毎月恒例の月1社内研修が令和2年8月13日にありましたので、例によって例の如く、内容を備忘録としてブログに残しておきます。
因みに過去の月1社内研修は下記となります。気になる方はご覧ください。




認知行動療法の基礎と展開 第4回目「オペラント学習と行動療法」

今回の月1社内研修では第4回目「オペラント学習と行動療法」を皆で視聴しました。
下記動画ですね。因みに講義資料はこちらからダウンロードできます




今回の動画も前回とほぼ同じく1時間20分ぐらいあり、1時間では当然終わらないため、1.5倍速で動画を視聴しました。



しせつちょうのメモ帳

いつも通り、今回の講義内容のポイントを私なりにまとめておきます(タイトル回収)
参考程度にどうぞ。

  • オペラント学習を明らかにしたのがスキナーである。
  • スキナーが提唱するのが徹底的行動主義。
  • 徹底的行動主義とは、外から観察できなくてもその本人だけが観察できるもの(私的出来事=思考・感情・記憶・身体感覚など)も行動として扱おうという立場のこと(外顕的行動だけでなく内潜的行動も対象にしていく)
  • 方法論的行動主義は、皮膚を自分と環境の境界とした。
  • 徹底的行動主義は、心の目を自分と環境の境界とした。
  • 徹底的行動主義で想定している自分とは今この瞬間の体験を観察する働きのみ。
  • 理由は、体で起きていることが自分の中で起きている事とみなすことが本当にいいのかという問題がある。例えば腹痛があった時、なぜそれが起きたのか自分で理解できない場合、その腹痛は原因が分からないしコントロールできないという点では、皮膚の外で起きている分からない・コントロールできない環境と変わらないため。
  • 上記の心の使い方はマインドフルネスとほとんど同じ(マインドフルネスの心の使い方は仏教に由来している)
  • オペラント学習の代表的技法は「随伴性の操作による随意行動の増加と減少」
  • 行動に影響を与える基本的な方法は4つ(正の強化・負の強化・正の弱化(罰)・負の弱化(罰))ある。
  • 行動が増えることを「強化」という。
  • 行動が減ることを「弱化(罰)」という。
  • 結果がプラスのものを「正」という。
  • 結果がマイナスのものを「負」という。
  • 正の強化→行動して、結果が得られて行動が増える場合(例:お手伝いをして褒められたからもっとお手伝いをする)
  • 負の強化→行動して、結果が減って行動が増える場合(例:嫌な思いをしなくてすむからひきこもる)
  • 正の弱化→行動が減って、結果が得られる場合(例:遅刻が減ると褒められる)
  • 負の弱化→行動が減って、結果が減る場合(例:勉強しないとテストの点数が下がる)
  • 結果から行動の良し悪しは判断できない。結果から行動が増えたからあれは良い結果だったんだと判断する。
  • 強化が強化として機能していたかは観察する必要がある。
  • 仮定した強化・弱化→結果→意図した強化・弱化になったか判断し仮定した強化・弱化が正しいのか間違いなのか観察する必要がある。オペラント学習を理解する上でここ重要。
  • ソーンダイクは効果の法則を明らかにした人。1920年にかの有名なハロー効果も発表した人。「行動→好ましい環境変化:行動増加」「行動→嫌悪的な環境変化:行動減少」とした。
  • スキナーは「行動→環境変化:行動増加→好ましい環境変化であったとみなした」「行動→環境変化:行動減少→嫌悪的な環境変化であったとみなした」ソーンダイクとの違いは満足をもたらしたかどうかという計測不能な事象に触れることなく外から観察するのみで判断できるようになった。
  • 学習の間隔は徐々にランダム化していくことにより消去されにくくなる(例:ギャンブルでたまに勝つからやめられなくなる)
  • 消去バースト(例:この方法でかまってもらえなくなるとやめるではなく、他の方法でかまってもらおうとするような現象。エスカレートした行動になっていくこともある)人間に限らず動物でも起こる。
  • 消去バーストは悪い事ばかりではない。良い事でも起こる(例:勉強したら褒められていたけど、同じことを続けたら褒められなくなった。だからもっと勉強する。違う方法で勉強するなど行動の多様性が起こる)行動の柔軟性・多様性を育てる場合は効果的
  • 患者さんは目先の楽を手にしてしまうために長期的な不都合がコントロールできなくなっている人達(セルフコントロールが低い人)
  • 機能的(=効果や影響がある事)と言える基準は文脈
  • 文脈とは広義の意味での環境のこと
  • セラピスト(支援者)が介入できるのは文脈だけ(行動自体を変えるのは本人の為)
  • 機能的分析ができるとどこに介入すべきかすぐ分かるようになる。望ましくない行動を減らすにはきっかけ(直前のトリガー)を取り除く、結果を取り除く、他の行動に置き換える、確立操作を解消する。オペラント学習に基づく行動療法の大きな原則は望ましくない行動を減らすではなく代替行動を増やすのが一般的な戦略(この当たりは習慣化20秒ルール悪習慣で紹介済み)
  • 機能的分析がオペラント学習を基にした行動療法の要であり、これが理解できれば行動療法の8割は分かったことになる。
  • 機能的分析は仮説に沿って初めは行うため、記録を取って仮説の検証を行うのも大事。結果を見て判断する。
  • モデリングとは、他の人が行動しているのを見るだけでその行動ができるようになるという学習形式(FFのラーニングのようなもの)。詳しい理屈はよく分かっていないがどうやらミラーニューロン(相手が行動している姿を見ると自分が行動しているのと同じように脳が反応する)が関係しているっぽい。モデリングは非常に強力な学習で筋肉を使った随意行動に成り立ちやすい。成り立たせるには入力を多くするのがポイント。非言語学習で動物でも成り立つ(例:親がエサの取り方をみせて子どもが真似してエサを取る)
  • モデリングは自閉症の人は成り立ちにくい。理由はちゃんと見ていない、自分が興味のあるものに注意がいっているため。



次回の講義資料・全講義資料

次回の講義資料のダウンロードページは下記となります。


全講義資料のダウンロードページは下記となります。


講義資料まで用意してくれているなんて熊野先生に感謝です…!



個人的考察

今回の内容も含め行動療法は習慣(良い習慣・悪い習慣)やif-thenプランニングなどで使える部分が多いです。実際過去の習慣の記事をもう一度ご覧いただくと要所要所に行動療法が使われているのを発見できるかと思います。そこに注意しながらもう一度習慣について読んでみると面白いかもしれません。


いよいよ次回から第二世代の認知行動療法ですね~。楽しみ…!


今回のポイントをまとめつつ、足りない部分を加筆したものが下記になります。合わせてご覧ください。




参考文献