【まとめ】女性らしいまま(女性ホルモンを乱さず)ダイエットを成功させるためにはどうすべきか?
女性が運動、特に筋トレとかするとマッチョになるから嫌…!って考える人が多いけど、実際、そうなるのは相当難しい…!って話ですね。むしろスリムなモデル体型に近づいていくんでおすすめとなっております。
こんな感じでダイエットではどうしても男女の違いによる誤解が起きやすいんですよね。でも実際、男女の違いってのも意識しないといけないのもまた事実…。
ということで今回は女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)に悪影響を与えないようにしつつ、上手くダイエットを成功させるにはどうすれば良いのか…?をご紹介します。
女性らしいまま(女性ホルモンを乱さず)ダイエットを成功させるためにはどうすべきか…?
2010年のペンシルベニア州立大学の研究によると、運動とカロリー制限ではどちらが女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)を乱すのか…?について調べてみたそうです。
今回実験に参加したのは36人の女性でして、実験期間は3年間となっておりました。そして実験期間中、ドロップアウトした方が何人かおりまして、最終的に残ったのが33人となっております。参加者の女性は健康的であり、年齢は25〜40歳、体重50~90kg、BMIは18~35だったらしい。
んで、参加者全員を以下の2グループにランダムに振り分けたそうです。
- 運動+カロリー制限グループ:24人
- 運動グループ:9人
それぞれの運動メニューやカロリー制限内容は以下な感じ。
1. 運動+カロリー制限グループ
運動+カロリー制限グループの運動は全てラボ内(室内)で行われたそうです。
頻度は週4回だったそうで流れとしては、
- 最初の5分間:ウォームアップ
- 40~90分間:最大心拍数の79±0.7%で有酸素運動
- 最後の10分間:クールダウン
といった感じ。
因みに平均運動時間は56±2分だったそうです。なんで運動時間がマチマチなのかというと参加者の1日の必要カロリーの約20%を消費するように設定したから。例えば1日の必要カロリーが2,000kcalの人だったら400kcal分の時間を運動するみたいな感じですね。参加者は毎月3~4週目までにこの目標を達成できるよう運動してもらっていたため、最初の2週間で徐々に運動時間を増やしてもらったそうです。
有酸素運動の種目については、トレッドミルを使ってのウォーキングとランニング、エアロバイク、階段ステップを使ったとのこと。
カロリー制限については、実験開始時に調べたそれぞれの必要カロリー量の-20~35%で設定したみたいです。
2. 運動グループ
運動グループは、週に1~2回のみ運動を行ったそうでメニューは、- 36±2.9分間:最大心拍数の77±0.8%で有酸素運動
- 10分間:軽いストレッチや体操
を行っており、運動+カロリー制限グループよりも控えめに運動してもらったそうです。また参加者の1日の必要カロリーの平均10±0.75%を消費するように設定したみたい。
そして運動グループについては、食事の栄養素については運動+カロリー制限グループと似ていたものの、体重維持を目標にしただけで特にカロリー摂取量を制限しなかったそうです。
では結果を見てみましょう…!
- VO2max(最大酸素摂取量:心肺機能の指標になる)が大幅に増加していた…!
- 体重が減っていた…!(-3.7±0.5 kg~-8.8+1.8kgの範囲)
- 体脂肪率が減っていた…!(-4.5±0.7%~-12+0.3%の範囲)
- 上記結果は主に運動+カロリー制限グループの影響が大きかった…!
- エストロゲン・プロゲステロンは実験期間中、明らかに低下していた…!
- しかし運動+カロリー制限グループでは一時的に増加していた…!
- 運動グループには増加は見られなかった…!
- エストロゲンの減少は毎日のカロリー不足が明らかに関係しており、体重の減少は関係なかった…!
- 両グループともこの実験により月経周期の乱れや月経障害の発生は見られなかった…!
つまり、女性の方が女性ホルモンを乱すことなく、女性らしくダイエットを成功させるためには、
- 適度なカロリー制限+適度な有酸素運動が良い感じ…!
- 女性ホルモンが乱れる原因は、体重や体脂肪の長期的な変化よりも、カロリー制限…!
ということになりましょう。
エストロゲンの変動で食欲コントロールやカロリー摂取量が変わる…!
1997年のリーズ大学の研究によると、月経周期と食欲コントロールの関係について調べてみたそうです。早速このレビュー論文のポイントを見てみますと、
- 月経周期に伴うホルモンの変動、つまり、エストロゲン(女性ホルモン)の変動は、食欲コントロールや食事の増減に影響を与えるのは間違いなさそう。
- カロリー摂取量は、人間も動物も同じ感じで生殖周期中に変わる。主に排卵期の際、最も食欲が落ち、黄体期の際、最も食欲が上がる。
- 多くの研究では月経前、特に月経前症候群(PMS)の方は炭水化物がめちゃくちゃ食べたくなる…!と言うことが多い。
- 月経周期中の食欲、カロリー摂取量の変化はセロトニンの周期的リズムと関係しているっぽい。だから感情の変化があるとも言える。
- 月経前は、特に食事の過剰摂取・食欲の暴走、うつ状態になりやすい時期である。これもセロトニンの低下が関係している様子。
つまり、エストロゲンの変動により、ダイエットが上手くいきやすいタイミングと上手くいきづらいタイミングがあるってことですな。より具体的に言うならエストロゲンの量が減ると食欲が増えるって感じですね。またポイントになりそうなのがセロトニンだと…。
この研究をみると、長期的に調べた研究で男女とも違いがそんなに出ない理由は納得できますよね。一方で短期のダイエットや具体的にみていくと、女性の方がより細かく注意してダイエットをしないと失敗する可能性が増える、又は成功する可能性が増えるとも言えます。ダイエットを行うならこの辺はちょっと意識しておきたい部分ですな。
エストロゲンが脂肪細胞の代謝に直接影響を与えている…!
2004年のオーフス大学病院の研究によると、エストロゲンと体脂肪の関係について調べてみたそうです。
そもそもエストロゲンって女性ホルモンは、皮下脂肪にたくさん貯蔵されるという特徴がございます。そのため男性と比べて女性の脂肪の付き方は全体的で、特に腰回りやお尻、太ももにつきやすいんですよね。
んがしかし、このエストロゲンが脂肪の蓄積をどうコントロールしているのか不明だったんですよ。そこで今回研究者たちはチェックしてみたんだとか。
この研究は生体外実験でして、今回の参加者は以下の方々。
- ホルモン治療を受けていない健康な女性6名(平均年齢55.8±1.4歳、BMI=25.5±2.5kg/m2)
- ホルモン治療を受けている健康な女性6名(平均年齢53.7±1.3歳、BMI=24.8±1.0kg/m2)
- 重度の肥満で手術を受けた女性5名(BMI=48.2±5.4kg/m2)
この方々に脂肪吸引を行い、腹部の皮下脂肪組織をゲットしたそうな。
続いてゲットした脂肪組織を培養しつつ、ヒト脂肪細胞を分離させ、エストロゲンやアドレナリンなんかをチェックしてみたらしい。
最後にデータを統計処理した結果、
- エストロゲンがヒトの脂肪細胞の代謝に直接影響を与えていることが分かった…!
とのこと。
またその流れについても分かりましてざっくり書くと、
- エストロゲンが皮下脂肪の脂肪分解を邪魔するα2Aアドレナリン受容体の数を直接増加させていた…!
- α2Aアドレナリン受容体の数が増えた結果、皮下脂肪を分解するアドレナリンが減ってしまった…!
って感じ。
エストロゲンは体脂肪の付く場所をコントロールしており、分泌量が少なくなると男性のような脂肪の付き方、つまり、お腹(内臓脂肪)が付きやすくなるってことですな。
確かに閉経後の女性を対象にした研究では男性と同じような脂肪の付き方が多くなる…!って出ておりますしね…。
アドレナリンは興奮や闘争に関わるホルモンなんで女性ホルモンであるエストロゲンで少なくなるのはなんとなく想像できるかと。そしてそれが女性らしい体型を作るために役立つ一方で足りなくなると男性みたいな体型になるのも想像できますな。
ということでやはりダイエット効果に性差の違いは大きくないにしても、エストロゲンはやっぱり意識していきたいですね。
なんでもホルモン治療は主に子宮に損傷のない閉経後の女性の治療に、エストロゲン療法は子宮摘出手術を受けた女性の治療に使われるそうで、一般的にはエストロゲンとプロゲスチンを使うそうな。
んで、このようなエストロゲン療法やホルモン治療を行うと甲状腺機能低下症ってのが起こる可能性があるらしい。因みに閉経後の女性全体の約5%がエストロゲン療法・ホルモン治療と甲状腺ホルモン補充療法の両方を受けていると推定されているんだとか。またこれらの治療は正常の女性の甲状腺機能をも変化させる可能性があるらしい。
ダイエットによりエストロゲンが多くなりすぎた場合、甲状腺機能の低下とそれに伴う代謝の落ち込みは覚悟した方がよろしいかと思います。
エストロゲンが多すぎると食後の脂肪燃焼効果が減少し脂肪が蓄積しやすくなる…!
2009年のニューサウスウェールズ大学の研究によると、エストロゲンと脂肪蓄積効果の関係について調べてみたそうです。
そもそも平均体重の男女を比べた場合、女性の体脂肪率は男性よりも高く、この差は思春期に始まり成人期を通じて継続します。そして妊娠初期は女性の体脂肪が増える段階でもあるんですよね。
ではこれがなぜ起こるのか…?ってことで今回研究者は既存の研究をレビューしてみることにしたんだとか。
早速、結論を申しますと、
- 脂肪蓄積の犯人はエストロゲンだった…!
とのこと。
どうやらエストロゲンは食後の脂肪燃焼効果を減少させるみたいでして、それが体脂肪の増加に一役買っているみたいなんですな。しかもこれが男性よりも女性の方が体脂肪が多かったり妊娠初期の脂肪が増える原因の可能性にもなっているみたい。
一方で女性の思春期と妊娠初期という状況は生殖能力や胎児の発育、授乳に備えて脂肪という効率的なエネルギーを蓄えている状態とも取れるそうです。確かに言われてみればそうかもしれませんね。
ということでダイエットに関わる部分を早速見ていきましょう。
エストロゲンが少なすぎると太る…!
2003年のワシントン大学の研究によると、女性が閉経期に入るとエストロゲンが減少し、それによりお腹周りの脂肪(内臓脂肪)が増加する傾向にあるんだとか。また1976年の動物実験や1973年の動物実験、2001年のトロント大学の動物実験では、卵巣摘出手術を受けたラットは太る傾向にあったらしい。しかし2001年のコーネル大学の動物実験によれば、エストロゲンを増やすことによってこのような肥満を防ぐことが出来るんだとか。
ではなぜこう言った事が起こるのかと言いますと、視床下部でエストロゲンの作用により食欲がコントロールされているから。エストロゲンは身体活動とカロリー消費を促し、体脂肪をコントロールする役割がありますんで、多すぎても少なすぎてもカロリー消費を抑え、摂取を促し、脂肪を蓄えようとしちゃうみたいなんですよね。
エストロゲンはレプチンもコントロールしている可能性がある…!
ダイエットで押さえておきたいホルモンの一つにレプチンってのがあります。
詳しくは「腹が満たされることのないゾンビ状態にならないよう気を付けるべき「レプチン」入門」をご覧いただきたいのですが、レプチンは脳に満腹感を知らせて食欲をコントロールする機能があるんですよ。
そんなレプチンですが、実はエストロゲンによりコントロールされている可能性があるんだとか。例えば、2001年のメルボルン大学の研究や2003年のシンシナティ大学の研究、2006年のシンシナティ大学の研究なんかによると、エストロゲンが高いラットはレプチンの感受性が高かった(=レプチンの効きが良かった)そうな。
また上記で挙げた2006年のシンシナティ大学の研究によると、卵巣摘出手術を受けたメスのラットは、健康なメスのラットに比べ、レプチンの感受性が低下している傾向にあり、それをエストロゲンによって回復することが出来たみたいです。更にオスのラットにエストロゲンを投与したそうなんですが、レプチン感受性がアップしたとのこと。
これらを見ると、エストロゲンがレプチンをコントロールするから太るとも言えそうですねー。
エストロゲンが足りないと男性っぽい太り方になる…!
男性と女性では体脂肪の付き方ってのが違いまして、1993年のラヴァル大学の研究や1986年の研究、1992年のヨーテボリ大学の研究、1992年のヨーテボリ大学の研究、1992年のヨーテボリ大学の研究といったように何度も確認されております。一般的に男性は体脂肪の総量が少なく内臓脂肪が付きやすいという特徴がありまして、女性は男性よりも体脂肪の総量が多く腰やお尻、太ももと皮下脂肪に脂肪が付きやすいという特徴があるんですよね。
んでこの男女の脂肪の付き方の違いってのもエストロゲンが関係しておりまして、例えば、2004年のメルボルン大学の研究や2008年のルイジアナ州立大学ペニントン生物医学研究センターの研究によると、閉経後の女性の脂肪の付き方は男性の脂肪の付き方と似た傾向があったそうです。
んがしかし、1997年のピサ大学の研究や1991年のコペンハーゲン大学の研究、1991年のコペンハーゲン大学の研究をみるとエストロゲン補充療法によって男性に似た脂肪の付き方を防ぐことが出来たんだとか。また1991年のアムステルダム自由大学医療センターの研究では男性から女性へ性転換した人がエストロゲン治療を行うと内臓脂肪よりも皮下脂肪の方が付きやすい傾向にあったらしい。
つまりエストロゲンが少なすぎると、女性らしい脂肪の付き方ではなく男性のような脂肪の付き方になってしまうってことですね。
エストロゲンが少なすぎるとインスリン抵抗性がアップ、その結果、2型糖尿病や肥満、メタボといった健康リスクがアップする…!
同年代の男女を比較した場合、正常な月経歴を持つ閉経前の女性は男性に比べインスリン感受性が高い傾向にあります。そのおかげか2008年のシャリテベルリン医科大学の研究や2003年の成均館大学校の研究なんかを見てみると、閉経前の女性の2型糖尿病の発症率が低いんですよね。つまりエストロゲンはインスリンにも関わっているみたいなんですな。
そして2001年のカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究や2002年のカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究、1998年のパリ第7大学の研究、2009年のテキサス大学オースティン校の研究によると、人間の女性でもメスのラットでもエストロゲンが豊富だと高脂肪食や脂肪性疾患のダメージを防げるみたい。
一方で2003年のワシントン大学の研究や2002年のルール大学ボーフムの研究、2002年のバーモント大学の研究なんかを見てみると、閉経後や卵巣摘出手術後の女性はインスリン感受性が急激に悪化するケースがあるみたいでその結果、体脂肪が増加、と同時に炎症マーカー、LDL、中性脂肪なんかもアップしてしまうらしい。
これはエストロゲンが足りな過ぎると最終的に2型糖尿病や肥満、メタボックシンドロームといった健康リスクがアップしてしまう…!ってことですね。これは嫌だな~。
ということでエストロゲンが少なすぎると代謝機能に問題が生じ、肥満、メタボ、2型糖尿病リスクがアップしてしまうみたいです。
エストロゲンを正常に保つのが大事…!だけど現代社会は正常に保つのが難しい…!
結局、エストロゲンは多すぎても少なすぎてもダイエットに悪影響があるって感じですね。
ということで適切なエストロゲンをキープすることが女性の場合、ダイエット成功の秘訣にもなり得るのですが、基本的にエストロゲンは生理周期に従ってアップダウンするんでこれを正常に保つのが良い感じみたいです。
んがしかし、現代社会は正常に保つのが難しい要素が多々ありまして、例えば、
などなど。その結果、ホルモン変動が乱れ、異様な食欲に苦しみつつ、罪悪感もありつつも食べまくる…みたいな状況に陥ってしまうんですな。
ということでベストはストレス対策なんですが、ここでは乱れたホルモン変動を正常に戻す食事について焦点を当てていきたいと思います。
ホルモン変動が乱れている女性は極端に脂肪を摂取せずコルチゾールが高止まりしていた…!
1998年のカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究によると、ホルモン変動の乱れと食事の関係について調べてみたそうです。そもそも月経周期の乱れってのは、多くの場合、無理なダイエットや長時間の有酸素運動、慢性的なカロリー制限に体が対応する為だと思われております。また体重が安定しており、運動習慣のない女性に関しては日々のストレスが原因とのことで、自信がなく、完璧主義者に多いらしい。更にコルチゾールが高止まりしているという共通点もあるみたい。
ということで今回、運動や体重減少と関係ないけど月経周期の乱れている女性とそうでない女性を対象に普段の食事の特徴を比べてみたそうな。
まず最初に参加者候補の方々に聞き取り調査を実施、病歴や月経歴、運動歴、うつ歴(ベックうつ病尺度でチェック)、摂食障害歴なんかを聞いたそうです。次に明らかなうつ病・摂食障害のある方を除外したそうで、結果、参加者は以下のようになったんだとか。
- 月経周期の乱れている女性:8名
- 月経周期が規則正しい女性:8名
因みに月経周期の乱れている女性の定義は、少なくとも半年以上月経がないこととしたみたい。
その後体組成をDXAでチェックしつつ、食事記録と活動記録を7日間つけてもらったそうな。もちろんその間は、いつも通りの食事と運動習慣をしてもらっております。
それでは結果の前に各グループの参加者情報を確認しておきましょう。
- 月経周期の乱れている女性:平均年齢26.7±2.4歳、平均BMI=18.8±0.8、体脂肪率20.3±1.4%、筋肉量75.9±1.4%
- 月経周期が規則正しい女性:平均年齢27.5±1.8歳、平均BMI=20.2±0.6、体脂肪率23.4±0.9%、筋肉量71.0±0.7%
ホルモン変動が乱れている方の方が痩せ型が多く、筋肉が若干ついている感じですな。
では集まったデータを統計処理した結果を見ていきましょう。
- 明らかなうつ病・摂食障害のある方を除外したにも関わらず、月経周期の乱れている女性は月経周期が規則正しい女性よりもスコアが高かった…!
- 食事記録から、月経周期の乱れている女性も月経周期が規則正しい女性も1日の総摂取カロリーは同じぐらいだった。
- しかし、月経周期の乱れている女性は月経周期が規則正しい女性に比べて、脂肪の摂取量が50%も少なく、食物繊維の摂取量が約2倍も多かった…!
- 月経周期が規則正しい女性の相対的脂肪摂取量は31.6±1.9%で、月経周期の乱れている女性の相対的脂肪摂取量は16.3±2.2%しかなく、その変わりを炭水化物の摂取量で補っていた(月経周期の乱れている女性63.1±3.3%、月経周期が規則正しい女性51.6±4.1%)
- タンパク質は同程度だった(月経周期の乱れている女性15.4±2.3%、月経周期が規則正しい女性17.5±1.7%)
- 月経周期の乱れている女性は24時間にわたって高コルチゾール状態だった…!
つまりホルモン変動が乱れている女性は、極端に脂肪を摂取せず、コルチゾールが高止まりしていた…!ってことですね。
では、もうちょい食事データを詳しく見ておきましょう。
- 項目:月経周期の乱れている女性:月経周期が規則正しい女性
- 1日の摂取カロリー:1594±180kcal:1597±133kcal
- 1日のタンパク質:65±11g:69±10g
- 1日の脂肪:29±3g:54±5g
- 1日の炭水化物:273±39g:199±19g
- 1日の砂糖:67±9g:50±10g
- 1日の食物繊維:22±1g:12±2g
まとめると、極端な低脂肪食ダイエットはホルモン周期を乱す…!ってことですな。そして根底には、やせたい願望ってのが関わっていると。
脂肪はホルモンを作るのに必須なんで、そりゃそうだよな~って結論でしたね。
ということでまずは食事から脂肪をしっかり摂ることが重要です。
炭水化物は30%ぐらいが良さそう…!
2012年のコペンハーゲン大学の研究によると、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性を対象にタンパク質と炭水化物の摂取量の影響について調べてみたそうです。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と言えば、女性ホルモンのバランスの乱れが原因の可能性がある病気ですな。んで、先行研究により炭水化物に対して高タンパク質な食事が有効そう…!って結果がいくつか出ているんで、これが本当なのか調べたんだとか。
具体的には、多嚢胞性卵巣症候群に悩む女性57人に協力してもらい、以下の2グループに分けて食事を取ってもらったそうな。
- 高タンパク質食グループ(29名):総摂取カロリーの40%以上をタンパク質から、30%を脂肪から、30%未満を炭水化物から摂取する。
- 普通の食事グループ(28名):総摂取カロリーの15%未満をタンパク質から、30%を脂肪から、55%以上を炭水化物から摂取する。
カロリー制限は特にしなかったそうで、また参加者は全員毎月、食事のカウンセリングを受けたみたい。実験期間は6ヶ月間で、スタート時、3ヶ月後、6ヶ月後に、症状の測定や採血なんかをしたとのこと。
半年間のうちに30名がドロップアウトしてしまったんで、最終的なサンプル数は27名ということでした。それでは結果を見てみましょう…!
半年間、高タンパク質食をした人たちは普通の食事をした人たちよりも、
- 体重が平均で4.4kgも落ちていた…!
- 体脂肪が平均で4.3kgも落ちていた…!
- ウエストも減少していた…!
- グルコース代謝も大幅に改善されていた…!
とのこと。
どうやらタンパク質を増やしつつ、炭水化物を適正量とると良いみたいですね。その適正量ってのが55%ダメ、30%ぐらいは良いって感じなんで、この辺が一つの目安になるみたいです。
どうやらホルモンバランスの観点から見ると、炭水化物の適正量は30%ぐらいみたいですね。そして高タンパク質もポイントだと。
因みにこれらは、
で書いたこととも符合しておりますので気になる方はご覧ください。
を参考にしていただくとよろしいかと思います。
高タンパク質食で男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが正常に向かう…!
2012年のシャヒード・ベヘシュティー医科大学のRCTによると、女性ホルモンのバランスが乱れている方を対象に高タンパク質食の効果を調べてみたそうです。この研究は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)をお持ちの肥満女性60名が参加したもので、以下の2グループにランダムに振り分けられ、食事法を実践してもらったんだとか。
- 低カロリー食グループ:1日のカロリー摂取量の15%をタンパク質にした。
- 高タンパク質食グループ:1日のカロリー摂取量の30%をタンパク質にした。
実験期間は12週間でして、期間中、毎週カウンセリングを実施していたそうな。
また実験スタート時と終了時にホルモンや炎症、脂質、グルコース、インスリンなんかを採血でチェックしたらしい。
その結果、
- どちらのグループも同じぐらいはっきりと体重が減っていた…!
- 高タンパク質食グループの平均テストステロン値が1.78±0.32から1.31±0.26ng/mlに減っていた…!
- 低カロリー食グループの平均テストステロン値が1.51±0.12から1.15±0.11ng/mlに減っていた…!
- 高タンパク質食グループはインスリン抵抗性が改善していた…!
- 高タンパク質食グループはCRP(C反応性タンパク:炎症物質)が大幅に減っていた…!
そうです。
つまり、男性ホルモンが減って女性ホルモンとのバランスが正常に戻りつつあったってことですね。しかも痩せたり、インスリンや体内炎症も改善したと。
ということでタンパク質も多めに摂取すると良さげな感じです。
エストロゲンを増やすなら脂肪を摂取しよう…!
1986年のニューイングランドメディカルセンターの研究によると、白人女性とアジア人女性のエストロゲンレベルと食事の関係について調べてみたそうです。
この研究は食習慣と乳がんリスクの関係をチェックする為に行われたもので、対象者は閉経前及び閉経後の白人女性と東南アジアからハワイへ移住した女性となっております。
実験の流れは参加者全員のエストロゲン(女性ホルモン)とアンドロゲン(男性ホルモン)を24時間チェックした感じでして、その結果、
- 閉経前の白人女性は閉経後の白人女性に比べ、女性ホルモンのレベルが3倍も高かった…!
- 閉経前の女性について、毎日の総脂肪・飽和脂肪酸の摂取量とエストロゲンの濃度には正の相関関係があった…!
とのこと。
つまりエストロゲンを増やしたい場合は脂肪を摂取した方が良いと。
エストロゲンを増やすなら植物エストロゲンを摂取しよう…!
1987年のヘルシンキ大学の研究によると、植物エストロゲンの影響についてレビューしてみたそうです。
このレビューによれば、
って感じ。
植物エストロゲンはエストロゲンと似た働きをしてくれまして、大豆イソフラボンなんかに多く含まれております。
そのため、
- 納豆
- 大豆
- 豆腐
- きなこ
- 味噌
- 豆乳
- その他の大豆製品
とかが良い感じ。
他にも緑茶なんかにも多く含まれております。
こう見ると、日本人が昔から食べてきたものに多く含まれている感じなんで、特定のダイエットの中に日本人女性も多いってのも納得できますな。
エストロゲンを減らすなら食物繊維を摂取しよう…!
女性ホルモン「エストロゲン」が減ると男性の脂肪の付き方に変わる…!
2000年のバーモント大学の研究によると、女性の加齢に伴う、体組成とウエストの脂肪の変化について調べてみたそうです。
今回実験に参加したのは健康な女性81名でして、以下の2グループからなります。
- 平均年齢47±3歳の閉経前の女性53名
- 平均年齢51±4歳の閉経後の女性28名
実験は参加者全員にDXA(二重X線吸収法)を行い、全体とお腹周りの体組成をチェックしてみたんだとか。
その結果、
- グループ間に筋肉量の違いはなかった。
- 閉経後の女性の全身の脂肪量は23±7kgだった。
- 閉経前の女性の全身の脂肪量は18±7kgだった。
- つまり、閉経後の女性は閉経前の女性に比べて、全身の脂肪量が28%も高かった…!
- 閉経後の女性の全身の体脂肪率は35±6%だった。
- 閉経前の女性の全身の体脂肪率は30±9%だった。
- つまり、閉経後の女性は閉経前の女性に比べて、全身の体脂肪率が17%も高かった…!
- 閉経後の女性の内臓脂肪の面積は88±32cm2だった。
- 閉経前の女性の内臓脂肪の面積は59±32cm2だった。
- つまり、閉経後の女性は閉経前の女性に比べて、内臓脂肪の面積が49%も大きかった…!
- 閉経後の女性のお腹周りの皮下脂肪の面積は277±93cm2だった。
- 閉経前の女性のお腹周りの皮下脂肪の面積は227±108cm2だった。
- つまり、閉経後の女性は閉経前の女性に比べて、お腹周りの皮下脂肪の面積が22%も大きかった…!
- 年齢や体脂肪量を調整後も、内臓脂肪における閉経後の女性の差は依然としてあった。但し、お腹周りの皮下脂肪については差が見られなかった。
- 年齢又は脂肪量を一致させた閉経前の女性と閉経後の女性を比べてみたが、全身の脂肪量と内臓脂肪量に同様の差があった…!
とのこと。
つまり、年齢や体脂肪量とは関係なく、閉経後、ウエストに脂肪が付きやすくなっていたってことですね。
また1999年のアムステルダム自由大学の研究では、性転換した人のホルモン治療で脂肪の付き方が変わるのか調べてみたそうです。
この研究は、性転換した方37人を対象に以下の2グループに分かれて追跡調査を行ったと言うもの。
- エストロゲン投与グループ:男性から女性へ性転換した方20人
- テストステロン投与グループ:女性から男性へ性転換した方17人
期間は12か月間でその間、ホルモン投与をしつつ、併せて、体重や皮下脂肪、内臓脂肪などをチェックしたらしい。
結果、男性から女性へ性転換した方は、エストロゲン投与により、
- 全身の皮下脂肪が増加した…!
- 内臓脂肪が減少した…!
とのこと。
また、女性から男性へ性転換した方は、テストステロン投与により、
- 全身の皮下脂肪が減少した…!
- 内臓脂肪がわずかに増加した…!
とのこと。
つまり、エストロゲン(女性ホルモン)で女性特有の脂肪の付き方に、テストステロン(男性ホルモン)で男性特有の脂肪の付き方になった…!ってことですね。
ということで、閉経を含むエストロゲンレベルの低下は男性特有の脂肪の付き方、つまりお腹周りに脂肪が付きやすくなる原因となります。
そのため、女性らしさを残しつつダイエットを成功させるには適切なホルモンバランスも気にしておくと良さげです。
個人的考察
長期的なカロリー制限がまずいのはミネソタ飢餓実験や慢性的なカロリー制限の記事の通りです。そして上記結果のように長期的なカロリー制限は女性ホルモンを乱します。また甲状腺ホルモンやレプチンなんかも乱すんでご注意を。
なんで、おすすめとしてはチートデイの記事に書いた、ダイエットの急激なリバウンドを防ぐため、ある程度、食事制限ダイエットに成功したら、食事摂取ダイエットに移行するってのが良いと思いますねー。
参考文献
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3660717/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12788835/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11533278/
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https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3788827/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1575956/