この内容は以前にご紹介しているんですが、その時あっさり書き過ぎましたんで、改めて詳しく書き直しております。
今回はその内容です。



記憶の定着には睡眠・昼寝+ご褒美がベスト…!

2015年のジュネーブ大学の研究によると、報酬によって睡眠時の記憶力がアップするのか調べてみたそうです。
そもそも記憶の定着に睡眠が必要…!ってのは十分に確立された事実です。しかし全てのことを覚えているってわけでもありません。つまり、寝ている間にしっかり覚えるべき事柄を選別しているんですよね。では何を基準に選別しているかですが、強い感情や報酬など生存に必要な情報が優先して記憶されているんじゃないのか…?って感じなんですよ。そこで今回、これが本当なのかチェックしてみたそうな。
この研究は、健康な若い男女31名(女性16名、男性15名、年齢幅18~30歳)が参加したもので、大まかな流れは以下な感じ。

  1. 12時45分にラボに全員来てもらう。
  2. 記憶力テスト(6枚の連続した写真を1セットとし、全8セットの写真を覚えてもらう)とfMRIで脳をスキャンする
  3. 睡眠グループ(16名:女性8名、男性8名)と覚醒グループ(15名:女性8名、男性7名)にランダムに振り分けられる。
  4. 睡眠グループは14時から15時30分までの90分間昼寝をしてもらう。
  5. 覚醒グループは14時から15時30分までの90分間静かな部屋で過ごしてもらう。
  6. 16時30分に全員記憶力テストとfMRIで脳をスキャンする。
  7. 実験終了後の3ヶ月後に抜き打ちで15時30分から再度全員記憶力テストとfMRIで脳をスキャンする。

併せて、記憶力テストに正解すると報酬が高い(お金がたくさんもらえる)パターンと低い(お金が少しだけもらえる)パターンも用意したんだとか。
つまり、

  1. 昼寝+ご褒美大
  2. 休憩+ご褒美大
  3. 昼寝+ご褒美小
  4. 休憩+ご褒美小

の4パターンを用意して、記憶力テストがどう変化するのか短期と長期で調べてみたってことですな。
では記憶力テストの結果を見てみましょう…!

  • 睡眠グループ・覚醒グループ共に低報酬よりも高報酬の方が成績が良かった…!
  • 覚醒グループよりも睡眠グループの方が成績が良かった…!
  • 高報酬の記憶力テストでは、覚醒グループよりも睡眠グループの方が成績が良かった…!
  • 低報酬の記憶力テストでは、睡眠グループ・覚醒グループ共に違いはなかった…!

因みに高報酬対低報酬について、睡眠グループと覚醒グループをfMRIを用いて直接比較してみたら、睡眠グループは右海馬が活性化していたらしい。また、3ヶ月後の抜き打ちテストで長期記憶もチェックしたけど、こちらは睡眠グループと覚醒グループはどちらも高報酬・低報酬で前回を上回る成績を出したそうな。おそらく3ヶ月間の睡眠で長期記憶として定着したんでしょうな。しかも短期と違って長期は報酬が関係なくなるみたいですね~。



個人的考察

まとめると、

  • 短期記憶:睡眠・昼寝+ご褒美がベスト…!睡眠・昼寝だけでも効果アリ…!ご褒美だけでも効果アリ…!
  • 長期記憶:毎日の睡眠が重要…!

のようになるかと思います。
睡眠が記憶定着に有効なのは以前にご紹介した通りですが、ご褒美も有効なのが分かったのはうれしいところ。よく、頑張ったから自分へのご褒美♪なんて言う方がおりますが、あれはエビデンスのある、有効な方法だったんですね~。



参考文献