【加筆内容】生体インピーダンス法(普通の体脂肪計の測定方法)・BMI・DXAは体脂肪率を正確に測れるのか? その2「9種類の測定法比較編」
前回は、2,3,4コンパートメントモデルについて見てみました。
9種類の体組成の測定方法を行い精度をチェックしてみた…!
2004年のマーストリヒト大学の研究によると、体組成の測定方法を比較してみたそうです。
この研究は、横断研究と縦断研究の2つの実験を行ったと言うもので、参加者は、20歳から45歳の男性ボディビルダーだったそうな。また、少なくとも3年間の筋トレ経験者であり、最低週4回、毎週8時間は筋トレをしている人たちだったらしい。
1つ目の実験では、この男性ボディビルダー27人を対象に、以下の9種類の体組成の測定方法を行い精度をチェックしてみたんだとか。
- 4-Cモデル(4コンパートメントモデル:4C法):除脂肪量を更に水分とタンパク質に分けて、脂肪量、タンパク質、水分、骨密度の4つに分けてチェックする方法。精度は最高だが金、時間、労力がめっちゃかかる。
- 水中体重秤量法(水中体重測定法):水中で体重を測定しつつ、陸上でも体重を測定。その差から計算する方法。
- 重水希釈法:水(重水)を飲んでもらいつつ、尿として排出される重水の濃度をチェックして計算する方法。
- DXA(二重X線吸収法):高エネルギーと低エネルギーの2つのX線を人体に透過してそのスピードで、骨密度、脂肪量、除脂肪量を区別し計算する方法。
- 3-Cモデル(3Cw):全身の水分量を組み込んだ3-Cモデル。
- 3-Cモデル(3Cb):骨密度を組み込んだ3-Cモデル。
- BMI:身長と体重から計算する方法。気になる方はこちらで計算できます。
- キャリパー法:キャリパーという器具を使って、皮下脂肪をつまみ、その厚さから計算する方法。
- 生体インピーダンス法:体に微弱な電流を流して、電気を通しにくい脂肪の電気抵抗(インピーダンス)から体脂肪を計算する方法。市販されている普通の体脂肪計の測定方法がコレ。体の水分量の変化によって結果が変わる弱点がある。
2つ目の実験では、実験1に参加したうちの15人が参加したもので、筋トレを8週間行ってもらい体組成を変化させつつ、上記の方法で測定、精度がどうなのか調べたものになります。
最後に集まったデータを統計処理したそうです。
ではまず横断研究の結果を見てみましょう。
4-Cモデルを基準にした場合における、8種類の体組成の測定方法と体脂肪率の精度と誤差のグラフは以下な感じでした。
ポイントを挙げてみると、
- BMI(体脂肪率が多めに出がち)と3-Cモデル(3Cb)(体脂肪率が少なめに出がち)を除いて、誤差は少なかった…!
- 但し、誤差の範囲は、広い物がほとんどだった…!
って感じ。
これだけみると、BMIよりも生体インピーダンス法とDXAの方が精度が高くて、更に生体インピーダンス法よりもDXAの方が誤差の範囲が少なく良い感じですね。
次に縦断研究の結果です。
4-Cモデルを基準にした場合における、8種類の体組成の測定方法と体脂肪率の精度と誤差のグラフは以下な感じでした。
こちらもポイントを挙げておくと、
- BMI(体脂肪率が多めに出がち)と生体インピーダンス法(体脂肪率が多めに出がち)と3-Cモデル(3Cb)(体脂肪率が少なめに出がち)を除いて、誤差は少なかった…!
- 但し、誤差の範囲は、広い物がほとんどだった…!
- 特に、生体インピーダンス法の誤差の範囲は非常に大きかった…!
となっておりました。
1日の切り取りではなく、日々の測定で見てみると様相が変わりましたな。
もうちょい詳しくポイントを挙げておきますと、
- BMI<生体インピーダンス法<DXAの順で精度が高くなっていた…!
- BMIの精度が上がっていた…!
- 生体インピーダンス法の精度が下がっていた…!
- DXAの精度は依然として高かった…!
- 生体インピーダンス法よりもBMIの方が誤差の範囲が少なくなっていた…!
って感じ。
特に生体インピーダンス法の誤差が大体-5%から+8%なんで、市販の体脂肪計に乗って、体脂肪率が15%…!って出ても、もしかしたら、10%の可能性もあるし、23%の可能性もあるということに…。いやいや見た目からして全然変わっちゃいますしこれじゃあ信用できませんね…。
個人的考察
これらを見た雑感としては、
- やっぱDXAは精度が高くて良いなー
- BMIは手軽で良いけど体脂肪率が高めに出がちだなー
- 生体インピーダンス法はBMIより良さそうだけど、場合によってはBMIより信用できないなー
- 生体インピーダンス法は体内水分量の変化する事(食べる、動く、風呂に入るなど)で誤差が激しいから、この辺に注意しつつ、更に同じ時間・同じ状態でやらないと全然使えないなー
- てか、風呂上りに体脂肪計に乗って生体インピーダンス法で体脂肪率を計っても意味ないなー
と思いました。
正直、DXAでチェックする場合を除き、体脂肪率って数字よりも見た目でチェックした方が精度が高そうですね。