【加筆内容】続続 睡眠障害と片頭痛って関係あるの?
前回から、2020年にラクイラ大学が発表した、片頭痛と睡眠障害の関係についての系統的レビューを見ています。
睡眠関連呼吸障害(SRBDs)と片頭痛
睡眠関連呼吸障害(SRBDs)は、睡眠中に異常な呼吸を繰り返すというもので、細切れな睡眠、体内の酸素の低下を引き起こします。その有病率は、中年の成人だと20%と推定されるそうで、特に男性に多く、女性よりも2~3.7倍もいるそうな。
そんな睡眠関連呼吸障害(SRBDs)の代表的なものと言えば、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA:いわゆる睡眠時無呼吸症候群)でしょう。ご存知の通り、睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に気道が部分的(低呼吸)、又は完全(無呼吸)に閉塞しまして、これにより、酸素の低下と睡眠障害が起こっちゃうんですよね。
原因として最もありがちなのが肥満でして、発症と進行に深く関わっております。例えば成人人口における睡眠時無呼吸症候群の有病率は約25%と推定されておりますが、肥満者のみで推定すると驚異の45%に達するそうな。
また、軽度の睡眠時無呼吸症候群の人が体重の10%増量しちゃうと、進行リスクは6倍にアップしてしまうらしい。対して、体重の10%減量に成功すると睡眠時無呼吸症候群の重症度を20%以上も改善できる可能性があるんだとか。
そして睡眠時無呼吸症候群と片頭痛の関係についてなんですが、先行研究によると因果関係は確認されていないとのこと。
因みに、睡眠時無呼吸症候群の治療の鉄板であるCPAP療法(持続陽圧呼吸療法)が直接片頭痛に効くのかは謎なものの、睡眠の質は改善するので、傍証となる感じ。
以上から、対策としては、適正体重(BMIが18.5~25.0kg/m2未満)にすること(つまりダイエット)を強くオススメするとのことです。
睡眠関連運動障害と片頭痛
睡眠関連運動障害は、睡眠中や睡眠前後に比較的単純で定型的な運動を特徴とする感じでして、最もメジャーなのは、むずむず脚症候群(RLS)でしょう。むずむず脚症候群(RLS)とは、脚を動かしたいという衝動がありまして、- 安静時やゆったりと活動していないときに不快な感覚を伴う
- 脚を動かしている間はその不快感が一部、又は全部が軽減する
って特徴があります。
そして主に夕方や夜に発症し、周期性四肢運動障害(PLMD:睡眠中に脚や腕が周期的に勝手に動く症状)と密接に関係があるみたい。
むずむず脚症候群の有病率は5.0%~14.3%って感じでして、むずむず脚症候群における片頭痛の有病率は12.6%~53.2%の範囲らしく、これはむずむず脚症候群のない人に比べて有意に高いそうな。一方で別の研究によれば、むずむず脚症候群における片頭痛の有病率は、同じ集団における片頭痛の有病率と比較して高くなかったらしい。
また、むずむず脚症候群と様々な頭痛を比べた研究を見てみると、
- むずむず脚症候群ありの片頭痛の有病率は12.6%
- むずむず脚症候群なしの片頭痛の有病率は8.0%
- むずむず脚症候群ありの全頭痛の有病率は54.4%
- むずむず脚症候群なしの全頭痛の有病率は49.8%
- むずむず脚症候群ありの緊張型頭痛の有病率は19.5%
- むずむず脚症候群なしの緊張型頭痛の有病率は23.0%
って感じで、むずむず脚症候群は片頭痛のみ関係がありそうな様子。
また、片頭痛持ちにおける、むずむず脚症候群の有病率は13.7%~25%の範囲でして、片頭痛のない人よりも有意に高いらしい。
そのため、むずむず脚症候群が片頭痛に与える影響は、片頭痛がむずむず脚症候群に与える影響よりも大きい可能性があるそうです。因みに関連性はドーパミンの機能不全があやしいとのこと。
まとめると、現時点では、むずむず脚症候群と片頭痛は双方向に関係ありそう…!但し、まだまだよく分からん…!って感じでした。