【加筆内容】障がいとBDNFの関係について考える その2「うつ病編2」
昨日の続きです。
動物実験でもヒトでも結果は同じ…!やはり大うつ病とBDNFレベルは関係あり抗うつ薬でBDNFレベルがアップする…!そしてこの効果は4~8週間が一つの基準になりそう…!更に希死念慮も関係ありそう…!
2010年の高麗大学校の研究によると、大うつ病患者さんにおける抗うつ薬とBDNFの関係についてレビューしてみたそうです。
まず動物実験での研究を見返してみるとこのようになっていたそうです。
- 動物実験では、様々なストレスによってBDNFの発現が低下していた…!
- 例えば、慢性ストレス、足にショックを与えるストレス、社会的ストレス、家族によるストレスなどいずれのストレス原因でも海馬、特に歯状回におけるBDNFの発現が大幅にダウンしていた…!
- SSRIやSNRIなどの抗うつ薬は脳内のBDNF発現をアップさせていた…!
- 経頭蓋磁気刺激治療(TMS)をげっ歯類に行うと脳内のBDNF発現がアップした…!
- 抗うつ薬を21日間続けた場合、前頭前野のBDNFレベルが10~30%アップしていた…!
ざっくりまとめると動物実験で、ストレス→脳内BDNFレベルが低下→抗うつ薬→脳内BDNFレベルが増える(元に戻る)って感じですね。
では続きまして、ヒトだとどうなのか見ていきましょう。
- ヒトの場合も動物実験のデータと一致した結果が出ていた…!
- 大うつ病患者さんのBDNFレベルは健康な方よりも大幅に低かった…!
- うつ症状が重度になればなるほど、BDNFレベルがよりはっきりと低かった…!
- うつ病が再発した大うつ病患者さんは初めて発症した患者さんよりもBDNFレベルがはるかに低かった…!
- ほとんどの研究では、大うつ病患者さんが抗うつ薬で治療するとBDNFレベルがアップしていた…!
- 大うつ病患者さんがSSRIとSNRIの両方を使って8週間の治療をするとBDNFレベルがアップしていた…!
- しかし別の研究ではSSRIを使って6ヶ月後、BDNFレベルはアップしていたがSNRIでは6ヶ月後もBDNFレベルは変わらなかった…!
- 但し追試によると、大うつ病患者さんが抗うつ薬を6週間又は8週間使うとBDNFレベルがアップしていた…!
- 2008年のベレンソン・アレン非侵襲脳刺激センターの系統的レビュー・メタ分析によると、BDNFの変化や治療効果を評価するには4~8週間の抗うつ薬治療が必要とされていた。そのため上記結果から血清BDNFレベル又は血漿BDNFレベルは、大うつ病患者さんの神経ネットワークの状態を反映している可能性があると言える…!
ということで、やはり大うつ病とBDNFレベルは関係ありそうですし、抗うつ薬→BDNFレベルアップ(回復)→症状改善…!という流れもありそうですね。また、この効果は4~8週間(1,2か月)が一つの基準になりそうです。
因みにこの研究では、死にたいって衝動(希死念慮・自殺願望)とBDNFの関係もレビューしていまして、
- 自殺した大うつ病患者さんの脳内BDNFをチェックしてみると、発現レベルが低下していた…!
- 自殺未遂をした大うつ病患者さんは健康な方よりも血清BDNFレベルが低かった…!
- 希死念慮のある大うつ病患者さんはそうでない患者さんよりも血漿BDNFレベルが明らかに低かった…!
ってことで、こちらについてもBDNFは関係ありそうです。