【まとめ】肥満と過体重(太り過ぎ)はBMIがいくつ以上?何がヤバいの?原因は?
なんとなく太っている状態だよな~とは想像できつつも、細かいところは知らない方も多いのではないでしょうか…?
肥満と過体重(太り過ぎ)とは、BMIがいくつ以上の事を言うのか…?
まずは肥満と過体重(太り過ぎ)とは、BMIがいくつ以上の事を言うのか…?見ていきたいと思います。WHOによれば、肥満と過体重(太り過ぎ・太りすぎ)とは、
- 過体重(太り過ぎ・太りすぎ):BMIが25以上のこと(BMI=25~29.9kg/m2のこと)
- 肥満:BMIが30以上のこと(BMI=30kg/m2以上のこと)
と定義されているそうです。
もうちょい詳しく言うと、WHOはBMIを6つのカテゴリーに分類しておりまして、
- BMIが15.0~18.5kg/m2未満:低体重
- BMIが18.5~25.0kg/m2未満:適正体重(標準体重・標準体型)
- BMIが25.0~30.0kg/m2未満:過体重(太り過ぎ)
- BMIが30.0~35.0kg/m2未満:肥満グレード1
- BMIが35.0~40.0kg/m2未満:肥満グレード2
- BMIが40.0~60.0kg/m2未満:肥満グレード3
因みに過体重は体内に過剰な脂肪が蓄積された状態のことを指すそうで、肥満は、健康を損なう可能性があるほど、体内に過剰な脂肪が蓄積された状態を指すんだとか。
では実際に肥満の方がどのぐらいいるのか…?ってことで、まず参考にしたいのが2017年のNCD-RisCの研究になります。この研究は、1975年から2016年にかけての肥満や太り過ぎを調べてみたものなんですが、なんでも2016年には3億9000万人の女性と2億8100万人の男性が肥満だったそうです。つまり2016年の時点で肥満が6億7100万人もいたと…。
但しWHOによれば、2022年には25億人の成人(18歳以上)が太りすぎだったらしく、そのうちの8億9000万人が肥満だったそうなんで、たった6年で更に2億1900万人も肥満が増えたんですね。これはえらいこっちゃ…。
また2016年のNCD-RisCの研究によれば、肥満は1970年代から3倍も増えているそうで、
更にWHOによれば、成人の肥満は1990年以降で2倍以上、青少年の肥満は4倍も増加していたみたい。
それと2010年のCDCの研究では2007~2008年にかけての成人アメリカ人の肥満と過体重の割合をチェックしているんですが、
- 全体の肥満の割合:33.8%
- 男性の肥満の割合:32.2%
- 女性の肥満の割合:35.5%
- 全体の過体重の割合:68.0%
- 男性の過体重の割合:72.3%
- 女性の過体重の割合:64.1%
とのこと。つまり成人アメリカ人のうち、過体重の人が68%、肥満の人が34%ってことですね。
これらを見ると、肥満や過体重は世界的な問題と言えますな。
OECDが経済学の観点から肥満を紐解いてみた…!
2019年のOECDの研究によると、経済学の観点から肥満を紐解いてみたそうです。これはOECD、EU、G20を含む最大52カ国における肥満&過体重の経済的、社会的、健康的コストを分析したもので、世界中で増大する健康問題にかかる費用を計算し経済への影響を見てみたと言うもの。
んでポイントがいくつかに分かれておりまして、並べていくとこんな感じとなっております。
世界における肥満の割合は増えている…!
- OECD加盟国が当時36カ国ありまして、そのうちの34カ国では、人口の50%以上が過体重、25%が肥満となっていた。
- そしてOECD加盟国における成人の平均肥満率は、2010年は21%だったのに対し、2016年は24%と3%も増えていた。
- 2019年では更に5000万人の人が肥満に苦しでいると思われる。
- この10年間、肥満対策を取り組んできたが結果は虚しく終わっている。
- 過去50年間におけるOECD加盟国のカロリー摂取量は約20%も増加しており、更なる対策が必要である。
世界の割合でみても肥満と過体重は急速に増えていると言えますね。
肥満と過体重は社会的不平等をもたらす…!
- 肥満と過体重の社会的不平等は特に子どもへの影響が大きい。
- 肥満と過体重の子どもは学校成績が悪い、欠席率も高い、最終学歴も低いなどの影響がある。
- また、生活満足度も低く、いじめに遭う可能性も最大3倍も高くなると分かっている。
- これらの要因が学校成績を下げていると思われる。
- 対して、標準体型やスリムな体型の子どもは肥満の子どもよりも13%も学校成績が良いとする報告がある。
- 大人の場合も肥満と過体重における社会的不平等への影響はある。
- 過体重に関係する慢性疾患を最低1つ以上持っている人は翌年に雇用される可能性が8%も低くなる。
- 現在雇用されている場合でも、欠勤率や生産性の低下により翌年に雇用される可能性が最大3.4%も低くなる。
- また肥満の成人は、慢性疾患リスクや寿命の低下リスクが高い。
- EUに加盟している28カ国を見てみると、最低所得層の女性は最高所得層の女性に比べて、90%も肥満リスクが高い。
- EUに加盟している28カ国を見てみると、最低所得層の男性は最高所得層の男性に比べて、50%も肥満リスクが高い。
肥満や過体重の悪影響が子ども時代が大きいってのは納得できるところですね。特にいじめリスクが3倍ってのはヤバいですし、学歴にこれほど影響をもたらすものが肥満や過体重なのかと改めて思い知らされる結果でしょう。
そして大人になったら今度は職歴に響くと言うのも切ないところ。生涯に亘って不平等が起こるんですね…。
それと因果関係は謎なところ、年収の低さと肥満リスクが関係しており、特に女性の90%は衝撃的な数値と言えるのではないでしょうか…?
過体重は医療費がかかりそれが経済や国家へ悪影響をもたらす…!
- OECDの分析によるば、2020年から2050年にかけて、肥満と関係する病気で平均寿命が3年程短くなると出ている。
- BMIが高い人は糖尿病やがん、心疾患になりやすくこれらは長期にわたって治療が必要なため、高額な費用がかかる。
- また過体重の人は健康体重の人に比べて病院に行くことが多い。そして多くの手術を受け、処方箋を2倍以上もらっている。
- OECD加盟国の平均では、糖尿病の治療費全体の70%、心血管疾患の治療費の23%、がんの治療費の9%が過体重によるものだと出ている。
- 高BMIと関連疾患の治療は、OECD加盟国全体で年間1人当たり200ドル以上の費用がかかっている。
- そのため、OECD、EU、G20の国々がダイエットを推進することは優れた投資と言える。
- 例えば、OECDの分析によると、肥満予防に1ドル使うと最大6倍の経済的利益が生み出されると出ている。
肥満や過体重は医療費増大の原因であり、それが個人や経済、国家の金銭負担をアップさせているんですねー。
まとめ
肥満と過体重におけるOECDの調査結果をまとめると、
- 学歴・職歴・幸福・年収・健康・医療費に悪影響をもたらす…!
- 子ども時代のダメージがデカい…!
- 大人になってもダメージがある…!
- 寿命も縮む…!
のような感じかと。
人口の50%以上が過体重、25%が肥満なんで、これらのリスクを持っている人がこの割合でいると思うと何とも恐ろしい話ですね。
人口の50%以上が過体重、25%が肥満なんで、これらのリスクを持っている人がこの割合でいると思うと何とも恐ろしい話ですね。
WHOの結果も大体同じ感じ…!
ついでにWHOの報告も見ておきましょう。
2022年のWHOの研究では、ヨーロッパ諸国における肥満や過体重についての現状を報告書としてまとめております。
これによれば、ヨーロッパ諸国における過体重と肥満を合わせた割合は、
- 成人の場合:約60%…!
- 男の子の場合:29%…!
- 女の子の場合:27%…!
って感じだったらしい。やっぱこれぐらいの割合なんですね。
因みにWHOによればコロナ禍でBMIがアップした…!って傾向が出ていたらしく、コロナが終わった後の復興に肥満予防が必要だとおっしゃっておりました。
25年間にわたって195カ国で過体重と肥満の健康リスクを調べてみた…!
世界の疾病負担研究(GBD)2015によると、25年間にわたって195カ国で過体重と肥満の健康リスクを調べてみたそうです。
そもそも過体重や肥満は世界中で増加傾向にありまして、先行研究により高BMIは、
- 心血管疾患
- 糖尿病
- 慢性腎臓病
- 様々ながん
- 様々な筋骨格系障害
などなど、慢性疾患リスクの増加要因だと分かっているんだとか。
ただ、これらが実際どの程度世界中で起こっているのか不明だったため、この度195カ国の過体重・肥満率、高BMIの死亡リスクを年齢と性別ごとに体系的にまとめてみたんだとか。
この研究は世界の疾病負担研究のデータベースを使ったもので、1980年から2015年までの子供と大人の過体重と肥満傾向をチェックしたと言うもの。因みにチェックしたサンプル数は6,850万人で対象となった国は195か国だったそうな。
それでは統計処理した結果を見てみましょう。
まずは1980年から2015年における肥満の蔓延率についてです。
- 2015年には1億770万人の子供と6億370万人の大人が肥満だった…!
- 全体的な肥満率は、子供が5.0%、大人が12.0%だった…!
- 女性の肥満率は男性よりも一般的に高かった…!
- 肥満率のピークは女性の場合が60~64歳、男性の場合が50~54歳だった…!
- 肥満率の増加に男女で有意差はなかった…!
- 男女とも肥満率の増加は成人初期が最も高かった…!
- 20歳未満では肥満率に性差はなかった…!
- 世界の子供の肥満率の増加は、全年齢層の男女で同じだった…!
- 1980年以降、73カ国で子供と大人の肥満率が2倍になっていた…!
- 上記以外のほとんどの国でも肥満率の増加が見られた…!
- 子供の肥満率は大人の肥満率よりも低いが、多くの国で子供の肥満率の増加は大人の肥満率の増加を上回っていた…!
ということで、肥満はヤバい勢いで世界中に広まっているみたいです。
では、肥満がもたらす健康リスクはどんな感じだったのか1990年から2015年まででチェックした結果を見てみましょう。
- 2015年には高BMIが400万人の死亡の一因となっていた…!
- 上記結果は高BMIがあらゆる原因による死亡の7.1%に相当することを意味している…!
- 高BMIに関係する死亡の39%はBMIが30未満の人(つまり過体重の人ですな)で発生していた…!
- 心血管疾患は高BMIに関係する主な死亡原因であり270万人の方が亡くなっていた…!
- つまり高BMIの死亡原因のうち、3分の2以上は心血管疾患によるものだった…!
- BMI関係の死亡の41%は心血管疾患だった…!
- 糖尿病はBMI関係の死亡原因の第2位であり60万人の方が亡くなっていた…!
- 糖尿病によるBMI関係の死亡全体のうち9.5%はBMIが30以上(=肥満)で発生し、4.5%は BMIが30未満(=過体重)で発生していた…!
- 慢性腎臓病とがんはBMI関係の死亡全体のうち10%未満を占めていた…!
- 筋骨格系障害も10%未満を占めていた…!
肥満や過体重は、全死亡リスク、心血管疾患リスク、糖尿病リスク、慢性腎臓病リスク、筋骨格系障害リスクの増加と関わっているみたいですね。特に全死亡リスク、心血管疾患リスクはヤバいですな。
またこの研究では上記に挙げた病気を抱えながら生きる年数もチェックしたそうなんですが、
- 17.8~41.4年…!
とのこと。
また主な原因別に見てみると、
- 糖尿病→10.6~24.4年…!
- 筋骨格系障害→3.4~8.8年…!
- 心血管疾患→2.0~4.9年…!
って感じだったらしい。
いや~健康的に長く暮らすことが如何に肥満で脅かされるかが分かる結果ですな。特に糖尿病になると徐々に透析生活が始まって回数も増えるんで10年以上ってのは納得ですね。
肥満がここまで健康リスクを奪う要因っていうのを改めて思い知らされる結果でした。
因みにこの研究では最も死亡リスクが低かったBMI、つまりベストなBMIも出していたんですが、それは、
- BMIが20~25が最も健康的だった…!
とのこと。
まさに標準体型ですね。納得。
世界中の地域から1千万人以上のサンプルで調べたBMIと全死亡リスクの関係
2016年のGlobal BMI Mortality Collaborationの研究によると、BMIと全死亡リスクの関係について前向きコホート研究のメタ分析を行ってみたそうです。
そもそも今まで見てきた通り、過体重と肥満は世界中で急速に増えております。そして過体重や肥満は死亡リスクと関係ありそうと先行研究で出ていたものの、地域の違いや喫煙の有無、基礎疾患の有無によってこれらは大きく変わってしまうんでイマイチはっきりしたことが分からなかったんですな。そこで今回研究者たちは、非喫煙者・実験開始時基礎疾患がない人限定で5年間の追跡調査を行ってみることにしたらしい。
この研究は2013年に世界32か国にある300を超える研究機関、500人を超える研究者に協力をお願いしたと言うもの。まず始めに1970年1月~2015年1月までに発表された先行研究をMEDLINE、Embase、Scopusで検索してみたそうな。またこの際、サンプル数が100,000人以上のデータに絞って探してみたとのこと。
するとアジア、オーストラリア&ニュージーランド、ヨーロッパ、北米から239件もの前向きコホート研究が見つかったそうな。これらの研究の特徴は、
- 追跡期間の中央値:13.7年
- 総サンプル数:10,625,411人
- 非喫煙者・実験開始時基礎疾患がない人限定で5年間の追跡調査できた人:189件の研究に参加した3,951,455人が該当した。そのうち385,879人が亡くなった
って感じ。
4大陸、つまり世界中の地域から1千万人以上のサンプルで調べたってのは超大規模研究と言えますね。これは非常に勉強になる予感。
それではメタ分析にかけてみた結果を見てみましょう。
まずは全ての地域におけるBMIと全死亡リスクの関係から。
- BMIが15.0~18.5kg/m2未満だと全死亡リスクが51%アップ(HR1.51)
- BMIが18.5~20.0kg/m2未満だと全死亡リスクが13%アップ(HR1.13)
- BMIが20.0~22.5kg/m2未満だと全死亡リスクが0%アップ(HR1.00)
- BMIが22.5~25.0kg/m2未満だと全死亡リスクが0%アップ(HR1.00)
- BMIが25.0~27.5kg/m2未満だと全死亡リスクが7%アップ(HR1.07)
- BMIが27.5~30.0kg/m2未満だと全死亡リスクが20%アップ(HR1.20)
- BMIが30.0~35.0kg/m2未満だと全死亡リスクが45%アップ(HR1.45)
- BMIが35.0~40.0kg/m2未満だと全死亡リスクが94%アップ(HR1.94)
- BMIが40.0~60.0kg/m2未満だと全死亡リスクが176%アップ(HR2.76)
つまりここから何が言えるのかと言いますと、
- BMI=20.0~25.0kg/m2未満だと全死亡リスクが一番低くベスト…!
- BMIが25.0kg/m2を超えると(つまり過体重・肥満ですな)、全死亡リスクとBMIが比例するように高くなっていた…!
といったところ。
やはり肥満が一番良くなくて、痩せすぎもダメ、ちょっと太っていても全死亡リスクは高くなるみたいで、やっぱり標準体型がベストみたいですねー。
続いて地域別におけるBMIと全死亡リスクの関係を見てみましょう。
【ヨーロッパ】
- BMIが15.0~18.5kg/m2未満だと全死亡リスクが79%アップ(HR1.79)
- BMIが18.5~20.0kg/m2未満だと全死亡リスクが25%アップ(HR1.25)
- BMIが20.0~22.5kg/m2未満だと全死亡リスクが2%アップ(HR1.02)
- BMIが22.5~25.0kg/m2未満だと全死亡リスクが0%アップ(HR1.00)
- BMIが25.0~27.5kg/m2未満だと全死亡リスクが7%アップ(HR1.07)
- BMIが27.5~30.0kg/m2未満だと全死亡リスクが21%アップ(HR1.21)
- BMIが30.0~35.0kg/m2未満だと全死亡リスクが52%アップ(HR1.52)
- BMIが35.0~40.0kg/m2未満だと全死亡リスクが99%アップ(HR1.99)
- BMIが40.0~60.0kg/m2未満だと全死亡リスクが204%アップ(HR3.04)
【北米】
- BMIが15.0~18.5kg/m2未満だと全死亡リスクが51%アップ(HR1.51)
- BMIが18.5~20.0kg/m2未満だと全死亡リスクが9%アップ(HR1.09)
- BMIが20.0~22.5kg/m2未満だと全死亡リスクが1%アップ(HR1.01)
- BMIが22.5~25.0kg/m2未満だと全死亡リスクが0%アップ(HR1.00)
- BMIが25.0~27.5kg/m2未満だと全死亡リスクが6%アップ(HR1.06)
- BMIが27.5~30.0kg/m2未満だと全死亡リスクが17%アップ(HR1.17)
- BMIが30.0~35.0kg/m2未満だと全死亡リスクが39%アップ(HR1.39)
- BMIが35.0~40.0kg/m2未満だと全死亡リスクが93%アップ(HR1.93)
- BMIが40.0~60.0kg/m2未満だと全死亡リスクが158%アップ(HR2.58)
【東アジア】
- BMIが15.0~18.5kg/m2未満だと全死亡リスクが36%アップ(HR1.36)
- BMIが18.5~20.0kg/m2未満だと全死亡リスクが11%アップ(HR1.11)
- BMIが20.0~22.5kg/m2未満だと全死亡リスクが-1%アップ(HR0.99)
- BMIが22.5~25.0kg/m2未満だと全死亡リスクが0%アップ(HR1.00)
- BMIが25.0~27.5kg/m2未満だと全死亡リスクが7%アップ(HR1.07)
- BMIが27.5~30.0kg/m2未満だと全死亡リスクが28%アップ(HR1.28)
- BMIが30.0~35.0kg/m2未満だと全死亡リスクが54%アップ(HR1.54)
- BMIが35.0~40.0kg/m2未満だと全死亡リスクが101%アップ(HR2.01)
- BMIが40.0~60.0kg/m2未満だと全死亡リスクが138%アップ(HR2.38)
ここから何が言えるのかと言いますと、
- 地域別に見てもBMI=20.0~25.0kg/m2未満だと全死亡リスクが一番低くベスト…!
- 地域別に見てもBMI=25.0~35.0kg/m2未満の全死亡リスクの増加は大体同じ感じだった…!
- 但しBMIが15.0~18.5kg/m2未満とBMIが40.0~60.0kg/m2未満の全死亡リスクは東アジアよりもヨーロッパがやや高かった…!
って感じ。
やっぱり標準体型がベストで、過体重・肥満の全死亡リスクは変わらないみたいですねー。ただ低体重と超肥満(WHOでいう肥満グレード3)はちょっとだけ違ったところもあったと。
因みにBMIが5kg/m2増えると全死亡リスク(HR=ハザード比)がどのぐらい増えるのかですが、
- ヨーロッパ:39%アップ(HR1.39)
- 北米:29%アップ(HR1.29)
- 東アジア:39%アップ(HR1.39)
- オーストラリアとニュージーランド:31%アップ(HR1.31)
とのこと。
大体30~40%全死亡リスクが増えるみたいですね。
次に年齢別におけるBMIと全死亡リスクの関係を見てみます。
- 35~49歳:52%アップ(HR1.52)
- 50~69歳:37%アップ(HR1.37)
- 70~89歳の21%アップ(HR1.21)
つまり、若い人の方が高齢者よりも全死亡リスクが高いってことですね。
次は性別におけるBMIと全死亡リスクの関係を見てみます。
BMIが5kg/m2増えると全死亡リスク(HR=ハザード比)がどのぐらい増えるのかを見てみたそうなんですが、
BMIが5kg/m2増えると全死亡リスク(HR=ハザード比)がどのぐらい増えるのかを見てみたそうなんですが、
- 男性:51%アップ(HR1.51)
- 女性:30%アップ(HR1.30)
とのこと。
どうやら男性の方が女性よりも全死亡リスクが高いみたいですね。
因みに、年齢・男女の結果はどの地域でも当てはまったってことで違いはないみたい。
それと年齢・男女の結果からみた場合の分かったこととして、
- やっぱりBMIが20.0~25.0kg/m2未満が全死亡リスクが一番低くベスト…!
- 低体重や過体重・肥満だと全死亡リスクは高くなっていた…!
- 35~49歳ではBMI=22kg/m2だと全死亡リスクが一番低くベスト…!
- 50~69歳ではBMI=23kg/m2だと全死亡リスクが一番低くベスト…!
- 70~89歳ではBMI=24kg/m2だと全死亡リスクが一番低くベスト…!
だったそうです。
年齢が上がるにつれて若干ベストなBMIも高くなるみたいですね。
次はBMIと健康リスクの関係を見てみます。
BMIが25kg/m2を超える(つまり過体重・肥満になる)と、
- 冠状動脈性心疾患(CHD)による死亡リスクには強い正の相関関係があった…!
- 脳卒中による死亡リスクには強い正の相関関係があった…!
- 呼吸器疾患による死亡リスクには強い正の相関関係があった…!
- がんによる死亡リスクには中程度の正の相関関係があった…!
とのこと。
因みにこれらの結果はヨーロッパ、北米、東アジアで大体同じ感じだったみたい。但し、東アジアでは冠状動脈性心疾患による死亡リスクがBMI18.5~20.0kg/m2未満で最低となったそうでこれは他の地域よりも低いんだとか。
また、全ての地域におけるBMI15.0~18.5kg/m2未満(低体重)は、呼吸器疾患による死亡リスクの大幅な上昇と、冠状動脈性心疾患、脳卒中、がんによる死亡リスクの若干の上昇と関係があったらしい。やっぱり極端な痩せすぎも良くないみたいですね。
最後にその他の違いについても見ておきます。
- 研究規模の大きさと健康リスク(HR)に大きな違いはなかった…!
- BMIを測定した場合、自己申告した場合の健康リスク(HR)に大きな違いはなかった…!
- 職業研究とその他の研究の間で健康リスク(HR)に大きな違いはなかった…!
上記を見るとこの辺は関係ないみたいですね。特にBMIと自己申告に違いがあんまりないってのは意外ですな。
- 適正体重であるBMI=20.0~25.0kg/m2未満がベスト…!
- 過体重・肥満であるBMI=25kg/m2以上で全死亡リスクがアップする…!
- これは世界の全ての地域で同じ…!
って感じです。
過体重や肥満はいつから増えたのか…?原因は…?
2009年のルイジアナ州立大学ペニントン生物医学研究センターなどの研究によると、世の中で肥満が増えている原因を調べてみたそうです。すると、肥満が増えていることは間違いないもののそれがいつから始まったのか完全には明らかになっていないみたい。但し、
- 肥満は100年以上にわたって増加傾向にあった…!
- アメリカでは少なくとも1980年頃から肥満が爆発的に増加傾向にあった…!
とのこと。
では、何がそこまで肥満を加速させたのかってことで2004年のルイジアナ州立大学ペニントン生物医学研究センターの研究や2008年のジョンズ・ホプキンス大学の研究を見てみると、どうやら1970年代以降に始まったグローバル化に伴う肥満を誘発する環境の世界的な広がりが原因っぽい。つまり、カロリー摂取量とカロリー消費量のバランスが崩れる環境ってことですね。例えば食事や運動、睡眠、メンタル問題などですな。
その中でも最も問題なのが食事とのこと。例えば2019年のランセット委員会の研究によれば、カロリー密度が高く栄養価の低い食品、つまり加工食品や超加工食品を食べる不健康な食事スタイルが肥満増加の大きなポイントとなっている可能性が高いんだとか。
また、2017年の安徽科技大学の研究によると、体重増加や肥満リスクの増加は西洋スタイルの食事が原因だと結論を出しておりますし、更に2019年のハインリッヒ・ハイネ大学の前向きコホート研究の系統的レビュー・メタ分析では、過体重・肥満の相対リスク(RR)が、
と、これらの摂取量が多いと抑えられたのに対し、
ということで肥満の起源はわからないものの、世界中で肥満が爆発的に増えた時期は加工食品や超加工食品が広まった時期と重なっており、これらを良く食べる西洋スタイルの食事が原因の可能性が高いみたいです。逆に言えばここを抑えておくと肥満や過体重のリスクを抑えられるということですね。
個人的考察
2008年のメイヨークリニックの研究なんかを見てみると、脂肪量ってのは全体重のほんの一部にしか過ぎず、5%から45%超までの範囲だったみたいです。確かに男女の違いはありますが、「腹筋が割れた見た目は体脂肪率何パーセントから?男性・女性別に考えてみる!」の記事を見てもそれぐらいなんだろうな~と思いますね。但し、全体重の一部・脂肪量の範囲が狭いと言うことは、それだけ1%の重要度が高いとも言えます。そのため、しっかりと管理していきたいものですね。気になる方は下記からご自身のBMIをチェックしてみてください。
また、BMIってどれぐらい正しいのか…?って疑問をお持ちの方は下記から精度を調べた研究が見られますんで、併せてご覧ください。