果物(フルーツ)を積極的に食べよう…!みたいなことを書いている当ブログ。下手にお菓子みたいなオメガ6脂肪酸トランス脂肪酸などがたんまり使われている加工食品を食べるくらいなら、体に良いので…。
他にも、ダイエット睡眠にも良さげですし、ストレス頭にも良いなんて話もあります。
そんな果物なんですが、果糖の問題を書いていなかったな~っと思いまして、今回はそのあたりについて書いておきます。



果糖(フルクトース)は体にどのような悪影響をもたらすのか…?

皆さんもご存知の通り、果物の甘みは果糖(フルクトース)です。
んで、この果糖なんですが、いったい体にどのような悪影響をもたらすのでしょうか…?
まず、みていきたいのが2005年の研究になります。この研究によると、果糖にはAGEs=終末糖化産物。タンパク質を高温で熱すると出来る老化物質。強い毒性があり糖尿病を引き起こすと言われる老化物質を作り出す働きがあるそうなんですよ。そして、気になるのはその働きがブドウ糖の約7倍もあるってこと。つまり、果物の甘みは老化を促進させるってことですね(老化とはつまり酸化するってことになります)
更に2007年の研究によると、どうやら果糖はこの老化のスピードを促進させる効果もあるみたいで、ちょっと気になるところですよね…。
他にも2010年のカリフォルニア大学の研究によると、すい臓がんを促進させるかも…!な~んて話もあったりします。う~ん。気になる…。
また2010年のローザンヌ大学の研究によると、果糖が体内に入ると体全体に運ばれることなく肝臓に速攻で送られ、ブドウ糖や脂肪に変わってしまうそうなんですよね。つまり、太る可能性がある…!ってことで、この当たりも気になりますね~。
他にも腸にダメージを与えるリーキーガットや尿酸値をアップさせて痛風を発症させるなどの可能性もあり、果糖はなかなかの嫌われ者の様子なんです。



でも、デメリット以上に果物のメリットは多い…!

ここまでだと、果物を食べる気が失せてしまうんですが、それは早とちりです。
まず、上記の研究は果糖についてなんで、果物の果糖と加工食品の果糖では、また結果が違う可能性があります(つまりカロリーの質の問題と同じ)。それに果物には果糖の他にも様々なビタミンや抗酸化物質が大量に入っていますんで、これを無視するのももったいないです。
それに冒頭で挙げたようにメリットもたくさん見つかっておりますんで、上記だけを見て、もう果物は喰わん…!ってのは、あまりにも極端すぎる話。だって、そんなこと言ったらどのような食べ物でもデメリットはありますからね~。
では、メリットを最大限得つつ、デメリットを最小限に止めるにはどれぐらい食べれば良いのか…?って話なんですが、

  • 1日15gから25gの果糖を食べる…!

を守ると良さそうな感じです。
因みに一般的な果物の100gあたりの果糖の量の目安が、

  • リンゴ→7.6g
  • ぶどう→7.6g
  • なし→7.6g
  • チェリー→6.2g
  • キウイ→4.3g
  • ブルーベリー→3.7g
  • メロン→3.3g
  • ラズベリー→3.2g
  • マンゴー→2.9g
  • バナナ→2.7g
  • イチゴ→2.5g
  • オレンジ→2.5g
  • パイナップル→2.1g
  • グレープフルーツ→1.2g

ということです。
それと、冒頭で挙げた以外の果糖のメリットを挙げておきます。



果糖で運動能力がアップする…!

2012年のPerfect Health Dietの記事には2011年のRCT2008年のバーミンガム大学の研究1987年の研究2000年のヴァンダービルト大学の研究を参考に果糖で運動能力がアップする…!って話を書いております。
ポイントをまとめておくと、マラソンなどの持久力のレースの最中やその日2回目のレースでエネルギー回復をすばやく行うにはグリコーゲンの補給が最重要ポイントである。そして、ブドウ糖70%と果糖30%を摂取すると良い。だから果糖は良いよ…!ってことでした。



果糖は血糖値のコントロールに良い…!

また2011年のRCTによると152人の2型糖尿病患者を対象として6ヶ月間行われた実験では、果糖でHbA1cの値が約0.5%も下がった(=血糖値が下がった)そうです。果糖はブドウ糖や脂肪に変わりやすい一方で、血糖値を下げる効果もあるんですね。
更に2012年のマクマスター大学の研究によるとどうやら果糖は血糖値をコントロールする働きもあるみたいなんで、上記を含め、気になる方は積極的にフルーツを食べてもよろしいのではないでしょうか…?
因みに上記研究は小規模とはいえ、RCTのメタ分析なんで、とりあえずなかなか期待してよろしいかと思います。



週に300g果物を食べると2型糖尿病リスクが下がる…!特にブルーベリーが良い…!

2013年のハーバード公衆衛生大学院の研究によると、果物の摂取量と2型糖尿病リスクの関係について調べてみたそうです。
この研究は当ブログ何度登場している以下の3つの前向きコホート研究を使ってチェックしたとのこと。

  1. Nurses' Health Study(NHS):期間は1984~2008年。女性66,105人のデータ。
  2. Nurses' Health Study II(NHS II):期間は1991~2009年。女性85,104人のデータ。
  3. Health Professionals Follow-Up Study(HPFS):期間は1986~2008年。男性36,173人のデータ。

追跡期間中に12,198人の参加者が2型糖尿病を発症したとのことで、変数を調整後、果物の摂取量と2型糖尿病リスクを比べてみた結果、

  • 果物全体の消費量が1週間のうち3サービング(果物の1サービングは100gなので300g)だと2型糖尿病リスクが0.98と下がっていた…!

そうです。
つまり定期的な果物の摂取は糖尿病リスクを下げる…!ってことですね。
更にどの果物が良いのか種類ごとに調べた結果がこちらとなっておりました(全て週3サービング食べたと仮定)

  • ブルーベリー:0.74
  • ブドウ・レーズン:0.88
  • プルーン:0.89
  • リンゴ・ナシ:0.93
  • バナナ:0.95
  • グレープフルーツ:0.95
  • モモ・プラム・アプリコット:0.97
  • みかん:0.99
  • イチゴ:1.03
  • メロン:1.10
  • フルーツジュース:1.07

これらを見ると、ポリフェノールが豊富な果物(≒色が濃い果物)であるブルーベリーやブドウ、プルーンは好成績ですねー。逆に果物でも糖尿病リスクが上がる物もあったみたいで、イチゴ・メロンが該当しているみたいですね(まぁ、メロンは果物ではないかもですが)。そしてやっぱりフルーツジュースはダメっぽいです。
ということで研究者は、

  • 特にブルーベリー・ブドウ・リンゴの消費量が多いほど、2型糖尿病のリスクが低くなっていたから積極的に食べよう…!逆にフルーツジュースの消費量が多いほど2型糖尿病のリスクが高くなっていたから気を付けてね…!

とおっしゃっておりました。
やっぱり果物も未加工のまま食べた方が良さそうですねー。



果物(果糖)を食べると痩せる…!は本当か…?

精製砂糖人工甘味料と肥満は関係ない…!むしろ痩せるかも…!みたいな話がありましたが、では、果物の果糖はどうなのでしょうか…?
まず参考にしていきたいのが2005年のナバーラ大学の研究になります。この研究では、肥満体型の女性15人を対象に8週間、果物(果糖)をたくさん食べるグループと少なく食べるグループにランダムに振り分け、違いが出るのか調べて見たそうです。
結果、1日の総摂取カロリーを等しくした場合、果物(果糖)の摂取量は多くても少なくても体重減少効果はほとんど変わらなかったらしい…。

また2009年のデンマーク工科大学の研究によると、果物の摂取量と体重に関する観察研究をレビューしてみたそうです。今回レビューしたのは、3つの介入研究と8つの前向きコホート研究、5つの横断研究とのこと。
早速ポイントを見てみると、

  • 介入研究のうちの2つは、果物の摂取が体重を減少させることを示していた…!
  • 前向きコホート研究のうちの5つは、果物の消費量が多いと肥満の発症リスクを下げると示していた…!
  • 横断研究のうちの4つは、果物の摂取量と体重の間に逆相関があった…!(=果物の摂取量が多いとスリムだった)

ということです。
つまり、果物(果糖)を食べる量が多いほど体重が減るし、肥満の発症リスクも下がるし、体重が軽い人も多かったっていう話ですね。う~ん。これをみるとやはり、果物を食べると痩せるんですかね~?

更に2011年のNational Institute of Cardiology Ignacio ChavezRCTによると、果糖と体重減少・メタボの関係について調べてみたそうです。実験に参加したのは131人で、そのうちの122人(78%)は女性だったそうで、平均年齢は38.8歳、平均BMI=32.4だったそう。なかなかの肥満な方々ですね~。
参加者はランダムに低果糖食グループと中程度の天然果糖食グループに分けられまして、更に性別や年齢、身長に応じて1日の摂取カロリー量を1500kcal、1800kcal、2000kcalと振り分けたみたい。
6週間後の結果はこんな感じ。

  • スタート時と比べ、両グループとも有意に体重減少が見られた…!
  • 中程度の天然果糖食グループは、平均で4.19kgも痩せた…!
  • 低果糖食グループは、平均で2.83kgも痩せた…!
  • つまり、天然の果糖(未加工のフルーツ)をたくさん食べる方が痩せた…!

これをみると単に果糖は痩せやすいのではなく、天然の果糖、つまり未加工のフルーツをたくさん食べた方がよりダイエット効果が高くなるみたい。ここでもカロリーの質が重要っぽいですねー。
一方で、果物をソフトドリンクにした場合やドライフルーツにした場合は、健康に良くない…!って結果も出ております。以上を踏まえると、果物(果糖)はカロリーの質が良ければ(未加工のフルーツを食べると)ダイエットに使えそう…!って感じになるのではないでしょうか。



個人的考察

以上をまとめて個人的意見を述べますと

  • 確かに果物にはデメリットはあるけど、メリットがそれを大きく上回るから、気にせず食べて良いのでは…?
  • それよりも加工食品からの果糖を避けていく方が大事そう
  • 気になる方は、1日15gから25gの果糖で抑えると良さそう

って感じではないでしょうか…?
ということで、私は全く気にせず果物は食べております。但し、お菓子やソフトドリンクなんかのカロリーの質が低い食品や加工食品の果糖はかなり気を付けているって感じですね。



参考文献