以前に書いた通り、当事業所で働くスタッフ向けに福利厚生冊子なるものを作成、入社した方には必ず私から直接説明し、全員に配布、更に1年に一度更新して再配布を(目標に)しています。働くスタッフが雇用形態に応じた仕事量や責任を過不足なく与えられ、更に、今後、ステップアップを考える際の指標として使っていただけたらってのがその趣旨ですね。
その中に比較的最近取り入れた…といっても、事業所自体まだできて何十年も経っていないんですが、兎に角、3年前ぐらいにできた制度として「永年勤続表彰制度」ってのがあります。ご存知の方も多いように、永年勤続表彰制度ってのは長く働いた方にありがとうという感謝の気持ちとプレゼントを渡すイベントでして、当事業所では、社員・パートに関係なく表彰されるよう年数を短くするなど工夫しているわけですよ。
んで、当事業所では、おそらくほかの会社ではないようなルールを私は取り入れました。
それは、永年勤続表彰制度のプレゼントは会社が指定した金額内で自分で選んでもらい、会社が代わりに購入、当日プレゼントするって方法です。サプライズ性もへったくれもないこのルールにしたのはなんでなのか…?今回はそこについて、書いておきます。



利便性が高くて使いやすい物を選ぶ

永年勤続表彰制度のルールを作る際に、まず最初に参考にしたのが2014年のセントジョセフ大学などの研究になります。この研究によると、プレゼントをあげる側、もらう側の双方の考え方やプレゼントの評価を調査したそうです。結果、利便性が高くて使いやすい物かどうかを考えて選ぶと良いんだそうな。
なるほど、普段使いやすい便利なプレゼントがおすすめってことですねー。



プレゼントは複数渡さず1つにする

2012年のバージニア工科大学などの研究によると、7つの実験を行い、複数のプレゼントを渡すとどうなるのかを調べたそうな。んで、結果が、もらう側が非常に喜ぶプレゼントにまぁまぁなプレゼントを合わせると評価が下がってしまうそうです。
なんでも、プレゼントをたくさん渡せば渡すほど良いみたいな戦略は、もらう側が非常に喜ぶプレゼントの力を他のプレゼントが弱めてしまうそうで、結果、あんまり期待した効果が出ないらしい。数が多すぎて濃度が薄まり、高価なプレゼントもしょぼく見えてしまうってことですね。
そのため、プレゼントを渡す側は、1つのプレゼントをより高価に見せるためにお金を使った方が良いんだとか。
渡すものは1つが良いと…。



プレゼント選びにミスったらどれだけ頑張って選んだかを伝える

2012年のシンガポール国立大学の研究によるとプレゼントは、2つの意味があるそうで、一つは相手に喜んでもらえるよう渡すものを色々考えること、もう一つは何かを渡すという行為そのものであるそうです。そして、一つ目の相手に喜んでもらえるよう渡すものを色々考えることってのが重要であると研究者は考えたんだそうな。そこで、研究者は、プレゼントを選ぶ際に色々考えること自体がどのように重要になるかを調べたとのこと。
3つの実験を行った結果、プレゼント選びをミスってもらう側が喜ばなくても、そのプレゼントを選ぶ際にどれだけ相手に喜んでもらえるよう色々考え、選んだかを伝えれば、プレゼントそのものはダメでも、色々自分の為に考えてくれたこと自体に感謝してくれるそうです。つまり、頑張ってプレゼントを選んだことそれ自体もプレゼントとなりプレゼント選びのミスをカバーできるって感じですね。
ミスった時のリカバリーにこれも必要ですねー。



同時に複数の人にプレゼントを渡すときは同じものを贈る・プレゼントを選ぶときは相手の身になって考える

2011年のセントルイス・ワシントン大学の研究によるとプレゼント選びがどのように影響するかを調べたそうです。実験は全部で6つ行われたそうで、そこで分かったことは、同時に複数の相手にプレゼントを渡すときは同じものを贈ると良いそうです。その方が全体的な満足度が高かったんだそうな。また、相手の欲しいプレゼントが分からないときは相手の身になって考えて選ぶと失敗する確率が減ったみたいです。
同時に表彰される方がいた場合は同じ物が良さそうですねー。あと選ぶときは相手に聞けないなら相手になって考えると…。



ここまでの情報をまとめて、更にぶっちゃけた研究を見てみると…。

ここまでのデータをまとめてみると、

  • 利便性が高くて使いやすい物を選ぶ
  • プレゼントは複数渡さず1つにする
  • プレゼント選びにミスったらどれだけ頑張って選んだかを伝える
  • 同時に複数の人にプレゼントを渡すときは同じものを贈る
  • プレゼントを選ぶときは相手の身になって考える

となります。
こりゃなかなかプレゼントを選ぶのは大変そうですね…。そこで、最後はぶっちゃけた研究を参考にしてみましょうか…。
これは当ブログ何度登場しているハーバードビジネススクールのフランチェスカ・ジーノ教授の2011年の研究で、5つの実験をした結果、

  • プレゼントをもらう側が欲しいと言っていたプレゼントを渡した方が、渡す側が選んだプレゼントよりも喜んでくれた…!
  • 渡す側はもらう側が欲しいといったプレゼントでも渡す側が選んだプレゼントでも同じようにもらう側は喜んでくれると思っていた…。

そうです。このすれ違いは…痛い…。
つまり、プレゼントで何が欲しいかは、もらう側に尋ねた方が、渡す側が考えるよりも喜んでもらえる可能性が高いってことですね。
更に2つの研究では、最も良いプレゼントは何かを調べたそうで、結果は、

  • お金…!

だったとのこと。うあー正直(笑)
以上を踏まえて、もう一度考え直すと、利便性が高くて使いやすい物を選ぶ・プレゼントは複数渡さず1つにする・プレゼント選びにミスったらどれだけ頑張って選んだかを伝える・同時に複数の人にプレゼントを渡すときは同じものを贈る・プレゼントを選ぶときは相手の身になって考えるは、全て、自分で選んでもらったプレゼントを渡せば問題なし…!ってことになりますね。それか「金」ってことに(笑)

ということで、結果、当事業所の「永年勤続表彰制度」は金…!ではなく(笑)、会社が指定した金額内で自分で選んでもらい、会社が代わりに購入、当日プレゼントするって方法になったということです。



個人的考察

自分でプレゼントを選んでもらう際に、カタログギフトって手もあるんですが、アレってあんま欲しい物がなかったり、こんなものがこんな値段…?って物があったりしてなかなか良い感じで選べないことがありますよね…?
そのため、当事業所では、Amazonや楽天なんかから選んでもらっております。その方が充実のラインナップですし、コスパも良い商品が多いですからね~。
もし、まだ永年勤続表彰制度を取り入れていない事業所さんがおりましたら、ぜひ、参考にしてみてください。



参考文献