先週の続きです
今回からアジアの研究をチェックしていきます。
ということで韓国の研究を見てみましょう。



韓国における知的障がいを持つ方の寿命について調べてみた…!

2022年の韓国国立リハビリテーションセンターの研究によると、韓国における知的障がいを持つ方の寿命について調べてみたそうです。
2020年現在、韓国政府によれば知的障がいを持つ方は217,108人いるそうな。そして一般人口と同様に知的障がいを持つ方の寿命も近年上昇しているらしく、平均寿命は2008年で46.4歳、2018年で55.9歳と毎年0.8歳増加しているとのこと。
そんな韓国でも知的障がいを持つ方の死亡に関する研究はほとんど行われていないそうな。但し、韓国には障がいを持つ方を登録・管理するシステムを導入しているそうで、数少ない国の一つらしい。
そこで今回研究者たちは、全国規模の調査をするべく、韓国の知的障がいを持つ方を対象に寿命についてチェックしてみたとのこと。
実験はシンプルな流れでして、まず最初に2015年末から2019年末までの障がいを持つ方の登録者データを手に入れたそうな。次に、統計庁から死因データを用いて統合し、障がいを持つ方の死因データベースを作ったらしい。最後に死亡率や標準化死亡率を計算し、主な死因を分析したそうです。
その結果、以下のことが分かったみたい。

  • 知的障がいを持つ方の死亡率は2015年で794.9、2019年で784.6だった。
  • 一般人口の死亡率は2015年で541.5、2019年で574.8だった。
  • つまり、知的障がいを持つ方の死亡率は一般人口の死亡率に比べて、約1.4倍も高かった。
  • 知的障がいを持つ方も一般人口も男性の死亡率の方が高かった。
  • 知的障がいを持つ方のうち、0~59歳の年齢層の死亡者の割合は、2015年で61.98%、2019年で56.32%だった。
  • つまり、知的障がいを持つ方のうち、0~59歳の年齢層の死亡者の割合は50%以上を占めていた。
  • 一般人口のうち、0~59歳の年齢層の死亡者の割合は、20%未満だった。
  • 知的障がいを持つ方のうち、60歳以上の年齢層の死亡者の割合は、2015年で38.02%、2019年で43.69%と増加していた。
  • 一般人口のうち、60歳以上の年齢層の死亡者の割合は、2015年で90.58%、2019年で83.48%と減少していた。
  • つまり知的障がいを持つ方の寿命が延びていた。
  • 知的障がいを持つ方の死亡率は年々増加または減少するという不規則なパターンだった。
  • 一般人口の死亡率は2015年で541人、2018年で582人と増加したが、2019年にはわずかに減少していた。
  • 上記から、知的障がいを持つ方の標準化死亡率は一般人口に比べて、3.2倍高かった。
  • 知的障がいを持つ方の死因のトップ3は、1位循環器疾患(脳血管疾患)、2位悪性腫瘍(消化器系)、3位呼吸器疾患(肺炎)だった。
  • 一般人口の死因のトップ3は、1位悪性腫瘍、2位循環器疾患、3位呼吸器疾患だった。
  • 知的障がいを持つ方の死因のほとんどは、一般人口よりも死亡率が高かった。但し、悪性腫瘍は、一般人口の死亡率の方が高かった。
  • 全ての死因の標準化死亡率は、知的障がいを持つ方の方が一般人口よりも高かった。

まとめると、韓国における知的障がいを持つ方は、一般人口と比較して、死亡率が1.4倍と高く、また平均死亡年齢も低く、寿命も短かったみたいです。但し60歳以上の死亡率も上がっており、寿命も延びておりました。



個人的考察

これを見ると、他の国と似たような結果だったと言えそうですね。



参考文献