【まとめ】認知行動療法(CBT)の効果を調べた研究を片っ端から見てみる!
2024年の12月末頃から「精神障がいの方の平均寿命は本当に短いのか?」を、2025年の5月初め頃から「精神障がいや発達障がいを発症した方がいた場合、その家族のリスクはどうなのか?」をそれぞれお送りしてきました。
詳しくはそれぞれの記事をご覧いただきたいのですが、結果はいずれも残念な場合が多いのが実情です。
んで実はここで終わりではなくて、これからが本当に書きたかった記事になります。つまり長かったけど(本当に長かった。半年もかかった(笑))、これまでのは前置きだったんですよね。
じゃあ、何を書きたかったのかと言いますと、「上記の予防・対策・改善」です。データで出ちまったもんは仕方ないけど、予防・対策・改善の方法が何もない訳ではないんですな。
ということで、今回からは新章突入です…!
これまで食事・運動・睡眠については、数多く記事を書いておりますが、認知行動療法の効果の研究をチェックした記事はあんまり書いてこなかったんで(具体的な方法については触れてきた)、その辺を中心にご紹介しようと思います。
マインドフルネスストレス低減法(MBSR)とマインドフルネス認知療法(MBCT)の効果についてRCTの系統的レビューを行ってみた…!
まず研究者たちは、2010年10月までに発表された該当研究をMedline、PsycInfo、Embaseで検索してみたそうな。因みにこの時、標準的なプログラムを用いつつ、サンプル数が33名以上のランダム化比較試験(RCT)に的を絞って探してみたらしい。すると全部で72件の研究が見つかったとのこと。次に検索にヒットした研究を適格基準と除外基準に従って精査していったんだとか。
最終的に選ばれた研究は21件でして、これらを基にデータをまとめてみたそうです。
結果、
- マインドフルネスストレス低減法(MBSR):11件で対象グループよりもメンタルが改善していた…!3件で同等の効果があった…!
- マインドフルネス認知療法(MBCT):2件で対象グループよりもうつ病の再発リスクが低下していた…!2件で同等の効果があった…!
- 全体的な効果サイズは中程度だった…!
とのこと。
どうやらMBSRはメンタル改善に、MBCTはうつ病の再発予防に効きそうですな。
但し注意点としては、長期研究が少なかったことです。この辺は当時はまだなかなか難しかったんでしょうねー。
マインドフルネス認知療法(MBCT)の効果についてRCTの系統的レビュー・メタ分析を行ってみた…!
2011年のオーフス大学の研究によると、マインドフルネス認知療法(MBCT)の効果についてRCTの系統的レビュー・メタ分析を行ってみたそうです。
マインドフルネス認知療法(MBCT)ってのは、俗にいう第三世代の認知行動療法の一つでして、マインドフルネス瞑想と認知行動療法を合わせた治療法となっております。その始まりは寛解期にある大うつ病患者さんの再発予防プログラムといった位置づけであり、8~15人の参加者が8セッションのプログラムを行っていく感じです。詳しくは「認知行動療法を一から学ぼう!その6「マインドフルネス認知療法」」をご覧ください。
んで、過去にうつ病を経験した人は、気分が落ち込みやすいという特徴があるんですよね。以前に挙げた例でいえば、ゴムまりの弾力性が低くなっていると言えます。そのため、ちょっとしたネガティブでもすぐに反芻思考(ネガティブループ)が発生し、うつな気分になっちゃったりするんですな。特にマインドフルネス認知療法の場合、この思考のクセが強い、3回以上のうつ病エピソードを持つ患者さんに有効だと言われております。
このマンドフルネス認知療法が大うつ病(MDD)の再発や再発頻度を減らせるのか調べたのが今回の研究になります。
まず研究者たちは、該当する先行研究がないかデータベースを用いて検索、結果、666件の研究を見つけることが出来たそうな。次に重複研究を除外しつつ、質の低い研究も除いていったらしい。
最終的に選ばれたRCTは6件でして、総サンプル数は593人ってことでした。
それでは結果を見てみましょう。
- マインドフルネス認知療法(MBCT)は通常の治療法やプラセボと比較して、再発や再発頻度が34%(RR0.66)有意に減少していた…!
なかなかの効果ですね~。
次にサブグループ解析を見てみると、
- 過去に3回以上のうつ病エピソードを経験している参加者は、再発や再発頻度が43%(RR0.57)も減少していた…!
- 過去に2回のみのうつ病エピソードを経験している参加者は、再発や再発頻度が減少していなかった…。
- 2件のRCTによれば、マインドフルネス認知療法は抗うつ薬と同等以上の効果があった…!
って感じ。
うつ病エピソードが何度も起こっている人に効果が高いみたいですね。また、限られた研究によれば薬と同等以上の効果があるかもしれないと…。
ということで何度も繰り返している(3回以上)うつ病の方にマインドフルネス認知療法はオススメって感じです。
統合失調症の強迫性症状(OCS)に認知行動療法が有効なのか…?
2013年のドイツ中央精神衛生研究所の研究によると、統合失調症の強迫性症状(OCS)に認知行動療法が有効なのかレビューしてみたそうです。
統合失調症の患者さんによくみられる症状の一つとして、強迫性症状(OCS)ってのがあります。こちらの治療は主に薬を使って行うのが一般的なんですな。一方で強迫性障害(OCD)の治療には認知行動療法を使うことが多かったりします。
じゃあ、統合失調症の強迫性症状にも認知行動療法が使えるんじゃないか…?ってことで、今回、先行研究を見直ししてみたらしい。
んで、結果は皆さんの想像通りでして、
- 認知行動療法+暴露反応妨害法(ERP)又は暴露反応妨害法(ERP)のみで治療を受けた患者さん30人のうち24人の強迫性症状が有意に軽減していた…!
とのこと。
やっぱ認知行動療法は強迫性障害だけでなく、強迫性症状にも有効っぽいですね~。因みに暴露反応妨害法は、あえて不安になってもらい、それの脅迫行為・回避行動を邪魔する治療法のこと。
但し、ご覧の通り、この時点では統合失調症における強迫性症状や強迫性障害の治療に認知行動療法が有効なのかを調べた研究は限られていたんですな。また、単独で効果を試した場合もよく分かっていなかったみたい。
マインドフルネス認知療法(MBCT)とマインドフルネスストレス低減法(MBSR)の効果について系統的レビューを行ってみた…!
心理的問題や身体的問題を持つ人にマインドフルネス認知療法やマインドフルネスストレス低減法は良いぞ…!って話はあるものの、その効果はあんまりよく分かっていなかったりします。そこで今回系統的レビューを行ってみることにしたんだとか。
まず研究者たちは、2014年6月と2015年7月に、すでに発表されていた該当研究をPsycINFO、Medline (Ovid)、コクラン、EMBASE、CINAHL、AMED、ClinicalTrials.govで検索してみたそうな。
すると7つのデータベースから合計3,290件の研究が見つかったとのこと。次にこの中で被っている研究を除外しつつ、基準に従い精査、質の高い物をピックアップしていったらしい。
最終的に選ばれた研究は18件でして、これらを基にマインドフルネス介入の効果を見てみたところ、
- マインドフルネスにおける自己申告の変化が大きいほど、症状が改善していた…!
- 但し、質の高い研究はごくわずかだった…。
とのこと。
とりあえずマインドフルネスは効果がありそうなんですが、この時点ではまだまだはっきりと言えるための質の高い研究がなかったみたいですね。
マインドフルネス認知療法(MBCT)と認知療法(CT)の再発予防効果を直接比較した初めての研究のお話
「うつ病は再発しやすい!は本当なのか?再発率はどれぐらいなのか?」の記事にもつながる話ですな。
そもそも先行研究により、マインドフルネス認知療法も認知療法も大うつ病の再発に伴う前症状の自己管理力を高められるぞ…!と出ております。じゃあ、どっちが良いんや…?ってことで、今回、寛解期のうつ病患者さんの再発率をチェックしてみたんだとか。
この研究は、大うつ病性障害(MDD)の寛解期にある患者さん166人を対象にしたもので、以下の2グループにランダムに振り分けて介入してみたそうな。
- マインドフルネス認知療法グループ:82人の方が8週間、マインドフルネス認知療法を行った。
- 認知療法グループ:84人の方が8週間、認知療法を行った。
その後、3ヶ月ごとに再発率をチェックしつつ、24ヶ月間にわたって追跡調査を行ってみたとのこと。
結果、
- 24ヶ月間の追跡期間中、大うつ病再発率と再発までの期間において、両グループ共に差はなかった…!
- 両グループ共に脱中心化(≒メタ認知的気づき)が有意に増加していた…!
とのこと。
どっちも良い感じだったみたいですね~。
ということで、マインドフルネス認知療法(MBCT)と認知療法(CT)の再発予防効果を直接比較した初めての研究を見てみました。
結果は、同じぐらい効果がある…!ってことで、どちらもメタ認知がアップする様子なんで、おすすめです。
うつ病の再発予防における認知行動療法やマインドフルネス認知療法が有効なのか系統的レビューとメタ分析を行ってみた…!
アメリカ国立精神衛生研究所(NIMH)のサイトを見てみると、うつ病(大うつ病性障害・大うつ病:MDD)とは、最も一般的でメジャーな精神障害の1つでありまして、活力の低下、気分の落ち込み、自信の低下、理由のない活動意欲の低下や嫌悪を特徴としております。
そして、うつ病の恐ろしいところは、新しいうつ病エピソードが起こるたんびに、うつ病の状態が悪化し、次の再発リスクが高まることなんですよね。つまり「思考のクセ」が身に付いちゃうんですな。この辺は2000年のバージニア・コモンウェルス大学の研究や1988年のレビュー論文なんかにも載っていまして、当ブログでも「うつ病は再発しやすい!は本当なのか?再発率はどれぐらいなのか?」で紹介した通りです。
具体的な再発リスクについては、「認知行動療法を一から学ぼう!その5「新世代の認知行動療法」」の部分を引用すると「一度うつ病の診断基準を満たすと、再発率が60%、2回うつ病になると再発率が70%、3回うつ病になると再発率が90%と言われている」って感じでして、こちらの研究に載っていた2004年のリグショスピタレットの研究や2001年のワシントン大学の研究によると、
- うつ病エピソードを1回経験した後の再発リスクは50%…!
- うつ病エピソードを2回経験した後の再発リスクは80%…!
- うつ病エピソードを3回経験した後の再発リスクは90%…!
になる可能性があるみたい。
多少の違いはありますが、繰り返すほど癖になるのは間違いない感じです。
そのため、再発防止はうつ病治療にとって超重要となるんですな。
そこで一般的なのが薬物療法です。但し、いくつか問題もありまして、例えば、
- 副作用がある
- (徐々に中止に向かっても)薬を中止すると再発する可能性がある
って感じで、どうもうまくいかない場合があるんですな。
そこで期待されているのが、認知行動療法(CBT)やそこから発展したマインドフルネス認知療法(MBCT)です。
じゃあ、本当にこれらの治療法がうつ病の再発や軽減に役立つんか…?ってことで、今回、短期・長期などを含めて、ガッツリ調べてみることにしたんだとか。
ということでまず研究者たちは、1976年~2016年9月1日までに発表された該当研究をPubmed経由のMEDLINE、OVID経由のEMBASE・PsycINFO、コクラン、中国のデータベース4つ(CBM、CNKI、VIPデータベース、Wanfangデータベース)で検索してみたそうな。更に関連研究や参考文献なんかを手作業でチェックしたり、WHOのICTRPやclinicaltrials.govなんかで、未発表の研究も探してみたらしい。
片っ端から探していった結果、データベースで1,567件、関連研究・参考文献・未発表研究で330件の研究が見つかったんだとか。
次にこの中で被っている研究や質の低い研究を除外していったそうな。
最終的に選ばれた研究は20件でして、このうちの18件でメタ分析を行ってみたそうです。
また20件の研究の特徴なんですが、
- 総サンプル数:1,945名
- サンプル幅:40~424名
- 平均年齢:46.8歳
- 年齢範囲:24~75歳
って感じでした。
それと今回のマインドフルネス認知療法の方法は大体が一般的な方法を使用していたらしく、毎週2時間のグループワークを8回行っていたそうです。
それでは気になる結果を見てみましょう…!
- 認知行動療法やマインドフルネス認知療法は、対照群と比較して、1年間におけるうつ病再発リスクが37%(HR0.63)低かった…!
- 認知行動療法は、対照群と比較して、1年間におけるうつ病再発リスクが50%(HR0.50)低かった…!
- マインドフルネス認知療法は、対照群と比較して、1年間におけるうつ病再発リスクが有意に改善せず(HR0.78)、高い異質性(各研究結果の差)があった…。
- マインドフルネス認知療法は、抗うつ薬を服薬し続けることと比較して、1年間におけるうつ病再発リスクが24%(HR0.76)低かった…!
- 認知行動療法は、対照群と比較して、2年間におけるうつ病再発リスクが76%(HR0.24)低かった…!
- マインドフルネス認知療法は、抗うつ薬を服薬し続けることと比較して、2年間におけるうつ病再発リスクが有意に改善しなかった(HR0.89)
- 認知行動療法は、対照群と比較して、5年半におけるうつ病再発リスクが29%(HR0.71)低かった…!この効果は過去のうつ病エピソードの数が多い程大きかった…!
- 認知行動療法は、対照群と比較して、過去のうつ病エピソードが4回以上の場合の5年半におけるうつ病再発リスクが54%(HR0.46)低かった…!
- 認知行動療法は、対照群と比較して、過去のうつ病エピソードが4回未満の場合の5年半におけるうつ病再発リスクが有意に改善しなかった(HR0.86)
- 認知行動療法は、対照群と比較して、6年間におけるうつ病再発リスクが64%(HR0.36)低かった…!
- 認知行動療法は、対照群と比較して、4年間におけるうつ病再発リスクが55%(HR0.45)低かった…!
- 認知行動療法は、対照群と比較して、過去のうつ病エピソードが3回以上におけるうつ病再発リスクが69%(HR0.31)低かった…!
- マインドフルネス認知療法は、対照群と比較して、過去のうつ病エピソードが3回以上におけるうつ病再発リスクが54%(HR0.46)低かった…!
ちょっとポイントをまとめてみると、
- 短期(1年間)では、認知行動療法はうつ病再発リスクに効果的…!
- マインドフルネス認知療法は、過去のうつ病エピソードが3回以上ある人のうつ病再発リスクにのみ効果的…!
- 短期(1年間)では、マインドフルネス認知療法は、抗うつ薬を服薬し続けることよりも、うつ病再発リスクに効果的…!
- 長期(2年以上)では、認知行動療法はうつ病再発リスク予防効果が2~6年間続く…!
って感じでしょうか。
認知行動療法はかなり良い結果が出てますねー。一方でマインドフルネス認知療法はイマイチ良い感じの効果が出ていない印象ですな。
いずれにしても、うつ病の再発予防・反芻思考対策に、認知行動療法やマインドフルネス認知療法は使えそうな感じです。
大うつ病の再発予防にマインドフルネス認知療法が特に有効なのか2年以上かけて調べてみた…!
2018年のニューヨーク大学などの単盲検のRCTによると、大うつ病の再発予防にマインドフルネス認知療法が特に有効なのか2年以上かけて調べてみたそうです。
この研究は、大うつ病の既往歴があり、現在寛解期にある参加者を対象にしたもので、まず始めに全員を以下の2グループにランダムに振り分けたそうな。
- マインドフルネス認知療法グループ:46人
- アクティブコントロールグループ:46人
因みにアクティブコントロールグループは、身体活動やファンクショナルトレーニング、音楽療法、栄養についてなんかを行ったみたい。
これらを8週間行ってもらい、その後、26ヶ月間にわたって追跡調査したんだとか。
また、スタート時、介入後(8週間後)、6ヶ月後、12ヶ月後、26ヶ月後に再発についてチェックしたとのこと。
最後にデータを統計処理したところ、以下のことが分かったそうです。
- 26ヶ月間におけるマインドフルネス認知療法グループの再発率は47.8%だった。
- 26ヶ月間におけるアクティブコントロールグループの再発率は50.0%だった。
- 再発までの時間やうつ症状、生活満足度の違いもなかった。
- つまり26ヶ月間の追跡調査中、いずれの結果もグループ間の差はなかった。
こうみると特にマインドフルネス認知療法が再発に有効って感じではないみたいですねー。
但し、もうちょい詳しく見てみると、
- 両グループとも12ヶ月間の追跡期間中にうつ症状が有意に減少していた…!
- アクティブコントロールグループは、初期にうつ症状が大幅に改善、その後12ヶ月の追跡調査まで徐々にうつ症状が増加していた…!
- マインドフルネス認知療法グループは、介入後から12ヶ月の追跡調査まで少しずつ着実にうつ症状が改善していた…!
- 12ヶ月から26ヶ月の追跡調査では、両グループともうつ症状がわずかに増加していた。但し、26ヶ月後の評価では、両グループともスタート時よりもうつ症状が有意に低いままだった…!
って感じ。
両方ともうつ症状に効くけど、効果の出方に違いがあるんですねー。また、1年経つと徐々にうつ症状が出てきちゃうみたいですが、それでも最初より症状が良い…!ってことで、8週間の介入だと思えば、なかなかの効果だと言えるのではないでしょうか…?
個人的には、やっぱ認知行動療法も良いけど、運動もメンタルに良いよなーと思いました。
今回は特に優れているとは出ませんでしたが、どちらも長く効果が続くと分かったのは朗報ではないかと。
高齢者を対象にマインドフルネスストレス低減法とマインドフルネス認知療法の効果を調べてみた…!
そもそも高齢者の多くは、様々な慢性疾患を抱えているケースがありまして、それによるストレスが発生しやすいんですな。
一方でマインドフルネスストレス低減法やマインドフルネス認知療法といったマインドフルネスを使う介入は、ストレスに効く…!となっております。但し、研究の大半は高齢者を対象としておらず、若者や中年の成人なんですよ。
そこで今回高齢者が対象だとどうなのか…?ってのを調べるため、先行研究を見直ししてみたらしい。
まず研究者たちは、高齢者を対象にしたマインドフルネスストレス低減法とマインドフルネス認知療法の研究を5つのデータベースを用いて検索してみたそうな。次に検索にヒットした研究を適格基準と除外基準に照らし合わせて精査していったみたい。
最終的に選ばれた研究はRCT7件だったとのこと。
これらの研究を見てみたところ、高齢者がマインドフルネスストレス低減法やマインドフルネス認知療法を行うと、
とのこと。
どうやら認知行動療法は、高齢者の心身の健康問題とそれに伴うストレスにも効果があるみたいですねー。
ということで年齢に関係なく、認知行動療法はおすすめです。
成人のうつ病に行動活性化療法が有効なのかメタ分析・系統的レビューを行ってみた…!
2020年のコクランの研究によると、成人のうつ病に行動活性化療法が有効なのかメタ分析・系統的レビューを行ってみたそうです。
DSM-5によれば、うつ病は、少なくとも2週間の抑うつ症状がある、又は以前楽しいと感じていたことへの興味や喜びが感じられなくなった、あるいはその両方を特徴とした精神疾患とのこと。これらのうつ病の主要な特徴に加えて、体重減少や体重増加、不眠症や過眠症(過剰な睡眠・眠気)、精神的・身体的に落ち着かない感じ、精神的・身体的な行動の遅さ、疲労感、気力が感じられない、過度の罪悪感や無価値感、集中力の低下、反芻思考など、さまざまな症状が伴うこともあるそうな。
DSM-5によれば、うつ病は、少なくとも2週間の抑うつ症状がある、又は以前楽しいと感じていたことへの興味や喜びが感じられなくなった、あるいはその両方を特徴とした精神疾患とのこと。これらのうつ病の主要な特徴に加えて、体重減少や体重増加、不眠症や過眠症(過剰な睡眠・眠気)、精神的・身体的に落ち着かない感じ、精神的・身体的な行動の遅さ、疲労感、気力が感じられない、過度の罪悪感や無価値感、集中力の低下、反芻思考など、さまざまな症状が伴うこともあるそうな。
んがしかし、これがなかなかうまくいかないのは知っての通り。
理由としましては、
- 副作用や依存性が怖い為、薬をちゃんと飲む人、飲み続ける人が少ない…!
- 薬をちゃんと飲まない為に、再発、通院、入院、症状の悪化、回復の可能性の低下が起こってしまう…!
ってのがよくあるところかと。
また上記の理由もあってか、調査では一貫して患者さんは抗うつ薬による治療よりも心理療法を好む傾向がみられております。
そして、短期の心理療法である行動活性化療法は、うつ病に対する費用対効果が高い(コスパが良い)ってことで注目を集めております。また他の心理療法よりも手間が少なく、すぐに始めやすい利点もあるんですな。
じゃあ、効果はどれぐらいあるのか…?ってことで、今回調べてみることにしたみたい。
まず研究者たちは、2020年1月17日までに発表された該当するRCTをコクラン、Ovid MEDLINE、Ovid Embase、Ovid PsycINFOで検索してみたそうな。また、その他にも良い研究がないか、様々なデータベースや参考文献リスト、研究者への聞き取りで探してみたらしい。
次に集まった研究の中で被っている物を除外したそうで、結果、5,823件の研究が見つかったんだとか。その後これらの研究の質をチェックし、精査していったみたい。
最終的にピックアップされたRCTは53件でして、そのうちの49件でメタ分析を行ってみたそうです。
因みに53件の研究の総サンプル数は5,495人でして、様々な国で実施されておりました(日本の研究も1件選ばれていた)。また、ほとんどの研究は、あらゆる年齢層の成人を対象にしていたそうです。
んで結果なんですが、個人的なポイントを挙げていきますと以下な感じ。
- 行動活性化療法と第二世代の認知行動療法を短期(最大6か月)で比較した結果、治療効果は同じぐらいだった(RR0.99)
- 行動活性化療法と第二世代の認知行動療法を中期(7~12か月)と長期(12か月超)で比較した結果、治療効果は同じぐらいだった(中期:RR1.00、長期:RR0.93)
- 行動活性化療法と第三世代の認知行動療法を短期(最長6か月)で比較した結果、治療効果は同じぐらいだった(RR1.10)
- 行動活性化と待機リストを短期(最大6か月)で比較した結果、治療効果が高かった(RR2.14)
- 行動活性化と薬物治療を短期(最大6か月)で比較した結果、治療効果が高かった(RR1.77、但しRCT1件のみのデータ)
- 行動活性化と薬物治療を中期(7~12カ月)で比較した結果、治療効果は同じぐらいだった(RR0.86、但しRCT1件のみのデータ)
- 行動活性化と通常の治療を短期(最大6か月)で比較した結果、治療効果が高かった(RR1.40)
- 行動活性化と通常の治療を中期(7~12か月)で比較した結果、治療効果が高かった(RR1.23)
- 行動活性化と通常の治療を長期(12か月超)で比較した結果、治療効果が低かった(RR2.17)
特段優れている訳ではないけど、短期的には同じぐらいの効果があるっぽいですね。
ということでポイントをまとめてみると、
- うつ病治療において、行動活性化療法と第二世代の認知行動療法の効果は同じぐらいっぽい…!
- うつ病治療において、行動活性化療法と第三世代の認知行動療法の効果は同じぐらいっぽい…!
- うつ病治療において、行動活性化療法と他の心理療法を比較するには十分なエビデンスがなかった…!
って感じ。
但し、行動活性化療法は、成人のうつ病に対して他と同じぐらい効果的だし、受け入れやすい治療法なんで、選択肢の一つとしてよろしいのではないでしょうか…?
同じぐらいの効果が出る方法がたくさんあると自分に合う方法を選べるんでよろしいかな~と思います。
マインドフルネス認知療法(MBCT)によるうつ病再発予防・再発までの期間への効果について系統的レビュー・ネットワークメタ分析を行ってみた…!
2021年のレスターシャー・パートナーシップNHSトラストの研究によると、マインドフルネス認知療法(MBCT)によるうつ病再発予防・再発までの期間への効果について系統的レビュー・ネットワークメタ分析を行ってみたそうです。
先行研究により、マインドフルネス認知療法は通常の治療法と比較して、うつ病の再発率を下げると出ておりました。そしてイギリスのうつ病ガイドラインなんかには、現在は健康で過去に3回以上のうつ病エピソードを経験している人はマインドフルネス認知療法が良いよーと記載があったりするとのこと。また系統的レビューやメタ分析でも通常の治療法よりもうつ病の再発予防に良いぞ…!と出ているんですな。
但し、メタ分析では一度に2つの介入しか比較できないと言う弱点があり、3つ以上の治療介入で比較した場合はどうなるのか謎だったんですよ。そこで今回その弱点を補うべく、ネットワークメタ分析を行ってみることにしたんだとか。
まず研究者たちは、2018年7月26日までに発表された該当研究を検索、その後、2019年6月28日まで更新検索したそうな。因みに使われた電子データベースは、CINAHL、コクラン、Embase、MEDLINE、PsycINFO、Web of Scienceとのこと。またこの時、長期の研究(この研究では「長期」の定義を1年以上(12か月以上)追跡調査したものにした)に絞って探してみたらしい。
すると合計2,092件の研究が見つかったんだとか。次にこの中で重複している研究や質の低い研究を除外していったとのこと。
最終的に残った研究は23件でして、うち17件はRCTだったそうな。
ということでメタ分析とネットワークメタ分析の結果のポイントは以下な感じでした。
【うつ病再発予防】
- メタ分析の結果、マインドフルネス認知療法は、通常の治療法よりも、うつ病の再発率が有意に低かった(RR0.72)
- ネットワークメタ分析の結果、マインドフルネス認知療法は、通常の治療法よりも、うつ病の再発率が有意に低かった(RR0.73)
【再発までの期間】
- メタ分析の結果、マインドフルネス認知療法は、通常の治療法よりも、うつ病の再発までの期間が有意に長かった(HR0.52)
- ネットワークメタ分析の結果、マインドフルネス認知療法は、通常の治療法よりも、うつ病の再発までの期間が有意に長かった(HR0.57)
- メタ分析の結果、マインドフルネス認知療法は、プラセボよりも、うつ病の再発までの期間が有意に長かった(HR0.26)
- ネットワークメタ分析の結果、マインドフルネス認知療法は、プラセボよりも、うつ病の再発までの期間が有意に長かった(HR0.23)
【その他】
- マインドフルネス認知療法とその他の比較(抗うつ薬を使い続ける治療法や認知心理教育、認知療法など)はメタ分析とネットワークメタ分析ともに、いずれも有意差はなかった。
つまり、メタ分析とネットワークメタ分析の結果、マインドフルネス認知療法は、通常の治療法やプラセボよりも効果があり、その他の介入とは同じぐらいの効果がある…!ってなりますね。なかなかよろしい結果なのではないでしょうか…?
これらを見てもマインドフルネス認知療法を、うつ病の再発・再発までの期間延長の対策として取り入れて行ってよろしいのではないかと思います。
自閉症スペクトラム障害(ASD)+強迫性障害(OCD)の方への行動療法・認知行動療法の効果を調べてみたけど…。
2021年のコクランの研究によると、自閉症スペクトラム障害(ASD)+強迫性障害(OCD)の方への行動療法・認知行動療法の効果を調べてみたそうです。
まず研究者たちは、2020年8月24日までに発表されている該当研究をコクラン、MEDLINE、Embase、PsycINFOなどで検索してみたそうな。また、参考文献リストや専門家に連絡なども行い研究を集めたらしい。すると4,636件と更に2件の研究が見つかったとのこと。
次にこの中で被っている研究や質の低い研究を除いていったみたい。最終的に選ばれた研究はRCT1件のみという悲しい結果でして、これをしっかり見てみたんだとか(1件のみの為メタ分析が出来なかった)。しかもサンプル数が46名という小規模実験なのも悲しいところ…。
次にこの中で被っている研究や質の低い研究を除いていったみたい。最終的に選ばれた研究はRCT1件のみという悲しい結果でして、これをしっかり見てみたんだとか(1件のみの為メタ分析が出来なかった)。しかもサンプル数が46名という小規模実験なのも悲しいところ…。
ということで、ASD+OCDに認知行動療法が有効なのかはまだまだ研究不足で分からないのが実情です。
一応この研究によれば、
- 認知行動療法グループも不安管理グループも同じ効果が見られた
- 治療終了時の症状は認知行動療法グループの方が良かったけどエビデンスレベルは低かった
って感じ。
因みにASDの方は高機能自閉症の方だったそうです。
今回はあえてこんな感じの研究を取り上げてみました。
2021年の研究ですら、まだこんな感じで分からないことが多いんだよ~ってのを知っていただけたかと…。
また、こういったあんま成果がなかった的な研究は発表されることが少なく、貴重だったりします。
その当たりを踏まえてもやっぱりコクランさんは非常に素晴らしいと思う次第です。
うつ病患者の希死念慮にマインドフルネス認知療法が有効なのか調べた初のメタ分析
そもそもうつ病は、世界的に最も一般的な精神疾患でありましてその生涯有病率は20%とのこと。また、初回のうつ病エピソードの後は一般的に良好で、ほとんどの症例で自然寛解が見られております。んがしかし、ここが穴ぼこでして、うつ病は再発率が非常に高く、繰り返せば繰り返すほど悪化していくんですな。因みに再発率は大体50%~90%でして、詳しくは「うつ病は再発しやすい!は本当なのか?再発率はどれぐらいなのか?」をご覧ください。
その再発予防に効果がありそうなのがマインドフルネス認知療法(MBCT)となっております。但し、うつ病エピソード中の希死念慮への有効性について、現時点ではエビデンスが足りていなかったらしい。そこで今回初のメタ分析・系統的レビューを行ってみることにしたんだとか。
まず研究者たちは、2000年1月1日から2021年8月30日までに発表された該当するRCTをPubMed、Embase、コクラン、CNKI、Wan Fangで検索してみたそうな。すると合計172件の研究がヒットしたとのこと。次にこれらの研究の中で被っている物を除外、その後基準に従い質の高い物を選んで行ったらしい。
最終的にピックアップされたRCTは7件でして、総サンプル数は479人ということでした。また、グループ分けについては、
- マインドフルネス認知療法グループ:252人
- 通常の治療グループ:227人
って感じだったとのこと。
それでは結果を見てみます。
- マインドフルネス認知療法は通常の治療よりも、希死念慮や全般的なうつ病スコアが有意に改善していた…!
- 希死念慮の標準化平均差(SMD)は-0.33(小~中程度の効果量)だった…!
- 全般的なうつ病スコアの標準化平均差(SMD)は-0.96(大きな効果量)だった…!
マインドフルネス認知療法は、やっぱりうつ病に効果的なんですねー。また効果サイズが小~中程度とはいえ、希死念慮にも有効だってのは嬉しいですな。
マインドフルネス認知療法はうつ病と希死念慮に有効なのか、RCTの系統的レビュー・メタ分析を行ってみた…!
まず研究者たちは、2021年12月31日までに発表された該当するRCTをAiriti Library、PsycINFO、CINAHL、コクラン、PubMed/MEDLINE、ProQuest、Index of the Taiwan Periodical Literature Systemという7つの電子データベースで検索してみたそうな。すると合計1,327件の研究がヒットしたとのこと。次にこの中で重複している研究や質の低い研究を除外していったらしい。
最終的に選ばれたRCTは13件でして、これらのデータを基に系統的レビューとメタ分析を行ってみたんだとか。
ではまず選ばれたRCT13件の特徴を見てみましょう。
- 発表された年の範囲:2008年~2019年
- うつ病患者の総サンプル数:1,159人
- うつ病患者のサンプル範囲:28人~130人
- うつ病患者の男女比の範囲:大半が女性で51.25%~79.0%
- うつ病患者の平均年齢範囲:30.0歳~48.77歳
- 平均追跡期間:1.5ヵ月~12ヵ月
- 介入回数の範囲:6回~12回
- 週の介入時間:6件の研究で16時間、1件の研究で18時間、1件の研究で20時間、1件の研究で24時間、1件の研究で10~15時間、1件の研究で12~16時間、2件の研究は謎
- 介入後の自宅での総練習時間:3件の研究で6時間、1件の研究で3~6時間、7件の研究は謎
- マインドフルネス認知療法を行う時のグループ人数:8人~15人と推奨した研究はわずか4件のみ
一般的なマインドフルネス認知療法の期間や人数に近いかと思いきや、意外とばらつきがあったみたいですね~。まぁ、基本通りやるってのはなかなか難しいですよね…。
それでは結果を見てみましょう。
- うつ病の症状のチェック方法は、ベックうつ病尺度とハミルトンうつ病評価尺度を用いていた。
- ベックうつ病尺度の結果をメタ分析した結果、マインドフルネス認知療法は小~中程度(SMD=0.349)の統計的に有意な効果があった…!
- ハミルトンうつ病評価尺度の結果をメタ分析した結果、マインドフルネス認知療法は大きく(SMD=0.838)統計的に有意な効果があった…!
- 希死念慮の結果をメタ分析した結果、マインドフルネス認知療法は大きく(SMD=0.910)統計的に有意な効果があった…!
RCTの系統的レビュー・メタ分析で、マインドフルネス認知療法はうつ病と希死念慮に効果的…!と出たのは嬉しいですね~。
ということでうつ病の治療にマインドフルネス認知療法は良さそうな感じ。
因みにこの研究に基づいた場合、マインドフルネス認知療法は、
- 1回のセッション:1.5~2.5時間
- 週の回数:週5回
- 実施期間:8週間
が良さそうとのこと。
約2ヶ月週5はなかなか大変ですがやる価値はあるのかな~と思った次第です。
統合失調症スペクトラム障害に認知行動療法は有効なのかRCTのメタ分析のアンブレラレビューを行ってみた…!
2024年のアムステルダム自由大学医療センターの研究によると、統合失調症スペクトラム障害に認知行動療法は有効なのかRCTのメタ分析のアンブレラレビューを行ってみたそうです。
あんま聞きなれない言葉かもですが、統合失調症スペクトラム障害(SSD:schizophrenia spectrum disorders)ってのは、統合失調症や統合失調症のような症状がある、短期精神病性障害など、様々な精神病症状を特徴とする精神疾患グループのことを指します。つまり、統合失調症とその症状を持つ精神疾患グループの総称ってことですね。
んで、これらの患者さんの治療に認知行動療法が良いぞ…!って話がありまして、広く使われているんですよ。
実際、いくつかのメタ分析では統合失調症や関連する精神病に対して認知行動療法の有効性を調べておりまして、結果、
- 通常の治療や混合治療よりも認知行動療法の方が良かった…!
- 効果サイズは、無~小~中程度まで様々だった…!
って感じだったんですな。
但し、詳細までチェックしたアンブレラレビューは未だなかったとのこと。そこで今回調べてみることにしたんだとか。
ということでまず研究者たちは、2023年8月18日までに発表された該当するRCTのメタ分析をMEDLINE、コクラン、Embase、PsycINFOで検索してみたそうな。すると全部で1,273件の研究がヒットしたとのこと。次にこの中で被っている研究や質の低い研究を除いていったみたい。
最終的に残ったRCTのメタ分析は26件でして、この中で十分なデータが得られた16件のメタ分析をまとめてみたんだとか。
それでは大枠の結果から見てみましょう。
- 統合失調症スペクトラム障害に認知行動療法が有意としたのは42.9%だった。
- 統合失調症スペクトラム障害に認知行動療法が有意ではないとしたのは57.1%だった。
- 統合失調症スペクトラム障害に認知行動療法が有意としたもののうち、説得力のあるエビデンス、非常に可能性のあるエビデンスのものはなかった。
- 可能性のあるエビデンスとしたものが7.1%あった。
- 低いエビデンスとしたものが35.7%あった。
微妙な感じですね~。
一応効果はありそうだけどゴニョゴニョ…ってところでしょうか…。
では、もうちょい具体的に見てみますかー。
- 一般的な精神病理に関連する相関関係の43.8%は有意だった。
- 1つの比較(6.3%)では、治療終了時点に認知行動療法と通常治療を比較した場合、認知行動療法の方が効果があると出ていた(可能性のあるエビデンス)
- 37.5%で、様々な追跡期間での認知行動療法と通常治療又は支持療法(ST)を比較しており、認知行動療法の方が効果があった(低いエビデンス)。一方で56.3%は、有意ではなく、対照群は通常治療、支持療法(ST)、薬物療法だった。
- 陽性症状(幻覚や妄想、思考の混乱など)は、12.5%で、治療終了時点に認知行動療法は通常治療よりも効果があると出ていた(可能性のあるエビデンス)
- 62.5%で、様々な追跡期間での認知行動療法と通常治療、支持療法(ST)を比較しており、認知行動療法の方が効果があった(低いエビデンス)
- 25%は、通常治療又は支持療法(ST)において、治療終了時点で有意ではなかったか、追跡期間が6か月未満だった。
- 妄想は、16.7%で、治療終了時点に認知行動療法は通常治療よりも効果があると出ていた(可能性のあるエビデンス)
- 33.3%で、治療終了時点で認知行動療法は混合治療よりも効果があると出ていた(低いエビデンス)
- 追跡調査では通常治療と薬物治療と比較して有意差はなかった。
- 幻覚は、33.3%で、治療終了時点に認知行動療法は通常治療よりも効果があると出ていた(可能性のあるエビデンス)
- 66.7%で、治療終了時点で認知行動療法は混合治療よりも効果があると出ていた(低いエビデンス)
- 陰性症状(言語・思考の低下、意欲の低下、非社会性)についての可能性のあるエビデンスはなかった。
- 25%で、認知行動療法は通常治療又は支持療法(ST)よりも治療終了時点と12ヶ月の追跡期間において効果があると出ていた(低いエビデンス)
- 75%で、認知行動療法は通常治療と比べて、治療終了時点と12ヶ月の追跡期間において有意差はなかった。
やっぱりパッとしない感じですね~。
それとも認知行動療法の効果が思ったよりも小さいのかしら…。
これについて研究者は、
- 認知行動療法って一口に言ってもすごい色々な手法があるよね~。これをひとくくりにしたからかも…?だから個別のアプローチで見て行けばもうちょい効果があるって出るかも…?
と答えておりました。
確かに当ブログでも紹介している通り、認知行動療法は非常に範囲が広いんで、まとめると効果が薄まって出ちゃうのかもですな。
ということで認知行動療法は、一般的な精神病理、妄想、幻覚なんかに効果があるかも…?って感じ。あとはもっと質の高い研究が出ることを期待する感じですな。
無快感症(アンヘドニア)における行動活性化療法vsマインドフルネス認知療法、効果的なのはどっちだ…?
2024年のノースカロライナ大学チャペルヒル校のRCTによると、無快感症(アンヘドニア)における行動活性化療法とマインドフルネス認知療法はどちらが効果的なのか調べてみたそうです。
無快感症(アンヘドニア)ってのは、楽しい活動から得られる意欲や喜びが低下してしまう症状のことでして、大うつ病の重要な診断基準となっております。
例えば、
- 以前は楽しかった、興味があったことに何も感じなくなった…。
- 何もやる気が起きない…。
ってのがあったり、見かけたりしたら、医師に相談しよう…!みたいなことを高齢者の方でも良く言いますよね。んで実は無快感症はうつ病だけでなく、不安障害やPTSD、その他の精神障害なんかにも広く見られるんですな。
そんな無快感症は日常生活機能の障害や生活の質の低下につながります。また、モチベや幸福感の低下は、希死念慮や自殺行動の危険因子でもあるんですな。
そして無快楽症の治療には、心理療法も良いぞ…!って話もあるんですよ。
じゃあ、どんな心理療法が良いんだ…?ってことで、今回、行動活性化療法(BA)とマインドフルネス認知療法(MBCT)を比較してみることにしたんだとか。
この研究は無快感症に悩む116人の方を対象にしたもので、平均年齢29.18歳、女性79人(68%)、男性37人(32%)が参加したと言うもの。まずは参加者全員を以下の2グループにランダムに振り分けたそうな。
- 行動活性化療法グループ:61人
- マインドフルネス認知療法グループ:55人
それぞれの治療は1回45~60分だったらしく、週1回、全8~15回行ったとのこと。
併せて、無快感症の変化については、ほぼ毎週、毎回の診察で評価しつつ、更にサブ的な項目については約3週間の間隔をあけて最大5回評価したらしい。最後に集まったデータから効果を比較してみたそうです。
それでは結果を見てみましょう。
- 行動活性化療法グループのドロップアウト率は24.6%だった。
- マインドフルネス認知療法グループのドロップアウト率は36.4%だった。
- つまり、マインドフルネス認知療法は行動活性化療法よりもドロップアウト率が1.75倍高かった。
- 但し変数を調整してみると、マインドフルネス認知療法は行動活性化療法よりもドロップアウト率が2.04倍と依然として高かったが統計的な有意差はなかった。
- 無快感症の重症度が高い参加者ほどドロップアウトの可能性が高かった。
- 追跡調査からドロップアウトしなかった参加者の満足度はかなり高かった。
- 行動活性化療法又はマインドフルネス認知療法を受けた人たちのほとんどが非常に改善・かなり改善・わずかに改善したと報告していた。
- 行動活性化療法とマインドフルネス認知療法のどちらも治療の経過とともに無快感症の症状が改善していた。
- 行動活性化療法とマインドフルネス認知療法の治療効果に統計的な有意差はなかった。
つまりまとめると、
- 無快感症に、行動活性化療法とマインドフルネス認知療法は同じぐらい効果的…!
ってことですね。いや~ドローだったか~。
ということでどちらでもお好きな方を選ぶと良さそうな感じでした。
うつ病患者を対象に市販のスマホアプリのマインドフルネス介入の効果を初めてRCTで調べてみた…!
2024年のバーゼル大学の研究によると、うつ病患者を対象に市販のスマホアプリのマインドフルネス介入の効果を初めてRCTで調べてみたそうです。
そもそもうつ病に対するネットベースの介入は、有効で、気軽に出来て、コスパも良いと言われておりました。また治療を受けられない、受けたくないっていう、うつ病患者にとっても良い選択肢となり得ると期待されているんですよね。
一方でアプリベースの介入も期待されておりまして、例えば2022年のIdISBaのメタ分析を見てみると、アプリベースの介入でうつ病の重症度が中程度に軽減した…!って感じだったんですよ。
そしてマインドフルネスストレス低減法(MBSR)やマインドフルネス認知療法(MBCT)のようなマインドフルネス介入も、うつ病治療に効果的とここ数十年に亘って注目を集めております。また、マインドフルネス介入はアプリで行うものが色々出ているんですな。
その中でもよく研究で使われる代表的な市販のアプリが「Headspace」ってやつです。先行研究によれば、ストレスレベル、マインドワンダリング、ポジティブ感情やネガティブ感情といったものが改善されるみたいなんですな。但し、こういった研究はまだ始まったばかりで数が少なく実際あんまり効果は分かっていないとのこと。
そこで今回RCTを用いて調べてみることにしたんだとか。
この研究はうつ病と診断された患者さん83名が参加したもので、うち47名が再発性うつ病と診断され、36名が主な診断としてうつ病エピソードを持っていたというもの。また18名が1つ以上の精神疾患を併発していたんだとか。
んで、まず最初に参加者全員を以下の2グループにランダムに振り分けたそうな。
- アプリグループ:「Headspace」+通常の治療を行う(41名)
- コントロールグループ:通常の治療を行う(42名)
併せて、スタート時と30日後の実験終了時にメンタルの状態(ベックうつ病尺度とハミルトンうつ病評価尺度を使用)や心拍数、血圧をチェックしたみたい。
因みにアプリグループについてもうちょい詳しく見てみると以下な感じでした。
因みにアプリグループについてもうちょい詳しく見てみると以下な感じでした。
- 使ったアプリは「Headspace」。これを毎日30日間使用した。
- ガイド付き瞑想/マインドフルネスセッションを10回行う基本コースを使用した。
- 参加者は基本コースを3周した(毎日30日間やったので)
- 各セッションの時間は、3分、5分、10分。1周目は1セッションあたり3分、2周目は5分、3周目は10分で行った。
- 参加者全員は、1日に1セッション、自分の好きな時間で行った。
- 毎日アプリを使用し続けられるように、参加者には毎週メールでリマインダーが届いた。
それでは結果を見てみましょう。
- スタート時の参加者全員のうつ病の重症度は軽度相当だった。
- アプリグループは、コントロールグループよりもハミルトンうつ病評価尺度のスコアが有意に低下していた=より大きくうつ病症状が改善していた…!
- アプリグループは、コントロールグループよりも収縮期血圧が低かった…!
スマホアプリでのマインドフルネス介入でもうつ症状が改善したんですね。また収縮期血圧も下がっていたんでストレスも減っていたんじゃないでしょうか…?
ということでこの結果に研究者曰く、
- スマホアプリによる短期のマインドフルネス介入(30日間)は、うつ病患者に対する通常の治療の補助治療として良い可能性がある
としております。
マインドフルネスと認知的再評価の関係について調べてみた…!
2024年の四川師範大学などの研究によると、マインドフルネスと認知的再評価の関係について調べてみたそうです。
軽く復習しておきますと、
- マインドフルネス:今の瞬間の現実に常に気づきを向け、その現実をあるがままに知覚し、それに対する思考や感情には囚われないでいる心の持ち方、存在のありようのこと。ざっくり言うなら、過去の後悔に囚われず、未来の不安に囚われず、今この瞬間に目を向けるって感じ
- 認知的再評価:リアプレイジング(リアプレイザル)のこと。認知の見方を変える、別の角度から見てみる、捉え直すって感じ
のようになっております。
そしてマインドフルネスと認知的再評価は、感情のコントロールに役立つと言われているんですな。但し、マインドフルネスが認知的再評価にどのような影響を及ぼすのかは不明とのこと。そこで今回調べてみることにしたんだとか。
この研究は、372名が参加したもので、まずは全員にアンケートに答えてもらったそうな。このアンケートの中では、
- 現在のマインドフルネス度
- 現在の認知的再評価度
- 現在の感情的な気づき度
- 現在の内受容感覚(身体感覚の変化)の気づき度
をチェックしたみたい。
次に集まったデータを統計処理し、関係性を見てみたそうです。
結果、
- マインドフルネスは、認知的再評価、感情的な気づき、内受容感覚的な気づきと負の相関関係にあった…!
- 認知的再評価、感情的な気づき、内受容感覚的な気づきは、互いに正の相関関係にあった…!
- マインドフルネスの増加は、感情的な気づきと内受容感覚的な気づきを個別又は連続的に低下させることで、認知的再評価に有意に負の効果をもたらした…!
とのこと。
どうやらマインドフルネス度がアップすると、リアプレイジング度がダウンし、逆にマインドフルネス度がダウンすると、リアプレイジング度がアップするみたいですね~。
確かにマインドフルネスは今この瞬間に目を向けるんで、リアプレイジングのように捉え直すような思考を使うものとは対極にあるのかもですな。
まぁ、自分に合う方を使うと良いのかな~っと。
個人的考察
以上「認知行動療法(CBT)の効果を調べた研究を片っ端から見てみる!」でした。
やっぱ、認知行動療法はゴールドスタンダードと呼ばれるだけあるぜ…。
