【まとめ】日本食は健康に良いのか?
当ブログではいろんな食事パターンや食事ダイエットをご紹介しておりますが、まだ日本食について触れておりませんでした。
日本食は健康に良いのか…?
2016年の国立国際医療研究センターの前向きコホート研究によると、日本人の男女を対象に日本食と死亡リスクの関係を調べてみたそうです。この研究は、45歳から75歳までの日本人男女79,594人(男性36,624人、女性42,970人)が参加したもので、皆がんや脳卒中、虚血性心疾患、慢性肝炎の病歴のない方々だったそうな。皆が日本食をどれだけ遵守しているか調べつつ、総死亡率や原因別の死亡率をチェックしたとのこと。
追跡期間の中央値は15年でして、亡くなった方やその死因については住民票と死亡届でデータを集めたらしい。
その結果、
- 日本食を守っている人ほど、総死亡リスクが低かった…!
とのこと。
よく日本食は健康に良い…!って聞きますけどやっぱその通りなんですねー。
また詳しく見てみると、
- 日本食を取らないことが多い人の総死亡リスク:1.00
- 日本食を取らないことがちょっと多い人の総死亡リスク:0.92
- 日本食を取ることがちょっと多い人の総死亡リスク:0.88
- 日本食を取ることが多い人の総死亡リスク:0.85
となっておりまして、忠実に守れば守るほど寿命が長い傾向にあったみたい。
更に原因別の死亡リスクについては、
- 心血管疾患の死亡リスク:0.93
- 脳血管疾患の死亡リスク:0.89
と有意に逆相関していたそうです。
因みに、がんによる死亡リスクは0.96と有意ではないものの逆相関ではあったそうな。
伝統的な日本食は塩分・高血圧が多いのに心血管疾患による死亡リスクが低下する…!
2007年の東北大学の前向きコホート研究によると、日本人の食事パターンと心血管疾患(CVD)リスクについて調べてみたそうです。
なんでも研究者曰く、この時点で日本の食事パターンが心血管疾患による死亡率の低下と関係あるのか調べた研究がなかったらしい。そこで今回チェックしてみることにしたんだとか。
この研究は、以前にも紹介した大崎国保コホート研究っていうデータセットを用いたと言うもの。参加者は1994年の実験開始時、糖尿病や脳卒中、心筋梗塞、がんの病歴のない40~79歳の日本人男女、40,547人となっております。追跡期間は1995年1月1日から2001年12月31日までの7年間でして、この間の食生活情報を基に日本人の食事パターンと心血管疾患(CVD)リスクを見てみたみたい。
集まったデータを統計処理した結果、日本人の食事パターンは大きく以下の3グループに分かれたんだとか。
続いて、これら3グループの特徴を見ていきます。
イメージ通りの特徴だな~ってところですかね。
では、心血管疾患(CVD)の死亡リスクとの関係を見ていきます。
- 伝統的な日本食グループ:心血管疾患(CVD)の死亡リスクが低下していた…!
- 動物性食品グループ:心血管疾患(CVD)の死亡リスクが上昇していた…!
- 洋食グループ:心血管疾患(CVD)の死亡リスクは関係なかった…!
伝統的な日本食は塩分が多く高血圧の方も多いのに、一方で心血管疾患リスクが低いんですねー。面白い…。
またこの研究では、年齢や性別、喫煙、歩行時間、学歴、総カロリー摂取量といった変数を調整したうえで、伝統的な日本食グループと動物性食品グループの忠実度を4段階に分類、それぞれの心血管疾患による死亡リスクもチェックしております。
その結果がこちらです。
【伝統的な日本食グループ】
- 忠実度低:心血管疾患による死亡リスクを0%(HR1.00)とした。
- 忠実度普:心血管疾患による死亡リスクを24%(HR0.76(0.63〜0.93))ダウン…!
- 忠実度高:心血管疾患による死亡リスクを29%(HR0.71(0.58〜0.87))ダウン…!
- 忠実度最:心血管疾患による死亡リスクを27%(HR0.73(0.59〜0.90))ダウン…!
【動物性食品グループ】
- 忠実度低:心血管疾患による死亡リスクを0%(HR1.00)とした。
- 忠実度普:心血管疾患による死亡リスクを7%(HR0.93(0.76〜1.13))ダウン…!
- 忠実度高:心血管疾患による死亡リスクを13%(HR1.13(0.92〜1.38))アップ…!
- 忠実度最:心血管疾患による死亡リスクを22%(HR1.22(0.99〜1.51))アップ…!
つまり、基本的に忠実に守れば守るほど、伝統的な日本食の場合心血管疾患リスクが減少(30%弱)し、動物性食品グループは上昇(約20%)するってことですね。因みにBMIと高血圧の変数を調整しても結果は変わらなかったらしい。
更に伝統的な日本食グループと動物性食品グループが心血管疾患リスクと関係していたため、冠状動脈性心疾患(CHD)リスクと脳卒中の死亡リスクはどうなのかについても見てみたそうな。その結果がこちら。
【伝統的な日本食グループ】
- 忠実度低:冠状動脈性心疾患による死亡リスクを0%(HR1.00)とした。
- 忠実度普:冠状動脈性心疾患による死亡リスクを16%(HR0.84(0.56〜1.26))ダウン…!
- 忠実度高:冠状動脈性心疾患による死亡リスクを30%(HR0.70(0.45〜1.08))ダウン…!
- 忠実度最:冠状動脈性心疾患による死亡リスクを20%(HR0.80(0.51〜1.25))ダウン…!
【動物性食品グループ】
- 忠実度低:冠状動脈性心疾患による死亡リスクを0%(HR1.00)とした。
- 忠実度普:冠状動脈性心疾患による死亡リスクを12%(HR1.12(0.73〜1.72))アップ…!
- 忠実度高:冠状動脈性心疾患による死亡リスクを38%(HR1.38(0.89〜2.15))アップ…!
- 忠実度最:冠状動脈性心疾患による死亡リスクを49%(HR1.49(0.94〜2.34))アップ…!
【伝統的な日本食グループ】
- 忠実度低:脳卒中による死亡リスクを0%(HR1.00)とした。
- 忠実度普:脳卒中による死亡リスクを30%(HR0.70(0.54~0.92))ダウン…!
- 忠実度高:脳卒中による死亡リスクを34%(HR0.66(0.50~0.87))ダウン…!
- 忠実度最:脳卒中による死亡リスクを36%(HR0.64(0.47~0.85))ダウン…!
【動物性食品グループ】
- 脳卒中による死亡リスクは関係がなかった。
つまり、基本的に忠実に守れば守るほど、伝統的な日本食の場合冠状動脈性心疾患リスクが減少(20~30%)し、動物性食品グループは上昇(最高49%)するってことですね。
また、脳卒中の死亡リスクについても、伝統的な日本食は基本的に忠実に守れば守るほど減少(30~40%)するみたい。
この結果に研究者曰く、
この結果に研究者曰く、
- 伝統的な日本食は、塩分の摂取量が高く、また高血圧の方の多さとも関係があったのにも関わらず、心血管疾患による死亡リスクの低下と関係していた
とのこと。
普通は塩分が多い→高血圧(血管がカチカチ)→心疾患(心血管疾患)…!って流れなのに謎ですねー。おそらく塩分の高さや高血圧のデメリット以上にメリットが上回っているのが日本食なんでしょうね。
伝統的な日本食は血圧に良いのか…?
2016年の東北大学の研究によると、伝統的な日本食は血圧に良いのか調べてみたそうです。
この研究は日本人の成人980名を対象にしたもので、まず参加者全員に普段食べている物を聞いてみたそうな。続いて、食べ物の傾向から以下の3グループに分けてみたらしい。
- 伝統的な日本食グループ
- 加工食品グループ
- 居酒屋グループ
その後、3年間にわたって追跡調査し、変数を調整、最後に血圧がどう変化したのか見てみたんだとか。
結果、
とのこと。
日本食はやっぱり血圧に良いみたいですねー。
更に詳しく見てみますと、男性の拡張期血圧・収縮期血圧と女性の拡張期血圧の変化は、
【伝統的な日本食の忠実度低の場合】
- 1年目:0.89(0.10~1.68)
- 2年目:2.25(0.19~4.31)
- 3年目:0.75(-1.00~2.50)
【伝統的な日本食の忠実度中の場合】
- 1年目:0.77(-0.02~1.56)
- 2年目:1.01(-1.13~3.15)
- 3年目:0.44(-1.38~2.26)
【伝統的な日本食の忠実度高の場合】
- 1年目:-0.04(-0.81~0.72)
- 2年目:-0.48(-2.52~1.56)
- 3年目:-0.77(-2.51~0.96)
って感じ。
詳しく見てみるとちょっと微妙な感じもしますが、伝統的な日本食をしっかり忠実に守って長年食べ続けると効果があるみたいですね。
1975年の伝統的な日本食で長寿・老化停滞・脳機能維持が出来る…!
2016年の東北大学の動物実験によると、伝統的な日本食で寿命が延びるのか調べてみたそうです。
皆さんご存知の通り、日本は世界的に見ても長寿の国でして、その理由の一つは日本食だと考えられております。んがしかし、過去50年間で日本人の食事スタイルも西洋スタイルの食事へ急速に移行しているんですな。にもかかわらず、平均寿命は依然として長いんですよ。
じゃあ結局のところ、日本食って寿命に関係あるのか…?ってことで今回チェックしてみることにしたらしい。
この研究は、1960年、1975年、1990年、2005年の国民健康・栄養調査に基づいた食事メニューを再現しつつ、それらをマウスに食べさせたと言うもの。また対照群として普通のエサを与えたマウスも用意したんだとか。エサ以外についてはどちらのマウスも普通に育てたらしい。
その結果、1975年の伝統的な日本食を摂取したマウスたちは、2005年の日本食を摂取したマウスたちに比べて、
- 寿命が延びた…!
- 老化が停滞した……!
- 学習能力と記憶力が維持された…!
とのこと。
また、1990年の日本食を摂取したマウスたちは、2005年の日本食を摂取したマウスたちに比べて、
- 寿命が延びた…!
とのこと。
つまり、1975年の伝統的な日本食が良い…!ってことですな。
この結果に研究者曰く、
- この研究の結果は、伝統的な日本食は現在の日本食よりも寿命を延ばし、老化を遅らせる効果がある事を示している
としています。
伝統的な日本食は、全粒穀物、色とりどりの野菜、大豆製品(豆腐や納豆など)、魚、昆布などを積極的に食べる食事スタイルです。
是非参考にしてみてください。
伝統的な日本食の健康リスクについて前向きコホート研究の系統的レビューとメタ分析を行ってみた…!
2022年の国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の研究によると、伝統的な日本食の健康リスクについて前向きコホート研究の系統的レビューとメタ分析を行ってみたそうです。
なんでも伝統的な日本食の健康リスクについては1980年代から大規模なコホート研究が開始されたそうで、疾病予防や長寿に関係していそうなんだとか。
因みに伝統的な日本食ってのは、
- 2018年の京都大学の研究では、大豆・大豆製品、魚介類、野菜、米、味噌汁を食べるのが特徴だと報告していた
- 2020年の国立がん研究センター中央病院の研究では、肉、牛乳・乳製品、甘味料、果物の摂取量が少なく、魚介類、大豆、緑茶の摂取量が多いのが特徴だと報告していた
って感じ。確かにこんなイメージですよね。
また伝統的な日本食は地中海式ダイエットとの類似点もいくつかありまして、これが心血管疾患(CVD)リスクの低下にもつながっているかもしれないんですな。ということで今回この辺を調べてみることにしたらしい。
まず研究者たちは、2020年7月までに発表された該当研究をPubMed、コクラン、JDreamIII、医中誌Webで検索してみたそうです。すると、日本人を対象にした前向きコホート研究として
- PubMed:1,245件
- コクラン:501件
- JDreamIII:37件
- 医中誌Web:77件
の合計1,860件がヒットしたんだとか。
続いてこれらの研究を基準に従い精査、最終的に質の高い58件の研究をピックアップしたらしい。またメタ分析には日本人の食生活パターンの研究9件(総サンプル数469,190人)と特徴的な食品についての研究38件(総サンプル数2,668,238人)を使ったとのこと。
それでは結果をじっくり見ていきますかー。
伝統的な日本食を一番忠実に行っていた人たちは、一番忠実に行っていなかった人たちに比べて、
- 心血管疾患リスク:17%(RR0.83)低かった…!
- 脳卒中リスク:20%(RR0.80)低かった…!
- 心疾患・虚血性心疾患リスク:19%(RR0.81)低かった…!
とのこと。
やっぱ伝統的な日本食は心臓や血管、脳の健康リスクを下げる働きがあるんですねー。
じゃあ、伝統的な日本食の何が良いのか…?ってことで食品を細かくチェックした物をバーッと見てみましょう…!
【野菜が最も多い場合と最も少ない場合を比較した場合】
- 心血管疾患リスク:15%(RR0.85)低かった…!
- 脳卒中リスク:11%(RR0.89)低かった…!
- 心疾患・虚血性心疾患リスク:21%(RR0.79)低かった…!
【魚が最も多い場合と最も少ない場合を比較した場合】
- 心血管疾患リスク:14%(RR0.86)低かった…!
- 脳卒中リスク:13%(RR0.87)低かった…!
- 心疾患・虚血性心疾患リスク:12%(RR0.88)低かった…!
【大豆製品が最も多い場合と最も少ない場合を比較した場合】
- 心血管疾患リスク:6%(RR0.94)低かった…!
- 脳卒中リスク:関係なし。
- 心疾患・虚血性心疾患リスク:関係なし。
【緑茶が最も多い場合と最も少ない場合を比較した場合】
- 心血管疾患リスク:41%(RR0.59)低かった…!
- 脳卒中リスク:24%(RR0.76)低かった…!
- 心疾患・虚血性心疾患リスク:25%(RR0.75)低かった…!
【牛乳・乳製品が最も多い場合と最も少ない場合を比較した場合】
- 心血管疾患リスク:7%(RR0.93)低かった…!
- 脳卒中リスク:19%(RR0.81)低かった…!
- 心疾患・虚血性心疾患リスク:関係なし。
【米が最も多い場合と最も少ない場合を比較した場合】
- 脳卒中リスク:関係なし。
- 心疾患・虚血性心疾患リスク:関係なし(男性だけリスクが下がるかも?)
【肉が最も多い場合と最も少ない場合を比較した場合】
- 脳卒中リスク:関係なし。
- 心疾患・虚血性心疾患リスク:男性だけリスクが下がるかも?(34%(RR0.66)低かった)
【その他の食品が最も多い場合と最も少ない場合を比較した場合】
- 海藻の心血管疾患リスク:女性だけリスクが下がるかも?(28%(RR0.72)低かった)
- 卵の脳卒中リスク:もしかしたらリスクが下がるかも?(30%(RR0.70)低かった)
- 漬物の脳卒中リスク:もしかしたらリスクが下がるかも?(9%(RR0.91)低かった)
- 食事の多様性の心血管疾患リスク:食事の多様性が高まると女性のみリスクが下がるかも?(34%(RR0.66)低かった)
次は栄養素を細かくチェックした物をバーッと見てみます。
【食塩が最も多い場合と最も少ない場合を比較した場合】
- 心血管疾患リスク:18%(RR1.18)高かった…!
- 脳卒中・虚血性心疾患リスク:30%(RR1.30)高かった…!
- 虚血性心疾患リスク:関係なし。
- 2020年のNIPPON DATA 研究チームの研究によれば、1,000kcal摂取当たり塩分摂取量が2g増加すると、心血管疾患リスクが11%(RR1.11)、脳卒中リスクが12%(RR1.12)、虚血性心疾患リスクが25%(RR1.25)高くなっていた…!
- 上記結果は、塩分の摂取量が多いと野菜や果物、魚、緑茶などのメリットを打ち消す可能性がある事を示していた…!
【植物性タンパク質が最も多い場合と最も少ない場合を比較した場合】
- 心血管疾患リスク:19%(RR0.81)低かった…!
- 脳卒中リスク:25%(RR0.75)低かった…!
- 心疾患・虚血性心疾患リスク:25%(RR0.75)低かった…!
- 2019年のNIPPON DATA 研究チームの研究によれば、植物性タンパク質の摂取量が1%増加すると、心血管疾患リスクが14%(RR0.86)、脳出血リスクが42%(RR0.58)低くなっていた…!
【炭水化物が最も多い場合と最も少ない場合を比較した場合】
- 心血管疾患リスク:よく分からない。
- 脳卒中リスク:関係なし。
【食物繊維が最も多い場合と最も少ない場合を比較した場合】
- 心血管疾患リスク:23%(RR0.77)低かった…!
- 脳卒中リスク:16%(RR0.84)低かった…!
- 心疾患・虚血性心疾患リスク:24%(RR0.76)低かった…!
【脂質が最も多い場合と最も少ない場合を比較した場合】
- 心血管疾患リスク:関係なし。
- 脳卒中リスク:31%(RR0.69)低かった…!
- 心筋梗塞リスク:関係なし。
- 脳梗塞リスク:64%(RR0.36)低かった…!
では上記を踏まえたまとめを見てみましょう…!
- 伝統的な日本食を忠実に守るほど、心血管疾患、脳卒中、心疾患・虚血性心疾患による死亡リスクは低くなる…!
- ポイントは、野菜、果物、魚、緑茶、牛乳・乳製品、食物繊維、植物性タンパク質であり、これらの摂取量が多くなるほど、心血管疾患、脳卒中、心疾患・虚血性心疾患のどれか、または全部の死亡リスクは低くなる…!
やっぱ伝統的な日本食は長寿と関係していそうですね。
ということで、伝統的な日本食も健康に良さそうな感じ。
欲を言えば、減塩をプラスするともっと良さそうです。
個人的考察
ということで日本食をしっかりとっていくと健康に良さそうな感じでした。
まぁ、日本食に限らず伝統的な食事パターンを忠実に守れば、自然とカロリーの質は高くなりますんで、健康になれると思いますが。