皆さんは「嫉妬(しっと)」と聞いてどんなイメージを持ちますか…?
多分ポジティブイメージよりネガティブイメージが多いのではないかと…。

でも、ちょっと待ってください…!
嫉妬って実は本当はいいものなんです…!

というのも、皆さんご存知の通り、ネガティブパワーってのはものすごいもんがありまして、ポジティブパワーを上回ることが多々あるんすよね。
んでせっかくなら良い方向で使わなきゃ損なんで今回は、そのメリットからコツ、注意点なんかを調べた研究をご紹介しておこうかと思います。



嫉妬とはなにか…?

「あの人羨ましい…!」とか「あの人みたいになりたい…!」って感情が出るのは誰しも一度は経験したことがあるはず…。実は嫉妬の感情は自分が欲している物(こと)が明確にわかるためのシグナルなんですよね。嫉妬深いというと聞こえは悪いですがリフレーミングすると憧れ、つまり他人の良さ、長所を見抜く力が高いことになります。
どうですかね~。こう考えると嫉妬もなまじ悪い物とも言い切れないと思いませんか…?
まずここでは最低限、

  • 「嫉妬=ネガティブなもの」ではない

ということは覚えておいてほしいです。



良い嫉妬は悪い嫉妬はもちろん賞賛すらも凌駕する…!

2011年のティルブルフ大学の研究によると、良い嫉妬は自己改善を動機付けるんじゃないか…?って仮説を調べてみたそうです。
この研究は4つの実験を行っておりまして、それぞれの概要と結果を先に見ちゃいましょう。

  • 実験1:嫉妬でもっと勉強するようになるのか調べてみた。結果、良い嫉妬のみ、もっと勉強する動機付け(勉強のモチベーションアップ)に関係していた…!
  • 実験2,3:遠隔性連想検査(詳しくは下記参照)という知性と創造性を測定する検査を行った。結果、良い嫉妬は実際のパフォーマンスアップに関係していた…!
  • 実験4:自分で自己改善が達成可能だと思えた場合のみ、良い嫉妬が生まれ、パフォーマンスもアップすることが分かった…!逆に自分で自己改善が難しいと思えた場合、良い嫉妬やパフォーマンスアップはなかった…。

ここでちょい話がそれますが、遠隔性連想検査について軽く触れておきましょう。
遠隔性連想検査はミシガン大学が開発したものでして1962年のミシガン大学の研究1968年のミシガン大学の研究1967年のミシガン大学の書籍に出てきます。因みに2013年に名古屋大学の研究なんかを見ると、日本版を作ろうとしたみたいです。
んで上記に出てくる遠隔性連想検査(RAT:Remote Associates Task・Remote Associates Test)ってのは、リモートアソシエイトタスクや遠隔連想テストとも呼ばれておりまして、創造性(拡散的思考)を測るためのテストとなっております。そこから頭が良い(知性が高い)かどうかもチェックできるとも言われているんですよね。
遠隔性連想検査は、共通していなそうな3つの単語から共通点を見つけるテストのことでして、例えば、

  1. wheel
  2. electric
  3. high

だと正解は「chair」になります。
理由は、

  1. wheelchair(車いす)
  2. electric chair(電気椅子)
  3. high chair(子供用のいす)

ですね。
日本版だと例えば、

異・口・序

だと、正解は「論」になります。
理由は、

  1. 異論
  2. 口論
  3. 序論

とのこと。

話しを戻しまして、研究者曰く、そもそも嫉妬には良い嫉妬と悪い嫉妬があるそうで、そこには明確な違いが存在するそうです。
なんでも、

  • 良い嫉妬:自分に欠けているものを、他人が持っているときに生じる嫉妬であり、自分もそれが欲しいと思う気持ちのこと。要は自分もレベルアップして同じレベルになりたい…!って嫉妬のこと
  • 悪い嫉妬:他人が持っているものを、他人が失えと思う嫉妬のこと。要は他人のレベルが下がって自分と同じレベルになれ…!って嫉妬のこと。シャーデンフロイデの競争系に近い考え方ですな

って感じだそうです。
また、上記の他にも似たものとして、賞賛される(すごいと思われる・憧れる・リスペクトされる)ってのがありますが、良い嫉妬はこれをしのぐパワーがあるそうな。因みに良い嫉妬は、あくまで「嫉妬」なんで精神的苦痛が伴うのに対し、賞賛にはそういった痛みはないという違いがあるそうです。確かにそう言われてみると似て非なるものですね。
そして前述したように良い嫉妬は、モチベーションアップからの知性・創造性のパフォーマンスアップに関係していたみたいです。
どんな流れかと申しますと、

  1. 自分も同じレベルになりたいと嫉妬する
  2. 同じレベルになるための努力するモチベーションがアップする…!
  3. 実際に努力する
  4. 結果、知性・創造性のパフォーマンスがアップする…!

って感じ。
注意点としては、現実的に可能かどうかということ。あまりにも嫉妬の対象のレベルが高すぎると実現不可能になってしまい、モチベーションは上がらないので、上記のような流れにはならないみたいです。あくまで自分がレベルアップし、追い付けそうな対象に嫉妬するのが、良い嫉妬が生まれるコツみたい。



嫉妬の対策

では「良い嫉妬」について分かった所で、嫉妬の対策、長所として活かすための使い方について説明していきます。
こいつを上手く使うには、

  1. 嫉妬という感情を受け入れる(セルフコンパッションRAINのような感じ)
  2. 嫉妬を細かく分析する(自分が嫉妬した(欲したものの)正体を突き止める)
  3. 嫉妬した他人の長所(スキル)を自分の長所となるよう努力するモチベーションにかえる

という3ステップをしていくことをオススメします。
因みに、これを知らずに(できずに)嫉妬を上手く利用できない人は上記の逆の行動をとる場合が多いです。
例えば、

  • 嫉妬の感情を受け入れられず(抑えられず)悪口に変えて言う
  • 漠然とした嫉妬で自分には無理だと諦めてネガティブになる
  • 嫉妬で終わり努力もしないしモチベーションを捨ててしまう

とかですかね。
こうなっては何にもならないので他人を羨むことが多い、嫉妬が多い方は是非3ステップを意識して自分の良さという認識と成長に嫉妬を活かしましょう。



個人的考察

当事業所でも精神障がいの方や発達障がいの方、プライドの高い方なんかで嫉妬で困っている方を見かけたことが多々あります。
基本的にどんな方でも嫉妬はするという事実をまずは受け入れ、そこで悪口を言うんじゃなくて、RAINのように分析し、正体を突き止め、嫉妬の感情にラベリングをし、どうせなら活かす方向で行きたいもんです。
まずは自分の地雷ポイント(嫉妬が起きやすいポイント)を客観視しパターンをつかむのもおすすめですな。
上手く使えば自分の良い武器になるよ~ってぜひ伝えてあげてください。



参考文献