「アンブレラレビューを見てみよう！」シリーズその61です。
今回は、腸内細菌の代謝物で健康状態が分かるかも…？って研究を見てみます。



腸内細菌の代謝物で健康状態が分かるかも…！っていうアンブレラレビューのお話

2022年の浙江大学の研究によると、トリメチルアミン-N-オキシド（TMAO）と健康状態の関係についてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
トリメチルアミン-N-オキシド（TMAO）ってのは、腸内細菌の代謝物でありまして、魚介類や乳製品、卵、肉（特に内臓系）から作られます。そして先行研究により、血中のTMAO濃度が健康状態と関係していそう…！と出ているんですな。じゃあ、これがどの程度信頼できる情報なのか…？ってことで、今回アンブレラレビューを行い、健康結果をまとめてみたんだとか。
まず研究者たちは、2022年2月15日までに発表した、該当する観察研究のメタ分析をEmbase、Medline、Web of Science、Scopusで検索してみたそうな。すると211件の研究がヒットしたとのこと。次にこの中で被っている研究を除外しつつ、更に各研究の質をチェックしていったらしい。
最終的に選ばれたメタ分析は24件でして、これらを基にTMAOと健康状態の関係を見てみたんだとか。
結果、血中のTMAO濃度が高いと、

  • 全死亡率が増加（HR1.60）…！
  • 心血管イベントが増加（HR1.74）…！
  • 高血圧が増加（RR1.39）…！
  • 心血管疾患が増加（OR1.50）…！
  • 脳卒中が増加（OR2.88）…！
  • 糖尿病が増加（1.75）…！
  • 大腸がんが増加（OR1.49）…！
  • 前立腺がんが増加（OR1.36）…！
  • 肝臓がんが増加（OR2.85）…！
  • 膵臓がんが増加（OR2.36）…！
  • GFRが低下（WMD-12.86、WMD-13.30）…！

だったとのこと。
また、各エビデンスレベル別に分けてみると、

  • 説得力のあるエビデンス：なし
  • 非常に可能性のあるエビデンス：心血管疾患による死亡率、高血圧、心血管イベント、全死亡率、糖尿病、GFR
  • 可能性のあるエビデンス：脳卒中、心血管疾患、大腸がん
  • 上記以外は低いエビデンスやエビデンスなしだった

そうです。
この結果に研究者曰く、トリメチルアミン-N-オキシド（TMAO）は、ヒトの健康状態に関連する新たなバイオマーカーとなる可能性がある、としています。



個人的考察

腸内細菌の代謝物で健康状態が分かるかも…！というお話でした。
やっぱ腸内環境は気にしていきたいですねー。



参考文献