これまで、


を見てきました。
今回も2021年の世界ADHD連盟の研究を見ていきます。それでは続きをどうぞ~。



カテゴリー⑭:ADHDに対して安全かつ効果的な非薬物療法ってなに…?

これまでADHDは、多くの非医学的治療法が提案されてきました。但し、ネットでググって出てくる非医学的治療法のほとんどは、検証されていないか、効果がないことが証明されているとのこと。つまりエビデンスがないってことですね。
そこでこのカテゴリーでは、ADHDの症状に対する治療法の効果と、それがもたらす可能性について触れていくそうです。
余談ですが、ここに出てくるものは障害福祉の分野でも実践・支援できるものなんで押さえておいて損はないかと思います。それでは見ていきましょう。


認知行動療法

ADHDの認知行動療法(行動療法を含む)は多岐にわたり、患者の年齢に応じて内容や焦点が異なるそうです。
まず乳幼児や小学生の場合は、親による子どもへのしつけや接し方を改善するためのトレーニングとして認知行動療法を用いるんだとか。そして青年や成人の場合における認知行動療法は、ADHD患者本人の社会性アップに役立つとのこと。
他にも学校の先生が子どもの行動改善を目的としたプログラムに参加するって場合もあるそうな。更に上記の認知行動療法の中には、社会行動の改善や実践的なスキルアップに焦点を当てたものもあるみたい。
ただ、このコンセンサスでは上記の認知行動療法のうち、ADHDの症状改善に役立つもののみに焦点を当てたとのこと。そのため、ここでADHDの症状を大幅に改善しなかったとしても、それが他の目的でも役立たない…!ってことにはならないんで、そこは心に留めておいて欲しいそうです。

195. 2019年のメタ分析によると、ADHDの乳幼児に対する親のトレーニングとしての認知行動療法は、親視点でのADHD症状・行動上の問題の適度な減少と関係していた。但し独立した評価の場合、ADHD症状・行動上の問題に有意な効果はなかった。一方で子育てのネガティブがわずかに減少していた。
196. 2017年のメタ分析によると、ADHDの成人患者896名を対象に認知行動療法の効果を見てみた結果、自己申告によるADHDの症状と機能が中程度改善していた。但し、質の高い研究のみで見てみると、その効果はわずかだった。また2020年のメタ分析でもADHDの成人患者160名を対象に認知行動療法の効果を見てみた。結果、中~大程度改善していた。更に191名のADHD患者を対象にした3つの研究では、認知行動療法で小~中程度改善していた。
197. 2019年のメタ分析では2,000人以上の参加者を対象に認知トレーニングの効果を調べてみた。その結果、ADHDの乳幼児の実行機能がわずか~中程度改善した。
198. 2018年のメタ分析によると、瞑想の効果を調べてみた。結果、小児・青年・成人のADHDの症状が中程度改善した。但し質の高い研究のみで調べ直すと有意ではなかった。
199. 2019年のメタ分析によると、ADHDの若者にSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)を行ってみた。その結果、学校の先生による社会性スキルの評価、一般的な行動、学校での成績やパフォーマンスは改善されなかった。
200. 2017年の893人の若者を対象にしたメタ分析によると、社会性スキルアップの為の介入により、親が報告した不注意の症状が中程度改善した。



個人的考察

ADHDに対しての認知行動療法は有効なのかどうなのかイマイチはっきりしない感じ。この辺は今後の研究に期待ですね。
ということでついに200まできました…!
終わりが見えてきましたな…!
ってことで続きは来週です。



参考文献

最後にまとめてご紹介します。