【加筆内容】プラセボ効果とノセボ効果についてアンブレラレビューを行ってみた!
「アンブレラレビューを見てみよう!」シリーズその103です。
プラセボ効果とノセボ効果についてアンブレラレビューを行ってみた…!
2023年のトリノ大学の研究によると、プラセボ効果とノセボ効果についてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
軽くおさらいしておきますと、プラセボ効果とノセボ効果ってのは、
- プラセボ効果:偽の薬を飲んだのに、ポジティブな効果が出た…!
- ノセボ効果:偽の薬を飲んだのに、ネガティブな効果が出た…。
って感じのこと。
んで過去30年間、神経科学、医学、心理学、遺伝学の分野において、プラセボ効果とノセボ効果に関する研究が急速に進んできたそうな。その結果、プラセボ効果とノセボ効果は一つだけではなく、多種多様であることが明らかになったとのこと。
また、ホーソン効果ってのもありまして、これは対象者が、今自分が研究対象になっている…!と意識しちゃうことで、通常の状態が変化しちゃうこともあるそうな。確かに人間注目されると、ついついモチベがアップしてしまいますよね。特に実験に参加する方が治療開始前に、健康効果への期待が高まっちゃう、治療のルールをしっかり守ろうとする、な~んてことが起こる可能性があるらしい。
じゃあ、肝心のプラセボ効果・ノセボ効果ってどのぐらいなのか…?ってのを調べるために今回アンブレラレビューを行ってみることにしたんだとか。
まず研究者たちは、2022年9月までに発表された該当研究を、MEDLINE/PubMed、Scopus、Web of Science、PsycINFO、コクランで検索してみたそうな。すると合計6,215件の研究がヒットしたとのこと。次にこの中で重複している研究を除外、その後、各研究の質をチェックし精査したらしい。
結果、ピックアップされた研究は357件ということでした。
更にこの研究では引用文献などから追加の研究を15件見つけたそうな。ということで、最終的に選ばれた研究は合計372件でして、総サンプル数は158,312人になったみたい。
では結果を見てみましょう…!
プラセボ効果・ノセボ効果が、少なくとも部分的にあったものは、
- 疼痛・痛み(侵害受容性疼痛(切り傷擦り傷、やけど、打撲、骨折なんかの痛みのこと)、特発性疼痛(いきなりくる謎の痛み)、神経障害性疼痛(神経の圧迫や損傷、脳や脊髄からの痛みの信号の異常))
- 非侵害性体性感覚(通常痛みを感じないはずの刺激で痛みを感じること)
- パーキンソン病
- 片頭痛(慢性片頭痛)
- 睡眠障害
- 知的障害
- うつ病
- 不安症
- 認知症
- 依存症
- 婦人科疾患
- 注意欠陥多動性障害(ADHD)
- 免疫系・内分泌系
- 心血管系
- 呼吸器系
- 胃腸疾患
- 皮膚疾患
- インフルエンザ・関連ワクチン
- がん
- 肥満
- 身体能力
- 認知能力
とのこと。
かな~り多岐にわたったラインナップですねー。これらでプラセボ効果・ノセボ効果が起きる可能性があると…。
また効果量なんですが、ざっくりした結果を見てみると、
- プラセボ効果:0.08~2.01…!
- ノセボ効果:0.32~0.90…!
って感じだったみたい。
幅は非常に広い感じですね。にしても良くも悪くもプラセボ効果・ノセボ効果ってめっちゃ出る時があるんですねー。まさに、病は気から、気の持ちよう、と言えましょう…。
ということで、この結果を踏まえて研究者は、
- プラセボ効果、ノセボ効果、ホーソン効果は強力かつ広範囲で一般的であり、コストがかからず、多くのメリットがあるんだから、状況に応じてプラセボ効果を高め、ノセボ効果を最小限に抑えて使うと良いんじゃない…?
っておっしゃっておりました。
確かに、どうせならコスパが良いんで上手く利用しちゃった方がお得ですよね~。