【加筆内容】障がいとBDNFの関係について考える その13「自閉スペクトラム症編3」
ASDの子どもは、BDNFレベル・NGFレベル・VEGFレベルが高い…!
2021年の中国人民大学の研究によると、自閉スペクトラム症と神経栄養因子レベルの関係について、メタ分析を行ってみたそうです。
そもそも神経栄養因子の異常な調節が自閉スペクトラム症(ASD)の原因って話があるんですが、ASDの子どもの神経栄養因子レベルの研究結果って結構バラバラなんだとか。そのため、メタ分析を行い、大きな結論を出して見よう…!となったそうです。
まず研究者たちは、PubMedとWeb of Scienceっていうデータベースを用いて先行研究を検索しまくったそうです。すると、PubMedから545件、Web of Scienceから670件、関連研究の参考文献から2件、合計1,217件もの研究がヒットしたそうな。次に基準を満たす研究を精査していき、合計31件の研究をピックアップしたとのこと。この31件をメタ分析にかけたそうです。因みにASDの子どもが2,627人、対象者(健常者)が4,418人だったみたい。
では、結論を見ていきましょう。
- 27件の研究をメタ分析にかけて、ASDの子ども2,380人と対照者(健常者)4,191人のBDNFレベルを比べてみた。結果、ASDの子どもは、対象者(健常者)に比べて、BDNFレベルが明らかに高かった…!
- 3件の研究をメタ分析にかけて、ASDの子ども844人と対照者(健常者)2,460人のNGF(神経成長因子)レベルを比べてみた。結果、ASDの子どもは、対象者(健常者)に比べて、NGF(神経成長因子)レベルが明らかに高かった…!
- 3件の研究をメタ分析にかけて、ASDの子ども844人と対照者(健常者)2,460人のVEGF(血管内皮細胞増殖因子:新たな血管を作るのを促すタンパク質)レベルを比べてみた。結果、ASDの子どもは、対象者(健常者)に比べて、VEGF(血管内皮細胞増殖因子:新たな血管を作るのを促すタンパク質)レベルが明らかに高かった…!
- NT-3(ニューロトロフィン-3)レベルとNT-4(ニューロトロフィン-4)レベルに有意差はなかった。
ご紹介してきた系統的レビュー・メタ分析同様、こちらでもASDの子どものBDNFレベルは高かったようですね。また、他の神経栄養因子(NGF、VEGF)も高かったってのも気になりますな。
個人的考察
う~ん。これらをみていると、子どものASDは神経栄養因子の異常が原因だ説もありそうに思えてきますねー。