【まとめ】うつ病と糖尿病・うつ病とインスリンの関係性について考えてみる!
今回はうつ病と糖尿病・うつ病とインスリンの関係性についてみていきたいと思います。
糖尿病の方は、うつ病の発症率が2倍…!
まずはうつ病と糖尿病の関係から見ていきます。
2001年のワシントン大学のメタ分析によると、糖尿病の成人とうつ病の発症率について調べてみたそうです。
今回ピックアップされた研究は42件だったそうで、総サンプル数は20,218人だったとのこと。これらのデータをまとめた結果、
- 2型糖尿病の人のうつ病の発症率は、糖尿病のない人の2倍だった…!
- 性別や糖尿病の種類などを調整しても結果は分からなかった…!
そうです。
う~ん。2倍はすごいですね…。
うつ病の方は、糖尿病の発症率が37%もアップ…!
続きまして、逆の方向について考えてみたいと思います。
つまり、糖尿病の方はうつ病になりやすいけど、うつ病の人は糖尿病を発症しやすいのか…?ってことですね。
これについては、2006年のアムステルダム自由大学医療センターの研究が参考になります。
この研究は、うつ病と2型糖尿病の発症との関係を調べた先行研究を9つピックアップしてメタ分析してみたもので、早速結論を見ていますと、
- うつ病の成人は2型糖尿病を発症するリスクが37%もアップしていた…!
だったみたいです。
なかなかの数字ですねー。
上記の研究結果も踏まえると、糖尿病になるとうつ病になりやすいし、うつ病になると糖尿病になりやすいみたいなんで、つまり、うつ病と糖尿病の因果関係は双方向に成り立つと言えそう…。
う~ん。やっぱ糖尿病になると、動くのがより億劫になったり、食事の楽しみが減ったり、透析とかで具合が悪くなったりとか色々あるからですかね…?逆にうつ病になってしまうと食事の偏りや運動不足、睡眠リズムの乱れなどの不規則・不摂生な生活が影響するんでしょうか…?
とりあえず気を付けて行くに越したことはなさそうな感じとなっております。
インスリン抵抗性が悪化していると、うつ病の発症率がアップする…!
では次に、うつ病とインスリンの関係を見ていきたいと思います。2010年のタスマニア大学の研究によると、うつ病とインスリン抵抗性との関係を調べてみたそうです。
実験は26歳から36歳までの成人1,732人を対象に行われたそうで、参加者のインスリン抵抗性をチェックしつつ、軽度から重度のうつ病との関係を比べてみたとのこと。
結果、
- うつ病とインスリン抵抗性は関係していた…!
そうです。
更に詳しくデータを見てみると、
- 12ヶ月の間でうつ病を発症した人は男性が5.4%、女性が11.7%だった…!
- うつ病の人の平均インスリン抵抗性は男性が17.2%、女性が11.4%高かった…!
- 行動と食事要因を調整した結果、うつ病に関係するインスリン抵抗性の上昇は、男性が13.2%、女性が6.1%だった…!
そうです。
う~ん…。どうやらインスリン抵抗性が悪化していると、うつ病の発症率がアップしてしまうみたいですね~。
糖尿病にまだなっていなくてもインスリン感受性が低くなっている方は要注意ですね。
うつ病発症率が2.8倍に…!
2007年のオウル大学の研究によると、健康なフィンランド人の男性兵士(徴兵)1,054人(大体19歳ぐらいだった)を対象に横断研究を行ったとのこと。この研究では、参加者のインスリン抵抗性をホメオスタシスモデル評価(HOMA-R=インスリン抵抗性を評価する際の指標の一つ)で調べ、うつ症状の重さについてはベックうつ病尺度(BDI=自己記入式のうつ病評価尺度)で調べたそうです。因みにベックうつ病尺度のスコアが5〜7の場合は軽度のうつ症状が見られ、8以上の場合は中~重度のうつ症状が見られたとのこと。結果、インスリン抵抗性と中~重度の抑うつ症状に関係性が見つかったそうです。詳しくみていくと、
- インスリン抵抗性がかなり悪化していると、うつ病発症率が2.8倍だった…!
- 軽度のうつ病とインスリン抵抗性には関係性が見つからなかった
ようで、つまり、過度な糖質摂取で、インスリン抵抗性が狂うと、中~重度の抑うつ状態に約3倍もなりやすくなるってことですね。おぉ、怖い…。
因みに血糖値の急上昇や急降下はメンタルの不安定さとも関係がありますんで、やはり、注意していきたいですね~。
インスリン抵抗性の悪化でうつ病になった場合、抗うつ薬が効きづらくなってしまう…!
ここまでの内容を一言でまとめると、糖尿病やインスリン抵抗性の悪化とうつ病には関係性がある…!という感じになってしまうんですが、更に怖いのが抗うつ薬が効きづらくなるという話があることです。
2011年のヘルシンキ大学の研究によると、インスリン抵抗性とうつ病、抗うつ薬の関係性について調べてみたそうです。今回研究に参加したのは4,419人(男性2,095人・女性2,324人)で、平均年齢は48.5歳、平均BMIは26.3だったとのこと。
この研究のポイントを並べますと、
- 糖尿病のない人でも、うつ病の症状とインスリン抵抗性は関係していた…!
- うつ病の症状とインスリン抵抗性の関係は、抗うつ薬の使用によって効果を上げる可能性があった…!
とのこと。
つまり、うつ病の発症によってインスリン抵抗性が悪化した場合や、インスリン抵抗性の悪化によってうつ病が発症した場合、抗うつ薬が両方の悪化に一役買ってしまう可能性があるみたい…。
個人的考察
うつ病と糖尿病、インスリンはそれぞれ関係しているって感じでした。
更に、抗うつ薬が効きづらくなってうつ症状が悪化するし、そうするとインスリン抵抗性も悪化してしまうってのは負のスパイラルに陥った感じで嫌ですね…。そのままどんどん悪化していくと糖尿病にもなっちゃいますし…。
これらをみると過度な糖質摂取はもちろんメンタルに良くないですが、かと言って極端な糖質制限なんかをするとそれはそれでうつ病が悪化しちゃうってのが悩ましいところ…。
そのため、ゆる~く糖質制限(マイルドな糖質制限)を行うか、メリハリのついた糖質制限を行うと良いのかな~と思ったり致します。