今回は2021年にワルシャワ医科大学が発表した、自閉スペクトラム症(ASD)と双極性障害の併存性のレビュー論文を見てみます。



自閉スペクトラム症(ASD)+双極性障害の併存性

2021年のワルシャワ医科大学レビュー論文によると、自閉スペクトラム症(ASD)と双極性障害の併存性(併存リスク・二次障害・併存疾患・重複障害)について現在の知見をまとめてみたそうです。
ということでレビューのポイントは以下な感じでした。

  • 自閉スペクトラム症(自閉症スペクトラム障害:ASD)は、発達障がい(神経発達障害)の一種で、人口の最大2.6%と推定される。
  • 自閉スペクトラム症の人のほとんどは、最低1つ以上の他の精神疾患を持っている。そして診断が遅れたり、気づいていないケースが多い。
  • 自閉スペクトラム症の方の双極性障害の有病率は5~8%と推定される。
  • 70万人の子どもを対象にした大規模研究によると、そのうちの9,062人(≒1%)が16歳で自閉スペクトラム症の診断基準を満たしていた
  • 上記の大規模研究では、双極性障害の有病率が対照群に比べて6倍も高かった。原因は色々ありそうな感じ。
  • 自閉スペクトラム症の方は感情状態を理解したり、観察したりするのが苦手な方がおり、そのため、正確に伝えることも難しいケースがよくある。
  • そのため自閉スペクトラム症を持つ方の双極性障害の診断は、自閉スペクトラム症を持たない方の双極性障害の診断とは違い、適切に行うことが難しい。
  • にもかかわらず、心理検査や測定方法は同一の物が使われる。

ということで、そもそもASDを持つ方は精神疾患も持っているケースが多く、また、ASDを持つ方は双極性障害リスクが高いみたいです。それとASDの方の障がい特性(障がいの特徴)が、双極性障害の診断を難しくしている、にも関わらず専用の診断方法がないとのこと。
これまで見てきた感じでも発達障がいや精神障がいの重複障害は結構起こりそうなんで個々に専用の診断方法を作るのも大変ですし…。難しい問題ですよね…。