スーザン・ケインさんのTEDトークから学ぶ内向型の人の力
以前から内向型の人(内向的な人)とか外向型の人(外向的な人)の話を書いております当ブログ。例えば、外向型の人は内向型の人よりコミュニケーション能力が低いって話があったり、はたまた、内向型は恥ずかしがり屋でもないよ~って話があったりと、皆が思うイメージと現実はかな~り違いがあるみたいなんです。そもそも、ほとんどの人が両向型なんだ…!って話もありますからね~。
スーザン・ケイン さんのTEDトークから学ぶ内向型の人の力
今回、ご紹介するのはスーザン・ケインさんのTEDトークになります。「内向的な人が秘めている力」と題したこの動画は、ケインさんご自身が子どもの頃に経験した実体験から、現在の内向型研究を基に、本当はすごい力が内向型の人にはあるけど、世間はそれを知らず、肩身の狭い思いをしている現状があるから、もっと内向型の隠れた才能を活かしていこう…!みたいな話をしております。
とても面白いので、早速見ていきましょう…!
では、動画も見たことですし、ポイントをおさらいしていきたいと思います。
内向型は意外とたくさんいるし、内気とは違う
ケインさん曰く、内向型と呼ばれる人は全人口の3分の1~2分の1程いるみたいです。つまり、2,3人に一人は内向型の人となりますね。でも、世間を見ると、そんなにいるようには見えないですよね。外向型は目立つんで多く感じるだけで、実際は同じかそれ以上に内向型の人がいるそうです。意外…。
または、内向型でも外向型のフリをして過ごしている人が多いみたいでこの当たりは納得できる人も多いのではないでしょうか…?
そして、ケインさんは、内向型の人がもっとクリエイティブ性やリーダーシップを発揮していく必要があると話しております。クリエイティブ性は、まぁ、分かるとしてリーダーシップってのは内向型と真逆な気持ちがするんですが、どういうことなんでしょうかね~?
それはさておき、まずは、内向型な人と内気な人の違いについてケインさんはしっかりと区別して話しております。両者の違いについては、
- 内気:社会的に判断されることへの怖れがあること
- 内向型:社会的なものも含め刺激に対してどう反応するか
ということです。
この当たりは、当ブログで以前に書いた内向型と人見知り・恥ずかしがり・引っ込み思案は違うよ…!って話と同じですね。内気と内向型は似て非なるものってのを、しっかり理解しておく必要があります。
外向型と内向型の違いと現実の問題
いつもそうとは限りませんが、外向型と内向型は多くの場合、以下のように別れる感じだとケインさんはおっしゃっております。
- 外向型:主に多くの刺激を強く求めることを好む
- 内向型:騒がず静かに目立たない環境にいる方が、やる気がアップし、生き生きと能力を発揮できる人達
そして、外向型も内向型もその持っている才能を最大限活かすにはその人に合った刺激の中に身を投じる必要があるそうです。
しかし、現実はここで大きな問題が生じます。
例えば、学校や職場は外向型の人に有利な環境が設けられております。皆さんご存知のように刺激に満ちあふれているんです。そして、クリエイティブ性や生産性はもっぱら社交的な環境により生まれると考えられています。
そんな環境下、例えば、学校で、単独行動をしたり、一人で作業するのが好きな子がいたとしても、それは、はみ出し者とみなされたり、問題児と捉えられたりしてしまいます。学校の先生のほとんどが、理想的な生徒は、内向型でなく外向型だとも思っています。
しかし、実際は、内向型の人の方が外向型の人より成績が良く、知識もあると研究結果で出ているそうです。
そして、これは学校だけでなく、職場にも言えます。
多くの会社が壁のない開放的なオフィスで仕事をしていますし、絶えず雑音や他人の視線にさらされています。そしてリーダーシップが必要な役職からは、まず、内向型の人から除外されていきます。その理由は、内向型の人は注意深く、危険すぎるからと言うことです。
現代では、リスクを避けるよりも大きなリスクを取ってガンガン進めていくのが好まれる傾向にあるからだとケインさんは話しております。
内向型のリーダーは優れている…!歴史上にもたくさん内向型リーダーはいた…!
でも、ここでケインさんは2011年のアダム・グラント教授の研究を出して反論しています。この研究では内向型のリーダーと外向型のリーダーってどっちが優秀なの…?ってのを調べておりまして、その結果は、
- 内向型のリーダーは外向型のリーダーに比べ、良い結果を生むことが多かった…!
ということです。理由に関しては、
- 内向型のリーダーは積極的に部下のアイディアを出させるのが上手かった…!また、部下が活躍できるようにさせるのも上手かった…!
- 外向型のリーダーは気づかないうちに何でも自分で仕切ることに夢中になっていた…。結果、部下のアイディアがなかなか活かされないようになっていた…。
と言うことです。
内向型の人がもっとリーダーシップを発揮していく必要があるというのも頷けますね。
本当に両極端な内向型や外向型はいない…!
内向型・外向型という言葉を広めたカール・ユングは、純粋な内向型の人や純粋な外向型の人というのはいないとしています。そして、例え、いたとしても精神病院の中だろうとも言っているそうです。
そして、内向型と外向型の真ん中にいる両向型という人たちもいます。
両向型は内向型と外向型の両方の長所を併せ持った人と言えるそうです(グラント教授によれば、大多数の人が両向型とのこと)
でも、ほとんどの人は自分が内向型か外向型のどちらかだと思っているそうです。
内向型の人がもっとクリエイティブ性を発揮していく必要がある理由
冒頭にあった、なぜ、内向型の人がもっとクリエイティブ性を発揮していく必要があるのか…?という疑問についてですが、クリエイティブ性が非常に高い人の人生を研究したら、アイディアを交換し、発展させることが上手い一方で、非常に強い内向的性質を併せ持っていたそうです。
なぜこういったことが起こるのかと言うと、クリエイティブ性にとって重要な要素は孤独だからだとケインさんは申しております。
例えば、
- ダーウィンは、一人で森を長時間散歩することが多く、パーティには参加しなかった
- ドクター・スースは、自宅裏にある孤独な塔のような書斎で絵本などの作品を生み出していた
- スティーブ・ウォズニアックは、当時働いていたヒューレット・パッカード社でいつも自室に一人閉じこもっていた。そして、子どもの頃、いつも家に閉じこもっているような内向型な性格でなければ、そもそも技術を極めることもなかっただろうとも言っている
ということです。
もちろん共同作業などを一切やるなって話ではないとケインさんは注意を促しております。ウォズニアックとジョブズがアップルを始めて成功したのは共同作業の良い例だとしています。しかし、その一方で孤独もまた大切であるとしています。孤独は人々にとって呼吸する空気のようなものだともケインさんは言っております。
そもそも昔は内向型がロールモデルだった…!しかし時代の変化とともに外向型がロールモデルになった…!
内向型(孤独)の能力が素晴らしい力であることを、私たちははるか昔から、何世紀にも渡って知っていたとケインさんは話しています。例えば、世界の主要な宗教を見るとどの中にも探求者が現れます。モーゼ・イエス・ブッダ・ムハンマドなどです。
探求者は一人で荒野をさすらい、その中で顕現や啓示を得ます。そしてそれを皆のいるコミュニティへと持ち帰ります。つまり、荒野なくして啓示はないのです。
これらの現象は現代心理学の知見から照らしてみても、なんら、不思議なことではないとケインさんは言います。
なぜかというと、グループの中にいると他人の意見を無意識に真似るようになるからです。また、どんな人を魅力的に感じるか、個人的な直感でさえ、周囲の人の見方に追従するようになるからとのことです。そして、グループというのはその場の支配的、乃至は、カリスマ的な人の意見に従います。トークスキルが高い事とアイディアが優れていることの間に相関関係なんて全くないにもかかわらずです。つまり、一番良いアイディアを持つ人に従っているのかどうかも分かりませんが、そういったことが起こるそうです。これは分かりますね。
更に、アメリカでは常に考える人よりも行動する人が好まれてきたそうです。
例えば、アメリカの初期の自己啓発書を見ると「品性の修養」のような題名の書籍が多いそうです。そして、ロールモデル(目標とする人)として出てくるのはリンカーンのような謙虚で高ぶらない人だったとケインさんは言います。エマーソンはリンカーンについて、自分の優位性で人を不快にすることが決してない人だった、と言っているそうです。
しかし20世紀になると、歴史家が「個性の文化」と呼ぶ、新しい文化の時代に入ります。農業経済から大企業中心の世界へと発展し、人々は急速に小さな町から都市へと移り住むようになります。結果、子どもの頃からよく知っている人たちと一緒に働く暮らしを捨て、知らない人の集団の中で自分の能力を示さなければならなくなりました。そして、必然的に魅力やカリスマ性といったような、資質が突然重要になったそうです。
この頃になると、自己啓発書も「人を動かす」のような題名が付くようになったそうです。そして、ロールモデルは、優れたセールスマンになったと言います。
外向型と内向型、それぞれが最高のパフォーマンスを発揮するには…。
ここまで内向型の良さについて触れてきましたが、もちろん皆さんご存知の通り、外向型も素晴らしい能力であることに変わりありません。
では、外向型と内向型、それぞれが最高のパフォーマンスを発揮するにはどうすれば良いのでしょうか…?
ケインさんはTEDトークの締めくくりとして、外向型と内向型が互いにもっと手を取り合って協力していく必要があるとおっしゃっております。そして、そのためには外向型も内向型もすべきことが3つあるとも言っておられます。
1つ目は、常にグループ作業をすることはやめた方が良いそうです。
職場ではうち解けたカフェのようなおしゃべりによる雑談は必要です。積極的に行っていくべきでしょう。人々が会って情報交換することにより、思いがけないアイディアが生まれる可能性があるからです。そして、これは外向型にも内向型にも素晴らしい物だと言います。
しかし、一方で、職場や学校にはもっとプライバシーが、もっと自由が、もっと自律性が必要だと言います。一緒に作業する方法を教えるべきですが、一方で、独りで作業する方法も教える必要があります。これは外向型にも重要なことです。独りで作業する必要がある理由はそれが深い思考の生まれる場所だからということです。
2つ目は、自分の一人で過ごす時間を作った方が良いそうです。
気を散らすもの(人やスマホなど)から離れ、自分の思考に耽る時間をもう少し増やすと良いそうです。
3つ目は、自分の外向型・内向型の良さを考えてみると良いそうです。
ケインさんは、外向型の人は様々な機会に外向型の良さを出して、自分のエネルギーと喜びを他人にも分け与えて欲しいと言います。
そして、内向型の人は内向型であることを隠そうとしてしまいます。それはそれで良いんですが、たまには他人に内向型の良さを出して見せて欲しいと言います。
ケインさん曰く、世界はあなた(内向型の人)とあなたが持っているものを必要としていますとのことです。
個人的考察
ということでいかがだったでしょうか…?
外向型の良さはもちろんあるけど、内向型だって良さはたくさんあるよ…!そんでもって、外向型、内向型、それぞれが活きる環境を用意して、良さを出し合うと良いよ…!ってことで、内向型の私(調べると両向型らしいですが)にとっては、非常に勇気をもらえる内容でした。