カテゴリー⑦:非精神医学的問題にはどのようなものがあるのか…?

ADHDに関する研究の中で比較的新しい分野として、非精神医学的問題というのがございます。但し、この分野はまだまだ黎明期といったところで、ADHDの方がこのカテゴリーの全て、又は一つ以上必ず該当している訳ではないのは注意が必要なところ…。
その辺を踏まえご覧ください。


肥満

78. 2018年のスウェーデンの研究によると、250万人以上を対象に調べた結果、ADHD患者は非ADHDの兄弟やいとこに比べて、肥満リスクが3倍高かった。またADHDと臨床的肥満が家族内で共存していた。その強さは血縁関係に直接依存していた。
79. 2016年のメタ分析によると、薬物治療を受けていないADHDの子どもや青年は、そうでない子どもや青年と比べて、過体重や肥満リスクが約20%も高かった。また、薬物治療を受けていないADHDの成人は過体重・肥満リスクが約50%も高かった。更に2016年の別のメタ分析では、18万人以上を対象に調べた結果、薬物治療を受けていないADHDの人は肥満リスクが約40%高かったが、薬物治療を受けているADHDの人はそうでない人と違いがなかった


アレルギーと喘息

80. 150万人以上を対象にしたスウェーデンの研究によると、喘息のある人は、ADHD発症リスクが45%も高かった。また、約100万人を対象にしたデンマークの研究によると、喘息のある母親から生まれた子どもはADHD発症リスクが40%も高かった
81. 5万人以上を対象にした観察研究のメタ分析によると、喘息又はアトピー性皮膚炎の患者は、対照群と比較してADHD発症リスクが3分の1高かった。また、4万8千人以上を対象にした2017年のメタ分析によると、アレルギー性鼻炎を持つ患者はADHD発症リスクが約50%も高かった


糖尿病

82. 2016年のドイツの研究によると、65万人以上の小児・青少年を対象に調べた結果、1型糖尿病の小児はADHDと診断される可能性が40%も高かった
83. 56,000人以上の小児・青年を対象にした2017年のドイツの研究によると、ADHD+1型糖尿病の患者は、ADHDのない糖尿病患者と比べて、糖尿病性ケトアシドーシスの発症頻度が2倍高かった。またHbA1c(血糖値)も有意差が見られた。そのため、ADHD+1型糖尿病の小児患者は、ADHDのない1型糖尿病患者と比べて、代謝コントロールが不良であったと結論付けた。
84. 2018年の台湾国民健康保険データベース(NHIRD)を使った縦断研究によると、ADHDの青年・成人の若者は、2型糖尿病発症リスクが約3倍高かった
85. 2018年のスウェーデンのコホート研究によると、50歳から64歳までの成人160万人以上を対象に調べた結果、ADHDの成人は2型糖尿病の有病率が70%も高かった
86. 2019年のメタ分析によると、母親が1型糖尿病を持つ場合、その子どもはADHDリスクがわずかに高かった。また父親が1型糖尿病を持つ場合、母親が2型糖尿病を持つ場合も同様の結果だった。2018年のスウェーデンの研究によると、両親が1型糖尿病と診断された後に生まれた15,615人の子どもを対象に調べた結果、子どものADHDと診断される可能性が30%高かった



個人的考察

長くなったので今回はここまで。
続きは来週です。



参考文献

最後にまとめてご紹介します。