ゲーム化・ゲーミフィケーションを学ぶ!」シリーズのラストです。
これまで15回にわたって様々なゲーミフィケーションの研究を見てきました。
ラストは、2023年に発表された高校生や大学生の勉強モチベアップにゲーム化が使えるのか調べた系統的レビューです。
それでは早速見ていきましょう…!



高校生や大学生の勉強モチベアップにゲーム化が使えるのか系統的レビューを行ってみた…!

2023年のアルガルヴェ大学の研究によると、高校生や大学生の勉強モチベアップにゲーム化が使えるのか系統的レビューを行ってみたそうです。
ゲーム化(ゲーミフィケーション)の導入は、教育の分野で増えてきておりまして、特にモチベアップ効果が期待されているんですよね。んでモチベがアップすれば欠席や中退が減ったり、勉強に対する不安が減ったりします。
では、実際のところどうなのか…?ってことで、今回、学校教育現場でのゲーム化について調べてみることにしたらしい。
具体的には、

  1. 高校や大学ではゲーム化によるモチベアップ評価をどうやって行っているのか…?
  2. 高校や大学ではどのようなゲーム化が行われているのか…?
  3. 高校や大学ではゲーム化がモチベーションに与える影響はどうなのか…?

の3つについてチェックしたみたい。
ということでまず研究者たちは、2013年1月1日から2022年11月1日までに発表された該当研究をWeb of Science、Eric、PsycInfoで検索してみたそうな。すると全部で569件の研究がヒットしたらしい。
続いてこの中で重複している物、質の低い物を除外していったそうな。
最終的に残ったのは40件の研究でして、

  • 研究:縦断研究26件、横断研究14件、症例対照研究17件
  • 国:スペインやアメリカのものが17件で半分ぐらいを占めていた。因みに日本の研究はなし
  • サンプル範囲:22〜683人
  • 学校:ほとんどは大学生を対象にしていた。高校生の研究は4件のみ

って傾向だったそうです。
では結果を見ていきましょう。
まずは、「1. 高校や大学ではゲーム化によるモチベアップ評価をどうやって行っているのか…?」です。

  • 内発的動機付け尺度(IMI:Intrinsic Motivation Inventory)っていう、興味と楽しみ、認識された能力と努力、プレッシャーと緊張、認識された選択肢、価値と有用性を評価するスケールを使っていることが多かった。
  • 他にも様々なスケールを使っていたり、中には独自の尺度を開発したパターンもあった。

まぁ、ここはオマケ情報なんでさらりと見てもらえればと。

続いて「2. 高校や大学ではどのようなゲーム化が行われているのか…?」の結果を見てみましょう。
特に人気の高かったゲーム化の方法は、

  1. ポイント:75%
  2. 競わせる:65%
  3. ランキング:55%
  4. バッジ:52.50%

って感じ。どれも王道ですな。
他にもストーリーテリング(物語にそって行っていくみたいな感じ)が22.50%、レベルが17.50%って感じでこちらもまぁまぁ良い感じだったみたい。
更に複雑なゲーム化を取り入れた場合では、

  • RPG要素
  • アバター
  • イベント発生
  • ボス戦
  • クエスト

などを組み込んだ感じだったそうな。
確かにこれらは手軽に導入できないけどよりよくなりそうですよね。

最後に「3. 高校や大学ではゲーム化がモチベーションに与える影響はどうなのか…?」も見ておきましょう。

  • ゲーム化された学習スタイルを長期間を行うとモチベが低下する可能性があった。
  • そしてゲーム化された長期間の学習と成績には負の関係もあった。
  • そのため、ゲーム化による学習は短期的には強力なモチベアップ効果がありそうだが、一旦「目新しさ」がなくなると、刺激が少なくなりモチベが上がらず成績が下がる可能性もあった。
  • 但し逆の報告もあった。縦断研究ではゲーム化された学習スタイルを3年間にわたって実装したがモチベーションにプラスの影響を与えていた…!
  • また、ほとんどの横断研究でもゲーム化された学習によりモチベーションが高かった…!

ゲーム化による学習でのモチベアップ効果は短期間はほぼありそう、長期間だとよく分からないって感じですね。まぁ、ゲーム化された学習スタイルに慣れてくると効果が弱くなるって話はあり得そうですな。
因みに長期間でモチベが低下した研究のほとんどは「目新しさ」と「個人差」の影響を見ているものだったらしく、ともなれば、飽きやすい人は効果が弱くなる…!って結論にもなりそうな感じ。そうなると、ゲーム化は関係なくてセルフコントロールの低さとか個人差の問題になってしまいますね。
更に、この系統的レビューの研究のほとんどではモチベーションレベルの上昇が報告されていたそうで、研究者も、

  • ゲーム化は学生のモチベーションに定期的なメリットをもたらしそうだ

とおっしゃっておりました。



個人的考察

ポケモンGOの研究結果も併せて考えてみると、ゲーム化は「きっかけ」として使うのが一番効果的なのかな~と思っております。その後続くかは、習慣化のテクニックなどを上手く使う必要があるかと。また、性格セルフコントロールの高さも重要になってくるのかな~とも思います。
いずれにしてもゲームが好きな人は現実の世界に活かしていくとよろしいかと思います。



参考文献