【まとめ】うつ病は再発しやすい!は本当なのか?再発率はどれぐらいなのか?
うつ病(大うつ病・大うつ病性障害・MDD)ってなに…?
以前に「うつ病の予防と治療に役立つ食事は何なのかアンブレラレビューを行って調べてみた!」って記事の中で、うつ病について軽く書いていましたが、今回は、うつ病の基本を知る上で参考になるWHOのうつ病ページ(2025年8月29日アクセス)を見てみたいと思います。
そもそもうつ病は人口の約4%が経験する心の病でして、成人だと5.7%(男性4.6%、女性6.9%)、70歳以上の高齢者だと5.9%が罹患するんだとか。つまり歳を取るごとに発症率が高まるみたい。そんなうつ病は世界で約3億3200万人が発症しているそうで、男性よりも女性の方が約1.5倍も多く見られるらしい。その一つの要因は妊娠・出産のうつ病でして、なんでも世界で妊婦・出産直後の女性の10%以上がうつ病を経験しているんだとか。
これらを聞くと日本だけでなく世界中で問題になっているし、かな~り身近と言えますね。
また2021年における、うつ病の推定自殺者数は727,000人にも上るらしく、更に自殺は15~29歳の死亡原因の第3位とのこと。
そんなうつ病の症状(うつ病エピソード)には様々なパターンがございます。
- うつ病は、単発性、再発性、双極性障害の発症パターンがある。
- 単発性のうつ病とは、初めて起こった唯一のうつ病エピソード。
- 再発性のうつ病とは、少なくとも2回のうつ病エピソードの経験があること。
- 双極性障害とは、うつ症状のエピソードと躁症状のエピソードが交互に現れる障害のこと。
通常、うつ病エピソードの間、人は抑うつ気分(悲しみ、イライラ、空虚感)を経験します。そしてうつ病エピソードは通常の気分の変化とは異なりまして、ほぼ毎日、一日中、少なくとも2週間続くという特徴があるとのこと。この辺は「「認知行動療法の共通基盤マニュアル」のポイントを抑えよう!その3「抑うつ・うつ病・大うつ病の基礎理解とアプローチ」」の記事の通りですね。
またその他にも以下のような症状が現れることもあるみたい。
- 過度の罪悪感を感じる。
- 自尊心が過度に低くなる。
- 将来への絶望感が強くなる。
- 死ぬことや自殺することについての考える(希死念慮など)
- 体重が変化する。
- 非常に疲労感を感じる。
- 活力がないとと感じる。
更に精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(DSM-5)によると、うつ病は気分の顕著な変化や睡眠障害、食欲減退、疲労感の増加、思考力や集中力の低下といったも特徴とあるそうです。そして認知障害に関しては、うつ病患者のうちの約3分の2に影響を及ぼすと推定されているとのこと。因みにDSM-5では、認知障害は思考、集中、意思決定の困難さと定義されております。
そして最もやっかいなのは、うつ病は非常に有病率が高いたけでなく、その再発性の高さです。しかもうつ病エピソードを繰り返せば繰り返すほど、再発率が高まっていくんですな(
この辺については「認知行動療法(CBT)の効果を調べた研究を片っ端から見てみる!」の記事でチラッと書きましたよね)
最後に、うつ病の効果的な治療法についてですが、大きくは、心理療法と薬物療法の2種類がございます。心理療法はうつ病における最初の治療の選択肢とのこと。また中~重度のうつ病になると、心理療法+抗うつ薬も行うそうな。対して、軽度のうつ病においては抗うつ薬は必要ないとのこと。
うつ病からの回復後15年間における再発率について調べてみた…!
1999年のブラウン大学の前向きコホート研究によると、うつ病からの回復後15年間における再発率について調べてみたそうです。
この研究は、1978年から1981年の間にアメリカの5つの医療センター(ボストン、シカゴ、アイオワシティ、ニューヨーク、セントルイス)のいずれかで気分障害の精神科治療を求めた955人の患者さんが対象となっております。
この中で、
- うつ病から回復した380名
- うつ病からの回復後、少なくとも5年間健康状態をキープできた105名
を最大15年間追跡調査してみたらしい。
最後にデータを統計処理した結果、以下のことが分かったんだとか。
…ってことで、まずは、うつ病から回復した380名の結果から見てみましょう。
- 380名中279名は再発まで追跡調査された(73%)
- 380名中66名は健康を維持しつつ、追跡不能になるまで調査された(17%)
- 380名中35名は健康を維持しつつ、15年後まで追跡調査された(9%)
- 再発までの平均期間は132週間で、15年時点での再発の累積割合は85%だった…!
- 279名のうち、再発中に異なる診断を受けた人もいた。9名(3%)が統合失調感情障害、17名(6%)が躁病、36名(13%)が軽い躁病を発症した。但し、217名(78%)の再発はうつ病だった…!
単純に見た場合の再発率は70%ぐらいで、累計割合は85%にも上るんですね。しかも再発中に他の診断、特に躁状態が出ているので、双極性障害や統合失調感情障害と出ているみたいですな。
お次は、うつ病からの回復後、少なくとも5年間健康状態をキープできた105名の結果を見てみます。
- 105名中52名は再発まで追跡調査された(49%)
- 105名中18名は健康を維持しつつ、追跡不能になるまで調査された(17%)
- 105名中35名は健康を維持しつつ、15年後まで追跡調査された(3%)
- 15年時点での再発の累積割合は58%だった…!
- 再発までの期間の中央値は394週間(≒7.5年)だった…!
- 52名のうち、再発中に異なる診断を受けた人のほとんど(47名、90%)が、うつ病のみ発症していた…!
- また5名(10%)は軽い躁病を発症したが、統合失調感情障害や躁病を発症した方はいなかった…!
5年以上寛解状態が続いた方でも、再発率は49%、累積割合だと58%になるんですね。但し、再発までの期間は相当長い7.5年ってのは安定していますな。また、再発時もうつ病の診断が90%ってことで、躁い状態がでることも稀っぽいみたい。
最後に380名での再発の予測因子ってのが載っていたんですが、
- 女性
- 過去のうつ病エピソード(鬱な状態)が多い
- 未婚
- 入院前のうつ病エピソード期間が長い
ってのが、気分障害の再発率を高めていたらしい。
但し、上記の特徴やその他の特徴は、うつ病からの回復後、少なくとも5年間健康状態をキープできた105名においては関係なかったそうです。
因みに1995年のペンシルベニア医科大学(現ドレクセル大学)の研究では、うつ病は性差があるよねー、有病率の男女比は男1:女2で、女性は男性よりもうつ病の発症が早く、再発も多いよねーと言っておりましたが、安定期間の長さによって再発に関する性別の影響は違うのかもしれませんね。
うつ病や双極性障害の再発はクセになる…!
2004年のコペンハーゲン大学の研究によると、うつ病と双極性障害における再発リスクとうつ病エピソード数の関係について調べてみたそうです。
そもそもうつ病と双極性障害における再発の最も重要な予測因子の一つとして、過去のうつ病エピソード数が挙げられます。ただ、うつ病エピソード数がその後の再発リスクに及ぼす影響まではあんまり研究が進んでいなかったらしい。そこで今回チェックしてみることにしたんだとか。
この研究は、1959年~1963年の間にチューリッヒ大学精神病院に入院し、1997年まで追跡調査された406名の患者さんを対象にしたもので、406名のうち、186名がうつ病患者さん、220名が双極性障害の患者さんだったとのこと。
んで、追跡調査のデータを見てみたところ、
- うつ病エピソードを1回経験した後の再発リスクは50%…!
- うつ病エピソードを2回経験した後の再発リスクは70%…!
- うつ病エピソードを3回経験した後の再発リスクは90%…!
- つまり、うつ病エピソード数が増加すると、再発リスクも増加していた…!
- 新たなうつ病エピソードが発生するたびに、病状が悪化するリスクも高まっていた…!
- 上記は、うつ病・双極性障害、男性・女性に関係なく起こっていた…!
そうです。
つまり、鬱な状態の回数が増えるほど、うつ病や双極性障害を再発したり、症状が悪化する事も多くなると。クセになって負のループが続くみたいな感じですね。
抗うつ薬を26週間続けると再発リスクを13%減らせる…!抗うつ薬を26週間やめると約33~50%の割合で再発する…!
2017年のイェール大学の研究によると、抗うつ薬の治療を中止したときの再発リスクについて調べてみたそうです。この研究は、2012年以前に実施された、大うつ病患者さんを対象とした抗うつ薬(デュロキセチン又はフルオキセチン)の治療とプラセボを比較した4件の二重盲検の研究データを使ったものでサンプル数は1,462人となっております。
んで、治療中の26週目までの再発についてデータをモデル化し、サンプル数全体と抗うつ薬の中止グループに分けて統計処理してみたんだとか。
結果
- 抗うつ薬もプラセボも再発の流れは似ていた
- 抗うつ薬は再発リスクを有意に低下させていた(OR0.47)
- 女性であることは再発リスクを有意に増加させていた(OR1.56)
- 治療の反応期間が1週間短いと再発リスクを有意に増加させていた(OR1.10)
- 実験開始時の臨床全般印象スコアが高いと再発リスクを有意に増加させていた(OR1.28)
- 全体として、抗うつ薬とプラセボを比較した場合の再発リスクに対する保護効果は約13%(33%vs46%)だった
とのこと。
つまり、抗うつ薬を26週間続けると再発リスクを13%減らせる、抗うつ薬を26週間やめると約33~50%の割合で再発するって感じですね。
個人的考察
これらを見ると、うつ病はずーっと上手く付き合っていかなきゃいけないものなんだなーと改めて感じました。
忘れたころに再発するってパターンも多そうなんで、寛解状態・メンタルの安定時にしっかり予防・対策をしておきたいですねー。
参考文献
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7844105/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15049770/
