床に落とした食べ物もすぐ拾えば大丈夫。
皆さんも一度は聞いたことがある話かと思います。いわゆる5秒ルールってやつでして、他にも3秒ルールとか10秒ルールなんて言うこともありますよね。まぁ、同じ意味なんで、今回は5秒ルールと言う呼び名で統一して書いていきます。
んで、この5秒ルール、実は日本特有の現象ではなく、アメリカやイギリスなど世界でも認知されている方法だったりします。つまり、5秒ルールはグローバルなルールなんですね。
…っとここで気になるのが毎度おなじみアレって科学的にはどうなの…?ってこと。つまり、5秒ルールを適用したら、菌は安全な量ぐらいしかつかないのかってことですね。今回はこの当たりについて触れていきたいと思います。



5秒ルールの起源は諸説ある

5秒ルールがいつ生まれ、誰が最初に考えたのか…?その起源は不明で、一説には、チンギス・ハンが、床に落とした食べ物は12時間までだったら食べてOK…!って言うのを、将軍の宴会のルールで決めたって話があったり、19世紀後半ぐらいから始まった病原体の研究からって説もあるみたいです。
いずれにしても歴史ある方法みたい(笑)
因みに5秒ルールの科学的な研究が本格的に始まったのは2000年代からです。では、具体的に見ていきましょう…!



2003年から本格的に5秒ルールの研究が始まった…!

2003年のイリノイ大学アーバナシャンペーン校のジリアン・クラークさんの研究によると、グミベアファッジ・ストライプクッキーを床に落としてみたんだとか。因みにグミベアファッジ・ストライプクッキーは↓みたいなお菓子です。


この2つを一度除菌し大腸菌をつけた床タイルに落としたらしい。すると、大腸菌は5秒以内にタイルからグミベアとファッジストライプクッキーに移動したそうな。因みに移動したバクテリア数については不明とのこと。

更に、この研究では、5秒ルールの認知度、床に落ちた食べ物を拾って食べる人の性別の違いがあるか、どのような食べ物が床から拾って食べられやすいのかも調べたみたいです。
結果を並べて行くと、

  • 一つ目の5秒ルールの認知度ですが、これは男性が56%、女性が70%知っていたそう。
  • 二つ目の床に落ちた食べ物を拾って食べる人の性別の違いがあるかですが、これについては、男性より女性の方が拾って食べたそうです。これについては女性の方が男性よりも無駄を嫌うからじゃないか…?って推測しているみたい。
  • 三つ目のどのような食べ物が床から拾って食べられやすいのかですが、これはクッキーやキャンディーはカリフラワーやブロッコリーよりもはるかに拾って食べられやすかったそうな。まぁ、当たり前ですね(笑)

このように緩い研究ではありますが、5秒ルールについて初めて科学的なメスを入れたのは非常に面白いですね。その面白さもあってか、クラークさんは後に2004年のイグノーベル賞(公衆衛生)を受賞していますし…。



2006年に5秒ルールが初めて査読論文で登場…!

2006年のクレムソン大学の研究によると、サルモネラ菌を使用して5秒ルールを調べてみたんだとか。因みにこの研究は見出しの通り、5秒ルールが初めて査読論文として登場したものになります。
この研究では、食べ物を床に落とした際に床に触れている時間の長さと食べ物に細菌が移動するスピードの影響について調べたとのこと。具体的には、まず、タイル、ナイロンカーペット、木材の床を用意、それぞれにサルモネラ菌を付着させたそうな。次に食べ物(パンとボローニャソーセージ)を投下、最後に表面から食品に移動した細菌数を測定したそう。
結果、床が乾燥していれば、どの床の上でも細菌は28日後も繁殖していたそうです。
更に2007年のニューヨークタイムズによれば、バクテリアは5秒以内にパンとボローニャに移動するそうで、タイルとカーペットだった場合で1分経つとバクテリアは約10倍に増えたそう。
これを見るに5秒ルールは信じない方が良いのかも…と思ってしまいますね~。



2014年の研究で5秒ルールって根拠があるかも…?2017年には学部長が5秒ルールも条件によってはアリ…!って言い出した…!

2014年のアストン大学の研究によると、カーペット、タイル、ラミネートの床の上にトースト、パスタ、ビスケット、粘着性キャン​​ディーを落として、接触時間とバクテリアの移動について調べてみたそうです。
結果、

  • カーペットの床が一番バクテリアの移動が少なかった
  • ラミネートの床、又はタイルは表面が湿った食品に5秒以上接触するとバクテリアの移動が多くなり危ない

そうです。因みに大腸菌とブドウ球菌の移動に大きく影響したそうなんで気を付けていきたいところ。
この研究では落とした食べ物を食べたことがあるかの聞き取りもしていまして、結果、87%の人が食べたことがあると答えたそう。
これらから、5秒ルールは根拠があるかもしれないらしい。
更に2017年のアストン大学の微生物学部長のアンソニー・ヒルトン教授は、以下のことを述べております。5秒ルールは完全にリスクがないわけではないが、食べ物が一見きれいな床に少しの間落ちたくらいなら最小限のリスクで食べることができるだろうとのことで、床がきれいそうなら5秒ルールで心配することはほとんどないんじゃない…?って話でした。
う~ん、結局、5秒ルールはアリなのかナシなのか、どっちなんだ…?



5秒ルールをしっかり調べた2番目の査読論文の結論は…。

2016年のラトガーズ大学の研究がこの5秒ルールについてかなり色々なパターンを用意するなど厳密な方法で調べたそうで、これが2番目の査読論文として発表されております。
まず床の種類についてはこんな感じ。

  • ステンレス
  • セラミックタイル
  • 木の床
  • カーペット

食べ物は以下の物を用意したそう。


それぞれの床と食べ物の組み合わせで高さ12.5cmから落下させたとのこと。
更に地面に接している時間は、

  • 1秒
  • 5秒
  • 30秒
  • 300秒

でチェック、これをそれぞれ20回ずつ試してもらったらしい。
因みに2種類の細菌の調製方法を使ったそうなんで、全128パターン(床4×食べ物4×秒数4×細菌調製法2)になります。これを全て20回ずつ行ったそうなんで、全部で合計2,560回の測定が行われたことになりますね~。う~ん。大変。
では、結果を見てみますか…。
バクテリアの付着数の順位は、


だったそうです。
更にこの実験で分かったこととして、

  • どのようなパターンでも1秒以内にバクテリアは付着した…!
  • 特に湿った食品ほどバクテリアは付着しやすかった…!
  • 一番バクテリアが付きづらい床はカーペットだった(他は同じぐらい)
  • 地面に接している時間が長くなればなるほどバクテリアも増えた…!

ということで、この結果に研究者は、5秒ルールは単純化しすぎ、バクテリアはすぐに食べ物につくよ…!っておっしゃっております。
やっぱ、落ちたら喰わん方が良さそうですね…。



個人的考察

5秒ルールという床に落とした食品をすばやく拾えば、菌が付かず食べても安全という他愛のない話も調べてみると結構奥が深くて面白いですよね(笑)
皆さんも5秒ルールはあまり信じず、落ちたら食べない方が良いですよ~。



参考文献

https://www.ocala.com/news/20070515/the-5-second-rule-explored-or-how-dirty-is-that-bologna