昨日一昨日の続きです。
今回は大うつ病患者さんのBDNFレベルに対する抗うつ薬の効果を調べた系統的レビュー・メタ分析を確認しつつ、更に直接BDNFを増やしたらどうなのかについても見ていきます。



系統的レビュー・メタ分析でも結果は同じ…!やはり大うつ病患者さんのBDNF低下はSSRIやSNRIで改善しそう…!

2017年の重慶医科大学メタ分析によると、大うつ病患者さんのBDNFレベルに対する抗うつ薬の効果について系統的レビューとメタ分析を行ってみたそうです。
まず研究者たちは、1980年~2016年6月までに発表された大うつ病患者さんとBDNFレベル、抗うつ薬の先行研究をPubMedやEmbase、Cochrane Library、Web of Science、PsycINFOで検索して見たそうな。因みにヒトを対象とした研究に絞って行ったとのこと。すると206件の研究がヒットしたそうで、続いて重複している研究などを精査、最終的には20件の研究をピックアップしたらしい。
この20件の研究をまとめてみた結果、以下のようになったそうです。


ということで大うつ病患者さんのBDNF低下は、SSRIやSNRIで改善する可能性がありそうですね。



直接BDNFを増やしたらどうなのか…?

これまでの研究で、

  1. うつ病の人は脳内のBDNFレベルが低下している
  2. 抗うつ薬を使うと脳内のBDNFレベルが増える(元に戻る)

って流れが分かりました。ここで疑問なのが直接BDNFを増やしたらどうなのか…?ってこと。つまりBDNFレベルが原因なら、別に抗うつ薬に頼らなくても良いんじゃないかと。
そこで参考にしたいのが1997年のリジェネロン・ファーマシューティカルズの研究になります。この研究はBDNFを直接投与した場合、抗うつ薬のような効果が出るのか調べたんですよね。
実験はラットを使った動物実験でして、ラットにわざとストレスを与えつつ、学習性無力感を感じるようにしてみたんだとか。その後、脳内に直接BDNFを注入(1日に12~24μg)してみたらしい。
すると、

  • ラットの脳内に直接BDNFを注入しても抗うつ薬のような効果が生じた…!

そうです。
こうなってくるとSSRIやSNRIがうつ病に効く理由の一つはBDNFアップ効果であり、そしてBDNFさえアップできれば抗うつ薬に似た効果を得ることも可能かもしれないってことですねー。素晴らしい。



個人的考察

以上からうつ病はBDNFレベルの低下が原因の可能性も出てきますよね。ともなれば運動がうつ症状改善に効果アリ…!ってのも単にストレス解消ってだけでなく、BDNFの増加も関係しているのかもしれませんな。やっぱ運動って最強じゃないかな…。



参考文献

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0172270