【加筆内容】運動は不安対策になるのか? その10「子ども編」
軽く復習しておきますと、有酸素運動・無酸素運動に限らず運動には抗不安効果があって、しかもそれは障がいの有無に関係なく、また個人差も関係なく効果があると分かりました。
でも、これらの研究はいずれも成人を対象にした研究でして、子どもを対象にした場合はどうなのかは謎だったんですよね。
子どもを対象にした場合でも運動はメンタル安定・改善に効果的…!
2019年のグラナダ大学の研究によると、18歳以下の子ども達の精神的健康に運動が効果的なのか系統的レビューとメタ分析を用いて調べてみたそうです。
まず研究者たちは、2013年1月から2018年4月までに発表された該当する先行研究を、PubMedとWeb of Scienceというデータベースを用いて検索してみたそうな。またこの時、未就学児(2~5歳)、小学生(6~11歳)、中高生(12~18歳)を対象にしたものを選んで行ったらしい。更に運動頻度と座りがちな行動におけるメンタルへの影響については、1個以上の心理的不調(うつ病や不安、ストレス、ネガティブな感情)又は心理的幸福(自尊心や自己効力感、自己イメージ、ポジティブな感情など)を含む研究を選んだとのこと。
最終的に選ばれた研究は114件でして、その内訳は、
- ランダム化比較試験:4件
- 非ランダム化比較試験(準実験):14件
- 縦断研究:28件
- 横断研究:68件
って感じでした。
このランダム化比較試験と非ランダム化比較試験のうちの12件(ランダム化比較試験3件・非ランダム化比較試験9件)を使ってメタ分析を行ったそうです。
その結果、
- 6歳から18歳までの子ども達の精神的健康に対する身体活動の全体的な影響は小さいながらも有意(効果量0.173)だった…!
- 小学生(6~11歳)、中高生(12~18歳)を別々に分析した結果、中高生では有意だったが、小学生では有意ではなかった。
- 観察研究(縦断研究・横断研究)の結果、身体活動と心理的不調(うつ病や不安、ストレス、ネガティブな感情)の低さ、心理的幸福(自尊心や自己効力感、自己イメージ、ポジティブな感情など)の高さには有意な関係があった…!
- 小学生(6~11歳)と中高生(12~18歳)では、座り時間が増えると、心理的不調が増加し、心理的幸福が低下するという有意な関係があった…!
- 未就学児(2~5歳)に関する証拠はほとんど存在しなかった。
とのこと。
つまり、運動することによって青少年の精神的健康が改善できるみたいですな。また運動を増やし、座り時間を減らすことがポイントだと。