9月からコーヒー(カフェイン)の記事を毎週土日にずーっとご紹介してきましたが、今回をもって一応一区切りにしたいと思います。
ということで最後はカフェインをありえないくらい大量に摂取したらどうなるのか…?を調べた研究をみていきます。



カフェインと精神障害(不安障害・睡眠障害・摂食障害・統合失調症)の関係性

2005年のウォーリック大学の研究によると、カフェインがもたらすメンタルへの影響について既存の研究をレビューしてみたそうです。
なんでもカフェインの摂取量は、平均よりも精神病患者さんの方が多い可能性があるそうで、また、カフェインの使用は不安障害や睡眠障害、摂食障害、統合失調症といった精神障害との関係もありそうな感じとのこと。
ではそれぞれの関係性についてもうちょい詳しく見ていきましょう。


カフェインと不安障害

カフェインを過剰摂取すると不安障害に似た症状が起こるそうで、どちらも交感神経が過剰に活動するのが原因なんじゃないかとのこと。またカフェイン中毒の症状は不安障害の症状と区別できない感じらしい。
んで、カフェイン中毒ってのは1日1000~1500mgのカフェインの摂取と関係があるとのことで、カフェインの不安感増加に関しては先行研究で何度も確認されているんだとか。
またカフェインは不安障害の発症や悪化、継続とも関係していそうで、特にパニック障害と社交不安障害(社交不安症・社交恐怖症)の人は注意した方が良さそうな感じ。というのもカフェインでパニック発作になる可能性があるんですよ。一方でカフェイン断ちを行うことによって不安症状が改善したって話もあるらしい。


カフェインと睡眠障害

これはもはや、言わずもがなでしょう。カフェインが睡眠の邪魔をするのは有名な話ですし、ここで詳しく説明は要らないかと思います。
まぁ、ポイントとしては、夕方以降に高カフェインを摂取すると、入眠潜時(眠りにつくまでの時間)が長くなる傾向にあるんで、そこを注意しておくのが良い感じっすね。それとこの入眠潜時が長くなる問題は特に高齢者の場合が出やすいんでより注意しておきたいところですね。


カフェインと摂食障害

摂食障害には、過食症(食べるのが止まらない)と拒食症(食べられない・食べても吐いてしまう)というものがありますが、カフェインはそのどちらとも関係がありそうとのこと。
というのも、

  • 過食症:カフェインは代謝をアップし、食欲を抑制するから大量に食べていいとなり食べ過ぎにつながる
  • 拒食症:カフェインは代謝をアップし、食欲を抑制するからもっと痩せられるという思い込みにつながる

から。
その結果、カフェイン飲料を大量に飲むことがよくあるんだとか。
また摂食障害の方を対象に1日のカフェイン摂取量を調べた研究によると、

  • 1日750mg以上のカフェインを摂取している人は14.6%だった…!
  • 1日250~750mgのカフェインを摂取している人は39.2%だった…!
  • 1日250mg未満のカフェインを摂取している人は46.3%だった…!

って感じで、明らかに多く、しかも1日750mg以上・1日250~750mgの人は1日250mg未満の人と比較して、過食の頻度がより多かったそうです。更に1日750mg以上の人は下剤やダイエット薬を誤って服薬する可能性が高く、不安レベルも高かったんだとか。


カフェインと統合失調症

カフェインと統合失調症の関係はまだよく分からないところが多いものの、あやしい感じはあるんですよね。
そもそもアデノシンはドーパミンを動かす物質を邪魔する働きがあるんですが、一方でカフェインはアデノシンをブロックする機能がございます。つまりカフェインでアデノシンをブロックするとドーパミンは活性化しやすくなり、これが精神病の症状を悪化させる可能性があるんですよ。
そして統合失調症の方は平均よりもカフェインの摂取量が多いって話もいくつかありまして、例えば統合失調症の入院患者さんのカフェイン摂取量を調べた研究によれば、

  • 統合失調症の入院患者さんの71%が1日に500mg以上のカフェインを摂取していた…!

とのこと。
また別の研究では、

  • 統合失調症の入院患者さん26人の1日の平均カフェイン摂取量は503mgだった…!
  • そのうちの38%の方が555mg以上摂取していた…!

って感じで、どうやら1日500mg以上摂ることが多いみたい。余談ですが、前回ご紹介した研究では、高ストレス+500mgのカフェインで幻聴が聞こえやすくなったんで、統合失調症の幻聴っていう症状はカフェインの大量摂取も関係しているのかもしれんですな。
ではなぜこんなに統合失調症の方がカフェインを大量に摂取したくなるかですが、原因の一つにタバコ(喫煙)が関係していそうです。というのも研究によれば、統合失調症の患者さんの約80%が喫煙するって結果だったらしい。
つまりヘビースモーカーが入院してタバコを吸えなくなるとその代りにより多くのカフェインを使用する可能性があるそうな。まぁ、有り得る話ですね。


上記を見ると、カフェイン怖い…!ってついビビりがちになっちゃうんですが、基本的に精神障がいをお持ちの方で1日にカフェインを大量に飲んだらヤバい…!って話です。一つの基準としては1日500mg以上がヤバそうな感じなんで、ここは抑えておきたいポイントっすな。
そんで500mgって飲料だとどんぐらいなんだ…?ってなるんですが、イギリス食品基準庁によれば、平均的なカフェインは

  • 淹れたてのコーヒー1杯:100mg
  • インスタントコーヒー1杯:75mg
  • 紅茶1杯:50mg

ってことなんで、コーヒー5杯又はインスタントコーヒー7杯弱までって感じです。



個人的考察

因みに米国農務省全米コーヒー協会(NCA)によれば、淹れたてのコーヒー1杯(172g・6オンス)のカフェイン含有量は約103mgってことなんで、コーヒーは1杯100mgのカフェインが含まれていると覚えておくとよろしいかと思います。

以上でデメリット編は終了です。
カフェインも適度な量がベストということで、やっぱり何事も過ぎたるは猶及ばざるが如しだと改めて思った次第です。



参考文献