【まとめ】脳が全盛期のままで止まっているスーパーエイジャーになるにはどうすべきか?
早ければ20代から脳細胞が減少し、認知機能が低下するって話です。
まことに嫌~な話ですが、一方で最後の方に、スーパーエイジャーという高齢者でも若者と同等レベルの認知を維持し続ける人たちが一定数いるってことも書いたかと思います。また、スーパーエイジャーについては来年(2022年)詳しく書く的な事を書いたんですよね。
んがしかし未だにスーパーエイジャーの記事を書いておりません…!
そして、あっという間にもう2022年が終わりを迎えようとしています…!
スーパーエイジャーってなに…?どうすればなれるのか…?
2016年のNew York Timesには、ノースイースタン大学の教授でありハーバード大学マサチューセッツ総合病院の研究員でもあるリサ・フェルドマン・バレット教授の記事が掲載されております。
んでどのようなことが書かれているかと言いますと、スーパーエイジャーの概要となり方についてです。これらが分かりやすくまとめられているんですよ。
まずスーパーエイジャーってのは神経学者のマーセル・メスラムによる造語で、記憶力や注意力が年齢の平均を上回っている高齢者(60~80歳ぐらい)のことを言います。
つまり、加齢による認知機能の低下がほとんどない、いつまでも脳が全盛期に近い状態で維持し続ける人たちのことです。健康で活動的な25歳ぐらいの若者と同じぐらいってことなんでまさに夢のような話っすね。
そんなスーパーエイジャーを調べたのが2016年のバレット教授たちの研究になります。
この研究は若者・普通の高齢者・スーパーエイジャーの脳をMRIでスキャンし違いを比べたものです。実験当初の参加者は男性48名、女性43名の計91名でしたが、リタイアが10名出て、最終的なサンプル数は81名となっております。
その81名の内訳は、
- 若者41名:平均年齢25.1歳の男性20名、平均年齢24.0歳の女性21名
- スーパーエイジャー17名:平均年齢69.25歳の男性4名、平均年齢67.38歳の女性13名
- 普通の高齢者23名:平均年齢65.00歳の男性15名、平均年齢67.71歳の女性9名(合計数が合わないのは謎)
って感じでした。
そして参加者全員はMRIで脳をスキャンしつつ、認知テストも受けてもらったそうです。
最後にデータを比べた結果、
- 若者41名全員が認知テストで年齢・性別の基準値内のパフォーマンスを発揮していた…!
- スーパーエイジャーは普通の高齢者よりもデフォルトモードネットワークや顕著性ネットワーク(外部入力と脳内の切り替え機能)が高かった…!
- スーパーエイジャーは普通の高齢者よりも様々な脳領域に厚い皮質・大きな体積を持っていた…!
- 具体的には大脳皮質、前頭前野、前帯状皮質などが厚かった…!
- 海馬の体積が大きく、記憶力とも相関していた…!
- 普通の高齢者は脳が薄くなっていたが、スーパーエイジャーは単純に脳が厚いだけではなく、若者と統計的に区別できなかった…!
とのこと。
認知や感情を司る脳領域が厚く、若者と見分けがつかないなど、まさに脳が全盛期のままで止まっている…!って感じですね。羨ましい…。
では、どうすればスーパーエイジャーになれるのでしょうか…?
この質問の答えはバレット教授曰く、まだ調査中とのこと。つまり謎ってことですね。残念…。
んがしかし、ここで諦めるのは早計でして、現時点でのベストな回答ってのがあるらしいんですよ…!
その気になるベストな回答とは、
- 何かに一生懸命取り組むこと…!
とのことです。
更にバレット教授曰く、
- 2014年のピッツバーグ大学の研究によれば運動を行うのが効果的だった…!
- 2016年のプリンストン大学の研究によれば知的作業を行うのが効果的だった…!
って感じで、取り組むべき内容は何でも良いとのこと。つまり肉体的・精神的に限らず、何かに打ち込むことが脳領域の活動アップに繋がるみたいです。
しかしこれだけではまだ不十分だそうで、スーパーエイジャーになるには激しい苦痛を受け入れる必要があるそうなんですよ。例えば、
- 難解な数学の問題をずーっと解くなどの知的作業
- HIITのような吐き気がするほどの激しい運動
などです。想像しただけでも嫌になっちゃいますな(笑)
でもその苦痛の先にスーパーエイジャーがあるんですよ…!実際、2014年のカリフォルニア大学ロサンゼルス校などの研究によると、運動による苦痛は若々しい脳になり、よりはっきりとした記憶力を持てる、注意を払えるようになる…!って出ていますし、2015年のトロント大学などの研究をみても、楽しく数独をやるレベルでは全然意味がない、うんざりするほどのレベルの問題を解かなきゃいけない…!って感じです。
スーパーエイジャーの脳皮質の厚さ・脳皮質の体積をチェックしてみた…!
2012年のノースウェスタン大学の研究によると、スーパーエイジャーの脳の体積をみてみたそうです。
そもそも加齢により記憶力の低下や脳の容量が減っていくのは普通ですが、スーパーエイジャーはその影響がないという話があります。これが本当なのかチェックしたのが今回の研究です。
まず研究者は参加者を以下の3グループに分けたそうです。
- スーパーエイジャー:80歳以上(平均年齢83.5±3.0歳)の高齢者12人
- 普通の高齢者:80歳以上(平均年齢83.1±3.4歳)の高齢者10人
- 中年・還暦の方:50〜65歳(平均年齢57.9±4.3歳)の方14人
次に全員の脳をMRIにかけてみたそうな。
最後にデータを統計処理したとのことです。因みにグループ間で教育の差はなかったらしい。
結果、
- 普通の高齢者は中年・還暦の方に比べて、脳皮質の厚さが明らかに萎縮していた…!
- しかしスーパーエイジャーは中年・還暦の方と脳皮質の厚さに差がなかった…!
- それどころか、スーパーエイジャーは中年・還暦の方よりも左前帯状皮質が厚かった…!
とのこと。
スーパーエイジャーは50〜65歳の方と脳皮質の厚さに統計的な有意さがないだけでなく、むしろ厚い部分すらある…!ってのはすごいですねー。
またこの実験では、脳皮質の体積もチェックしているんですが、
- 普通の高齢者は中年・還暦の方に比べて、脳皮質の体積が小さかった…!
- しかしスーパーエイジャーは中年・還暦の方と脳皮質の体積に統計的な有意差がなかった…!
とのこと。
更に詳しく見てみると、
- 普通の高齢者の平均体積:244.13mm^3
- 中年・還暦の方の平均体積:306.43mm^3
- スーパーエイジャーの平均体積:288.05mm^3
って感じとなっております。
スーパーエイジャーを1年半後まで追い続けたけど認知パフォーマンスを維持し続けていた…!
2014年のノースウェスタン大学の研究によると、スーパーエイジャーの時間経過に伴う認知機能パフォーマンスについて調べてみたそうです。
通常、80歳以上の健康な高齢者の方が単語のリストを暗記するよう言われた場合、50~60歳の健康な人よりも点数が大幅に低くなります。そしてこのような加齢による記憶力の低下は2004年のスタンフォード大学のレビューによれば、横断研究でも縦断研究でも繰り返しみられているんだそうな。しかし、その例外としてスーパーエイジャーという人たちが見つかったんですよね。
んで今回は、スーパーエイジャーの人たちがその後、加齢による記憶力低下がないのかをチェックしてみたそうです。実験は18人のスーパーエイジャー(平均年齢82.2±2.4歳)が参加したそうで、まずはスタート時に様々な認知機能テストをしたらしい。更に18か月後にもう一度同じく様々な認知機能テストをしてもらいパフォーマンスに違いが出たのかを比較してみたそうな。
気になる結果は、
- 平均するとスーパーエイジャーは、スタート時から18か月後まで、記憶力、注意力、言語機能、実行機能に有意な低下がなかった…!
とのこと。
どうやら、記憶領域と非記憶領域の両方とも安定した認知パフォーマンスを維持し続けていたみたいですねー。素晴らしい…!
個人的考察
2016年のノースカロライナ大学のメタ分析によると、スーパーエイジャーで厚かった脳の部位は活動量を増すごとにネガティブ(疲労感やイライラ感など)になりやすい傾向があったそうです。つまり、スーパーエイジャーに近づくような行動や作業を頑張って行えば行うほど、その瞬間は嫌な気持ちになる…!ってことですね。確かにHIITを行っているとき毎度感じますな。