2021年に世界ADHD連盟が示したコンセンサスを見てみよう! その14「安全で効果的な薬」
「2021年に世界ADHD連盟が示したコンセンサスを見てみよう!」シリーズの続きです。
カテゴリー⑩:ADHDの治療に安全で効果的な薬はどれ…?
世界中の政府機関によって、ADHDの治療に安全で効果的な薬がいくつか見つかっているそうです。これらの薬は、通常、患者を対象に数週間調べたRCTによって決定されるとのこと。また、精神疾患以外の多くの薬と同等、あるいはそれ以上の有効性を示しており、刺激性薬剤(メチルフェニデートおよびアンフェタミン)又は非刺激性薬剤(アトモキセチン、グアンファシン、クロニジン)に分類されるんだとか。
148. ADHDに対する薬物療法のプロトコルは、専門的な医療協会が作成した詳細なガイドラインに詳しく記載されている。
149. 2018年のネットワークメタ分析によると、刺激性薬剤がADHDの症状軽減に非常に効果的であることがわかった。プラセボと比較して、アンフェタミンは全年齢層で大きな改善が見られたとのこと。またメチルフェニデートは青少年で大きな改善、成人で中程度の改善が見られた。グアンファシンは小児で中程度の改善が見られた。アトモキセチンは全年齢層で中程度の改善が見られた。副作用を考慮すると、小児・青年はメチルフェニデート、成人はアンフェタミンが良さそうだった。
150. 2011年のメタ分析によると、ADHDの成人患者2,000名以上を対象に調べた結果、3種類のアンフェタミン誘導体(デキストロアンフェタミン、リスデキサンフェタミン、混合アンフェタミン塩)がADHD症状に中程度の効果があった。また2002年のメタ分析では、青少年216名を対象に調べたところ、混合アンフェタミン塩がメチルフェニデートよりもADHD症状の軽減にわずかに効果的だった。
151. 2015年のメタ分析によると、1,600人以上を対象に調べた結果、メチルフェニデートは学校の先生から見た時のADHD症状と行動、保護者から見た生活の質において中程度から大きな改善が見られた。また副作用について重篤な有害事象の証拠はなく、非重篤な副作用リスクがわずかに上昇したのみだった。
152. 2015年のメタ分析によると、デクスメチルフェニデートはプラセボと比較して青少年のADHD症状を大きく改善していた。また反応率は3倍だった。更に2004年の別のメタ分析によると、253人を対象に調べた結果、メチルフェニデートで成人のADHD症状が大きく改善、高用量でより大きな改善が見られた。
153. 2007年のメタ分析によると、1,600人以上を対象に調べたところ、アトモキセチンでADHDの症状が中程度改善していた。
154. 2018年のメタ分析では、メチルフェニデートとリスデキサンフェタミンでADHDの成人の感情調節障害の症状が軽度から中程度軽減した。一方で、アトモキセチンの軽減効果はわずかだった。2014年の別のメタ分析によると、1,300名以上の若者を対象に調べた結果、アトモキセチンで感情調節障害の症状が軽度軽減していた。
155. 2019年のメタ分析によると、境界知能又は知的障害のあるADHDの子ども423名を対象に調べた結果、メチルフェニデートでADHD症状が中程度から大きく改善していた。
156. 2015年のメタ分析によると、ADHDの子ども2,900人以上を対象に調べた結果、プラセボと比較して刺激性薬剤は不安感を14%軽減していた。
157. 2015年のメタ分析では、1,300人以上を対象に刺激性薬剤が、ADHD(反抗挑戦性障害の有無に関わらず)及び素行障害のある青少年の攻撃性、反抗的行動、素行問題を軽減するのに役立つか見てみた。結果、学校の先生から見た評価では非常に効果的、保護者から見た評価では中程度の効果があった。
個人的考察
長くなったので今回はここまで。
続きは来週です。
参考文献
最後にまとめてご紹介します。