毎月恒例の月1社内研修が令和3年8月9日にありましたので、内容を備忘録としてブログに残しておきます。過去の社内研修内容を確認したい場合は下記からご覧ください。




障がい者雇用を促進するための制度

障がい者雇用を促進するために国は様々な制度を用意しておりますが、結構その制度はちょこちょこアップデートされます。例えば、法定雇用率や助成金なんかですね。
そこで今回は、障害者雇用率制度(障害者の法定雇用率)、障がい者雇用のための助成金と無期転換ルールについて社内研修を行い、把握することと致しました。因みに以下の内容は令和3年4月1日時点となりますので、ご注意ください。
以降の更新内容については下記をご覧ください。




障害者雇用率制度(障害者の法定雇用率)

障害者の雇用の促進等に関する法律(以下「障害者雇用促進法」という。)は、障害のある人が能力を最大限発揮し、適性に応じて働くことができる社会を目指すため、様々な制度を規定しています。この中に障害者雇用率制度(障害者の法定雇用率)についての記載があります。そして、障害者雇用率制度とは「障害に関係なく、希望や能力に応じて、誰もが職業を通じた社会参加のできる「共生社会」実現の理念の下、すべての事業主には、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務があること」を言うそうです。

んで、令和3年3月1日から障がい者の法定雇用率が引き上げになったなんですよね。詳しくは下記表のようになっております(クリック又はタップで拡大します)


今回の法定雇用率の変更に伴い、障がい者を雇用しなければならない民間企業の事業主の範囲が、従業員43.5人以上に変わりました。0.1%アップしただけですが、以前ギリギリ達成していた企業や中大企業なんかは注意しておきたいところですよね。

そして、この障害者雇用率制度の算定対象となる障害者は、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所持者に限られます。つまり、障害者手帳を持っていない方に関しては算定の対象外となりますので注意が必要です。また、手帳の更新をせずに失効した場合も算定の対象外となります。
雇用した当時は算定の対象だった方も、現在は対象外の場合がありますので確認が必要です。特に精神障がいの方は2年更新とスパンが短く、忘れがちになるんで注意が必要です。また、知的障がいの方や身体障がいの方の場合は、10年後更新なんて場合があります。前回の更新から期間が空き過ぎて忘れる…!なんてことがないよう、合わせて注意が必要ですね~。

対象となる障がい者を一人雇用している場合のカウント数については下記表のようになります(クリック又はタップで拡大します)


補足を書いておくと、ダブルカウントは一般的に、1人で2人分のカウントになることを言うことが多いです。一応0.5人で1人分のカウントになる場合を言うことがあります。
それと、身体障がいの方や知的障がいの方で等級や判定の重い方にはダブルカウントがありますが、精神障がいの方にはダブルカウントがありません。ここも合わせて覚えておきたいところですねー。


ここで、常用労働者ってなに…?って方もいると思いますので、下記にまとめておきます。法定雇用率を計算する際は健常者、障がい者の常用労働者を調べる必要がありますので、是非参考にしてみてください(クリック又はタップで拡大します)


上記を基に例題で計算してみましょうか。
例えば、労働時間が週38時間の労働者80人、週19時間の労働者45人を雇用している民間企業があったとします。
この場合で計算してみると、

  1. 常用労働者数=80人+45人×0.5=102.5人
  2. 法定雇用障害者数=102.5人×2.3%=2.3575人
  3. 小数点以下切り捨ての為、2.3575人⇒2人が法定雇用障害者数

つまり、2人以上の障がい者を雇わなければいけない事になります。
これを上記にある、障がい者を一人雇用している場合のカウント数の表で確認し、障がいのある方の雇用数と照らし合わせて、法定雇用率が達成しているか未達成なのかを確かめます。
例えば、

  • 30時間以上のダブルカウントの方を1人以上雇用している
  • 30時間以上の方を2人以上雇用している
  • 30時間以上の方を1人、短時間労働者の方(0.5の方)を2人以上雇用している

って場合は達成となります。
法定雇用率が未達成の場合は、行政指導、企業名の公表、障害者雇用納付金を納めなければならない場合がありますので、是非、達成会社を目指していきたいですねー。
逆にまだ達成していない会社さんは、障がい者雇用を考えてもらうチャンスですんで、一般就労したい利用者さんをおすすめしていきたいですね…!



障がい者雇用のための各種助成金

障がい者雇用を促進する為に、事業主に対する助成金や税制上の優遇措置など、様々な支援制度があります。そこで今回は各種助成金について挙げていきます。また、実際に助成金が支給されるか否かの判断はハローワーク(労働局)が行う為、詳しくはハローワーク(労働局)に問い合わせしてもらう事になります。そのため、支援者は「助成金がでます…!」のように言いきらない、絶対に判断しないのが重要です。「助成金が出る可能性があります」のように言いましょう
これはのちの紛争を予防する為でもあります。助成金の額は100万円を超えるものもあり、助成金も視野に入れつつ、障がい者雇用をする企業があります。雇用した後、結果、助成金が支給されなかった場合、支援者が助成金が出る…!と言っていたら、得べかりし利益(本来得るはずだった利益)は誰が補てんすることになるのでしょうか…?そして、雇用された障がい者はそのままその企業で上手くやっていけるのか…?考えただけでゾッとしますよね…。ということで、ここは絶対に気を付けましょう…!
また、ハローワーク職員に同行してもらい、直接企業の方に説明してもらうって方法も有効なんで使うのもアリです。
それと、雇用の予約にも注意しましょう。雇用の予約とはそのままの意味であらかじめ雇用されることが確定した状態にしておき、その後、求人応募等を行う事を言います。例えば、実習で出勤簿を作るなどは該当する可能性が高いです。助成金が受けられなくなる可能性が高まるため、是非注意しましょう。
では、基本を抑えたところで、各種助成金の概要についてみていきたいと思います。それぞれの詳しい内容については各リンクをクリックまたはタップしていただき、行政のPDFをご覧になってください。



トライアル雇用は3ヶ月行う予定で結果的に2ヶ月で終了する場合は良いんですが、最初から2ヶ月で行おうとしてはいけないみたいです。
トライアル雇用は3ヶ月行う予定で結果的に2ヶ月で終了する場合は良いんですが、最初から2ヶ月で行おうとしてはいけないみたいです。
こちらも就労継続支援A型に就職した場合は対象外となっております。



特定求職者雇用開発助成金 特定就職困難者コース(特開金)

定求職者雇用発助成 特定就職困難者コース(「特開金(とっかいきん)」と呼ぶことがある)は、ハローワークの紹介で身体障害者・知的障害者・精神障害者を常用雇用する事業主に対して助成されます。
支給額の幅、期間は細かく、支給総額は短時間の場合は80(中小企業以外は30)万円、短時間以外の場合は120(中小企業以外は50)万円から最大240(中小企業以外は100)万円となっています。
こちらは就労継続支援A型に就職した場合は対象となります。
障害者手帳がある場合はこちらの助成金を申請します。



特定求職者雇用開発助成金 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース(発難金)

特定求職者雇用開発助成 達障害者・治性疾患患者雇用開発コース(「発難金(はつなんきん)」と呼ぶことがある)は、発達障害者・難治性疾患患者であって、障害者手帳をお持ちでない方をハローワークの紹介で常用雇用し、雇用管理に関する事項を把握・報告する事業主に対して助成されます。
支給額の幅、期間は細かく、支給総額は短時間の場合は80(中小企業以外は30)万円、短時間以外の場合は120(中小企業以外は50)万円となっています。
こちらも就労継続支援A型に就職した場合は対象となります。
障害者手帳がない場合はこちらの助成金を申請します。



特定求職者雇用開発助成金 障害者初回雇用コース(廃止)(ファースト・ステップ助成金(奨励金))

障害者雇用の経験がない50人から300人の企業で、ハローワークの紹介で初めて障害者を雇用し、その後3ヶ月以内に法定雇用障害者数の雇用を達成した事業主に120万円を支給していました。
就労継続支援A型に就職した場合は対象外となっております。
余談ですが、これがなくなったのが衝撃的でしたねー。



障害者雇用安定助成金 障害者職場定着支援コース

障害者雇用安定助成金 障害者職場定着支援コースは、令和3年4月1日以降から廃止、再編がありました


キャリアアップ助成金 【障害者正社員化コース】

キャリアアップ助成金 【障害者正社員化コース】は、障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換した事業主に対して助成します。支給額の幅、期間は細かく、支給総額は33万円~120万円となっています。


障害者介助等助成金【職場支援員の配置助成金】・【職場復帰支援助成金】

障害者介助等助成金【職場支援員の配置助成金】は、雇用する障害者の職場定着を図るために職場支援員を配置した事業主に対して助成します。支給額の幅、期間は細かく、支給月額は1.5万円~4万円となっています。

障害者介助等助成金【職場復帰支援助成金】は、中途障害者等に対して、療養のための休職後の職場復帰後の本人の能力に合わせた職域開発その他職場復帰のために必要な措置を講じた事業主に対して助成します。支給額の幅、期間は細かく、支給月額は4.5万円~6万円+講習経費があれば3万円~12万円となっています。



障害者雇用安定助成金 障害者職場適応援助コース

障害者雇用安定助成金 障害者職場適応援助コースは、令和3年4月1日以降から廃止、再編がありました


職場適応援助者助成金【訪問型職場適応援助者助成金・企業在籍型職場適応援助者助成金】

職場適応援助者助成金【訪問型職場適応援助者助成金企業在籍型職場適応援助者助成金】は、職場適応援助者による援助を必要とする障害者のために、職場適応援助者による支援を実施した事業主に対して助成します(同一の企業在籍型職場適応援助者は1回のみ)。支給額の幅、期間は細かく、訪問型職場適応援助者助成金の場合は1日8000円~1.6万円+研修受講料の1/2の額となっています。企業在籍型職場適応援助者助成金の支給月額は3万円~12万円となっています。


以上が助成金となっております。それと、トライアル雇用助成金+特定求職者雇用開発助成金+障害者雇用安定助成金と複数の助成金をもらうことも可能となっております。



無期転換ルール

障がい者に限定された内容ではないんですが、長期的に就労した場合のメリットとして「無期転換ルール」っていうのがあります。
無期転換ルールとは、有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときに労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールのことを言います。期間の定めのない労働契約に転換することで、雇用が安定し、安心して働き続けることに繋がるという感じですね。
また、労働者からの申し入れに対して、企業は拒否できないところもポイントの一つとなっております。申し込み方法は口頭でも可能なんですが、後にもめる可能性があるため書面を交わす方が良いです。書面については以下のイメージとなります(クリック又はタップで拡大します)




個人的考察

法定雇用率や助成金などは数年で変更が起こる可能性が高い為、常に最新版かどうか意識していく必要があります。また、不安な場合は企業に支援者から伝えず、ハローワークに問い合わせをしてもらうよう促していくのがよろしいかと思います。

助成金等の行政のページやPDFについては、下記の参考文献からもご覧いただけますので、必要な方はお使いください。



参考文献

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaisha/04.html
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000761619.pdf
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shisaku/jigyounushi/intro-joseikin.html
https://www.mhlw.go.jp/content/000562055.pdf
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000200888.pdf
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000103780.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/000553237.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/000575747.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/000745920.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/11700000/000732171.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/000765144.pdf
https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/kaijo_joseikin/q2k4vk000003ohsg-att/q2k4vk000003ohur.pdf
https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/q2k4vk000003oh34-att/q2k4vk000003oh5f.pdf
https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/q2k4vk000003ohj0-att/q2k4vk000003ohkw.pdf
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11201250-Roudoukijunkyoku-Roudoujoukenseisakuka/0000177137.pdf