今回は相手が説得や頼みごとに応じる可能性が上がるBYAFメソッドについて書いていきます。



BYAFメソッドってなに…?

BYAFメソッドのBYAFとは「But You Are Free」の頭文字です。日本語では「ですが、あなたの自由です」という意味になります。
どういうことかというと説得や頼みごとをした最後に「でも、自分で決めた方が良いよ」というだけです。
これだけで説得や頼みごとに応じる可能性が上がるのはうれしいですね~。



BYAFメソッドの効果

2012年の西イリノイ大学の研究によると、相手が自分の頼み事に応じてくれる可能性をアップするにはどうすれば良いのか…?を調べてみたそうです。この研究は42件の論文を整理したメタ分析となっておりまして、合計サンプル数は2万2千人とのこと。超大規模且つ信頼性の高い研究ってことですね。
んで、早速結果を見てみると、

  • 説得や頼みごとに応じる可能性が2倍…!
  • 寄付などでお金がもらえる可能性が2倍…!

になったそうな。2倍はすごいですねー。
例えば、フランスのある研究によると、知らない人にバスの運賃を下さいと言ってもらい、実際、どれだけの金額がもらえるかを調べたそうですが、BYAFメソッドを使うことにより、もらえる金額が2倍になったとのこと。またこの効果は、寄付やボランティアへの参加の促しでも確認されたそうです。
シンプルな割に効果が高くて使い勝手がよろしいですね…!

また、ペンシルベニア大学の研究ではBYAFメソッドを部下に使っても効果があるとわかりました。例えば「このプロジェクトをやるかやらないかは自分で決めていいよ」みたいに言うと自主的に行う方を選ぶみたいです。

なぜ自分で選んでいいのにYESという可能性が2倍になるのかというと、人間は自分で自分のことを決めたいのであって、人に決められるのが嫌だからです。自分で決められる権利があることによって初めて人の意見に耳を貸すようになるみたいです。う~ん、自分にも心当たりが…耳が痛い(笑)

更に効果を上げる方法としては、BYAFメソッドの前にきちんとどちらが良いのか悪いのか、オススメなのかオススメしないのか先に伝えておくといいです。つまり、

  • 個人的な意見はこの方が良いと思う。でも、自分で決めた方が良いよ

というのが一番効果的ということになります。

まとめると、人間を説得するには自由意志・自己決定権の尊重を重視・強調した方が良いということになります。その方法がBYAFメソッドということですね。
因みに専門的には、心理的リアクタンスを踏まえると良い…!という言い方になります。心理的リアクタンスとは、人は自由が制限されると反発し、自由を取り戻そうと努力する性質がある事を言います。そのため、この心理的リアクタンスを侵さないよう注意して頼むと成功率がアップするのも納得かと…。
また余談ですが、自由度が少なくなると不安になる現象を逆手に取ったのが、「先着何名様まで」とか「残り1点です」みたいな文言です。これは今買わないと買えなくなる…!=自由がなくなる…!って心理が働いて購買意欲をかきたてる戦法となります。



BYAFメソッドの具体例

ここでは具体例をいくつか挙げておきます。支援ではよくあるパターンではないかと。

  • こういう感じが良いと思うけど、まぁ自分で決めていいよ。
  • この目標がいいと思うけど、最後は自分で決めた方が良いと思うよ。
  • AとBならAが良いと個人的には思うけど、あとは自分で決めるのが良いと思うよ。
  • こういう対策が良いと思うけど、あとは自分でやるかやらないか決めた方が良いよ。
  • こういう案もあるけど、自分で好きにやってみたらいいかもね。
  • あまりオススメはしないけど、自分のことは自分で決めた方が良いと思うよ。
  • 私はこれが良いと思うけどな~。でも、あとは自分で決めた方がいいね。
  • やめた方がいいかな~とは個人的に思うけど、最後は自分で決めた方が良いかもね。
  • この仕事はあなたに頼みたいと思っているけど、やるかやらないかは自分で決めていいよ。
  • これはやっておいた方がいいと私は思うけどな~。まぁでも自分で決断するのが大事かもね。
  • この話は受けた方が良いと思うけど、受けるも断るもあなたの自由ですよー。
  • このような方法がありますが、もちろん義務や強制ではございません。

こんな感じですかね。まぁ、汎用性の高さがすごいです。これで応じる可能性が2倍になるのはお手軽さ、効果の高さからいっても素晴らしいという他ないですね~。



個人的考察

とにかく、BYAFメソッドは小さなことから大きなことまで日々使いまくって言う癖をつけることをオススメしています。とっさの状況で説得や頼みごとをするシーンは支援では非常に多いですからね~。困ったとき、ふっと思い出して使えるとかなり便利なので。あ、でも、言う癖をつけるかどうかは自分で決めていいですからね(笑)