先週の続きです
前回はゲーム化(ゲーミフィケーション)ってのが何なのか見てみました。今回は、ゲーミフィケーションが慢性疾患、特に糖尿病の治療に使えるのか調べた研究を見ていきます。
まずは「スクルの輪」ってなに…?って話です。それでは早速チェックしていきましょう…!



ゲーミフィケーションのフレームワーク「スクルの輪(The Wheel of Sukr)」ってなに…?

2016年のサウサンプトン大学の研究によると、慢性疾患の自己管理にゲーム化(ゲーミフィケーション)が有効なのか調べてみたそうです。
そもそも2012年のUHNの研究2012年のノルウェー科学技術大学の研究といった先行研究により、ゲーミフィケーションで慢性疾患を持つ患者さんの服薬管理などをちゃんとさせる効果がアップする可能性が見えていたんですよね。
但し、慢性疾患の管理にポイント制とバッジ提供だけで行うと、ゲーミフィケーションの長期的な効果がなくなり、ゲーミフィケーションの目的自体もなくなっちゃう可能性があったんですな。つまりゲーミフィケーションの全てのメリットを利用していくことが大事なんじゃないかとなったそうです。
そこで、それらをまとめたフレームワークとして作られたのが、スクルの輪(The Wheel of Sukr)です。スクルの輪は同研究チームが2015年に発表したものでゲーミフィケーションを利用した初の慢性疾患の自己管理フレームワークとなっております。ゲーム要素や自己管理の実践法、行動変容テクニックを組み合わせた、より健康的な行動を強化する(多く取れる)ようにしたものなんですな。
そんなスクルの輪は、8個のメイン要素と28個のサブ要素からなっておりまして、具体的には以下のような感じです。


では、ここから更に細かく項目を見ていきましょう…!

  • 社交:同じ状況を共有できる人々のグループに入り、社会的なサポートや感情的なサポート得ること。その結果、クリア報酬の価値を高める。要はゲームで同じ目的(ボスを倒すなど)を持っているメンバーでパーティーを組みましょうってこと。そうすればクリアしたときの嬉しさも共有できて一入ですしね。
  • 自己表現:自分の経験に合った難易度設定をすること。その結果、自分にちょうど良い経験が得られる。要はゲームでレベル1のキャラでラスボスに挑んでもムリゲーなんで、まずはスライムやゴブリンから倒していきましょうってこと。そうすればちゃんと今の自分のレベルに合った経験値が得られますしね。
  • 楽しさ:バッジやポイントを得る、挑戦や他者と競争するなどして色々体験すること。その結果、楽しさがアップします。要はゲームでバッジやポイント、トロフィーをゲットする、新しいフィールド、ダンジョンに行く、他人とクリアタイムや記録のランキングを競うなどしてみようってこと。そうすれば楽しいですからね。
  • 自尊心マズローの欲求5段階説の「承認欲求」を満たすこと。その結果、糖尿病の管理(慢性疾患の管理)を精神的にサポートしてくれる。要はゲームで高レベルだったり、レアキャラを持っていたりすること。そうすれば皆から良いな~って言われて嬉しいですからね。
  • 成長前に進んでいる感覚(前進感)を感じられるようにすること。例えば、糖尿病(慢性疾患)なら、ちゃんと管理し、健康的な習慣が出来て、病気に詳しくなるみたいなのが成長ですな。要はゲームでボスが倒せず一向に先に進めないとクソゲー認定されますが、サクサク進むとのめり込んでいくのと一緒ですね。
  • 持続可能性:望ましい効果を維持するために、ちょうどよいレベルの難易度を維持すること。その結果、続くし習慣化できますからね。要はゲームでレベルを上げる→ボスを倒す→武器が手に入る→もっと強い武器が欲しいのでレベル上げを頑張る→強いボスを倒す→もっと強い武器が手に入るって感じでレベリングとか頑張れるのと一緒ですね。
  • モチベーション:内から湧くモチベ、外からくるモチベ、どちらのモチベも得られるようにすること。その結果、モチベがアップし辛くても粘り強くなれますからね。要はゲームで、もっと強くなりたい…!みたいな内側からくるモチベやランキング上位でスゲーみたいに言われる外からくるモチベのこと。そうすれば自ずとモチベはアップしますからね。
  • 自己管理:ログ(記録・日記)をとったり分かりやすく見える化したりすること。例えば、糖尿病だと血糖値やインスリン、食事の摂取量、運動量なんかを記録したり、定期的に振り返ることは基本となります。また血糖値の測定結果があやしいときはすぐに気付く事もできます。その結果、常に自分の状態をチェックできるとともに努力した成果を確認することもできますよね。またセルフコントロールやる気もアップできるんじゃないかと。要はゲームで経験値がどんどん増えていく、レベルが上がるってこと。積み上がっていけば積み上がっていくほど、セーブデータをリセットするのが惜しくなりますからね。

確かに、ゲームにハマる理由をちゃんと分解して考えていくとこのような図式になりますな。