【加筆内容】腸内環境と皮膚トラブルって関係あるの?って話 その2「酒さと炎症性腸疾患編」
腸内環境悪化→皮膚状態悪化・皮膚状態悪化→腸内環境悪化と双方向に成り立つ…!
2023年のソウル大学校の研究によると、酒さと炎症性腸疾患(IBD)の関係について系統的レビュー・メタ分析を行ってみたそうです。
まず酒さと炎症性腸疾患について軽く触れておきますと、
- 酒さ:顔の皮膚が赤くなる、毛細血管が拡張し皮膚の表面から見えるようになる、皮膚が軽く盛り上がる、膿が溜まって盛り上がるなどの症状が出る慢性炎症性の皮膚疾患
- 炎症性腸疾患(IBD):胃や腸内の慢性炎症性の疾患。クローン病と潰瘍性大腸炎という2つの主要な異なる形態で構成されている
って感じ。つまり皮膚トラブルと慢性炎症状態の腸内環境ってことですね。
んで、先行の観察研究からこの2つが関係がありそう…!ってのは分かっているんですが、
- 炎症性腸疾患が発生(腸内環境悪化)→酒さが発生(皮膚状態悪化)…!
- 酒さが発生(皮膚状態悪化)→炎症性腸疾患が発生(腸内環境悪化)…!
のどっちが起こっているのか、つまり因果関係はどうなのかが分からなかったんですよね。
そこで研究者たちは酒さと炎症性腸疾患の関係と因果関係を系統的レビュー・メタ分析でチェックしてみたそうです。
まず研究者たちは、2021年8月3日までに発表されている酒さと炎症性腸疾患の先行研究をOvid MEDLINE、Embase、コクランライブラリーというデータベースを用いて検索しまくったそうです。結果、Ovid Medlineが242件、Embaseが383件、コクランライブラリーが19件ヒットしたとのこと。
次にこの合計644件の研究から重複した研究や質の低い研究を除外していったそうで、最終的に8件の研究をピックアップできたそう。因みに8件の研究はアジアのものが多いんですが、残念ながら日本の研究はありませんでした。
この8件の研究をメタ分析にかけたとのことで結果は以下のようになっておりました。
- 健康な方よりも炎症性腸疾患の方の方が酒さの発症リスクが高かった(オッズ比1.86)…!
- 健康な方よりもクローン病の方の方が酒さの発症リスクが高かった(オッズ比1.74)…!
- 健康な方よりも潰瘍性大腸炎の方の方が酒さの発症リスクが高かった(オッズ比2.00)…!
- 健康な方よりも酒さの方の方が炎症性腸疾患(IBD)の発症リスクが高かった(オッズ比1.37)…!
- 健康な方よりも酒さの方の方がクローン病の発症リスクが高かった(オッズ比1.60)…!
- 健康な方よりも酒さの方の方が潰瘍性大腸炎の発症リスクが高かった(オッズ比1.26)…!
まとめると、腸内環境が悪化して皮膚状態も悪化するし、皮膚状態が悪化して腸内環境も悪化するってことですね。つまり因果関係は双方向に成り立つと…。