物事を決断するときに大きく2つの方法があります。一つは直感です。なんか分からないけどなんとなくこっちが良いような気がする…!って感じですね。もう一つはじっくり考えて色々悩んだ結果、こっちにする…!って感じです。まぁ、この2つは決断する内容によって無意識に使い分けている人が多いかと思いますが、果たして、科学的にはどっちが良いんですかね~?
今回はそんなお話です。



心理学では意思決定パターンは全部で5つ

心理学では意思決定のパターンは全部で5つあると考えられているそうで、ほとんどの人間はそれら5つのうちから決まった意思決定を使うことが多いらしい。実際TPOによって意思決定の使い分けることもあるそうですが、大体は5つのうちの1つしか使わないそうです。つまり、人間は意思決定においてフォームを守り続けるってことですね。
では、気になる5つの意思決定パターンを見ていきましょう…!

  1. 合理的:論理的に考えて意思決定するパターン。このパターンの人はじっくり考えた上で結論を出すのでフットワークが重い。
  2. 直感的:直感で意思決定するパターン。このパターンの人は瞬間的に結論を出すのでフットワークは軽いが周囲は少し不安になる事もある。
  3. 依存的:周囲のアドバイスを参考に意思決定するパターン。このパターンの人は上司や同僚、友人や家族の意見を参考に結論を出すので自分の意思で決断ができていないとも言える。
  4. 回避的:意思決定を先延ばしするパターン。このパターンの人は結論を先延ばしにするので、いつまでたっても前に進まないことがある。
  5. 自発的:意思決定をスピーディーにするパターン。このパターンの人は物事をあまり深く考えずスピードのみにこだわって結論を出す。早とちりに注意したいところ。

ってことで、どれも一長一短な感じです。
実際、皆さんはどれに当てはまりますかね~?



合理的vs直感的、どっちのパターンが有効か…?

2014年のボーリング・グリーン州立大学の研究によると、参加者の学生168人を対象にアンケートを実施、各学生の意思決定パターンが上記5つのどれかを調べたそう。
その後、どの意思決定パターンを持つ学生が最も正解の答えにたどり着きそうなのか、自己採点と他者採点をしたみたいです。
んで、結果は、

  • 合理的パターンの人は他者から最も正しい決断をしていると思われた…!
  • 直感的パターンの人は自己採点では正しい決断ができていると高評価をしていた…!しかし、周囲からは正しい決断をしているとあまり思われなかった…。

ということです。
つまり、しっかり考えて決断した人は周囲も納得することが多いのに対して、直感で決めた人は自己満足なだけで周囲は冷たい目で見ているらしい…。これは嫌ですね(笑)


また1989年の長崎大学の研究によると長崎大学の学生156名(男性:24名・女性:132名)を対象に意思決定についてアンケートを行ったそうで、結果、合理的パターンの人の方が人生の満足度が高く、日々のストレスも少なかったみたいです。



なるほど…!合理的パターンが良いのね…!と思いたくなるけど、そう物事は単純でもないみたい…。

ここまでお読みの方は、なるほど…!合理的パターンがいいのね…!じゃあ、今後はコレ一択だ…!って思いたくなるんですが、物事はそう単純じゃないみたいでして、というのも、直感的パターンが有効になる場合もあるんですよ。
マルコム・グラッドウェル著「第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい」によると、他者の性格や能力を正確に判断するような場面では、直感的パターンの方が正しいケースが多かったらしいんですよね。つまり、採用担当の面接官で合否の判断をしなければいけない人や上司で部下を評価しなければいけない人、相手が信用できるか否かを判断する仕事なんかをする人は直感的パターンの人が有利…!ってことですね。う~ん。難しい…。



テストで一旦解答した後(直感で答えた後)答えが違うかもと思ったら迷わず解答を変えた方が良い…!損失回避に気を付けろ…!

テストを代表するようにどっちかを選ばにゃいかん…!みたいなシーンはございまして、その際に、直感で行くかじっくりで行くかが選択の分かれ道。
私なんかは択一式問題なんかで、二択まで絞れたけど、どっちか分からん…!という時に、

  1. 始めにこっちっぽいって思った選択肢A(直感)
  2. 後から考え直したらこっちっぽいって思った選択肢B(じっくり)

で、脳内を右往左往した記憶が良くございます。
あの時、結局、Aにすべきか、Bにすべきだったのか…。その答えのヒントになる研究をご紹介しておきます。

2005年のイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の研究によると、ほとんどの人は多肢選択テストを受けるとき、一度選んだ答えを変えない方が良い…!と思っているそうです。つまり、上記の例で言うと、Aの選択をした後、アレBかも…と思っても変えずにAで行く…!って言う人が多いってことですね。これって私とか日本とかじゃなくアメリカでもそうなんですね~。
ただ実際、本当にAで行った方が良いのか、合っている可能性は高いのか…?つまり直感で行った方が戦略的に良いのかは科学的根拠がないってことで、今回調べてみたそうです。
んで、早速結果を見てみると、

  • 解答の変更はほとんどの場合、不正解から正解へ変更されていた…!
  • そのため、解答を変更した人はテストの点数が良くなっていた…!

とのこと。
つまり、テストで一旦解答した後(直感で答えた後)、見直しをしていた時、答えが違うかも…?と思ったら迷わず解答を変えた方が良い…!ってことですね。これは実践に役立つ情報ですなー。

でも実際、冒頭でご紹介したように、直感を信じるという戦法をほとんどの人は変えないそうです。この矛盾はこれ如何に…。
ってことで、研究者は、このように述べられております。

  • 最初の答えにこだわるべきだったときに答えを変更すると、より多くの「しまった感」につながる。これは自分が答えを変えて正解だった時よりも最初の答えを変えて間違ったときの「しまった感」を味わいたくないという気持ちが上回るからだ。結果として、答えを変えた「しまった感」は、答えを変えて正解した時よりも強く印象に残る

とのこと。
もうちょい分かりやすく言うと、

  1. 答えを変える→不正解だった…。(ネガティブ)
  2. 答えを変える→正解だった…!(ポジティブ)

と二つのパターンがあるけど、人間にはネガティブバイアスがあり、「1. 答えを変える→不正解だった…。」を味わう方がずっと嫌で記憶に残るんですよね。逆に「2. 答えを変える→正解だった…!」を選んだ場合はすぐ忘れてしまうようです。そのため、変えれば正解の可能性が高いにも関わらず、変えて不正解になりたくない気持ちが強い為に、変えずにそのままの答えで行く人が多いみたい。
つまり得するより損したくない…!って気持ちが強いってことですね。なんかわかりますな~。因みに専門的には損失回避と言われております。この損失回避が直感を信じるという間違った戦略を選ぶきっかけになっているみたいです。



個人的考察

となると使い分ければ最強じゃん…!って誰でも思うのですが、話が最初に戻って、人間は意思決定において一つのフォームを守り続ける傾向があるみたいなんで、意識していないと結局、素のパターンで判断してしまいそうな感じ。
そのため、個人的には自分がどのパターンなのかを知った上で、上記特徴を覚えておき、その時は、あ、これは自分のパターンで行かない方が良いぞ…!って思い出して対応していくのが良いのかな~と思っております。
因みに私は完全な合理的パターンの人なんで、他者判断の際はなるべく直感を重視してやらないと…!と気を付けております。
最後にじっくり決断ってどうやればいいの…?って方は、空腹時WRAP(ラップ)を使うことがおすすめです。皆さんも参考にしてみてはいかがでしょうか…?



参考文献