【まとめ】タンパク質は1日にどのくらい摂取すればいいのか?
タンパク質がストレス解消やダイエットに効果的なのは以前に紹介した通りですが、ここで疑問なのが「タンパク質は1日にどのくらい摂取すればいいのか…?」ということ。今回はここについて書いてみたいと思います。
タンパク質量を増やせば増やすほど筋肉量・筋力も比例して増え続けるのか…?青天井なのか…?
2006年のニュージャージー大学の研究によると、大学生のアスリート男性23人を対象に1日のタンパク質摂取量を変えて筋力や体組成、ホルモンの変化なんかを比べてみたそうです。毎日のタンパク質摂取量は以下の3つのグループに分けたとのこと。- 1日のタンパク質摂取量(g)=体重(kg)×タンパク質1.0~1.4g:タンパク質摂取量の推奨レベル未満8人
- 1日のタンパク質摂取量(g)=体重(kg)×タンパク質1.6~1.8g:タンパク質摂取量の推奨レベル7人
- 1日のタンパク質摂取量(g)=体重(kg)×タンパク質2.0g~:タンパク質摂取量の推奨レベル以上8人
期間は12週間で、その間筋トレプログラム(ベンチプレスとスクワット)に参加してもらったそうです。また、筋力や体組成、安静時の血液採取による、テストステロン、コルチゾール、成長ホルモン、インスリンも調べたとのこと。
んで、気になる結果が、
- 全てのグループで差が見られなかった…!
そうです。
つまり、タンパク質を1.0~2.0g飲んでも筋肉量や脂肪量の差はないってことですね。
また1992年のケント州立大学のRCTの二重盲検・クロスオーバーデザインでも、タンパク質の摂取量を増やすと筋肉量や筋力がアップするのか調べてみたそうです。実験に参加したのは12人の男性で、プロテイン又は炭水化物のサプリメントを飲んでもらったらしい。更に全員に週6日、1日1.5時間の筋トレを1ヶ月間行ってもらったそうな。
1日のタンパク質摂取量(g)=体重(kg)×タンパク質1.35g~2.62gの範囲で変えてみてもやはり結果は同じで、筋肉量・筋力ともにアップするスピードが更に促進することはなかったそうです。
まとめとして、筋肉量や筋力への影響はタンパク質を摂れば摂るほど増えるわけではなさそうですね。つまり、天井はあると…。
しかし一方で、見た目をよくするためなら多めに摂った方が良いのも事実だったりします(プロテインレバレッジがあるため)
タンパク質は1日にどのくらい摂取すればいいのか…?
実はタンパク質の研究は非常に多くて、摂取量に関しては2005年のイリノイ大学の研究、2014年のフロリダ州立大学の研究、2014年のテヘラン医科大学の研究、2014年のテキサス大学の研究なんかが参考になります。
これらから導き出せるタンパク質の1日のベストな摂取量は以下となります。
- 1日のタンパク質摂取量(g)=体重(kg)×タンパク質1.6g
例えば体重60kgの場合、60kg×タンパク質1.6g=96gとなりますので1日96g、約100gのタンパク質を摂取するのがベストな摂取量となります。
そんなにタンパク質を摂って大丈夫なのかと思う方もいるかもしれませんがご安心ください。1973年の研究ですでにタンパク質を体重kg×タンパク質1.6g摂っても害はないって結論が出ていますので。
更に体重kg×1.6gのタンパク質を12週間摂った実験では9%も体脂肪が落ちたなどダイエット効果も期待できます。タンパク質が空腹感を減らしてくれる(満足感が高い)ので、最終的な摂取カロリーは少なくなるのが原因みたいです。他にも総摂取カロリーの15%タンパク質を摂らないと食欲は止まらない(いわゆるプロテインレバレッジ)って話もあるのでこの当たりも関係しているのかもしれません。
ホエイプロテインはコスパ重視なら1回20g飲むべし…!
2014年のスターリング大学のRCTによると、ホエイタンパク質の摂取量の増加と効果の関係について調べてみたそうです。実験に参加したのは48名で、朝食で標準的な高タンパク食(体重kg×タンパク質0.54g)を食べてもらったそうな。その3時間後、足の筋トレ(レッグプレスとレッグエクステンションを8RMでそれぞれ10セット行ったらしい)を行ってもらったとのこと。そして筋トレ直後(10分以内)に- ホエイプロテインアイソレートを飲まない
- ホエイプロテインアイソレート10g飲む
- ホエイプロテインアイソレート20g飲む
- ホエイプロテインアイソレート40g飲む
をランダムに割り振って実践してもらい、飲んだ4時間後に違いがあったか測定してみたそうです。
結果、ホエイプロテインアイソレートを飲まなかった人に比べ、
- ホエイプロテインアイソレートを20g飲んだ人は筋肉の発達が49%アップした…!
- ホエイプロテインアイソレートを40g飲んだ人は筋肉の発達が56%アップした…!
- ホエイプロテインアイソレートを10g飲んだ人は変化なし…。
だったそうです。
この結果に研究者曰く、ホエイプロテインを20g摂取すれば、筋トレを行う若い男性の安静時と運動時の筋肉発達に必要な量を十分満たせるだろう、とのことです。確かに多く飲めば良さそうですが、コスパ的には20gがベストっぽいですね。
ホエイプロテインの摂取量の合計を統一しつつ、1回の摂取量と回数を変えて調べてみてもやっぱりベストは1回20gだった…!
2013年のロイヤルメルボルン工科大学のRCTでも似たような実験をしておりまして、こちらもホエイタンパク質の摂取量とタンパク質合成スピードの関係について調べております。参加したのは健康な男性24人で、まず筋トレをしてもらい、その後12時間の休憩を取ってもらったそうです。その休憩時間中に、以下の3グループに8人ずつランダムに振り分けたとのこと。
- 1.5時間ごとにホエイプロテイン10gを8回飲んでもらった。
- 3時間ごとにホエイプロテイン20gを4回飲んでもらった。
- 6時間ごとにホエイプロテイン40gを2回飲んでもらった。
つまり、ホエイプロテインの摂取量の合計を80gに統一しつつ、1回のホエイプロテインを摂取量、回数を変えて違いが出るのか見てみたってことですね。因みに筋肉の発達については、安静時と運動1時間後、4時間後、6時間後、7時間後、12時間後に確認したそうです。
気になる結果は、やっぱり同じで、ホエイプロテインを20g飲むのが1日を通して一番タンパク質合成スピードが良かったみたい。
やっぱ1回20gがベストっぽいですねー。
但し20g以上飲んでもメリットはある…!
2013年のテキサスA&M大学の研究によると、筋肉を成長させるために20〜30gのタンパク質の摂取が一番良いってのは分かるけど摂りすぎた時はどうなるのか…?について書かれております。
これによると、タンパク質の分解(筋肉の減少)が始まった時、たくさんタンパク質を摂取して体内に余っているとタンパク同化作用が起きるらしい。タンパク同化作用とは、アミノ酸を再び集めて筋肉を作ってくれる作用のことで、つまり、余ったタンパク質は筋肉の減少を抑える働きに使われるということになります。多く摂取しても決して無駄にはならないんですね~。
因みにロイシンがポイントみたいです。
以上をまとめると、
- ホエイプロテインは1回20g飲むと良い感じ…!
- でも、飲みすぎても決して無駄にならないよ…!
ってことになりましょう。
ご参考にしてみてください。
個人的考察
昔、栄養バランスのいい食事を意識して食べてみようと思い、食事記録をつけた時期があったのですが、普通に食事をしているとタンパク質の摂取量がかなり少なくて驚いたんですよね~。そこで意識してタンパク質の摂取量を増やしてみると体の調子はいいし、痩せるしでびっくりしました(笑)楽なダイエット法はないか…?って聞かれたら、とりあえずタンパク質摂取量を増やす…!って答えています。まぁ、合わせて加工食品をやめるとかも入れると良い感じなんですがね…。
それとプロテインを飲むタイミングですが、朝と運動前後6時間以内に飲むといいみたいです。ガチな筋トレユーザーでない限り、運動直後にプロテインを飲む(ゴールデンタイムを意識する)とかはあまり気にしなくて良いみたい。それよりも上記で挙げた「1日のタンパク質摂取量(g)=体重(kg)×タンパク質1.6g」が大事なので合わせて押さえておくとよろしいかと思います。
最強のダイエットとなると「どんなダイエットでもいいけど1年続けられるダイエットかどうか」になります。
他にも長期的なダイエットを考えるなら、脳のセットポイントや食事報酬、カロリーの質を意識するとかになるんでしょうね~。おいおいこの辺も書けたらいいな~。
https://www.physiology.org/doi/full/10.1152/japplphysiol.00152.2014
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25277886
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24645300
http://europepmc.org/abstract/MED/4727456
他にも長期的なダイエットを考えるなら、脳のセットポイントや食事報酬、カロリーの質を意識するとかになるんでしょうね~。おいおいこの辺も書けたらいいな~。
参考文献
https://jissn.biomedcentral.com/articles/10.1186/1550-2783-3-2-12
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1400008
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16046715https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1400008
https://www.physiology.org/doi/full/10.1152/japplphysiol.00152.2014
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25277886
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24645300
http://europepmc.org/abstract/MED/4727456