2023年10月9日から毎週月曜日にポケモンGOの研究を見てきましたが、一旦今回でラストになります。
今まで見てきた研究をバーッと挙げていくと、


って感じで、なかなか壮大なスケールになったかと思います。週1とはいえ、塵も積もれば山となる、ですな。
んで、最後は2023年に発表された、ポケモンGOが子どもや青少年の身体活動と心理的社会的幸福に影響を与えるのかの初の系統的レビューを見てみます。



ポケモンGOが子どもや青少年の身体活動と心理的社会的幸福に影響を与えるのかの初の系統的レビュー…!

2023年の広州体育学院の研究によると、ポケモンGOが子どもや青少年の身体活動と心理的社会的幸福に影響を与えるのか系統的レビューを行ってみたそうです。
これまでにも同じような研究はあったんですが、それらは主に成人を対象にしていたんですよね。んで、子どもや青少年を対象にした系統的レビューがなかったので、今回初めて行ってみることにしたんだとか。
まず研究者たちは、2023年3月20日までに発表された該当する研究をPubMed、CINAHL、Web of Science、Scopusといった4つのデータベースで検索してみたそうな。すると、

  • PubMed:96件
  • CINAHL:156件
  • Web of Science:221件
  • Scopus:258件

の合計731件の研究がヒットしたとのこと。次にこの中で被っている物を除外、その後、質の低い物かどうかチェックしていったらしい。最終的に基準を満たした研究は10件だったそうで、これらを用いて系統的レビューを行ってみたそうです。
因みに10件の研究の特徴は以下な感じ。

  • 発表された年:2018年に4件、2019年に3件、2022年に3件だった。
  • 発表した国:スウェーデン1件、香港1件、アメリカ2件、スペイン2件、台湾2件、ペルー1件、インドネシア1件だった(日本の研究はなし)
  • 介入期間:6週間から10週間の間だった。
  • サンプル幅:13人から944人の間だった。
  • 対象者:5〜12歳の子どもを対象にしたものから、13〜18歳の青少年を対象にしたものもあった。2つの研究では、子供・青年と成人の両方が含まれていた。
  • 男女比:女性の割合は23%から56.2%の間だった。

それでは、ポケモンGOが子どもや青少年の身体活動に与える影響の結果から見てみましょう。

  • 身体活動との関係を報告した6件の研究を見てみると、概ねプラスの効果があることが分かった…!
  • 協力やポケモン探しなどのゲーム要素がプレイヤーの身体活動レベルと正の相関関係にあった…!
  • 毎日の歩行距離やランニング距離、余暇時間の身体活動、体力測定と正の相関関係があった…!
  • 場合によっては親のポケモンGOへの関与と子供の身体活動レベルに正の相関関係があった。
  • 身体活動の増加の継続時間は研究によってバラバラだった。
  • ほとんどの研究では、1週間~2か月間の身体活動の増加を示していた…!
  • 7週間や8週間継続したものもあれば、1ヶ月後、半年後、1年後の3つの時点全てで、軽~中度の身体活動が有意な増加をしていた研究もあった。

ざっくりまとめると、ポケモンGOが子どもや青少年の身体活動に与える影響は大人の場合と変わらなそう…!ってことですね。運動量が増えるのは間違いないんだけど、長期的な効果は不明って感じです。

続いて、ポケモンGOが子どもや青少年の心理的社会的幸福に与える影響の結果を見てみましょう。

  • 心理的社会的幸福との関係を報告した4件の研究を見てみると、結果は研究によってバラバラだった。
  • 一方で2件の研究では、ポケモンGOと社交性スコアの間に正の相関関係があった…!
  • ポケモンGOをプレイする動機については、インターネット依存症やゲーム依存症、幸福度と正の相関関係にあり、より複雑な関係を示していた。
  • 1件の研究では、ポケモンGOとゲーム依存症の間に正の相関関係があった。

こちらもざっくりまとめると、社交性がアップするっぽいけど、幸福度については複雑でよく分からん…!って感じですね。



個人的考察

ということで、未成年の方を対象にした場合でも、ポケモンGOで短期的には運動量が増える、長期的にはよく分からん…!って感じで、心理的社会的幸福については、社交性はアップするけど、幸福度はよく分からん…!となっておりました。
上記を見ていると、年齢や性別にかかわらず、ポケモンGOのメリット・デメリットの効果は同じように受けられるのではないかな~と思います。



参考文献