今回はこの中の一つ、運動を掘り下げた研究をご紹介します。


線維筋痛症に運動は効果的なのか…?どのように運動すると良いのか…?

2017年のアルカラ大学の研究によると、線維筋痛症に運動療法が効果的なのか、系統的レビュー・メタ分析をしてみたそうです。
まず研究者たちはCochrane Collection PlusやPEDro、PubMedといったデータベースを用いて線維筋痛症と運動についての研究を検索してみたそうな。また、FisioterapiaとCuestiones de Fisioterapiaというスペインの理学療法雑誌も手動で検索したとのこと。
調査は2016年4月~2017年5月までの間行ったそうで、結果、704件もの論文がヒットしたそうです。次にこの中から重複している物や質の低い物を除外していき、最終的には14件の研究が選ばれたということです。
総サンプル数は715人でして、3件の研究には男性も含まれてはいたんですが、線維筋痛症の患者さん全165人のうち男性は15人だったとのこと。
つまり、700人(97.90%)が女性で15人(2.10%)が男性だったんで、ほとんど女性って感じですね。因みに参加者の平均年齢は42.36歳だったらしい。
んでまずは各研究で行われていた運動をチェックしていきましょう。

  • 9つの研究は、ウォーキング、エアロバイク、トレッドミルを使った有酸素運動だった。
  • 7つの研究は、筋トレだった。
  • 2つの研究は、ストレッチだった。
  • 4つの研究は、いろんな種類の運動(有酸素運動、筋トレ、ストレッチ)を組み合わせたものだった。
  • 対照群は、リラクゼーション法やバランス運動、低強度の有酸素運動、標準的な治療だった。

系統的レビュー・メタ分析の結果、線維筋痛症の方が運動を行うと、

  • 全身の痛みが軽減した(効果量-1.11)
  • 全体的な幸福度がアップした(効果量-0.67)
  • うつ症状が改善した(効果量-0.40)
  • 上記から心身のQOLが改善した(身体面の効果量0.77、精神面の効果量0.49)

この結果に研究者曰く、

  • この研究は、線維筋痛症の患者の痛みを軽減し、全体的な幸福を改善するには、有酸素運動と筋トレが最も効果的な方法であり、ストレッチと有酸素運動は健康関連の生活の質を向上させると示している。さらに、運動を組み合わせることによって、うつ病の症状に対しても最大の効果が得られるだろう

としています。
やっぱ線維筋痛症に運動はかなり良さそうですねー。
んで、この研究の中では、線維筋痛症の症状改善に最も効果的な運動も調べてくれておりまして、ガイドラインとしても役立ちそうなんですよね。
それを以下にまとめておきます。

  • 有酸素運動:最大心拍数の50~80%の強度で30~60分間行うと良い。これを週2~3回、4~6か月間継続するのがベストとのこと。
  • 筋トレ:3.1kg又は1RMの45%の負荷で8~10回を1~3セット行うと良い。これを8~11種目こなすのがベストとのこと。
  • 有酸素運動+筋トレ+ストレッチ:45~60分の運動プログラムを週2~3回、3~6か月間継続するのがベストとのこと。

基本的には有酸素運動でも筋トレでも効果はありそうなんですが、ベストは両方とも行うって感じですね。

また上記にプラスして覚えておきたいのが2012年のサンパウロ連邦大学の研究になります。この研究によれば、筋トレをやめて12週間経つと症状が再発したそうなんですが、有酸素運動の効果はもっと長く続いたそうなんですよね。それを踏まえるとどちらかといえば有酸素運動の方が良いのかもしれませんな。

更に2010年のザールブリュッケン病院RCT・系統的レビュー・メタ分析では、様々な種類の有酸素運動の効果を比較しているんですが、どうやら、陸上運動でも水中運動でも同様の効果が得られるみたいなんですよね。
因みにこちらの有酸素運動ガイドラインは、

  • 軽~中程度の強度で、少なくとも20~30分間を週2~3回行うと良い。これを4週間続けるのがベスト

って感じだったそうな。
上記で紹介したよりもちょっと難易度が低めっすね。

更に更に2010年のウェストバージニア大学系統的レビュー・メタ分析によると、質の高い7つの研究をピックアップし運動の効果をチェックしております。
ここでは、1回15~60分の有酸素運動や筋トレを週2~3回行い、これを12~23週間続けるという場合の効果を調べたんですが、今回ご紹介した研究と同じく、運動で線維筋痛症のある女性の一般的な幸福度がアップしたそうなんですよね。なんでこの効果もある程度期待しても良さげです。



個人的考察

ということで、気になる方は主治医とご相談の上、症状改善の為に上記の基準を参考に有酸素運動や筋トレを行ってみてはどうでしょうか…?



参考文献