子ども時代で将来を予測できるのか…?って研究はいくつもございまして、当ブログでも、


って感じで様々な物をご紹介しております。
んで今回は、子ども時代のIQと精神病(精神障害・精神障がい)は関係あるのか…?って話です。
以前に書いた通り、人類は知性の獲得の代償として精神病(精神障害・精神障がい)の発症の可能性を手に入れてしまったんですよね。まぁ、過去の失敗から反省し学ぶ、未来の不安から準備するといった形で上手く機能しているうちは良いんですが、これがアベコベになっちゃうんと悩んじゃう訳ですな。
では、子ども時代に知性の高い、つまりIQの高い場合、その後を予想できるのかを調べたらどうなったのか早速見ていきましょう…!



子ども時代にIQが高ければ高い程、うつ病や双極性障害になる可能性が高い…!注目すべきは言語性IQ…!

2018年のグラスゴー大学前向きコホート研究によると、子どもの時のIQで大人になった時のうつ病や双極性障害(=躁うつ病:ハイな状態とうつな状態がジェットコースターのように上がったり下がったりする)の発症率が予測できるのか調べてみたそうです。
まず研究者たちは、イギリスで行われた大規模出生コホートのデータセットであるALSPAC(Avon Longitudinal Study of Parents and Children)を用いて、8歳の時のIQスコア表をゲットしたそうな。
因みにIQの詳細は、

  • 言語性IQ(VIQ):言語能力のこと。言葉の理解や聞き取る能力、表現力などのIQ
  • 非言語性IQ(PIQ):クリエイティブ性・創造性のこと。視覚情報の理解や表現力などのIQ
  • IQ=フルスケールIQ(FSIQ):知性のこと。言語性IQ+非言語性IQ

って感じ。
続いて集めたデータを以下の7種類のIQ別に分類してみたらしい。

  1. IQ70~:かなり低いIQ
  2. IQ70~79:低いIQ
  3. IQ80~89:少し低いIQ
  4. IQ90~109:平均的なIQ
  5. IQ110~119:少し高いIQ
  6. IQ120~129:高いIQ
  7. IQ130~:かなり高いIQ

その後、子ども達が22,23歳になった時、うつ病や双極性障害を発症していたか、HCL-32というチェックリストを用いて調べてみたそうです。
因みにHCL-32は、うつ病や双極性障害II型かどうかをチェックする自己アンケート式の物で全部で32問あったりします。んで、2005年のチューリッヒ大学の研究によれば、臨床的に有効なチェックリストであると言えるんだとか(精度80%)
今回の実験の最終的なサンプル数は1,881人で、最後に全てのデータを統計処理してみた結果がこちら。

  • 8歳の時点でのIQ(フルスケールIQ)と、22,23歳の時点でのうつ病や双極性障害の発症には関係があった…!(相関係数:0.159)
  • うつ病や双極性障害の特徴が最も低かったグループ(平均IQ100.71)は、最も高かったグループ(平均IQ110.14)よりもIQが10ポイントも低かった…!
  • 言語性IQと非言語性IQのどちらの平均スコアでも、IQが低ければうつ病や双極性障害の可能性が低く、IQが高ければうつ病や双極性障害の可能性が高かった…!
  • IQ・言語性IQ・非言語性IQの中で、最もうつ病や双極性障害と関係していたのは、言語性IQだった…!
  • 平均的なIQ(90~109)の子ども達を基準とした場合、IQが高くなればなるほど、うつ病や双極性障害の発症率も高くなっていた…!逆にIQが低くなればなるほど、うつ病や双極性障害の発症率も低くなっていた…!

つまり、子ども時代にIQが高ければ高い程、うつ病や双極性障害になる可能性が高い…!ってことですね。そして特に注目すべきは言語性IQだと…。



個人的考察

ということで、残念ながら子ども時代にIQが高いと精神障がいのリスクも高くなってしまうみたいです…。
これをどう解釈するかはかなり難しいんですが、個人的には、

  • 相関係数からみて、そんな気にしなくても・変に気にしなくても良いんじゃないかな~?
  • うつ病や双極性障害の方は、リフレーミングして自分はIQが高いかも…!と考えても良いんじゃないかな~?
  • IQが低い方は、精神障がいになるリスクが低いぞ…!って考えても良いんじゃないかな~?

って感じ。
つまり自分の都合の良いように、プラスに捉えるのがよろしいかな~っと。
また、これらを見るとやっぱ過ぎるは良くない過ぎたるは猶及ばざるが如しということを改めて思いましたね。



参考文献