【まとめ】高脂肪食・低脂肪食・高炭水化物食・低炭水化物食って結局太りやすいのか?痩せやすいのか?
脂肪は太りやすい…!炭水化物は太りやすい…!いいや、痩せやすいんだ…!
高脂肪食と高炭水化物食ってどっちが太りやすいのか…?
1995年のコロラド大学健康科学センターの研究によると、高脂肪食と高炭水化物食を比べてどちらが太りやすいのかを調べたんだそうな。この研究では、スリムな体型の男性9人と肥満体な男性7人を対象に、それぞれ14日間、必要なエネルギー量の50%を上回る高脂肪食と高炭水化物食を食べてもらったとのこと。また、初日、1日、7日、14日にエネルギー消費量と栄養素の酸化を測定し脂肪として蓄積された量を推定したらしい。
気になる結果は、
- 高炭水化物食は、過剰に摂取した75〜85%のエネルギーが蓄積されていた…!
- 高脂肪食は、過剰に摂取した90〜95%のエネルギーが蓄積されていた…!
とのこと。
つまり、ここから言えることは、
- 高脂肪食は高炭水化物食よりも脂肪の蓄積が多かった(つまり太りやすかった)
- 食べ過ぎれば脂肪でも炭水化物でも太る
という当たり前な結果でしたとさ。
低脂肪食と低炭水化物食ってどっちが痩せやすいのか…?
2014年のテュレーン大学の研究によると、肥満患者148人に協力をお願いし、低脂肪食と低炭水化物食のダイエットの効果を比べてみたそうです。体重などのデータチェックは0ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月と行ったとのこと。ここが大きなポイントで期間が1年間と長いんですよね。更に、糖尿病患者ではなく、健康的な人に参加してもらったのも大きかったり。
そして、ダイエット研究にありがちなドロップアウトが多いって現象が少ないのもありがたいところとなっております。具体的には148人中、119人(低脂肪食グループ60人(82%)、低炭水化物食グループ59人(79%))が残ったということで、約8割がゴール、2割がドロップアウトしたという好成績となっております。
では、気になる結果を見ていきましょう…!
- 低脂肪食グループ:体重が平均1.8kg減った…!善玉コレステロール(HDL)・悪玉コレステロール(LDL)ともに変化はなかった…。
- 低炭水化物食グループ:体重が平均5.3kg減った…!善玉コレステロール(HDL)が改善した…!悪玉コレステロール(LDL)は変化はなかった…。
- ウエストサイズ:開始直後は低炭水化物食の勝利…!だけど、1年経ったらどちらも同じぐらいのサイズになっていた…!
つまり、ここから言えることは、
- 低炭水化物食は低脂肪食よりも体重が減りやすく、HDLも改善する
- 食事管理をすれば低脂肪でも低炭水化物でも痩せる
ということでしょうか…。
脂肪の割合を変えて調べてみた…!
1987年のコーネル大学の研究によると、女性の方24人を対象に以下の3つの食事法をランダムに振り分け試してもらったそうです。
- 低脂肪食:総摂取カロリーの15〜20%が脂肪の食事
- 中脂肪食:総摂取カロリーの30〜35%が脂肪の食事
- 高脂肪食:総摂取カロリーの45〜50%が脂肪の食事
期間は2週間で結果、中脂肪食のカロリー消費量と比較して、
- 低脂肪食は11.3%カロリー消費量が減った…!
- 高脂肪食は15.4%カロリー消費量が増えた…!
とのこと。
脂肪の割合を変えた食事を見ても結局食べればカロリー消費量は増えるし、食べなければカロリー消費量は減るという当たり前な結果でしたねー。
低脂肪食を調べてみた…!
1991年のコーネル大学の研究によると、女性13名を対象にして、以下の食事をランダムに振り分けて試してもらったそうです。
- 低脂肪食:総摂取カロリーの20〜25%が脂肪
- 対照群:総摂取カロリーの35〜40%脂肪
実験期間は11週間で、ウォッシュアウト期間は7週間にしたとのこと。
結果は、
- 食事の脂肪量を減らすだけで、体重が減る…!
とのこと。
どちらもカロリー消費量に差はなかった…!
1992年のヴァンダービルト大学の研究によると、スリムな体型の方11名と肥満体型の方10名の計21名を対象に、高炭水化物食と高脂肪食をそれぞれ1週間試してもらったそうです。因みに総摂取カロリーは特に制限しなかったそうな。
結果、どちらもカロリー消費量に差はなかったとのこと。
脂肪の割合を変えて、1週間調べてみた…!
1995年のMRCの研究によると、脂肪と炭水化物の摂取量の影響について調べてみたそうです。具体的には男性6人に7日間、以下の食事のいずれかを試してもらいつつ、カロリー消費量を3回チェックしたそうな。
- 低脂肪食(脂肪20%、炭水化物67%、タンパク質13%)
- 中脂肪食(脂肪40%、炭水化物47%、タンパク質13%)
- 高脂肪食(脂肪60%、炭水化物27%、タンパク質13%)
結果、
- カロリー摂取量は脂肪率とともに増加した…!
- 低脂肪食は高脂肪食よりも満足感が高かったが、炭水化物への影響についてはよく分からんかった…!
とのこと。
この結果に研究者曰く、タンパク質と炭水化物がその後のカロリー摂取量を減らす可能性があるかもしれないが、脂肪による明らかなダイエット効果は見つからなかった、ということです。
やっぱ特に脂肪を減らしても大きな期待は出来そうにないですねー。
48時間(短期間)で調べてみた…!
1997年のローザンヌ大学の研究によると、クロスオーバーデザインを用いて、高炭水化物食、低脂肪食、高脂肪食、低炭水化物食の影響度を調べてみたそうです。実験に参加したのは標準体重の若い男性11人で48時間を2回に分けて調べたとのこと。結果は、
- どの食事法でもカロリー消費量は大きく影響されなかった…!
そうです。
違いはなかったみたいですねー。
マラソンランナーを対象に調べてみた…!
2000年のニューヨーク州立大学バッファロー校の研究によると、普段からマラソンを行っているランナーたちに協力をお願いし、脂肪の摂取量とパフォーマンスの変化について調べてみたそうです。
実験は18歳から55歳までの男性12人と女性13人のマラソンランナーが参加したそうで、全員の1週間の平均マラソン距離は42マイル(=約67.6km)だったそうな。1日10km弱も走っている人たちですねー。すごい…!
ランナーたちには低脂肪食、中脂肪食、高脂肪食の3つの各食事を28〜31日間食べてもらいつつ、毎日のカロリー摂取量や運動記録、空腹感などをチェックしたとのこと。
結果は、
- 総カロリー摂取量に対する脂肪の摂取量の割合は、低脂肪食が平均17%、中脂肪食が平均31%、高脂肪食が平均44%だった…!
- 脂肪の摂取量が多くなると、カロリー摂取量とカロリー消費量の差が小さくなった…!
- 高脂肪食だと空腹感が少なくなった…!
- カロリー摂取量が多くなると、炭水化物の摂取量も多くなった…!
- 低脂肪食と炭水化物の摂取量に違いはなかった…!
とのこと。
脂肪を食べれば炭水化物も食べたくなるし、脂肪を食べなければ炭水化物も食べたくなくなるってことなんで、そんなに違いはなさそうですね。
低脂肪食・地中海式ダイエット・低炭水化物食を比べてみた…!
2008年のネゲヴ・ベン=グリオン大学の研究によると、中ぐらいの肥満の方322人(平均年齢52歳、平均BMI=31、男性の割合86%)をランダムに振り分け、以下の食事法を試したもらったそうです。
- 低脂肪食+カロリー制限
- 地中海式ダイエット+カロリー制限
- 低炭水化物食+カロリー制限なし
実験期間は2年間で、この間に食事法を守れた方は、
実験開始1年後:95.4%
実験開始2年後:84.6%
だったそうな。
因みに2年間やり通した方は272人だったとのこと。
結果をまとめると、
- 地中海式ダイエットは、食物繊維を最も多く食べていた…!また飽和脂肪酸に対する不飽和脂肪酸の比率が最も高かった…!
- 低脂肪食グループの人たちは、平均で2.9kg体重が減少した…!
- 地中海式ダイエットグループの人たちは、平均で4.4kg体重が減少した…!
- 低炭水化物食グループの人たちは、平均で4.7kg体重が減少した…!
- 2年間やり通した低脂肪食グループの人たちは、平均で3.3kg体重が減少した…!
- 2年間やり通した地中海式ダイエットグループの人たちは、平均で4.6kg体重が減少した…!
- 2年間やり通した低炭水化物食グループの人たちは、平均で5.5kg体重が減少した…!
- 総コレステロールとHDLコレステロールの比率の相対的な減少は低炭水化物食グループが20%、低脂肪食グループが12%だった…!
- 糖尿病の参加者36人の中で、空腹時の血糖値とインスリンレベルの変化は、低脂肪食グループの人たちよりも地中海式ダイエットグループの人たちの方が改善していた…!
とのこと。
低脂肪食と低炭水化物食の差が1.8kg~2.2kgなんで、2年間として考えてみても、1年で約1kgしか違いがないことになります。やっぱあんまり変わらないですねー。
低炭水化物食と低脂肪食を厳しく管理してダイエット効果を比較してみた…!
2015年のアメリカ国立衛生研究所の研究によると、低炭水化物食と低脂肪食を食べてもらい、ダイエット効果を比較してみたそうです。…っとここまでだと良くある研究なんですが今回の研究はなんといっても全てが厳しく管理されているってのが特徴になります。
話しを戻しまして、今回実験に参加したのはBMIが30以上(平均BMI35.9±1.1)の男女19名の方々(女性9名、男性10名)。まず全ての参加者にアメリカ国立衛生研究所の臨床センターに来てもらい入院してもらったそうです。
続いて参加者全員には、5日間バランスの取れた食事(炭水化物50%、脂肪35%、タンパク質15%)を取り続けてもらったらしい。
その後の6日間は参加者を以下の2グループにランダムに振り分けたそうな。
- 低炭水化物食グループ:炭水化物を60%減らし、更に1日の摂取カロリーを30%減らした。
- 低脂肪食グループ:脂肪を85%減らし、更に1日の摂取カロリーを30%減らした。
合わせて参加者には自分で決めた一定のペースで毎日1時間トレッドミルで運動してもらったとのこと。実験期間中、全ての参加者は入院病棟に入ったままで外に出たり、他に食べることはできないよう、厳密に管理されたとのことでした。
この実験が終了した後、2~4週間のウォッシュアウト期間をとって、再度5日間バランスの取れた食事を取り続けてもらいつつ、以前と逆のグループにして6日間食事を取ってもらったらしい。つまりこの実験はクロスオーバー試験ってことですね。
では結果を見てみましょうか。
低炭水化物食と低脂肪食のダイエット効果は、
- 低炭水化物食:体脂肪が1日に53±6g減っていた…!毎日のインスリン分泌が22.3±7.0%減っていた…!
- 低脂肪食:体脂肪が1日に89±6g減っていた…!毎日のインスリン分泌に変化はなかった…!
だったとのこと。
これを見ると、どうやら低脂肪食の方が体脂肪の減りが良いみたいですね~。
とはいえ、この研究は参加者人数が少なく、かなり肥満な人を対象としているので実際どこまで当てはまるのかはあやしいところ。
まだまだ決め手に欠ける感じですねー。
1年以上という長期で見た場合、糖質制限ダイエットの方が低脂肪食ダイエットよりも優れている…!
2015年のハーバード大学の研究によると、低脂肪食ダイエットは他の食事ダイエットよりも減量効果が高いのかRCTの系統的レビュー・メタ分析で調べてみたそうです。
まず研究者たちは、MEDLINEやEmbase、コクランのデータベースを用いて該当する研究を検索してみたそうな
またこの時長期のダイエット効果(1年以上の効果)を比較したRCTのみをピックアップしていったらしい。すると3,517件がピックアップできたとのこと。次にこの中から質の高い研究を選んで行ったそうで、最終的に基準を満たしていたものは53件の研究だったそうな。
この53件の研究の総サンプル数は68,128人だったそうで、これらのデータをメタ分析にかけて系統的レビューを行ったそうです。
その結果、
- 糖質制限ダイエットは、低脂肪食ダイエットよりも減量効果が高かった(1.15kg)
- 低脂肪食ダイエットは、高脂肪食ダイエットよりも体重変化に差がなかった(0.36kg)
- 低脂肪食ダイエットは、普通の食事よりも減量効果が高かった(-5.41kg)
- 低脂肪食ダイエットと高脂肪食ダイエットの減量効果は同じぐらいだが、低脂肪食ダイエットの方が減量には効果があった
みたいです。
1年以上という長期で見た場合、どうやら糖質制限ダイエットの方が低脂肪食ダイエットよりも優れているみたいですねー。
まぁ個人的には糖質や脂肪を減らした分、タンパク質を多くとるようになったかの方が大事な気がしますねー。
ご自身が続けやすく、極端にならないのであれば、低脂肪食ダイエットよりも糖質制限ダイエットの方が良いということで。
結局どういうことなのか…?
ここまでバーッと研究を見てきましたが、高脂肪食・高炭水化物食・低脂肪食・低炭水化物食の太りやすさと痩せやすさについては、ほとんど違いがないか、若干脂肪が不利って状況っぽいですねー。
でも脂肪が不利なのもそのはずで、1997年のリーズ大学の研究によると、炭水化物よりも脂肪の方がカロリー密度が高いそうなんですよね。人間はカロリー密度の高い食べ物が好きなんで、脂肪の方が若干食べ過ぎてしまいます。そのため、上記のような結果になったと思われます。とはいえ、その差は微々たるもんなんで気にするもんでもないでしょう。
つまり、脂肪も炭水化物もたくさん食べれば太るし、食べなければ痩せるっていう普通の結論に落ち着くかと思います。
重要なのはむしろ、カロリーの質の方で、糖質(砂糖)・脂肪を使った加工食品を避けるのが好手。じゃないと報酬系がガッツリ刺激されいっぺんにセットポイントが崩れ肥満にまっしぐら…!ってな感じになっちゃいますからねー。ここは本当、気を付けたいポイントです。