になるんですな。上記にあるように、野生の哺乳類は安定して脂肪があった訳じゃないんで、農耕以前に食べていた人類は、年間を通して大量の飽和脂肪酸を食事から摂取することは不可能だったと考えられるとのこと。
一方で畜産を行うようになってからは、エサとして植物性食品を与えることで、食用肉の体脂肪(脂肪酸)が増えたそうです。また常に体脂肪率がピークの状態で食べることができたんで、より摂取量が増えた様子。更に新石器時代に食品加工技術が進歩したことで、動物のチーズやバター、塩漬け肉などが登場、一年を通して食べることが可能になったんだとか。
そして19世紀初頭から中期にかけての技術革新によって、穀物の収穫量が爆発的に増加し、牛にトウモロコシをガンガン食べさせるようになり、また、蒸気機関車などの登場によって穀物も食用肉(牛など)も効率的に輸送できるようになりました。
これらによって、それまで(1850年以前)のアメリカでは放牧で牛を育て4~5歳で食用になる(いわゆる放牧牛=グラスフェッドビーフ)、という流れだったのが、1885年頃までには、肥育牛となり、わずか1年ほどで545kgの霜降り肉となって食べられる(いわゆる穀物牛=グレインフェッドビーフ)こととなったそうです。野生動物や放牧で霜降り肉になることは稀でして、このような肉は見たまんま、飽和脂肪酸がた~~っぷり入っているうえに、オメガ3脂肪酸が少なく、オメガ6脂肪酸が高いんで、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の比率がかなり大きくなっているんですな。
更に1950年代になると、10万頭もの牛を扱う近代的な穀物牛経営が登場、より脂肪た~~っぷり(体脂肪率30%)で体重545kgの牛がわずか14か月で食用として市場に出回るようになったんだとか。
そして現在、アメリカで消費される牛肉の99%は穀物牛となったそうです。わずか200年前までは、この方法で生産された牛肉、つまり穀物牛は事実上いなくて放牧牛だけだったのにすごいスピードですよね。
以上から、飽和脂肪酸が多い・オメガ3脂肪酸が少ない・オメガ6脂肪酸が多い穀物牛は、進化の時間的スケールで考えると、超最近登場した食事と言えましょう。

次は、新石器時代と産業革命時代の食品がもたらす健康への影響について見ていきます。



新石器時代と産業革命時代の食品がもたらす健康への悪影響と7つの指標

新石器時代と産業革命時代に主食として導入された新しい食品たち(乳製品、穀物、精製穀物、精製糖、精製植物油​​、脂肪の多い肉、塩、これらの食品の組み合わせ)は、これまでの食生活を一変させ、最終的には健康と幸福にまで影響を及ぼすようになりました。
そして狩猟採集民の食生活にある、最小限の加工しかされていない野生の植物性食品・動物性食品がこれらと徐々に置き換わるにつれて、悪影響を及ぼすようになったとのこと。
具体的には、

  1. グリセミック負荷(GL値)
  2. 脂肪酸組成
  3. 主要栄養素の割合
  4. 微量栄養素の密度
  5. 酸塩基平衡(体内での酸(酸性)と塩基(アルカリ性)のバランス)
  6. ナトリウム・カリウム比
  7. 食物繊維含有量

の7つの指標から悪影響が読み取れるんだとか。
ということでここからは、この7つをもうちょい深掘りしていきます。


1. グリセミック負荷(GL値)

精製穀物砂糖製品は、未加工の果物野菜よりも、はるかに高いグリセミック負荷(GL値)を維持することが示されております。血糖値の急激な上昇は、腸管から分泌されるホルモンの増加+膵臓からのインスリン分泌を刺激し、血中のインスリン濃度の急激な上昇を引き起こすんですな。一方で、タンパク質と脂肪を炭水化物と一緒に食べた場合、総血糖値とインスリン反応を低下させる可能性があります。ただ、高いグリセミック指数(GI値)の食事を何度も繰り返すと、徐々に体が麻痺してしまい(慣れてしまい)、血糖値やインスリン濃度が高止まりしたままになってしまいます。実際、過去20年間で、高GL値をもたらす炭水化物の長期摂取により、代謝と健康に悪影響を与える研究結果もたくさん出ているとのこと。
そして慢性的な高血糖や高インスリン濃度状態は、インスリン抵抗性に関連した疾患を引き起こし、これをしばしば「文明病」と呼ぶんですな。この文明病は、肥満、冠状動脈性心疾患(CHD)、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)などのことを指しまして、その中でもメタボは特に西洋社会で広く蔓延している他の慢性疾患に影響を与える可能性があるとのこと。その他にも、近視やニキビ、痛風、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、上皮細胞がん(乳がん、大腸がん、前立腺がん)、男性の脱毛症、スキンタグ、黒色表皮腫などがあるんだとか。これらはインスリン抵抗性による疾患=文明病は狩猟採集民や伝統的な食生活を送っている人たちではまれであるか全く見られないそうです。
また、新石器時代・産業革命時代以降の食品は、メタボの根底にあるインスリン抵抗性に関係がありそうなのも見逃せない点と言えます。
例えば、牛乳やヨーグルト、アイスクリームなんかは、比較的GL値が低いんですよ。にも関わらず、インスリン分泌が非常に強く、白パン(ガッツリな精製穀物)にも匹敵するんですな。他にも果糖(フルクトース)はGI値が23と低く、GL値も低いんですが、動物実験では高濃度の果糖(カロリーの35~65%)の食事でインスリン抵抗性を誘発させたりしています。また低濃度の果糖(カロリーの20%)の食事で高インスリン血症の男性のインスリン感受性が悪化したりもするそうな。そしてアメリカの典型的な食事における総カロリーの39%以上は、インスリン抵抗性に関わるこれらの食品であり、慢性的で大幅な上昇を促進させているとのこと。
そんなGL値の高い糖類と穀物は現在の主要な食事となっていますが、200年前までこれらの食品はほとんど・全く食べられていなかったそうです。


2. 脂肪酸組成

脂肪酸は、

  1. 飽和脂肪酸(SFA)
  2. 一価不飽和脂肪酸(MUFA)
  3. 多価不飽和脂肪酸(PUFA)

の3つの主要なカテゴリーに分けることが出来る。
更に多価不飽和脂肪酸は、


の2つに分けることが出来る。
現在、慢性疾患を防ぐには、脂肪の摂取量よりも脂肪の種類が重要であることが見えてきております。そして健康へのメリットが高い脂肪は、一価不飽和脂肪酸と一部の多価不飽和脂肪酸となっており、飽和脂肪酸とトランス脂肪酸のほとんどは過剰摂取すると健康リスクが上がると出ているんですな。更にオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の比率も慢性疾患リスクの予防には非常に重要とのこと。
んがしかし、西洋スタイルの食事は、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸がたくさん含まれており、また、オメガ3脂肪酸はオメガ6脂肪酸に比べて摂取量が少なかったりします。そして飽和脂肪酸やトランス脂肪酸で血中コレステロールとLDLコレステロールが上昇し、心血管疾患リスクが高まります。一方でオメガ3脂肪酸は多くのメカニズムを通じて心血管疾患リスクを下げます。実際心血管疾患患者にオメガ3脂肪酸を摂取してもらうと、3.5年後の全死亡率が20%低下、突然死が45%低下したって報告もあるそうな。また、オメガ3脂肪酸は、多くの炎症性疾患や自己免疫疾患の予防や改善にも効果があるとも出ております。
更に多価不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸、一価不飽和脂肪酸と総脂肪の比率を同じくして低脂肪食(カロリーの22%)と高脂肪食(カロリーの39%)を50日間比べてみたところ、総コレステロールやLDLコレステロールに有意差がなかったという結果が出ているそうです。以上からも、脂肪の量よりも脂肪の質(カロリーの質)が重要だと言えましょう。
アメリカにおける飽和脂肪酸の主な供給源(食品)は、脂肪分の多い肉、焼き菓子、チーズ、牛乳、マーガリン、バターの6つとのこと。これら6つの食品のうち5つは、畜産や産業革命以前の人類の食生活には含まれていなかったものらしい。そして繰り返しになりますが野生動物は基本脂肪量が少なく、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸の摂取量の方が上回っていた為、例え年間を通して飽和脂肪酸をたくさん摂取していたとしても、過剰摂取になることはなかったとのこと。
また、20世紀初頭の植物油の加工技術の発展により、植物性脂肪の総摂取量が爆発的に増加、これにより、オメガ6脂肪酸の摂取量が増加し、オメガ3脂肪酸の摂取量が低下しました。
更に過去100年間で穀物飼料で飼育された牛や豚などの家畜の肉が標準となり、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の比率が高くなる傾向が発生しました。現在のアメリカでは、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の比率が10:1にまで広がっているそうです。一方で野生動物の食品が主流な狩猟採集民の食生活は、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の比率が2:1~3:1と推定されているとのこと。
そして1897年の水素化技術の発明により、植物油を固形化し、ショートニングやマーガリンといった水素化植物油を含む食品が販売されるようになりました。これにより、トランス脂肪酸が人間の食事に加わり、結果、血中コレステロール濃度を上昇させ、心血管疾患リスクを増加させることになったとのこと。因みに現在アメリカの食事におけるトランス脂肪酸は、脂肪酸摂取量全体の7.4%を占めると推定されるそうです。


3. 主要栄養素の割合

現在のアメリカにおける三大栄養素の割合は下記とのこと。

  • 炭水化物:51.8%
  • 脂質:32.8%
  • タンパク質:15.4%

んで、心血管疾患やその他の慢性疾患リスクを減らすための現在のアドバイスは、

  • 炭水化物の摂取量を55~60%に増やす…!
  • 脂肪の摂取量を30%に制限…!
  • タンパク質の摂取量を15%に維持…!

って感じ。
つまり狩猟採集民の食事の特徴である、炭水化物(22~40%)を減らし、タンパク質(19~35%)を増やす食事スタイルと大きく異なるんですな。また、旧石器時代の食事の三大栄養素を直接調べることはできないものの、ネアンデルタール人と旧石器時代のヨーロッパ人の骨を調べた研究によれば、タンパク質の摂取量は現在よりもかなり高かった可能性があるみたい。
そんな高タンパク質食は血中の脂質を改善し、心血管疾患リスクを下げる可能性があります。例えば、

  • 炭水化物とタンパク質の摂取量を同じ(23%)にした研究では、総コレステロールやLDLコレステロール、VLDLコレステロール、中性脂肪が大幅に減少、逆にHDLコレステロールが増加した…!
  • この効果は2型糖尿病患者でも見られた…!
  • 高タンパク質食で2型糖尿病患者の代謝コントロールが改善した…!
  • カロリー制限+高タンパク質食で肥満女性のインスリン感受性を改善、筋肉の減少を抑えた…!
  • 一方でカロリー制限+高炭水化物食で肥満女性のインスリン感受性が悪化、筋肉が減少した…!
  • 80,082人の女性を対象にした研究では、タンパク質の摂取量と心血管疾患リスクは逆相関していた…!
  • タンパク質の摂取量は血中ホモシステイン濃度と逆相関していた…!
  • 肉を食べる人は肉を食べない人よりも血中ホモシステイン濃度が低かった…!
  • 血圧が高い人ほどタンパク質の摂取量が少なかった…!
  • 高血圧患者に4週間、高タンパク質食(25%)を食べてもらったら血圧が有意に下がった…!
  • 脳卒中による死亡率はタンパク質の摂取量と逆相関していた…!

のような感じです。
他にもタンパク質は脂肪や炭水化物に比べて3倍以上のカロリー消費量(食事誘発性熱産生:DIT)を持っておりまして、満腹感も脂肪や炭水化物よりも高いんですな。そのため、タンパク質の摂取量を増やすことは、過体重や肥満の人にとって効果的なダイエット法の可能性があるとのこと。実際、カロリー制限+高タンパク質食は、カロリー制限+高炭水化物食よりも、過体重の人の空腹感の低下、満足感の増加、減量効果・体重維持効果が高かったそうです。


4. 微量栄養素の密度

精製糖には、基本的にビタミンやミネラルは含まれておりません。そのため、精製糖や精製糖を含む食品を摂取することは、より栄養価の高い食品と置き換えられたことになり、結果、ビタミンやミネラルといった微量栄養素の総密度が低下するとのこと。因みに精製植物油​​にも同じようなことは起きますが、こちらは一応ビタミンEとビタミンKが含まれております。
そして精製糖と植物油は、典型的なアメリカの食事におけるカロリー摂取量の36.2%以上を占めているんだとか。そのため、これらの食品をたくさん食べることによって、ビタミンとミネラル不足になってしまう可能性があるとのこと。実際、アメリカ人の少なくとも半数は、ビタミンB6、ビタミンA 、マグネシウム、カルシウム、亜鉛の推奨摂取量を満たしておらず、また、人口の33%は葉酸も持たしていないらしい。特に葉酸とビタミンB6の両方が多いと血中のホモシステインの蓄積を防ぐことができますが、一方で摂取が少ないと血中ホモシステイン濃度が上昇してしまい、結果、心血管疾患、脳卒中、血栓症の発症リスクが上がってしまうんだとか。
因みにビタミンやミネラルといった微量栄養素の密度をランキングにしてみると、全粒穀物牛乳は2番目に低いそうで、果物野菜赤身肉、魚介類と置き換えてしまうと食事中の微量栄養素の密度が全体的に低下してしまうそうです。
狩猟採集民が食べていた野生の植物性食品は、微量栄養素の濃度が高く、野生の動物性食品も同様となっております。それが新石器時代に乳製品と穀物が主食となったことで微量栄養素の平均含有量が低下してしまったと考えられるんですな。更に産業革命時代に穀物の製粉技術が飛躍的に発達、結果、栄養価の高いふすまや胚芽が取り除かれ、微量栄養素の平均含有量が低下した精製穀物(精製小麦を使ったパン)が誕生する訳です。
このように栄養価の高い食品(果物、野菜、赤身肉、魚介類など)がどんどん栄養価の低い食品(精製糖、穀物、植物油、乳製品など)に置き換えられ、食品のビタミンやミネラルの摂取量が低下し、結果、ビタミンやミネラル不足だけに留まらず、多くの感染症や慢性疾患リスクの増加といった文明病の脅威にされされることになったそうです。


5. 酸塩基平衡(体内での酸(酸性)と塩基(アルカリ性)のバランス)

そもそもほぼ全ての食品は、消化や吸収、代謝の後に、酸か塩基(アルカリ性)のいずれかになります。
んで、

  • 魚、赤身肉、鶏肉、卵、貝類、チーズ、牛乳、穀類は酸性の生成量が多い
  • 生の果物、野菜、根菜類、ナッツ類はアルカリ性の生成量が多い

とのこと。
因みに豆類は中立に近いんだとか。そして一般的な西洋スタイルの食事は、酸性の生成量が1日50mEqと推定されるらしい。その結果、一般的なアメリカの食事を摂取する健康な成人は、慢性的な低レベルの代謝性アシドーシスに陥り、腎機能の低下と加齢によって悪化するみたい。
一方で農耕以前の食事は、穀物やカロリー密度の高い、栄養価の低い食品が存在しなかったので、アルカリ性の生成量が多かったそうです。つまりアルカリ性の生成量の多い食事は人類の進化のほとんどの期間を通じていつもの食事だったと言えます。それらが新石器時代や産業革命時代の食品と変わってしまったため、様々な文明病をもたらしていると言えそうなんだとか。
因みにアルカリ性の生成量の多い食事のメリットは、

  • 骨粗しょう症の予防と治療
  • 加齢に伴う筋肉の減少の予防と治療
  • 尿路結石の予防と治療
  • 高血圧の予防と治療
  • 運動誘発喘息の予防と治療
  • 加齢や疾患に伴う慢性腎不全の進行の低下

などがあるそうです。


6. ナトリウム・カリウム比

一般的なアメリカの食事におけるナトリウムの含有量は1日平均3,271mg、カリウムの含有量は1日平均2,620mgなんだとか。つまりナトリウム(塩分)の方が大幅に高いってことですね。
このように食事中のナトリウムとカリウム比が1.0を超える主な要因は以下の3つの食事要因とのこと。

  1. 加工された塩の摂取が多い:西洋スタイルの食事に含まれるナトリウムの90%は加工された塩、一方で天然の塩の摂取量は非常に低い。
  2. カリウムを含まない食事の摂取量が多い:植物油と精製糖はカリウムをほぼ含まない。にもかかわらず、1日のカロリー摂取量の36%を占めている。つまり植物油と精製糖を食べる代わりにカリウム濃度の高い他の食品が食べられなくなっている(置き換わっている)
  3. 野菜や果物の摂取量が少ない:野菜や果物はカリウムが多く含まれている。例えば野菜に含まれるカリウム濃度は、牛乳の4倍、全粒穀物の12倍である。また果物に含まれるカリウム濃度は、牛乳の2倍、全粒穀物の5倍である。

これらが合わさった結果、カリウムの摂取量は400%減少、と同時に、ナトリウムの摂取量は400%増加したんだとか。この現象は人類の食生活では前例がなく、現在では多くの文明病の誘発や発症に不可欠な役割を果たしているとのこと。
因みにカリウムが少なくナトリウムが多い食生活は、高血圧、脳卒中、腎結石、骨粗鬆症、消化管がん、喘息、運動誘発喘息、不眠症、飛行機酔い(乗り物酔い)、高山病、メニエール病(耳鳴り)などの直接・間接の原因の可能性があるそうです。


7. 食物繊維含有量

アメリカの一般的な食事に含まれる食物繊維量は1日15.1gである。これは推奨量である1日25~30gよりもかなり少ない。そして精製糖や植物油、乳製品、アルコールには食物繊維が含まれないが、にもかかわらず、アメリカの一般的な食事に含まれるカロリーの約半分(平均48.2%)を占めているとのこと。また、食物繊維の少ない精製穀物はアメリカで消費される穀物の85%を占めているらしく、精製穀物は全粒穀物に比べて食物繊維が400%も少ないんだとか。そのため食物繊維の総摂取量が更に少なくなってしまっているそうです。
一方で新鮮な果物には通常、全粒穀物の2倍の食物繊維が含まれているとのこと。またデンプン質のない野菜だと全粒穀物のほぼ8倍もの食物繊維が含まれているんだとか。更に狩猟採集民が食べていたことが知られている果物や野菜にも、かなり多くの食物繊維が含まれているみたい。そして穀物や乳製品、精製油、砂糖、加工食品を摂取しないと、1日42.5gもの食物繊維が摂れるんだとか。
繰り返しになりますが、新石器時代と産業革命時代がもたらした新しい主食が食物繊維の豊富な植物性食品に取って代わってしまったことが原因で、このような事態になっているとのこと。このきっかけは、人類が伝統的に摂取してきた食生活、つまりほぼ常に食物繊維を多く含んだ食生活を変える上で重要な役割を果たしたそうです。
因みに水溶性食物繊維(主に果物や野菜に含まれる食物繊維)は、飽和脂肪と食物繊維の少ない食事よりも総コレステロールとLDLコレステロールの濃度を適度に下げつつ、ゆっくり消化しますんで食欲も抑え、結果、カロリー摂取量やそのコントロールに役立っていた可能性があるそうな。
逆に食物繊維の少ない食事は、便秘や虫垂炎、痔、静脈血栓塞栓症、静脈瘤、憩室疾患、食道裂孔ヘルニア、胃食道逆流症の原因や悪化と関係がありそうとのことです。


まとめ

西洋スタイルの食事は、食生活における様々な慢性疾患の発症や死亡の最大の原因となっています。これらの疾患は成人人口の50~65%を悩ませていますが、一方で、狩猟採集民や西洋化が進んでいない地域の人々ではほとんど、あるいは全く存在しておりません。
また一般的に食生活における慢性疾患の原因は単一の食生活に絞って考えることが多くあります。例えば飽和脂肪酸の多い肉は心血管疾患リスクを上げる、塩分は高血圧を引き起こすなどですね。
しかし、過去30年間で得られたこれらの研究を見てみると、いわゆる文明病のほぼ全ては環境要因や遺伝要因に加えて、様々な食生活要因がその根底にあると言えます。
例えば、冠状動脈性心疾患は単に食事中の飽和脂肪酸の過剰摂取から生じるのではなく、新石器時代・産業革命時代に登場した新しい食品(乳製品、穀物、精製穀物、精製糖、精製植物油​​、脂肪の多い肉、塩、これらの食品の組み合わせ)の過剰摂取による相互作用から生じる可能性があります。
特に、新石器時代・産業革命時代に導入された主食と加工食品は、それまでの食生活における以下の7つの重要な栄養特性を根本的に変えてしまいました。

  1. グリセミック負荷(GL値)
  2. 脂肪酸組成
  3. 主要栄養素の割合
  4. 微量栄養素の密度
  5. 酸塩基平衡(体内での酸(酸性)と塩基(アルカリ性)のバランス)
  6. ナトリウム・カリウム比
  7. 食物繊維含有量

これらの食品や栄養特性の変化が現代の慢性疾患の原因の根底にあり、悪影響を及ぼしているようです。

約1万年前の農業と畜産(農耕)が始まって以来、その環境(例えば、食生活やその他の生活様式)は劇的に変化しました。それは進化の時間的スケールで見てみると昨日のことみたいな感じと言えます。
そのため進化が追い付かず、結果、現代の西洋スタイルの食事や栄養、文化、活動パターンとのすれ違い(不一致・ミスマッチ)が起きており、これが、いわゆる文明病の多くの出現の原因だと言えます。
そしてパレオダイエットとはこのすれ違い(不一致・ミスマッチ)を防ぐ食事法です。つまり、農耕が始まる前、旧石器時代(約250万年前から1万年前)に食べられていた可能性のある食品を積極的に食べていきます。
具体的には、赤身肉や魚、果物や野菜、ナッツや種子類など、太古の昔、狩猟や採集で入手できた食品をメインに食べるってことですね。一方でパレオダイエットでは乳製品や豆類、穀物など、約1万年前の農耕が始まったとき以降に登場した食品をなるべく食べないようにしていきます。



パレオダイエットが2型糖尿病患者の心血管リスク要因に与える影響についてRCTのクロスオーバーデザインを行ってみた…!

2009年のルンド大学パイロット研究によると、パレオダイエットが2型糖尿病患者の心血管リスク要因に与える影響についてRCTのクロスオーバーデザインを行ってみたそうです。
そもそも2型糖尿病患者を対象にパレオダイエットと糖尿病食を比較した研究はこれまでなかったとのこと。そこで今回チェックしてみることにしたんだとか。
この研究は、インスリン治療を受けていない2型糖尿病患者13人(女性3人、男性10人)を対象にしたもので、以下の2つの食事法を試してもらったそうな。

  1. パレオダイエット
  2. 糖尿病食

それぞれの食事概要については以下な感じだったとのこと。

【パレオダイエット】

【糖尿病食】
  • 食事ガイドラインに沿って設計された糖尿病食。
  • 野菜、根菜類、食物繊維、全粒粉パン・全粒穀物、果物、ベリー類を食べる。
  • 不飽和脂肪酸を多く食べて、総脂肪摂取量を減らす。
  • 塩分を1日6g未満にする。

上記をそれぞれ3ヶ月間試してもらったとのこと。
因みに参加者の平均糖尿病歴は9年間だったらしく、平均HbA1c値は6.6%だったんだとか。
最後にデータを統計処理した結果、パレオダイエットは糖尿病食に比べて、

  • HbA1cが-0.4%低下…!
  • 中性脂肪が-0.4mmol/L低下…!
  • 拡張期血圧が-4mmHg低下…!
  • 体重が-3kg減…!
  • BMIが-1kg/m2減…!
  • ウエストの長さが-4cm減…!
  • HDLコレステロールが+0.08mmol/L増加…!

だったとのこと。
パレオダイエット恐るべし…。
まぁ、パイロット研究なんで、これからって感じですが、なかなか希望に満ちた話ではないでしょうか…?



旧石器時代の食事から4つのモデルを作成し、三大栄養素の比率と脂肪酸摂取量を推定してみた…!

2010年のフローニンゲン大学の研究によると、旧石器時代の食事から4つのモデルを作成し、三大栄養素の比率と脂肪酸摂取量を推定してみたそうです。
今まで見てきたように、人類(ゲノム)は悠久の中で、ゆっくりと適応進化してきました。しかし、約1万年前の農耕開始、約200年前の産業革命から、人類の環境・ライフスタイルは一変しました。その結果、食生活や身体活動、ストレス、睡眠時間、環境汚染などのズレが生じ、文明病と言われる物が登場しちゃったんですよね。
なんで、当時の食事を知り、実践することで、このズレを修正できるんじゃないか…?となっている訳ですな。
そんな中でこの研究では、4つの旧石器時代の食生活をモデル化したとのこと。そして、食事中における、三大栄養素(タンパク質、炭水化物、脂肪)と脂肪酸を推定してみたんだとか。なんとも興味深い研究ですねー。
ではまずその4つのモデルってのを見てみましょう。

  1. モデル1:アフリカのサバンナで実際に狩猟採集できる植物性食品・動物性食品の食事モデル。因みに水産物は除外されている。摂取する肉を選んで食べた(骨格筋、骨髄、脳のみ食べて、内臓と脂肪は食べない)
  2. モデル2:アフリカのサバンナで実際に狩猟採集できる植物性食品・動物性食品と、水産物の食事モデル。摂取する肉を選ばず食べた。
  3. モデル3:アフリカのサバンナで実際に狩猟採集できる植物性食品・動物性食品と、水産物の食事モデル。摂取する肉を選んで食べた。
  4. モデル4:アフリカのサバンナで実際に狩猟採集できる植物性食品と、水産物の食事モデル。

それでは結果を見てみましょう。
まずは三大栄養素から。

  • 三大栄養素の割合は、タンパク質25~29%、炭水化物39~40%、脂質30~39%だった…!
  • つまり、タンパク質と脂質の摂取量が中~高く、炭水化物の摂取量が中程度の食事スタイルだった…!
  • アメリカのタンパク質摂取量が15%なんでかなり高い…!
  • 先進国の炭水化物摂取量は、男性49%、女性52%。推奨量が40~65%の範囲のため、低い…!
  • 現在の西洋の脂肪摂取量は、約33%なんで、ほぼ同じ。推奨量が20~35%の範囲のため、ちょい高い…!

今よりも高タンパク、低炭水化物にしつつ、脂質を維持すれば近づけると…。
続いて、脂肪酸についての結果です。

  • 現在の西洋の脂肪酸摂取量や推奨量と比較すると、モデルにおける飽和脂肪酸(中央値範囲11.4~12.0%、総範囲6.8~19%)の摂取量は高く、また一価不飽和脂肪酸(中央値範囲5.6~18.5%、総範囲3.1~39%)と多価不飽和脂肪酸(中央値範囲8.6~15.2%、総範囲8.1~21%)の摂取量は中~高かった…!
  • 多価不飽和脂肪酸においては、α-リノレン酸(中央値範囲3.7~4.7%、総範囲2.1~5.8 %)の摂取量が高く、リノール酸(中央値範囲2.3~3.6%、総範囲1.7~6.2%)の摂取量が低かった…!
  • 長鎖多価不飽和脂肪酸(LC-PUFA)(中央値範囲1日4.75~25.8g、総範囲1日3.38~51.3g)の摂取量が高く、オメガ3脂肪酸(中央値範囲1日2.26~17.0g、総範囲1日1.47~33.9g)の摂取量も高く、オメガ6脂肪酸(中央値範囲1日2.54~8.84g、総範囲1日1.91~17.4g)の摂取量も高かった…!
  • α-リノレン酸とリノール酸の比率は、中央値範囲1日1.12~1.64g、総範囲1日0.61~1.79gであり、現在のα-リノレン酸とリノール酸の比率(0.09)よりも著しく高かった…!
  • オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の比率は、中央値範囲1日0.84–1.92g、総範囲1日0.22–3.07gであり、現在のオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の比率(0.85)よりも著しく高かった…!

思った以上に脂肪酸をガンガン摂っていますね~。
しかもα-リノレン酸(オメガ3脂肪酸の一種)をいっぱい摂っている感じ。一方でリノール酸(オメガ6脂肪酸の一種)は少ないみたいですね。
高タンパク質とオメガ3脂肪酸を増やし、オメガ6脂肪酸を減らすってのがポイントになりそうですねー。



現代の狩猟採集民の食事から、炭水化物摂取量を調べてみた…!

2011年のハノーファー大学の研究によると、現代の狩猟採集民の食事から、炭水化物摂取量を調べてみたそうです。
上記でも紹介した2000年のコロラド州立大学の研究では、三大栄養素のうち炭水化物の割合は22~40%と推定されておりました。
但し、現代の狩猟採集民の生活パターンってのは、緯度とか環境に依存して大きく異なっていることが分かっているらしい。そのため研究者たちは、炭水化物の割合も緯度とか環境に依存して大きなばらつきがあるんじゃないか…?と考えたそうな。
そこで今回、この仮説が正しいのか世界中の狩猟採集民のデータを用いてチェックしてみることにしたんだとか。
この研究は、現代に残る狩猟採集民を対象にしたもので、チェックした集団は229にも及んだそうです。またそれぞれの狩猟採集民の集団は様々な緯度や環境に住んでいたらしい。
んでまずデータから読み取れたことが、

  • それぞれの狩猟採集民における炭水化物の割合に大きなばらつきがあった…!
  • 炭水化物の割合幅は3%~50%だった…!
  • 中央値・最頻値における炭水化物の割合幅は16%~22%だった…!

とのこと。
やっぱ詳しく見ていくと結構違いがあったみたいですね~。
更にその大きなばらつきってのを見てみると、

  • 北緯又は南緯11~40度の地域における炭水化物の割合:30%~35%…!
  • 北緯又は南緯41~60度以上の地域における炭水化物の割合:20%~9%以下…!
  • 砂漠や熱帯草原地域における炭水化物の割合:29%~34%…!
  • 北部(ツンドラ・北部の針葉樹林)地域における炭水化物の割合:15%以下…!

って感じ。
どうやら赤道に近く、暑い地域程、炭水化物の摂取量が多く、赤道から遠く、寒い地域程、炭水化物の摂取量が少なくなる傾向があるみたいですねー。
またこれらを再現するとなると、北海道(41~45度ぐらい)と沖縄(24~28度)で変わりそうですな。
但し研究者曰く、

  • 地域環境とは無関係に、ほとんどの狩猟採集民社会の食事における炭水化物の割合範囲は、現在推奨されている炭水化物量よりも著しく低かった

そうなんで、その辺も踏まえて考えていくと良さそうです。



パレオダイエットはメタボに効くのかRCTの系統的レビューとメタ分析を行ってみた…!

2015年のコクランの研究によると、パレオダイエットはメタボに効くのかRCTの系統的レビューとメタ分析を行ってみたそうです。
なんでも「Paleo」ってワードは2014年におけるGoogleで最も検索されたダイエット関連の単語だったらしい。一方で、2015年のU.S. News & World Reportにおけるダイエットランキングでは、エビデンスが少ないことから最下位だったんだとか。
じゃあ、質の高い研究をして調べてみようとなったみたいです。具体的には、メタボリックシンドロームの要素(ウエストの長さ、血圧、空腹時の血糖値、中性脂肪、HDLコレステロールなど)を1つ以上持つ人々に対する食事介入を行ったRCTをまとめてみることにしたみたい。
まず研究者たちは、2015年1月までに発表された該当するRCTをPubMed、コクラン、Embase、LILACS、Web of Science、Scopusで検索してみたそうな。すると429件の研究がヒットしたとのこと。次にこの中で重複している研究や質の低い研究を除いていったらしい。
最終的に選ばれたRCTは4件でして、総サンプル数は159名だったそうな。かな~り小規模な系統的レビューとメタ分析になっちゃいましたが、まぁ、仕方ないですね。またパレオダイエットの内容は概ね同じ感じだったそうで、未加工の肉、魚、卵、野菜、果物、ナッツなんかを様々な割合で食べる物だったらしい。
それでは結果を見てましょう。
パレオダイエットは対照食と比べて、


とのこと。素晴らしいですね~。
但し注意点もありまして、これらは短期的な改善だったらしい。というのも介入期間が2週間~6か月の間だったらしく、長期の研究は全然なかったみたい。ここは今後の研究に期待って感じですね。
それと、中程度のエビデンスレベルで示された事として、

  • パレオダイエットは対照食と比べて、体重減少効果が大きい…!

ってことが見られたらしい。
つまり、減量効果が高いかもしれないってことですね。また、この研究によれば、パレオダイエットの遵守率が高かったようで、続けやすいのも魅力なのかもしれません。



パレオダイエットの健康効果をRCTの系統的レビューとメタ分析で調べてみたけど…。

2019年のテヘラン医科大学の研究によると、パレオダイエットが心血管疾患(CVD)リスク要因に与える影響についてRCTの系統的レビューとメタ分析を行ってみたそうです。
研究者たちは2018年8月までの該当研究を検索し、精査、質の高い8件のRCTに絞り込んだんだとか。
その結果、パレオダイエットで、

  • 体重が-1.68kg減った…!
  • ウエストの長さが-2.72cm短くなった…!
  • BMIが-1.54減った…!
  • 体脂肪率が-1.31%減った…!
  • 収縮期血圧が-4.75mmHg下がった…!
  • 拡張期血圧が-3.23mmHg下がった…!
  • 総コレステロールが-0.23mmol/L減った…!

とのこと。
やっぱパレオダイエットは減量や健康に効果的…!と言えましょう。
…っとここで話が終われば良かったんですが、その後、あらま…!な出来事が起こったんですよね。
2019年の社説によると、このメタ分析について、読者から間違ってない…?と言われたとのこと。なんでも、効果量や期間、信頼区間に矛盾が見られるそうで、いずれも再現できなかったそうな。うぁー。この読者ってのはインディアナ大学らの博士たちでして、詳しくは省略しますが上記の結果についてあやしい…!ってツッコミを色々書いておりました。
その返答がテヘラン医科大学の博士たちからも出されておりまして、色々書いてはいるんですが、ちょっと苦しい感じでした。
最終的に2020年に訂正が出されたって感じです。
ということで、ちょっと残念な感じの研究となっております。
但し、パレオダイエットが意味なし…!となった訳ではなく、おそらく効果はあるんだけど、細かい部分が分からない感じと捉えるのがよろしいかと。



パレオダイエットはダイエット(減量)に有効なのか系統的レビューとメタ分析を行ってみた…!

2019年のセアラ州立大学の研究によると、パレオダイエットはダイエット(減量)に有効なのか系統的レビューとメタ分析を行ってみたそうです。
そもそも慢性疾患ってのは、がんや糖尿病、慢性的な呼吸器疾患、心血管疾患(CVD)なんかを言います。また、それに付随する症状(関節炎、がんサバイバー、慢性疼痛、認知症、うつ病、2型糖尿病、PTSD、統合失調症など)も含めるとより広範囲なんですな。そしてこれらのリスクが最も高まるのが過体重や肥満です。
そんな過体重や肥満の食事対策として最も有名なのが地中海式ダイエットでしょう。こいつの凄さは以前に紹介した通りですしね。またDASHダイエットも良さそうな感じ。
そんな中、近年の流行ダイエットとして密かに注目を集めているのがパレオダイエットとのこと。そこで今回ここに焦点を当ててみることにしたんだとか。
まず研究者たちは、2019年3月までに発表された該当する研究を、Latin American and Caribbean Literature in Health Sciences (LILACS)、Public Medline (PubMed)、Scientific Electronic Library Online (Scielo)、Science Direct、Medical Literature Analysis and Retrieval System Online (Medline)、Web of Science、SciVerse Scopus (Scopus)で検索してみたそうな。すると合計1,224件の研究がヒットしたとのこと。次に検索にヒットした研究を基準に従い精査していったみたい。
最終的に選ばれた研究は24件でして、これらを基に系統的レビューを行ってみたそうです。
また、このうちの11件でメタ分析も行ってみたんだとか。因みに介入期間は2週間から24か月間の範囲だったらしい。
では結果を見てみましょう。パレオダイエットを実践した人は、他の食事法を実践した人に比べて、

  • 体重が平均-3.52kg減…!
  • BMIが平均-1.09kg/m2減…!
  • ウエストの長さが平均-2.46cm減…!

だったとのこと。
おぉー、2週間から24か月間の範囲とはいえ、確実に健康的にスリムになってますな…!
ということで、パレオダイエットのダイエット効果(減量効果)が系統的レビュー・メタ分析で出たのは大きいかと。



代謝障害を持つ成人患者を対象にパレオダイエットの効果をRCTの系統的レビューとメタ分析で調べてみた…!

2021年のイラン医科大学の研究によると、代謝障害を持つ成人患者を対象にパレオダイエットの効果をRCTの系統的レビューとメタ分析で調べてみたそうです。
まず研究者たちは、2020年6月までに発表された該当研究をPubMed/Medline、Scopus、コクラン、Google Scholar、Web of Science、Embaseで検索してみたそうな。次に検索にヒットした研究を適格基準と除外基準に照らし合わせて精査していったらしい。
最終的に選ばれたRCTは10件でして、これらのデータを基に系統的レビューとメタ分析を行ってみたんだとか。
結果、


だったそうです。
インスリン・コレステロール・血圧・体内炎症が軒並み改善しておりますな。



パレオダイエットが健康・身体能力に与える影響について系統的レビューとメタ分析を行ってみた…!

2021年のクラクフの体育大学の研究によると、パレオダイエットが健康・身体能力に与える影響について系統的レビューとメタ分析を行ってみたそうです。
まず研究者たちは、2019年7月までに発表された該当研究をEBSCO Discovery Service(MEDLINE、Sport Discuss、Science Direct、Scopusなど)で検索してみたそうな。すると364件の研究がヒットしたとのこと。
次にこれらの研究を適格基準と除外基準に照らし合わせて精査していったらしい。最終的に基準を満たした研究は21件でして、特徴は以下な感じだったんだとか。

  • 総サンプル数:700人
  • 平均年齢:パレオダイエットグループは30.0±10.0歳~66.0±6.0歳(対照群も同じ感じだったらしい)
  • 性別:女性のみ、男性のみ、男女の両方の研究があった
  • 介入期間:2週間~24ヶ月

またこの研究では、短期の場合(6ヶ月まで)と長期の場合(6ヶ月以上)に分けてその効果を見てみたとのこと。
それでは結果を見てみますかー。

【パレオダイエットの短期(6ヶ月まで)のダイエット効果】
  • 体重:平均-5.8kg…!
  • BMI:平均-2.1kg/m2…!
  • ウエストの長さ:平均-5.0cm…!
  • 脂肪量:平均-4.5kg…!
  • 体脂肪:平均-2.4%…!

【パレオダイエットの長期(6ヶ月以上)のダイエット効果】
  • 体重:平均-8.7kg…!
  • BMI:平均-2.8kg/m2…!
  • ウエストの長さ:平均-12.1cm…!
  • 脂肪量:平均-5.5kg…!
  • 体脂肪:平均-2.7%…!

【パレオダイエットの短期(6ヶ月まで)の脂質プロファイルへの効果】
  • 総コレステロール:平均-0.6mg/dL…!
  • 中性脂肪:平均-0.35mg/dL…!
  • 善玉コレステロール:平均ほぼゼロ。統計的に有意差なし。
  • 悪玉コレステロール:平均-0.37mg/dL…!

【パレオダイエットの長期(6ヶ月以上)の脂質プロファイルへの効果】
  • 総コレステロール:平均-0.23mg/dL…!
  • 中性脂肪:平均-0.23mg/dL…!
  • 善玉コレステロール:平均0.18mg/dL…!
  • 悪玉コレステロール:平均-0.31mg/dL…!

【パレオダイエットの短期(6ヶ月まで)の血圧への効果】

【パレオダイエットの長期(6ヶ月以上)の血圧への効果】

【パレオダイエットの短期(6ヶ月まで)の炭水化物代謝(糖質代謝)効果】
  • 空腹時血糖値:平均-0.51mmol/L…!
  • 空腹時血中インスリン濃度:平均-1.9mmol/L…!
  • HOMA-IR(インスリン抵抗性評価):平均-0.4…!
  • HbA1c:平均-0.4%…!

【パレオダイエットの長期(6ヶ月以上)の炭水化物代謝(糖質代謝)効果】
  • 空腹時血糖値:統計的に有意差なし。
  • 空腹時血中インスリン濃度:統計的に有意差なし。
  • HOMA-IR(インスリン抵抗性評価):統計的に有意差なし。

【パレオダイエットの身体能力への効果】
  • パレオダイエットのみ:VO2max(最大酸素摂取量)が平均2.1mL/kg/分アップ…!
  • パレオダイエットのみvsパレオダイエット+運動:VO2max(最大酸素摂取量)が平均1.9mL/kg/分アップ…!但し、パレオダイエットのみの影響はわずかに低かった。
  • パレオダイエット+運動:VO2max(最大酸素摂取量)が平均3.5mL/kg/分アップ…!更にパレオダイエット+運動のみ最大運動負荷(Wmax)が統計的に有意にアップ…!

ちょっとまとめてみると、パレオダイエットの健康面の効果は、

  • ダイエット効果・脂質プロファイル・血圧は短期・長期共にありそう…!
  • 炭水化物代謝(糖質代謝)は短期のみありそう…!

って感じ。
またパレオダイエットの身体能力面の効果は、

  • 運動なしパレオダイエットでも心肺機能はアップしそう…!
  • 運動+パレオダイエットでは心肺機能がかなりアップしそう…!

ってところでしょうか。
注意点としては、健康的な食事でもダイエット効果が見られていたり、パレオダイエットの効果を調べた期間が短すぎるのでは…?ってところがあったりします。また、身体能力もアップしそうなものの、まだまだ研究数が少なく長期的な影響は不明とのこと。
なんで、現時点ではこんな感じってことで、後は今後の研究に期待ってところでしょうね。



パレオダイエットと慢性疾患リスクについて前向きコホート研究・RCTの系統的レビューとメタ分析を行ってみた…!

2025年のアフワーズ・ジュンディーシャープール医科大学の研究によると、パレオダイエットと慢性疾患リスクについて前向きコホート研究・RCTの系統的レビューとメタ分析を行ってみたそうです。
まず研究者たちはすでに発表されているパレオダイエットと慢性疾患リスクの前向きコホート研究又はRCTをデータベースで検索してみたそうな。次に検索にヒットした研究を適格基準と除外基準に照らし合わせて精査していったらしい。
最終的にピックアップされた研究は31件でして、うちRCTが19件、前向きコホート研究が12件ってことでした。
これらのデータをまとめてメタ分析にかけたところ、

  • 空腹時インスリン:WMD-1.01…!
  • コレステロール:WMD-0.15…!
  • LDLコレステロール:WMD-0.24…!
  • 中性脂肪:WMD-0.16…!
  • 体重:WMD-1.74…!
  • BMI:WMD-1.12…!

だったらしい。
心血管代謝にプラスの影響が出てますね~。またダイエット効果も見られた様子。
この結果に研究者曰く、

  • パレオダイエットは、心臓代謝の健康に有意な効果をもたらし、慢性疾患リスクを低下させる可能性がある

としています。
やっぱパレオダイエットは健康に良さそうですな。



個人的考察

以上、パレオダイエットの効果でした…!



参考文献