知的障がいと認知機能の低下の話の続きです。
昨日一昨日は、ダウン症のない知的障がいの方の認知症について見てきました。
今回は、WHOの調査報告の部分を軽く見ていきつつ、ダウン症のある知的障がいの方の認知症・認知機能低下リスクについて見ていきます。



WHOの報告によるダウン症と老化について

2000年のWHOの調査報告には、老化と知的障がいについての内容が端的にまとめられておりまして、その中にダウン症と老化についての記述があるんですよね。
まずダウン症の方は加齢に伴い

  • 視覚障害
  • 聴覚障害
  • てんかん
  • アルツハイマー病

の早期発症リスクが高いそうです。
やはり認知機能の低下(アルツハイマー病)は健常者より早そうですね。
また寿命についての記載もありまして、なんでもダウン症の方は健常者に比べて10~20年程短い傾向にあるんだとか。



認知症・認知機能低下は40歳ぐらいから始まるみたい

次に具体的なダウン症の方の認知症・認知機能低下のリスクについて見ていきましょう。
まず1984年の研究によると、ダウン症とアルツハイマー型認知症の関連性についてまとめてみたそうです。
なんでもこの研究によれば、アルツハイマー型認知症は40歳以降のダウン症の方のほぼ全てに現れるとのことでして、ここが一つの基準となるそうな。
この40歳って基準は他の研究でも出てきます。例えば、2000年のカンミス病院の研究によると、ダウン症とアルツハイマー病の関係について調べてみたそうです。
40歳以上のダウン症の方の脳を見てみますと、アルツハイマー病と同様の状況が見られ、また3分の1には認知症も見られたそうな。
また2018年のキングス・カレッジ・ロンドンなどの研究によると、ダウン症の方のアルツハイマー病の発症率は、

  • 35歳~49歳:9%~23%
  • 50歳~59歳:55%
  • 60歳~:75%~100%

といった感じとのことです。
因みにグラフにすると以下な感じらしい。


上記によれば、ダウン症の方が認知症と診断を受けるのは平均年齢で55歳ってことになるんですが、物体記憶力テストをした研究によると、認知機能の低下はおよそ40歳以降から始まっている感じだったそうです。因みにそのグラフがこちら。


つまり認知症と診断される15年前からすでにその予兆は観察できる可能性があるとのこと。
認知症の検査って基本的に60歳ぐらいにならないとしないんで、55歳が平均ってのも納得できますな。また実際のところは15年前、つまり40歳から出てくるってのも先行研究と同様の結果なんで、やはりこの当たりが一つの基準っぽいですね。