昨日の続きです。引き続き、高タンパク質食と腎臓機能の関係について見ていきます。
今回は予告通り、昨日のレビューの続きで、高タンパク質食によるダイエット(減量)の場合はどうなのか…?についてご紹介します。



高タンパク質食によるダイエット(減量)の場合はどうなのか…?

では次に高タンパク質食によるダイエット(減量)の場合はどうなのか…?についてみていきます。
早速結論から書きますと、研究者によれば、


らしいんですよ。
なんとダイエットで使った場合は腎臓病リスクありの人ですら問題ないとは面白いですね~。
まずチェックしておきたいのが、1999年の王立獣医農業大学の研究になりまして、この研究では、肥満だけど健康な65人の方を対象に低タンパク質食か高タンパク質食を6ヶ月間続けてもらったそうな。
すると、

  • 高タンパク質食を食べた人たちは、腎臓が肥大化し、GFRも大幅に高くなっていた…!
  • にもかかわらず、両グループ共にアルブミン排泄量(タンパク質が尿として排出される量)の変化はなかった…!

みたい。
この結果に研究者は、腎臓機能と腎臓サイズの急激な変化はあるが、健康な人には高タンパク質食の悪影響はないと結論付けていたとのこと。また2005年のテンプル大学などの研究でも似たようなことを調べているんですが、結果は同じ感じだったそうです。
これらをみていると、腎臓に問題がない健康な方であれば高タンパク質食によるダイエット(減量)は行っても健康リスクは損なわずに済みそうですね。



アスリートは高タンパク質食になりがちだがどうなのか…?

お次はアスリートの場合の高タンパク質食についてみていきます。
というのも、アスリートやトレーニー(普段からジムなどに通い筋トレなどをしている人)など普段から運動をしている人は、兎角、高タンパク質食になりがちなんですよね。特に筋力やパワーを必要とするスポーツのアスリートは、タンパク質の摂取量が超多かったりします。
例えば1989年の北京医科大学の研究によると、アスリートの多くは1日のタンパク質摂取量(g)が体重(kg)×タンパク質2.0g以上だったそうです。しかし1996年のケント州立大学の研究によると、このようなアスリートが腎臓病や腎臓機能低下といった健康リスクが高いという証拠はなかったんだとか。
また2000年のブリュッセル自由大学の研究によると、アスリート37名を対象に1日のタンパク質摂取量(g)を体重(kg)×タンパク質1.4以下〜1.9gの範囲で摂取してもらったらしい。すると、推奨されているタンパク質摂取量の170〜243%のタンパク質摂取量でも腎臓機能は損なわなかったそうです。
これらの結果からレビューの研究者は、普段から運動している健康な男女が高タンパク質食を摂取した場合、腎臓病リスクが増加するというデータは見つからなかったとしています。
運動している人は更に高タンパク質食になるけど、こちらも問題なさそうですね~。



動物実験で更に超高タンパク質食をチェックしてみると…。

更に動物実験では超高タンパク質食をチェックしております。
まず大前提として、2003年のクイーンズ大学の研究なんかでヒトに限らず、哺乳類は高タンパク質食を急に大量に食べても、ずーっとたくさん食べ続けても、GFRがアップすることが分かっております。
この前提を踏まえて、動物を使った超高タンパク質食の実験を見てみましょう。

  • ラットのエサの50%をタンパク質にした研究があるが、腎臓機能の異常は見られなかった…!
  • ラットのエサの60%をタンパク質にした研究があるが、2年間食べ続けてもらい硬化性糸球体(糸球体が固くなる現象)の割合が変化しなかった場合、腎臓機能に悪影響を及ぼさなかった…!
  • 腎臓の75%をとっちゃった犬を対象に高タンパク質食をチェックした研究があるが、食事の19%、27%、56%のタンパク質を含むエサを4年間食べ続けてもらっても、食事と腎臓の構造変化との間の関係性は見当たらなかった…!

つまり、人間では試せない、超高タンパク質食を動物実験でやってみたけど、問題なさそうだったってことですね。



個人的考察

まとめると、正常な腎臓機能を持つ健康な人であれば高タンパク質は問題なさそうです。



参考文献